手術を受けずに病気の治療が済むのなら、それが治療におけるベストです。(ただし、クスリの場合も副作用や合併症もありえることは念頭においたうえでのことです)
当ブログを通読していただけるとお分かりになると思いますが、私は側弯症治療に対して「手術」がベストであり、「手術すること」を目的としてこのブログを書いてはおりません。
側弯症手術に関わらず、「手術」全般の話として、手術には様々なリスクが伴います。ただそのリスクを恐れるあまり、手術をすることで得られたメリツト・アドバンテージをみすみす逃してしまう。ということの「残念さ」についても書いてきました。「残念さ」というあいまいな言葉をあえて用いたのは、するかしないかは患者さんの専任事項であって、その結果に対処できるのも患者さん自身であって、第三者の私が、する・しないの良し悪しを判断することはできない、と考えたことによります。
ここでは「手術」を受けると決めた方へのアドバイスとして、幾つかのポイントをお話ししたいと思います。
ふたつの医療安全に関する記事が9月の読売新聞に掲載されておりました。
【麻酔の危険性 認識不足 : 2歳児死亡医療訴訟判決、対応遅れ繰り返される悲劇、事故公表再発防止に寄与】
【論点 患者安全 関係者の対話から】
これらの詳細をご紹介するのではなく、私の視点は「事故は起こってからでは遅い」ゆえに「トラブルのない手術を受けるために事前に患者さん自身が検討できることは何か」、というポイントを提案してみたい。ということです。
ベースは側弯症手術ですが、ここで記載する内容は他のいかなる手術でも利用できるチェックポイントだと考えます。
また、この内容をよりご理解していただくうえで、下記の記事も同時にお読みいただけますと、医療現場でのこと、医者の立場のことなども重層的に皆さんの目に見えてくるものと思います。
「合併症と医療事故の境界」「手術のリスクを書くと整体が喜ぶ 」「安全な脊椎手術を求めて」「安全な脊椎手術を求めて No.2 」
また、患者さんに求められている考え方をあらためて学ぶ上で、がん治療の先端で活躍されているドクターの書かれた「一流患者と三流患者」上野直人著 朝日新書 はぜひともお読みいただきたい一冊として推薦いたします。
1. 専門医師のいる(思春期特発性)側弯症治療で“有名な”医療機関で診てもらうこと
この場合の注意点は、脊椎手術という一括りで病院の評判を判断するのではなく、あくまでも「思春期特発性側弯症」の手術で有名な病院に行く、ということです。 脊椎固定手術にも、頚椎手術や脊柱管狭窄症に対する腰椎手術とか、特発性側弯症とは似て非なる分野が存在します。主に大人(高齢者)の脊柱管狭窄症に対する脊椎固定術を診てもらうのであれば、その分野で有名な医師を調べることが適切です。でも、この医師が思春期特発性側弯症を得意としているとは限りません。
2. 地元に大学病院はあるが、思春期特発性側弯症に対する手術を年間30例以上実施してはいない。どうすればいいか?
私であれば次のように考えます。
・まず何よりも、こどもの病気の状態を確認することが先決なので、その大学病院を受診します。
(その前に、しっかりとこの病気について事前学習をしたうえでのことになりますが)
・診断結果を踏まえての先生の治療方針を伺います。その治療方針が、皆さんが事前に学習した内容と異なるようなことがあったり、その先生のことを「信頼できない」と感じたならば、セカンドオピニオンを取りたい希望を伝え、その先生から別の医師/医療機関の紹介状をいただきます。 この場合、しかるべき紹介状作成料金がかかりますが、お金よりも納得のく治療を受けるという本筋が大切だと考えます。
3. 治療方針には納得できたが、万が一、手術が必要となったとき、ここで受けたほうがいいのか、それとも別の専門医のいる病院で手術を受けたほうがいいのか、迷っている場合は?
・これはとても重要なポイントなので、治療方針を聞く最初の時点で、その医師とよく話し合います。
例えば、
◇先生は、主治医として思春期特発性側弯症手術を何例されてきましたか?
(助手としての手術数ではなく、あくまでも主治医としてメスをとった数です。 例えば、助手として 100例の手術を手伝ったとしても、主治医としては 10例の経験しかなければ、その医師は修行中の位置づけになると思います)
ただ、このような場合も、これまでに主治医として100例以上の経験がある医師が「助手」として入ることになっているのであれば、現場での安全性は格段に増すことになりますので、そのような点も確認します。
◇脊椎神経モニターは利用されていますか ? 術中は誰がそのモニターをチェックされているのですか?
