【ロンドン矢野純一】英国で24日、最大野党・労働党の党首選の結果が発表された。現職で党内最左派のジェレミー・コービン氏(67)が61.8%の得票率で、中道派で影の内閣の元雇用・年金相、オーエン・スミス下院議員(46)を破り、再選を果たした。

 労働党は欧州連合(EU)からの英国の離脱を決めた国民投票で残留を支持した。だが、EUのあり方を疑問視していたコービン氏は積極的に残留運動を行わず、党内からの批判が集中。6月下旬の党下院議員(当時229人)の不信任投票の結果、賛成172対反対40で不信任が決まったことを受け、約64万人の党員投票による党首選が行われた。

 再選を決めたコービン氏は中部リバプールで勝利宣言した。国民投票を巡り党内が分裂したことを念頭に「我々には、分断を生じさせることよりも共通点の方が多い」と党内融和を訴えた。

 EUからの離脱を巡って、コービン氏は「国民の意思を尊重する」として、離脱には反対していない。一方、スミス氏は再度の国民投票や総選挙の実施を主張しており、今後も党内の路線対立が続く可能性はある。

 コービン氏は若者を中心に人気が高く、主要労働組合も支持。スミス氏は「コービン氏では総選挙で与党・保守党に勝利できない」と反発する中道派議員の多くの支持を集めた。地元メディアは「党分裂の危機に直面する」と指摘していた。