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引き続き学会調査報告書からの引用です。
添付表は整形外科経験年数と手術合併症との間に相関関係があるかどうか、という
切り口でのデータです。
これをご覧になって皆さんは瞬間的に何をイメージされるでしょうか ?
私見を述べさせていただく前に、合併症種類として示されている内容を見てみましょう。
◆神経合併症
脊椎の手術はまさに脊髄、神経に取り囲まれた部位における外科治療ですから、
術中の操作 (病変部を切除したり、変性を矯正するために行うアブダクション
リダクション等)による神経ダメージの発生
術後、筋力の低下やしびれ、痛みの悪化などが生じた場合をしします。
ただし、車いすをもちいなければならないような重篤なケース非常にまれです。
◆硬膜損傷/髄液漏
神経を包んでいる膜を硬膜といいますが、この硬膜の中は髄液と呼ばれる水が
入っており、神経はその中で浮いている状態になっています。手術の際、この
膜が破れることがあり、水が流出することがあります。その場合は、手術時に
縫合し止めますが、術後も傷から出てくるような場合、細菌などによる髄膜炎
を生じるおそれもあることから、再度、損傷した箇所を治療する必要がある場合
もあります。ただし、そのような再手術も非常にまれなことといえます。
◆手術部感染
いわゆる細菌感染により、発熱、腫れなどの症状がしょうじることをいいます
人間の体はいわばバイ菌だらけのようなものであり、手術中の感染を防止する
ために、部位の消毒、抗生剤投与、手術室の清潔、手術器具の清潔などがおこな
われています。
ここに述べるのは私august03の私見であり、この表から読み取れるかもしれない
事柄を皆さんに解説を試みようとしているだけであり、医学的・科学的に私が正しい
と主張もできませんし、また主張する意図もありませんことを初めにご理解ください
1.感染について
手術部感染が生じた場合、その原因を特定することは容易ではありません。
原因があるから結果がある。ゆえに原因が特定できるはず。と考えるのが
いわば一般的常識の範疇かもしれません。
その根底には、自分(患者)は被害者であって加害者ではない。という考え方が
あると思います。
では本当に患者さんに原因がなかったと言えるかどうか ?
たとえば、同じ医師より、同じ病気に対する、同じ手術方法で、同じ手術室で
同じ抗生剤を使用していても、感染する人と感染しない人とが生じます。
抗生剤も万能ではありません。薬が効かなかった場合、その原因はどこにあると
いえるでしょう。
この表をご覧ください。
手術部感染の発生率は、ほぼどの経験年数の先生でもかわりありません。
0.6%と1.2%では倍の差があると思われるかもしれませんが、この調査は
アンケート調査を集計しただけであって、本格的な計画書のもとでの臨床研究
データではありませんので、この差には何の意味もありません。
術後感染について一般的に述べられている発生率は 0.5%-1.0%という数値です
ので、アンケート調査とはいえ、その傾向を表すには十分なデータと言えます
つまり、手術部感染には経験年数の差はない。という回答を見出せると思います
2.硬膜損傷
経験年数1-6年の医師に硬膜損傷3.1%が突出しているのは、手術経験差を示して
いる。ということは言えるかと思います。
ただ、ここには、この年齢層の先生がたを育てるために、最初のアプローチを
経験させているためではないかと私には想像されます。
硬膜損傷自体は、仮に生じた場合もすぐに手当することができ、術後にまでそれ
が尾を引くことはまれといえます。
外科手術が「技術の伝承」「経験により上達」していく。という範疇のもので
あることも理解する必要があると思います
3.神経合併症
これも大きな差はないように私には見えます。7-9年の先生が2.5%と、他よりも
若干多いように見えますが、これもアンケート調査ゆえの誤差範囲と読めますし
逆にいえば、1-6年の医師が1.1%ともっとも数値が小さいのは、神経にダメージ
を与えうるようなリスクの高い手術には直接術者としては関与していない為
という見方ができるかと思いました。
例えば、15年以上の医師の場合も、合併症発生率は1.7%です。
これをどう解釈すれぱよいでしょうか。
私は次のように解釈します。
経験が増えば増えるほど「難しい手術」を担当することになります。
その難しい手術であっても、ベテラン医師であれば1.7%~1.8%程度の数値である
といえますし、ベテラン医師であっても1.7%~1.8%程度の合併症は発生しうる
という見方もできます。
これは、コップに残ってる水をもう半分と感じるか、まだ半分もあると感じか
その人の持っている感覚の差といえるでしょう。
この合併症シリーズのひとつのテーマであるところの「医療は不確実」なもの
ということを示す数値がここにも表れている。ということが言えるかと思います
.....もし患者さんの心構えという領域の学問があるとしたならば、
私が抱いている心構えは、
安易な気持ちで手術を受けないこと。しかし、この先生にならば託せると思える
医師とであえたならば、後は、その先生に全てを委ねる。ということにつきるかと
思います。
添付表は整形外科経験年数と手術合併症との間に相関関係があるかどうか、という
切り口でのデータです。
これをご覧になって皆さんは瞬間的に何をイメージされるでしょうか ?