この質問に対する回答として想定されるのは、
「当院では術中脊椎モニタリング機器を必ず使用します」「術中の確認は、臨床工学技士(臨床検査技師)が行っています」というもの。 ここでさらに質問を続けます。
その臨床工学士(検査技師)さんは、学会などが主催している神経モニタリング講習会やセミナーに参加されているのでしょうか? 、という点も追加として必要です。 それに対して、平成〇〇年のxxxxxxx神経モニタリング講習会に参加しています。というような内容が即答されるならば、こちらの医療機関は神経モニタリング安全確保の体制はとれていると考えてよいと思います。
市販の術中神経モニタリング機器の種類によっては、手術をしている医師自身がモニタリング状態を確認することができる機器もありますので、そのような回答をえる場合もあると思います。そのような場合は、続けて次の点を確認します。
「その医療機器を販売しているメーカーの営業マンが、私の(こどもの)手術に立ち会うのでしょうか? 」
「いいえ、立ち会うことはありません」と即答を得た場合、その医師はモニタリング機器の取扱いにも慣れていると判断してよいと思います。もし、メーカーの者に立ち会いをしてもらう、というのがその医療機関のつねであるとしたら、その医療機関は神経モニタリング機器は所有しているけれど、使用方法には精通していない。という意味合いとなります。
類似の質問として
◇脊椎ナビゲーション機器は使用されていますか? どなたが操作されていますか? というものがあります。
脊椎ナビゲーションとは、上記の神経モニタリング機器とは別に、脊椎固定術に用いる「椎体スクリュー pedicle screw」を椎体に挿入する際の、方向を確認する為の医療機器です。これがなぜ重要であるかについては、ブログ内のカテゴリー「脊椎手術術中モニタリング」に記載していますので、ご参照ください。
このような手術に用いる医療機器の有無、誰が操作するのかを確認することで、その医療機関の手術体制というものを知ることができます。 極論を言えば、医療機器メーカーに頼った手術をしている病院は「減点対象」と考えていいと思います。これはその医師の責任というよりも、その医療機関の体制の問題です。 医師が新しい医療機器に精通するのは、勉強時間の確保などでかなり難しいわけですが、それをカバーするのが、臨床工学技士や臨床検査技師さん方ということになります。病院によっては、手術室(オペ)ナースさんに講習会やセミナーを受講して勉強してもらっているところもあります。 要は、手術をどういう体制で実施している病院なのか、ということがこのような質問から見えてきます。 これは、そのような医療機器自体がどういうものかを理解できない皆さんであっても、先生との質疑応答で、「見えてくる」ものがある。という点であることを忘れないでいただきたいと思います。
さらに続けて
◇脊椎固定術には、どこのメーカーのどの脊椎固定システムを使われるのでしょうか? 先生はその固定システムでこれまでに何例の手術をされておられますか?
というものがあります。 これはダイレクトに、その医師の手術(方法)に対する考え方と技術に結びつく質問です。
当然ですが、そのシステムで30例以下の経験しかまだない場合は、技術的に習熟途中と考えてよいでしょう。その事実を踏まえたうえで、でもこの医師は信頼がおけるから、この医師によるそのシステムでの手術で良い。と判断できるかどうかが、皆さんの「目」ということになります。
国内では、脊椎固定手術に用いられる「脊椎固定システム」というインスツルメンツを販売している医療機器メーカーが数十社あります。 現時点で現役として使用されているシステム自体は、100前後は存在します。その中から、どうして「そのシステム」を選択して、手術に用いているのか? その理由を聞くことで、皆さんはさらにその医師に手術を託すかどうかの判断材料になるはずです。
この質問では、追加として、上記と同じく「その医療機器メーカーの営業マンは立ち会うのでしょうか?」を確認して下さい。
もし立ち会うとしたら、なぜ立ち会うのか? 多くの真の理由は、その医師がまだその脊椎システムの使用方法を習熟できていないことが背景にあります。 この部分は、オペナースも、臨床工学技士さんがたもカバーできない、あくまでもその医師の責任範疇の内容です。
例えば、そのメーカーが主催する勉強会や海外研修に参加して学んできた、という回答を聞くこともあると思います。仮にそうであったとしても、やはり、いまだに30例以下の実経験しかなかったとしたら、私であれば、「実験材料ですか?」と半分冗談で胡麻化しながら、その医師の真意を確認します。
そもそも海外研修と言えば聞こえは良いですが、その実態はどのようなものかは、確認するすべもありません。時差でボーッとする頭の状態で、慣れない英語での研修を受けたとしても、それがどれだけの意味を持つでしょう。 もしかすると、前日には、現地で、メーカーからの「接待」を受けていたかもしれません。
おそらく、これらを質問されるだけでも、皆さんの中で、ここで手術を受けるかどうかの「判断材料」が格段に増えていると思います。
それらを踏まえた上で、次の質問をしてみましょう。
4. 装具療法等は、子どもが通院する便宜もありますので、先生のところで診ていただきたいのですが、もし手術となった場合は、手術経験の多い病院で受けさせてもらえるでしょうか? その場合、どちらの先生をご紹介していただけますでしょうか?
