シリア騒乱と修羅の世界情勢

第三次世界大戦を阻止するブログです。

中国敵視は日本を孤立させる

2019年07月23日 | シリア

世界図

  中国敵視は日本を孤立させる 1/24 田中宇

 1月24日、国連が、尖閣諸島が中国外縁の大陸棚の一部であるとする中国の主張について、今年7-8月に検討会合を開くことを決めた。
 国連は海洋法条約で、陸地に引き続く傾斜が穏やかな海底を大陸棚と呼び、陸地が属する国の領海(陸地から12海里)の外にあるが、漁業や資源開発などその国の経済利権が認められる排他的排他水域にできるとしている。
 中国は国連に、尖閣諸島が中国の大陸棚の一部と認めさせることで、地理的な観点からみて尖閣諸島が中国の領土であるべきだという話にしようとしている。 (U.N. to consider validity of China's claim over disputed islands)

 かりに今夏、国連が尖閣諸島を中国の大陸棚の一部だと認めたとしても、それで国連が尖閣を中国領と認めたことにはならない。
 だが、尖閣が地理的な本来性として中国の一部だと国際的に認められると、中国の「尖閣諸島は本来中国の領土なのに、日本は、中国が弱体化していた日清戦争中に、どさくさ紛れに尖閣を自国領だと閣議で勝手に決定し、それ以来不法占領している」という主張が補強される。 (尖閣で中国と対立するのは愚策)

「尖閣は本来、中国領であるべきなのに、日本が帝国主義時代に奪ったまま占領している」という中国側の見方が国際的に定着しかねない。
 日本側の見方は「中国は1980年代に海底ガス田が見つかるまで、尖閣の領土権をほとんど主張していなかったくせに、今になってとんでもない詭弁を発している」というものだが、その見方は国際的に少数派に転じていきかねない。(※北風:欧米の外交では発言介入しないが、既に少数派と思われる。)
 「尖閣は、今でこそ無人島だが、以前は日本人が住んでいた」という日本側の主張も、中国側からすると「日本は、中国から奪った島に入植を試みていただけだ」となってしまう。 (中国は日本と戦争する気かも)

 ここ数年、国連ではBRICSや発展途上諸国の発言力が増加し、米英から主導権を奪いつつある。
 安保理常任理事国でもある中国は以前から、国連で途上諸国の利益を代弁する国を自認している。
 911以来、米国の覇権戦略が自滅的に失敗しているのに反比例して、中国が国連で発言力を増している。
 中国は、尖閣に関する中国の大陸棚の主張を検討する国連の委員会に大きな圧力をかけるはずだ。 (国連を乗っ取る反米諸国)

 米国は911以来、単独覇権の姿勢で、国連を軽視して隠微な政治工作を怠り、力任せに動かそうとする姿勢で、その結果、国連を中国など途上諸国に乗っ取られた。日本は米国に頼りにくくなっている。
 尖閣問題が、日中対立の激化によって安保理に出てくるような大問題に発展したら、米国は日本に味方して、中国主導の案に拒否権を発動してくれるだろう。
 だが、パレスチナ問題のイスラエル非難決議を米国が拒否権発動で潰し続ける姿に象徴されるように、米国の拒否権発動で守ってもらう国は邪悪だと見られるようになっている。 (悪者にされるイスラエル)

 日本人は、尖閣を奪おうとする中国こそ侵略国だと思うが、世界はそのように見ず、むしろ尖閣は「日本が帝国主義的に奪った領土」と見られそうだ。
 日本は、中国の巧妙な外交策によって、孤立させられる方向にある。
 日本が突っ張っていると、南京大虐殺や従軍慰安婦など「戦争犯罪」問題と連動させられ、国際的に悪者にされる傾向が強まる。
 日本はこれまで経済力があったのでアジア諸国から尊重されたが、日本の経済力が落ちて中国の経済力が増す今後は、その点も変わりそうだ。 (◆日中韓協調策に乗れない日本)

 日中は話し合おうとする姿勢を見せるが、それはたぶん日中双方の政府の本心でない。
 中国は習近平政権になって「いつでも戦争できる態勢」をめざし、軍の幹部を大幅に入れ替えている。 (Inside China: War hysteria blamed on U.S.)

 日本では安倍政権が、伝統的に親中国である連立与党の公明党の要人を中国に派遣し、習近平は安倍と会ってもよいと言ったという。
 だが日本側では、安倍の特使が訪中するのと同時期に、安倍の外交顧問役である米国筋と親しい外務省の元高官が香港で中国人を集めたシンポジウムで中国批判の講演を発し、日中の敵対を扇動した。
 日中とも、和解姿勢は表向きだけだ。 (Abe's adviser blasts China in barbed Hong Kong speech) (China's Xi Agrees to Consider Summit, Japan Envoy Says)