私見を述べさせていただく前に、合併症種類として示されている内容を見てみましょう。
◆神経合併症
脊椎の手術はまさに脊髄、神経に取り囲まれた部位における外科治療ですから、
術中の操作 (病変部を切除したり、変性を矯正するために行うアブダクション
リダクション等)による神経ダメージの発生
術後、筋力の低下やしびれ、痛みの悪化などが生じた場合をしします。
ただし、車いすをもちいなければならないような重篤なケース非常にまれです。
◆硬膜損傷/髄液漏
神経を包んでいる膜を硬膜といいますが、この硬膜の中は髄液と呼ばれる水が
入っており、神経はその中で浮いている状態になっています。手術の際、この
膜が破れることがあり、水が流出することがあります。その場合は、手術時に
縫合し止めますが、術後も傷から出てくるような場合、細菌などによる髄膜炎
を生じるおそれもあることから、再度、損傷した箇所を治療する必要がある場合
もあります。ただし、そのような再手術も非常にまれなことといえます。
◆手術部感染
いわゆる細菌感染により、発熱、腫れなどの症状がしょうじることをいいます
人間の体はいわばバイ菌だらけのようなものであり、手術中の感染を防止する
ために、部位の消毒、抗生剤投与、手術室の清潔、手術器具の清潔などがおこな
われています。
ここに述べるのは私august03の私見であり、この表から読み取れるかもしれない
事柄を皆さんに解説を試みようとしているだけであり、医学的・科学的に私が正しい
と主張もできませんし、また主張する意図もありませんことを初めにご理解ください
1.感染について
手術部感染が生じた場合、その原因を特定することは容易ではありません。
原因があるから結果がある。ゆえに原因が特定できるはず。と考えるのが
いわば一般的常識の範疇かもしれません。
その根底には、自分(患者)は被害者であって加害者ではない。という考え方が
あると思います。
では本当に患者さんに原因がなかったと言えるかどうか ?
たとえば、同じ医師より、同じ病気に対する、同じ手術方法で、同じ手術室で
同じ抗生剤を使用していても、感染する人と感染しない人とが生じます。
抗生剤も万能ではありません。薬が効かなかった場合、その原因はどこにあると
いえるでしょう。
この表をご覧ください。
手術部感染の発生率は、ほぼどの経験年数の先生でもかわりありません。
0.6%と1.2%では倍の差があると思われるかもしれませんが、この調査は
アンケート調査を集計しただけであって、本格的な計画書のもとでの臨床研究
データではありませんので、この差には何の意味もありません。
術後感染について一般的に述べられている発生率は 0.5%-1.0%という数値です
ので、アンケート調査とはいえ、その傾向を表すには十分なデータと言えます
つまり、手術部感染には経験年数の差はない。という回答を見出せると思います
2.硬膜損傷
経験年数1-6年の医師に硬膜損傷3.1%が突出しているのは、手術経験差を示して
いる。ということは言えるかと思います。
ただ、ここには、この年齢層の先生がたを育てるために、最初のアプローチを
経験させているためではないかと私には想像されます。
硬膜損傷自体は、仮に生じた場合もすぐに手当することができ、術後にまでそれ
が尾を引くことはまれといえます。
外科手術が「技術の伝承」「経験により上達」していく。という範疇のもので
あることも理解する必要があると思います
3.神経合併症
これも大きな差はないように私には見えます。7-9年の先生が2.5%と、他よりも
若干多いように見えますが、これもアンケート調査ゆえの誤差範囲と読めますし
逆にいえば、1-6年の医師が1.1%ともっとも数値が小さいのは、神経にダメージ
を与えうるようなリスクの高い手術には直接術者としては関与していない為
という見方ができるかと思いました。
例えば、15年以上の医師の場合も、合併症発生率は1.7%です。
これをどう解釈すれぱよいでしょうか。
私は次のように解釈します。
経験が増えば増えるほど「難しい手術」を担当することになります。
その難しい手術であっても、ベテラン医師であれば1.7%~1.8%程度の数値である
といえますし、ベテラン医師であっても1.7%~1.8%程度の合併症は発生しうる
という見方もできます。
これは、コップに残ってる水をもう半分と感じるか、まだ半分もあると感じか
その人の持っている感覚の差といえるでしょう。
この合併症シリーズのひとつのテーマであるところの「医療は不確実」なもの
ということを示す数値がここにも表れている。ということが言えるかと思います
.....もし患者さんの心構えという領域の学問があるとしたならば、
私が抱いている心構えは、
安易な気持ちで手術を受けないこと。しかし、この先生にならば託せると思える
医師とであえたならば、後は、その先生に全てを委ねる。ということにつきるかと
思います。