どういう回答を得られるかわかりませんが、ここで得られた回答に納得できたとしたら、それが皆さんとお子さんにとってはベストな治療先になると思います。 確かに自分にはまだ手術経験が少ないので、その場合には、〇〇病院の〇〇先生に紹介状を書きます、と正直に言ってくれる医師は、信頼がおけるのではないでしょうか。 もしかしたら、嫌な顔をされたり、......たぶんないと思いますが......最初からそっちの病院に行ってくれ、と言われる医師もいるかもしれません。 医師も人の子ですから、その性格は十人十色です。でも、思春期特発性側弯症は5年も10年も、その医師と関わっていく病気ですから、その医師と皆さんとの「相性」というのは治療のうえでもとても大切なものです。 礼儀正しく、でも聞くべきことはしっかりと聞いて、自分たちの希望もしっかりと伝えて、治療方針を決めることが必要です。
.....蛇足的な話ですが、先生に「整体に通っています」とか「通ってもいいですか」というような質問は意味がないとお考え下さい。 顔には出さないでしょうが、そのような場合、先生の頭に去来するのは「またか」「所詮その程度の親か」というような感情でしょう。 上記の事柄はすべて医療をめぐっての話し合いですが、話がもし整体のことになったなら、それは医療からは離れたことになり、先生からすれば、どうでもいい事柄で、意見を言うのもバカバカしいものです。 先生と良好な関係を築きながら、お子さんの治療を進めるためにも、皆さんがまずは正しい見識を持つこと。それが重要であることを ここに強調させていただきます。
august03
当ブログを通読していただけるとお分かりになると思いますが、私は側弯症治療に対して「手術」がベストであり、「手術すること」を目的としてこのブログを書いてはおりません。
側弯症手術に関わらず、「手術」全般の話として、手術には様々なリスクが伴います。ただそのリスクを恐れるあまり、手術をすることで得られたメリツト・アドバンテージをみすみす逃してしまう。ということの「残念さ」についても書いてきました。「残念さ」というあいまいな言葉をあえて用いたのは、するかしないかは患者さんの専任事項であって、その結果に対処できるのも患者さん自身であって、第三者の私が、する・しないの良し悪しを判断することはできない、と考えたことによります。
ここでは「手術」を受けると決めた方へのアドバイスとして、幾つかのポイントをお話ししたいと思います。
ふたつの医療安全に関する記事が9月の読売新聞に掲載されておりました。
【麻酔の危険性 認識不足 : 2歳児死亡医療訴訟判決、対応遅れ繰り返される悲劇、事故公表再発防止に寄与】
【論点 患者安全 関係者の対話から】
これらの詳細をご紹介するのではなく、私の視点は「事故は起こってからでは遅い」ゆえに「トラブルのない手術を受けるために事前に患者さん自身が検討できることは何か」、というポイントを提案してみたい。ということです。
ベースは側弯症手術ですが、ここで記載する内容は他のいかなる手術でも利用できるチェックポイントだと考えます。
また、この内容をよりご理解していただくうえで、下記の記事も同時にお読みいただけますと、医療現場でのこと、医者の立場のことなども重層的に皆さんの目に見えてくるものと思います。
「合併症と医療事故の境界」「手術のリスクを書くと整体が喜ぶ 」「安全な脊椎手術を求めて」「安全な脊椎手術を求めて No.2 」
また、患者さんに求められている考え方をあらためて学ぶ上で、がん治療の先端で活躍されているドクターの書かれた「一流患者と三流患者」上野直人著 朝日新書 はぜひともお読みいただきたい一冊として推薦いたします。
1. 専門医師のいる(思春期特発性)側弯症治療で“有名な”医療機関で診てもらうこと
この場合の注意点は、脊椎手術という一括りで病院の評判を判断するのではなく、あくまでも「思春期特発性側弯症」の手術で有名な病院に行く、ということです。 脊椎固定手術にも、頚椎手術や脊柱管狭窄症に対する腰椎手術とか、特発性側弯症とは似て非なる分野が存在します。主に大人(高齢者)の脊柱管狭窄症に対する脊椎固定術を診てもらうのであれば、その分野で有名な医師を調べることが適切です。でも、この医師が思春期特発性側弯症を得意としているとは限りません。
2. 地元に大学病院はあるが、思春期特発性側弯症に対する手術を年間30例以上実施してはいない。どうすればいいか?
