あおこのぶろぐ

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新国立劇場「ニュルンベルクのマイスタージンガー」・本編(感想)

2021-11-23 22:34:51 | オペラ
前置きが長くなりましたが、初日と2日目を観た感想です。

とにかく豪華なマイスターたち!
日本が誇る主役級の歌手の皆様。
役不足、という言葉はこういう時に使うんじゃない?
と思うくらい。

村上公太さん、与那城敬さん、秋谷直之さん、鈴木准さん、菅野敦さん、大沼徹さん、長谷川顯さん、妻屋秀和さん!
その他大勢的な役ですが、皆さんそれぞれに役作りされていたようでした。

聴かせどころも多いコートナーはびわ湖のヴォータン・青山貴さん! 朗々とした声でぴったりでした。

夜警は2005年公演と同じ志村文彦さん。出番は少ないけど、しっかり爪痕を残してらっしゃいました。

エーファの林正子さん、19年前もこの役を聴いていますが、容姿も含め殆どお変わりないのが素晴らしい!
ただ、これは演出の問題なのだけど、衣装はあまり好きではなかった。
エーファの小悪魔性を強く、はっきり魔性の女的に描いたためかもしれないけど。
そのためザックスと、歌詞にあるような年齢差は感じられずより生々しい感じに(時折壇蜜に見えた)。
純だからこそ小悪魔、という感じに描いたほうが、ラストがもっと効いたんじゃないかな。と個人的意見。

マグダレーネの山下牧子さん、歌も演技も安定感! 素敵なマグダレーネでした。
なので、ダーヴィットとも「ちょっと年上のカップル」くらいに見え、違和感なかったです。
2日目、第1幕で椅子ごと倒れたのはハプニング?
ヴァルターとエーファが直し、ナイスフォローでした。

そして、ダーヴィットの伊藤達人さん!
とっても良かったです。歌もキャラも。とてもチャーミングなダーヴィットでした。
伊藤さん、一昨年、神田明神の「EDOCCO」でのミニコンサートで聴いたことがあり、よく覚えていたのですが、それからこんな短期間で大出世を果たすとは!
ダーヴィットに、夏にはパルシファルですからね。
今後楽しみです!
(たつんど、という名前もいいですね!)


そして外国の方々。

ギド・イェンティンスはエーファパパを好演。ザックスのカバーもしていたというので大変だったろうな。

ヴァルターのシュテファン・フィンケは、もっとなんというか、輝かしさみたいなものを欲しいなと思いましたが、ヴィジュアル含め、これ以上を望んだらバチが当たりますよね。

過去実際に観た中で最高のヴァルターは、2013年、東京春祭のフォークト様よねぇ。燕尾服でも、騎士感たっぷりでした。

その春祭でもベックメッサーを歌っていたのはアドリアン・エレート。

正直、新国立劇場公演に限らず、ですが、海外からわざわざ呼ばなくても、もっと歌える日本人もいるのに・・・と思うこともあるのですが、このエレートとか、ザックスのマイヤーとかを観ると、歌唱云々以前に日本人は太刀打ち出来ないものがあるって思いますね。
ヴィジュアルももちろんありますが、こなれている、というか余裕とというか、本場感、というか(エレートはウィーン出身ですが)。
演じる、でなく体現している、というか。

エレートのベックメッサーは、役作りをしている、を超えて、ベックメッサーに見えた。憎めない、ラブリーなベックメッサーでした。

そして、ザックスのトーマス・ヨハネス・マイヤー、素晴らしかった。
もう、ザックスそのもの!
声も見た目も風格と色気があり、役にぴったり。
終幕、「親方、私じゃだめ?」と寄り添いたくなりました(ダメだろう! と自主ツッコミ)。

イエンス=ダニエル・ヘルツォークの演出は、現代の劇場に置き換えられていたけど、読み替えというほどではなく、違和感なく観られました。
歌っている人以外にも人が出て来て動きがあるので、チェックするのが大変。

話題になっているラストシーン、私は有りだと思います。
2回観て、ラストシーンとファーストシーンとつながっていることに気づきました。

ただラストの感動感はやっぱりちょっと減っちゃったかな。

コロナ禍で合唱の人数が抑えられていたこともあるかと。

演出的にも不自然な「距離」がありましたが、それは仕方ないでしょう。
でも第2幕終幕は群衆にもっとドタバタが欲しかったな。

オケは大野和士氏指揮の都響、合唱は新国立劇場と二期会合唱団。

私にとっての原点である1981年公演は、とにかく舞台から凄まじい熱量が発せられ圧倒されたけれど、今回は正直なところ、オケも合唱も、ガツン! とくるものはなかった。
それはひょっとしたら、単に私が成長(老化?)したせいなのかもしれないけど。

でも、延期・中止になった分の思いもこもった、熟成された公演で、総合的にとっても満足でした♪