今回の公演、ステージングは粟國淳さん。
セミステージと言っても、オーケストラがステージにいて、装置がないだけで、普通にお芝居が展開されていました。
まず幕が開いて(幕はないんだけど)、今回「扮装あり」だったのでほっとしました。
昨年もさんざん書きましたが。それならパルジファルもローエングリンもサムソン(これは二期会公演)もそうして欲しかったと思う私。
もうこれだけ、普通にオペラが上演されるようになったので、フルステージで観たかったと思いますが、セミステージで良かったこと、それは、京響のハープ奏者・松村衣里さんが個人購入したというベックメッサーハープが演奏されるところがしっかり観られたところでしょう。
ベックメッサー黒田さんにいざなわれ、松村さんも一緒にカーテンコールに出ていらっしゃいました。
味わいがあるのですが、本当になんというか、ちょっと残念なベックメッサーにぴったりな音色で、今回の公演の肝だったと言えるでしょう! Brava!
演出の話に戻りますが、とてもわかりやすいものでした。
マイスターたちがそれぞれの仕事着で集まって来るのとか、シンプルでわかりやすい。
ただ、一つだけちょっと不満だったのが、第2幕の最後、大騒動の場面、合唱と親方達が舞台後方、オケの後ろで歌っていたけど、徒弟達と親方達は一緒に暴れて欲しかった。じゃないと、単にダーフィットがベックメッサーをやっつけているのをみんなが観ているだけ、という感じになってしまう。
でも不満と言えばその辺だけ。
ラストも王道で、良かったです。
演奏は、沼尻さんと京都市交響楽団。ちょっとだけ気になるところがなくもありませんでしたが、やはりレベルが高いです。
合唱はびわ湖ホール声楽アンサンブル(+客演)の皆さん。人数が少なめ+マスク有りだったこともあってか、「目覚めよ」のところとフィナーレの場面では正直物足りなさも感じました。
私が最初に観た1981年の二期会公演、字幕もない、知識もない、大筋しかわからなかった中で観た初めてのワーグナー作品でしたが、ものすごく感動しました。特に幕切れ、涙が出るくらい感動したのを覚えています。
あの時は合唱の人数も多く、本当に迫力ある大合唱で、ドーン!! と圧倒されたものです。
それに比べるとちょっと物足りなさは感じましたが、十分満足いたしました。
個人的なマイナス点。
びわ湖ホールは、サイドの席も、斜めに舞台側に向いていて、新国立劇場のように見にくくない。以前書いたように、フェンスからもかすかにではあるけれどステージも見える。初日(2日)はサイドの席だったのですが、見やすかった。いいホールだなあ、と思ったのですが。
2日目(5日)は1階席後方の席でした。
1階席の客席は、日生劇場等のように座席がずれているわけではありません。きれいに揃って配置されているし、段差もそんなにはありません。つまり、前の席に座高の高い人が来たら悲劇です。
小柄な人が座りますように、と祈りましたが、開演直前、前の席に座ったのが、座高が高く、大きな頭の人。
「指定席に座る時はそういうこともある」と受け入れようと思いましたが、その人がよく動く。
前半は何度も寝落ちしていて、そのまま寝てて! と願ったものの細かく目覚めて動く。そして傾く。
位置的に、大事なところが見えない。私も後ろの人を気にしながらも、見えないので傾かずにいられませんでした。席運的には最悪でした。消しゴムマジックで消したかった・・・。
おまけにその人、終演するなりカーテンコールも観ずに帰りました。下に配布されたパンフ等を置いたまま。本当に腹立たしかったけれど、おかげでカーテンコールだけは邪魔がなく見えました。
気を遣いながら変な姿勢をしたせいか、おかげで翌日、体の変なところが筋肉痛になっていました。
長いオペラ鑑賞歴の中でも最悪の経験でした。
にも関わらず公演に対する印象、感想は変わることはありません。素晴らしかったです。
来年同じ時期に、阪芸術監督指揮の「ばらの騎士」が予定されていて、これも魅力的なキャストなのですが、二期会「タンホイザー」と日程がかぶっており、辛いところ・・・。
もちろん両方行こうと思えば行けますが、いつもこの時期、田舎に行く用事と絡めていて予定を立てていたので、来年どうしようか、と悩んでいます。
ですがいずれにしても、びわ湖ホールにはまた絶対行きます!
会場で売っていた対訳を購入。
対訳は持っているけど、お安かったので買いました。資料的写真も載っていて、かなりお買い得でした♪
改めて読むと、とにかくセリフ量が多い。歌手の皆さんも大変だったでしょう。
しかしこれだけのセリフを書いて音楽をつけたワーグナーって・・・。天才というか変態というか・・・。
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