~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

(側弯症)治療を受けるチャンス

2008-03-18 01:10:03 | VEPTR COM JAPAN
病気の治療は、治す人(医師)と治される人(患者)という二項で成立しているわけでは
ありません。特に近代社会においては、そこに「国」による国民の健康に対する義務
と責任という役割が入ってきたことから、医療はある意味では国の管理行政下で運営
されているものです。医師が国家試験により資格を得るように、医薬品も国(行政)の
認可を得てはじめて患者さんに使用することが可能となります。そして医療機器...
皆さんに馴染みのある言葉としては、「脊椎インスツルメンテーション」「脊椎
インプラント」と呼ばれる体内に埋め込んで側彎カーブを矯正するチタン製金属でバイス
も、やはり国の認可を得ることで健康保険が適用されて、患者さんは最小の負担で
最新の医療を受けることができるようになります。

ところが、ここ日本の医療は、欧米からずいぶんと立ち後れた状況がずいぶん長い
期間続いています。新聞紙上等でもときおり話題になるのですが、ドラッグラグ、
デバイスラグと呼ばれるものがそれです。医学は日進月歩です。医薬品でも医療
機器でも、つねに新しい製品が開発され患者さんに提供されています。しかし日本
で使用されている医薬品や医療機器は欧米諸国と比較すると、二世代も三世代も
古いものが使用されているのが実態です。別の言い方をしますと、日本は世界の中
の中古市場とも呼ばれています。つねに古い在庫を処分する為の市場、という意味
がこの言い方には含まれています。ではなぜ、古い製品しか出回っていないのか?
なぜ新しい医薬品、最新の医療機器が日本には導入されないのか?

その大きな原因のひとつが、国の機関---独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(PMDA)という審査機関の存在です。全ての医薬品、医療機器はここで審査され、
承認されることで、健康保険を利用した治療に用いられることになります。この
システム自体が問題というのではないのですが、例えば1万数千点あると言われてい
る医療機器を審査する担当官がわずか数名しかいない、というのが現在のこの審査
機関の実態と言われています。いわば、書類が山積みされたままであったり、わず
か数名で年間何百件、何千件という案件を処理しなければならない、という実態は
、ただただ時間がたつばかりで、結果としては、新しいと言われる医薬品、医療機
器が日本で使用される頃には、欧米ではすでに二世代も三世代ももっと先をいって
るという状況が生まれている、というわけです。

このような状況を改善する目的で導入されたのが、「ニーズの高い医療機器の早期
導入」という厚生労働省による施策でした。その施策による検討会をへて導入せよ
と決定されたのが、VEPTRベプターです。

それが、先のPMDA(総合機構)での審査にまで入ったのですが、滞っているという
ことが、今回のVEPTRベプター嘆願運動の発端です。審査する側には審査する側の
都合や考えや事情があることは十分に理解できます。わずかな人数で多大な業務を
抱えては作業が遅々として進まないことも当然あると思います。しかし、いかな
理由があるにせよ、厚生労働省で早期導入を決定したものが、いつになったら認可
されるかの見通しもつかないというのは、何かがおかしいと言わざるえません。
その昔、バイアグラが巷で話題になったとき、厚生省はわずか半年でバイアグラに
認可を与えました。半年というのは、医薬品では考えられないような超短期間での
認可取得です。そこには当然、政治的判断が働いていたと考えるのが妥当です。

VEPTRベプターは、SEXを楽しむためのものではありません。死の影におびえる幼い
こどもの命を救うための医療機器であり、ゆえに米国では「人道的医療機器」と
いう範疇で認可を与えています。

下記はこのVEPTRベプターを待ち望んでいるお母さんのメールです。

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実は3月3日に初めて川上先生の診察を受けてきました。
VEPTR手術をするかどうか検討中です。うちの娘は9歳なので時間的に限界に
来ています。3日に厚生労働省で認可が降りるかどうか会議がなされていると先生
がおっしゃっていました。認可が下りればうちの娘も年内にできるかなと話してい
ました。もううちの娘は間に合わないかもしれませんが、これから受けられる予定
のお子様やこれから生まれてくるであろう同じ病気の赤ちゃんのためにも早く認可
が下りることを願っています。
.........................................................................

次にご紹介するのは、VEPTRの会を作られて嘆願運動の先頭に立たれている成松さん
からいただいたものです。

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手術を受けられるチャンス(機会)を・・・
娘のような、先天性側彎症で肋骨の融合があり、将来胸郭不全になるケースで生ま
れてくる子は、ごくまれで少数です。この子達を助けるためには、外科的手術で
(VEPTR手術:ベプター)治療する事ができます。
日本では対象となる子供が少なく、実証例も少ないのが現状です。日本でのVEPTR
手術は、名城病院の先生方とその周りのスタッフの方しか経験されていないかと思
います。
でも、毎年同じ症状をもった子供達は、生まれてきます。この子達に治療の機会を
与えてほしいのです。国に認めてもらえれば・・・保険適応となり、親御さんの負担も
楽になります。

この病気で悩まれている方が少数ですが、現にいるのです。子を持つ親の気持ち
は、皆さん同じなのではないでしょうか・・・
“子供の為に、最善の治療をさせてあげたいと・・・”
VEPTR手術法が認められれば、親御さんにも心の余裕・気持ちの余裕ができくるかと
思います。どうか少しでもこの嘆願運動に参加してもらえたらと思います。