私であれば次のように考えます。
・まず何よりも、こどもの病気の状態を確認することが先決なので、その大学病院を受診します。
(その前に、しっかりとこの病気について事前学習をしたうえでのことになりますが)
・診断結果を踏まえての先生の治療方針を伺います。その治療方針が、皆さんが事前に学習した内容と異なるようなことがあったり、その先生のことを「信頼できない」と感じたならば、セカンドオピニオンを取りたい希望を伝え、その先生から別の医師/医療機関の紹介状をいただきます。 この場合、しかるべき紹介状作成料金がかかりますが、お金よりも納得のく治療を受けるという本筋が大切だと考えます。
3. 治療方針には納得できたが、万が一、手術が必要となったとき、ここで受けたほうがいいのか、それとも別の専門医のいる病院で手術を受けたほうがいいのか、迷っている場合は?
・これはとても重要なポイントなので、治療方針を聞く最初の時点で、その医師とよく話し合います。
例えば、
◇先生は、主治医として思春期特発性側弯症手術を何例されてきましたか?
(助手としての手術数ではなく、あくまでも主治医としてメスをとった数です。 例えば、助手として 100例の手術を手伝ったとしても、主治医としては 10例の経験しかなければ、その医師は修行中の位置づけになると思います)
ただ、このような場合も、これまでに主治医として100例以上の経験がある医師が「助手」として入ることになっているのであれば、現場での安全性は格段に増すことになりますので、そのような点も確認します。
◇脊椎神経モニターは利用されていますか ? 術中は誰がそのモニターをチェックされているのですか?
この質問に対する回答として想定されるのは、
「当院では術中脊椎モニタリング機器を必ず使用します」「術中の確認は、臨床工学技士(臨床検査技師)が行っています」というもの。 ここでさらに質問を続けます。
その臨床工学士(検査技師)さんは、学会などが主催している神経モニタリング講習会やセミナーに参加されているのでしょうか? 、という点も追加として必要です。 それに対して、平成〇〇年のxxxxxxx神経モニタリング講習会に参加しています。というような内容が即答されるならば、こちらの医療機関は神経モニタリング安全確保の体制はとれていると考えてよいと思います。
市販の術中神経モニタリング機器の種類によっては、手術をしている医師自身がモニタリング状態を確認することができる機器もありますので、そのような回答をえる場合もあると思います。そのような場合は、続けて次の点を確認します。
「その医療機器を販売しているメーカーの営業マンが、私の(こどもの)手術に立ち会うのでしょうか? 」
「いいえ、立ち会うことはありません」と即答を得た場合、その医師はモニタリング機器の取扱いにも慣れていると判断してよいと思います。もし、メーカーの者に立ち会いをしてもらう、というのがその医療機関のつねであるとしたら、その医療機関は神経モニタリング機器は所有しているけれど、使用方法には精通していない。という意味合いとなります。
類似の質問として
◇脊椎ナビゲーション機器は使用されていますか? どなたが操作されていますか? というものがあります。
脊椎ナビゲーションとは、上記の神経モニタリング機器とは別に、脊椎固定術に用いる「椎体スクリュー pedicle screw」を椎体に挿入する際の、方向を確認する為の医療機器です。これがなぜ重要であるかについては、ブログ内のカテゴリー「脊椎手術術中モニタリング」に記載していますので、ご参照ください。
このような手術に用いる医療機器の有無、誰が操作するのかを確認することで、その医療機関の手術体制というものを知ることができます。 極論を言えば、医療機器メーカーに頼った手術をしている病院は「減点対象」と考えていいと思います。これはその医師の責任というよりも、その医療機関の体制の問題です。 医師が新しい医療機器に精通するのは、勉強時間の確保などでかなり難しいわけですが、それをカバーするのが、臨床工学技士や臨床検査技師さん方ということになります。病院によっては、手術室(オペ)ナースさんに講習会やセミナーを受講して勉強してもらっているところもあります。 要は、手術をどういう体制で実施している病院なのか、ということがこのような質問から見えてきます。 これは、そのような医療機器自体がどういうものかを理解できない皆さんであっても、先生との質疑応答で、「見えてくる」ものがある。という点であることを忘れないでいただきたいと思います。
さらに続けて
◇脊椎固定術には、どこのメーカーのどの脊椎固定システムを使われるのでしょうか? 先生はその固定システムでこれまでに何例の手術をされておられますか?