 力任せの外交が目立っても、米国が本気で中国包囲網策を続けてくれるなら、まだ日本にとって安心だ。
 だが、米オバマ政権がいつまで中国包囲網策を続けるのか、口だけで実体が薄くなるのでないか、懸念が増している。
 中道派(国際協調派)のジョン・ケリーが米国無長官になり、同じ傾向のチャック・ヘーゲルが国防長官になりそうだが、2人は、米国が効率的に世界の諸問題を解決できるよう、途上諸国を率いる大国となった中国の協力を得るのが良いと考えている。 (The Asian Pivot Under New Management) (◆2期目のオバマは中国に接近しそう)

 米国は、外交軍事面で中国と敵対的だが、経済面では密接につながっている。
 米国企業にとって中国は巨大な生産拠点・投資先であり、米国が中国を経済制裁すると米国も大打撃を受けるので、制裁できない。
 米国の中国包囲網は持続困難な、中途半端な戦略だ。 (America's Pivot: One Big Contradiction)

 米政府は、尖閣を日米安保条約の範囲内だと言っているが、その根拠は尖閣が日本の実効支配下にあるからであり、尖閣が中国側に奪われた状態が続くと、尖閣は中国の実効支配下に移り、日米安保から外れてしまう。
 安倍首相は就任してすぐ訪米したかったが、米国側から延期を要請された。
 その理由は、日中の対立が激化し、安倍の訪米を許すと、オバマが日本の肩を持った感じが強くなり、米国が中立を保てなくなるからだと米国で報じられた。 (As Dispute Over Islands Escalates, Japan and China Send Fighter Jets to the Scene)

 日本政府は、尖閣の土地を国有化して中国との対立をあえて煽ったが、その本意は、日中対立を米国の中国包囲網策の一環として機能させ、日米同盟が中国と敵対する態勢を作ることで、日本の対米従属を強化することだ。
 実際のところ米国は、経済面で中国とつながっており、本格的に中国と敵対し続けられない。
 米国の中国包囲網はあやふやな戦略なのに、日本はそれに頼って中国との敵対を強め、国際的に孤立しそうになっている。
 経済的にも、米国が中国との密接な関係を維持しているのに、日本だけ経済界が中国に投資できない敵対関係を作ってしまい、自滅的に国民生活の窮乏を加速している。 (USA considers scenario of war with China)

 米国の単独覇権戦略の失敗と反比例して、中国の国際影響力が拡大している。
 先日は、トルコのエルドアン首相が「EUが入れてくれないなら、トルコは上海協力機構に入れてもらう」とテレビ番組で発言し、物議を醸している。
 上海機構は中国が主導し、ロシア、中央アジア諸国などが加盟する、ユーラシア西部の安全保障や経済協力の国際機関だ。
 上海機構には、インドとパキスタン、アフガニスタン、イランなどが正式加盟の手前のオブザーバーで参加し、トルコはそれらの国々の外側にいる友人的な「戦略パートナー」になっている。 (Erdogan's Shanghai Organization Remarks Lead To Confusion, Concern)

 エルドアンは昨年7月ロシアのプーチン大統領と会った時に「上海機構に入れてくれたらEUのことは忘れる」と語ったが、トルコ政府は事後に、あれは冗談だったと釈明した。
 EUがトルコを加盟させるとは思えないので、トルコが上海機構に入る話は、今後さらに真剣味を増し、いずれ実現しそうだ。 (Erdogan: Shanghai Cooperation Organisation an alternative to EU)

 トルコは、米英主導のNATOに加盟している。
 NATOは反ロシア的な国際安保組織で、911後のアフガニスタン駐留によってユーラシア西部への影響力行使をめざした。
 米英主導のNATOと、中露主導の上海機構は、ユーラシア西部の覇権を争う関係にある。
 トルコが上海機構に入ることは、NATOを捨てることになり、トルコが米英(米EU)の側から中露(アジア)の側に鞍替えするという、地政学的な転換を表している。

 実際のところ、トルコが上海機構に入ることは、NATOを捨てることにならない。
 NATOは来年のアフガン撤退後、実質的な影響力を大幅が減少するだろう。最悪の場合、NATOの組織は残るが、事実上の解散状態になる。
 EUはユーロ危機対策の口実で政治統合を進め、その一環として軍事統合を加速している。
 EUの軍事統合が具現化すると、米国が西欧を守るのが基本構造だったNATOは不必要、もしくはEUの自主的な外交安保策にとって邪魔になる。
 EUは、NATOがアフガン撤退後に機能低下することや、財政難の米国が欧州を含む世界から軍事撤退していくことを視野に入れて軍事統合を進めている感じだ。 (ユーロ危機からEU統合強化へ)

 EUにとってNATOが不必要・邪魔になるのなら、NATOの機能低下は不可避であり、トルコが加盟し続ける意味もなくなる。
 NATOが有名無実化するなら、トルコは別の安保策を考えねばならない。
 トルコはもともと中央アジアから民族大移動してきた伝説的歴史(歴史的伝説)があり、中央アジアに地政学的な関心がある。
 NATOが無力化するなら、上海機構に早めに入った方が良いと、トルコ政府が考えるのは当然だ。 (China could prove ultimate winner in Afghanistan)

 上海機構は、もともと中国が中央アジアを経済支援しつつ、中央アジアのイスラム主義運動が中国の新疆ウイグル地区に波及するのを防ぐことを、ロシアの了解をとりつつ進めるための組織だった。
 だがその後、911でNATOがアフガンに侵略し、その占領が失敗に向かうとともに、上海機構は、NATO撤退後のアフガンを中露主導で国際共同管理することが目的の一つになっている。
 NATOのアフガン撤退後、インド、パキスタン、イランというアフガンに関心を持つ諸国が上海機構に正式加盟を許されるだろう。
 そこにトルコも入る可能性が増している。インドが上海機構に入ったら、中国包囲網から事実上離脱することになる。 (India and the SCO: Can they tango?)

