新井律子建築設計事務所のブログ

住宅の設計を中心に仕事をしています

見かけより構造が大事 宝塚でのリフォーム工事

2011年04月07日 | 設計の仕事が好き

4月2日、宝塚のリフォームが完成しました。昨年、知人のTさんご夫妻からご相談がありました。
築約20年の住宅の改修のご相談です。

相談内容は、
1.三幅対の掛け軸を居間に掛けたいのでそのしつらえを考えて欲しい。
2.バルコニーの扉が内開きになっていて雨が入らない方法をいろいろ工夫してみたがうまくいかない。

 苦労のあとが伺えます。

3.バルコニーの下の雨漏り跡の点検。

さっそくお伺いして
1.居間の一部に床の間と畳スペース、その部分の天井を下げる。

2.既製のアルミ扉に取り替える。

3.その箇所の天井を取り外して点検の上、検討する。という提案しました。

しかし、素敵なパティオスペースでいろいろ打合せしていると三階まで吹き抜けた空間に構造上問題がないのかという疑問が・・・。

Tさんご夫妻に補強の必要性をお話しすると
奥様から「そう!私も不安に思っていました。」
ご主人から「地震が起きたら夫婦そろって死んだら良いと思っていました。」

そんな訳にはいかないと、見かけよりは構造補強とメンテナンスを優先することになりました。

2階梁を設置、火打ち材を角の4箇所設置しました。 

ご主人から「そう言えば、当初、角に金物が付いていたんですけど、不細工なので外してもらいました。」

そんな事をしてはだめです。火打ち材は地震の時などに建物の角がゆがまないようにする大切な部材です。特に隅柱では重要です。

そんな会話があり無事に取付が終わりました。火打ち材の一ヶ所を壁にクラックが出てきていた3階に取り付けました。

 

ご夫妻から「これで地震でも生き残れる可能性が出てきた。ありがとうざいました。」と感謝の言葉をいただきました。

東日本大地震の前に決めた事ですが、少しでも安全になって良かったと思います。