この器具は先天性側彎症のなかでも、胸郭形成不全症候群という、肋骨癒合/肋骨欠
損等を併発したそくわん症の子供に適用するデバイスです。基本的に、先天性側彎
症のこども達は手術をしなければ治療することができません。小さいときに発症す
ること、脊柱がカーブするだけでなく、椎体、椎骨自体にも変形がある為に、それ
らの骨ひとつひとつをどのように手術するか、ということに先生がたは苦労されて
います。肺の成長は、だいたい6歳頃までに完了すると言われています。大人になる
為の肺の細胞数がその頃までに準備ができます。ところが、先天性側彎症の場合、
発症が早い時期におこり、肺のスペースがどんどんと狭められていってしまいま
す。当然、肺の細胞も増加することができず、そのままでは正常な肺にまでなるこ
とができずに、ちょっとした風邪からも肺炎を起こしたり、気管支炎を併発した
り、という状況に陥ってしまいます。そのような病気の状況になってしまうことを
胸郭形成不全症候群というのですがその状態を外科的手術により治療するのが、こ
のVEPTRというデバイスになります。

4歳になる娘は、昨年10月にこの手術を受けました。そして、今では食欲も増し、毎
日元気に生活しています。残念ながら、このVEPTRはまだ国内では未認可です。2年
ほど前から日本でも使用できるように、先生方や側彎症学会等々が厚生労働省に働
きかけているのですが未だに、認可の見通しがたっていません。

嘆願運動の試みを先生にお伝えしたところ・・・現在の状況についてのメールを頂きま
した。そのまま、載せていただきます。


成松さん
お力添え大変うれしく思います。
現在の状況はについてお知らせします。
今、医薬品医用材料評価機構においてVEPTRが認可にむけて検討されています。担当
官の話では前向きに認可にむけて進めており、いろいろとクリアーにしておかなけ
ればならないことが多くあるようで、その一つ一つを処理している最中とのことで
す。けっしてストップしてしまった、とのことではありませんが、認可には時間が
まだかかりそうです。
医師側の姿勢にも若干間隔のずれがあるので、まだまだ、時間がかかります。
VEPTRを取り扱うメーカーはS社ですが、この会社の担当の方達と私も密に相談して
いますので、もう少しお待ちください。このように治療研究をしないで認可するこ
とは日本では初めてなので時間が思ったよりも当局も慎重になっているようです。
との事でした。
 
行政に訴える力を持っているのは、ほかの誰でもありません。皆さん、患者さん方
であり、そしてお母さんがたです。
先天性側彎症は、命に直接かかわる病気です。手術をしてあげなければ、じわじわ
と成長が止められ、肺が成長できず、やがて死にいたることがあります。
そのような病気を治療する医療機器がどうして、日本では使用することができない
のでしょうか?

どうか、皆さんのお力を貸して下さい。
どうか、こういう病気があること、そしてその病気を治療する医療機器が欧米には
あるのに、日本では使用できないこと、この理不尽な出来事を、こういう話がある
ことを皆さんからも、メッセージとして流していただけませんでしょうか....

..........................................................................

私augsut03は、ここで行政批判を述べるのが目的ではありません。そうではなく
どうすれば、行政のメンツもたち、そして患者(幼いこども)の命を救えるか、
その現実的対応策として、皆さんの協力をお願いしたいのです。

行政を動かすのは、他の誰でもありません。皆さんの声なのです。患者さんが
どれだけ真剣に、どれだけ大きな声で訴えかけるかなのです。

VEPTRはひとつの象徴だと思います。側彎症という病気をその身に抱えた皆さん、
家族の中にこの病気を抱えた子どもがいる皆さんが、ご自分と向き合う鏡のような
役目でもあると思います。いま目の前で救えるこどもの命のために、ひとりひとり
が何ができるかの象徴であり、「側彎症」を行政や政治に伝えることで、同じよう
に苦しむこどもの発生を少しでも減らせることに繋がるかもしれないのです。
もっと早く見つけてあげられていれば、と悔やまれたお母さんもいると思います。
早期発見ができるようにする為にも、この病気を広く社会に啓蒙する必要があります。

どうか、皆さんの10分を成松さんに与えてあげて下さい。この医療機器で助ける
ことができる幼いこどもたちの為に分けていただけませんか....
よろしくお願いいたします


参加は、次の3つの方法があります。


舛添厚生労働大臣に直接手紙(ハガキ)を書いていただける方は、下記が宛先と
なります。
     〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
     厚生労働省 舛添要一厚生労働大臣 殿

....................................................................

電子メールを利用したい、という場合は、
側わん症 :VEPTRの会 を立ち上げられた も~たん さん宛にお送り下さい
も~たんさんが、皆さんの電子メールを印刷して、ひとつにまとめて舛添大臣宛に
郵送していただけます。様式は、嘆願運動用紙をご利用いただいても結構です。

    宛先 :  momotan0901@ybb.ne.jp

.....................................................................

皆さんが署名運動の先頭に立っていただける場合は、
VEPTRの会のブログから、嘆願書署名用紙をダウンロードすることができます

 http://blog.goo.ne.jp/dpkgs302/e/62d1a4fd993800607b6824f96f22db9f

 こちらをブリントアウトして、署名後に、指定の宛先に郵送していただけますと
 まとめて舛添大臣宛に提出していただけることになっています。

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ブログ内の関連記事
「VEPTRベプター嘆願運動にご協力を御願いします」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/493ed325cd7e6b17fc7d6a404a93c5c6

「VEPTRベプター 補足説明」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/fc05e219da0f122f0401c3b9ec064988

「側わん症の治療の為に、皆さんのお力を貸してください No.3」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/5b2bb8245ee06bb69933c681d8222b51

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