あおこのぶろぐ

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びわ湖「ローエングリン」② セミ・ステージだからこその・・・

2021-03-11 11:26:59 | 日記
当初の予定から、入国制限やその他の理由で、キャストの変更があったこの公演。
エルザは安藤赴美子さんから森谷真理さん、横山恵子さんから木下美穂子さんに変更、ローエングリンも二日目、チャールズ・キムさんから小原啓楼さんに変更。伝令のミリエンコ・トゥルクも来日出来ず、大西宇宙さんが両日歌うことに。
主役級は歌ったことのある人でないと急遽の代役は難しいと思いますが、森谷さんは、歌ったことあったのかしら?

初日ローエングリンは日本が誇るテノール・福井敬さん。97年の新国立劇場の公演、3年前の二期会公演、と聴いてきましたが、輝かしい声は健在。でも、今までと比べたら今回、絶好調ではなかったのかな、というようには思いました。
オルトルートの谷口さんも、同じ(絶好調ではない?)ような印象を受けましたが、存在感は抜群で、見た目もオルトルートそのもの。第2幕のエルザとのやりとりは圧巻。
エルザの森谷さんは、この前の夜の女王からうって変わって、よく言えば清らか、悪く言えば天然ちゃんなエルザになりきっていました。第1幕の「エルザの夢」から引き込まれました。やっぱり森谷さんはすごい!
小森輝彦さんは、妻に転がされるちょっと情けないフリードリヒを好演。
ハインリヒ国王は、毎回安心安定の妻屋秀和さん。相変わらず申し分のない声で、国王感を発揮されていました。
そして王の伝令の大西さん。お名前は知っていたけれど、歌は初めて聴きました。伝令と言えば、朗々とした声のバリトンが歌うことが多いですが、いやあ、第一声で心を掴まれました。見た目もガタイが良くて舞台映えするし、歌は素晴らしい。発音も良い。もう、今後大注目ですね♪ いろいろな役を観てみたいです。

2日目のローエングリンとエルザは、結果的に3年前の二期会公演と同じ組み合わせ。そして昨年のフィデリオ夫妻(フロレスタン夫妻と言うべきか)でした。
小原さん、良かったですー。3年前より円熟味が増したように思います。歌い方もワーグナーっぽいし、急遽の代役とは想えない。お見事でした。
エルザの木下さんも、きれいな声で純なエルザを好演。直前の代役で大変だったと思いますが、そんなこと感じさせなませんでした。
ハインリッヒ王の斉木健詞さん、かっこいい♪(去年のハーゲンを生で観たかったな)
そして悪のカップル。初日はオルトルート>テルラムントという感じでしたが、2日目はオルトルート=テルラムント、あるいはテルラムントのほうが黒幕なんじゃないかとおもくらい、黒田博さんのテルラムントの悪役感がすごかった。黒田さんは本当に何でもはまるなあ。
同じ曲、同じ歌詞で歌っているのに、2日で役のイメージが異なる。こういうのを観比べるというのもWキャストの両方を観る楽しみですね。
そしてオルトルートの八木さん。深い声でワーグナーに向いている印象を受けました。特に第3幕の最後のシーン! あの場面の迫力がイマイチだと締まらないのですが、バッチリでした。

合唱は、マスクしていると思えないぐらい迫力あり、本当に聴き応えありました。
入退場の仕方も工夫されていました。

そして沼尻マエストロと京響。ピットの中でなく、ステージ上にオーケストラがいるということで、演奏者の方々にとっては負担となる部分もあるとは思うのですが(自分のパートの出番がないときもゆるめられない、とか)、いい緊張感もあったように思うし、いました。ちょっとだけ惜しいところもあったけれど、前奏曲からラストまで、本当に堪能させていただきました! 

つまりトータルで、とても高水準で見応え、聴き応えのある公演だったと思います。

前回セミ・ステージの難しさ、と書きましたが、普通のオペラ上演で、微妙な演出だったら音楽に集中出来なかったかもしれないので(例えばローエングリンが作業服だったり、最後に胎児が出てきたり、とか)、鑑賞を邪魔することもなく世界に浸ることが出来たのは良かったと思います。背景の絵も素敵だったし。
またDVD発売しないかな。

先月の二期会の「タンホイザー」から約2週間。今回この2公演、主要キャストでかぶっている人はいませんが、プログラムを見ると、ローエングリンもタンホイザーも、カヴァーキャストは菅野敦さんでした。
菅野さんは両方の役を歌い、両方の練習に参加していたということですよね。これって、世界的にもそうそうないことなのでは?

カヴァーキャストの方を含め、出演者、スタッフ全ての方にBRAVI! と言いたいです。



びわ湖ホールオフィシャルスポンサーの叶匠壽庵のお菓子もも美味しいですが、大津でしか手に入らない三井寺力餅。今年も美味しくいただきました♪