というものがあります。 これはダイレクトに、その医師の手術(方法)に対する考え方と技術に結びつく質問です。
当然ですが、そのシステムで30例以下の経験しかまだない場合は、技術的に習熟途中と考えてよいでしょう。その事実を踏まえたうえで、でもこの医師は信頼がおけるから、この医師によるそのシステムでの手術で良い。と判断できるかどうかが、皆さんの「目」ということになります。
国内では、脊椎固定手術に用いられる「脊椎固定システム」というインスツルメンツを販売している医療機器メーカーが数十社あります。 現時点で現役として使用されているシステム自体は、100前後は存在します。その中から、どうして「そのシステム」を選択して、手術に用いているのか? その理由を聞くことで、皆さんはさらにその医師に手術を託すかどうかの判断材料になるはずです。
この質問では、追加として、上記と同じく「その医療機器メーカーの営業マンは立ち会うのでしょうか?」を確認して下さい。
もし立ち会うとしたら、なぜ立ち会うのか? 多くの真の理由は、その医師がまだその脊椎システムの使用方法を習熟できていないことが背景にあります。 この部分は、オペナースも、臨床工学技士さんがたもカバーできない、あくまでもその医師の責任範疇の内容です。
例えば、そのメーカーが主催する勉強会や海外研修に参加して学んできた、という回答を聞くこともあると思います。仮にそうであったとしても、やはり、いまだに30例以下の実経験しかなかったとしたら、私であれば、「実験材料ですか?」と半分冗談で胡麻化しながら、その医師の真意を確認します。
そもそも海外研修と言えば聞こえは良いですが、その実態はどのようなものかは、確認するすべもありません。時差でボーッとする頭の状態で、慣れない英語での研修を受けたとしても、それがどれだけの意味を持つでしょう。 もしかすると、前日には、現地で、メーカーからの「接待」を受けていたかもしれません。
おそらく、これらを質問されるだけでも、皆さんの中で、ここで手術を受けるかどうかの「判断材料」が格段に増えていると思います。
それらを踏まえた上で、次の質問をしてみましょう。
4. 装具療法等は、子どもが通院する便宜もありますので、先生のところで診ていただきたいのですが、もし手術となった場合は、手術経験の多い病院で受けさせてもらえるでしょうか? その場合、どちらの先生をご紹介していただけますでしょうか?
どういう回答を得られるかわかりませんが、ここで得られた回答に納得できたとしたら、それが皆さんとお子さんにとってはベストな治療先になると思います。 確かに自分にはまだ手術経験が少ないので、その場合には、〇〇病院の〇〇先生に紹介状を書きます、と正直に言ってくれる医師は、信頼がおけるのではないでしょうか。 もしかしたら、嫌な顔をされたり、......たぶんないと思いますが......最初からそっちの病院に行ってくれ、と言われる医師もいるかもしれません。 医師も人の子ですから、その性格は十人十色です。でも、思春期特発性側弯症は5年も10年も、その医師と関わっていく病気ですから、その医師と皆さんとの「相性」というのは治療のうえでもとても大切なものです。 礼儀正しく、でも聞くべきことはしっかりと聞いて、自分たちの希望もしっかりと伝えて、治療方針を決めることが必要です。
.....蛇足的な話ですが、先生に「整体に通っています」とか「通ってもいいですか」というような質問は意味がないとお考え下さい。 顔には出さないでしょうが、そのような場合、先生の頭に去来するのは「またか」「所詮その程度の親か」というような感情でしょう。 上記の事柄はすべて医療をめぐっての話し合いですが、話がもし整体のことになったなら、それは医療からは離れたことになり、先生からすれば、どうでもいい事柄で、意見を言うのもバカバカしいものです。 先生と良好な関係を築きながら、お子さんの治療を進めるためにも、皆さんがまずは正しい見識を持つこと。それが重要であることを ここに強調させていただきます。
august03