 西アジアの全体で、米英の影響力が低下し、中露主導の上海機構の力が増すだろう。
 イランは中露との結束を強めて国家存続の可能性が増す。
 米オバマ政権は、イスラエル右派の妨害を振り切ってイランと和解したいようだが、その裏には、イランを制裁しても効果が薄れるばかりか、中露の利権を拡大して米国の不利が増すだけの現状がある。
 シリアもアサド政権が存続しそうで、これまた中露の傘下にある。
 米国やサウジが支援した反政府派(アルカイダ)はシリアの政権を取れそうもない。
 キッシンジャーは、シリア安定化のためロシアと協調せよと米政府に提案している。 (US needs to work with Russia to end Syria fighting - Kissinger)

 オバマ顧問の米シンクタンクは最近、オバマの任期の4年間に、サウジアラビアの王政が、反政府運動の激化による国内混乱の末に転覆される可能性が高いとする報告書を出した。
 サウジ王政は昨年から、スンニ派の王政がシーア派の多数派国民を弾圧するバーレーンの混乱が飛び火して、表向き安泰に見えて実は危機の状態になっている。 (Brookings' Bruce Riedel urges intensified US support for Saudi despots)

 世界最大の産油国であるサウジが混乱すると、石油価格の高騰など世界経済を混乱させるだけでなく、中東における米国の影響力が低下し、イランやエジプト系の反米イスラム主義が強くなり、これまた地政学的な大転換になる。
 中東北部のトルコやイランの転換、南部(アフリカ)のマリやリビアでのイスラム主義の台頭(内戦激化)と合わせて考えると興味深い。 (◆きたるべき「新世界秩序」と日本)

 話が広域化しすぎたが、ユーラシア全域で、米国の影響力が低下し、中国の影響力が増しているのが見てとれる。
 EUも、ドイツが米国から金塊を引き出す決定をしてドルを揺さぶる半面、中国との戦略関係を強化しており、中露などBRICSと途上諸国が台頭する多極型の新時代への軟着陸をめざしている感じだ。
 米英覇権の中枢にいた英国ですら、儲けを失いたくないロンドン金融界が中国に働きかけ、オフショア市場最大の人民元取引市場をめざしている。 (ドイツの金塊引き揚げがドル崩壊を誘発する?) (Bank of England ready to set up first G7 yuan swap)

 東南アジアでは、中国の台頭と米国の撤退によって自国周辺の政治バランスが変わることを恐れているフィリピンやベトナム、インドネシアなどが、日本の中国敵視策を歓迎し、日本が中国に対抗して東アジアの新たな政治均衡を作ってほしいと考えている。
 しかしその裏で、今後米国が財政破綻などによって東アジアでの軍事的影響を減じたとしても、日本が中国包囲網を維持するつもりなのか、各国とも懸念があるはずだ。
 東南アジアの後ろのオーストラリアでは、日本の中国包囲網提案に乗るべきでないとする提案が学者から出されている。 (Right now, we don't need an alliance with Japan)

 すでに書いたように、最近の日本の中国敵視策は、対米従属維持策の一環であり、米国を軍事面で日本や東アジアに引き留めておくことが主目的だ。
 米国が軍事的に東アジアから撤退する場合、その後も日本が果敢に中国敵視を続けるかどうか、非常に怪しい。
 米国が出て行った場合に中国との関係をどうするかというシナリオ自体、日本政府は検討していないかもしれない。
 日本が、米国が軍事撤退するかもしれないという前提で対中国政策を考えるなら、そもそも尖閣紛争で中国と敵対するやり方をとらず、中国を批判しつつ協調するような、もっと微妙な策をとったはずだ。
 中国と敵対するなら、ロシアや韓国、北朝鮮に協調を働きかけることも必要だが、現実は逆方向だ。 (中国と対立するなら露朝韓と組め)

 米国が撤退し、日本が事実上の対中無条件降伏をするような、みっともない結果にならないだろうか。
 かつて、欧米からの自立をうたった「大東亜共栄圏」に期待して参加したのに、日本の豹変的な敗戦で裏切られた経験を持つ東南アジアの人々は、それを懸念しているはずだ。
 最近の日本の、脇が甘い中国敵視策を見ていると、日本がいずれ窮して再びみっともない豹変をしそうだと感じられる。
 日本人自身の間に豹変の懸念が全くないことも、おのれを知る努力をしない戦略的脆弱さを感じる。 (◆一線を越えて危うくなる日本)
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トランプのイラン敵視の効果    田中宇

2019年07月23日 | シリア

トランプのイラン敵視の効果    田中宇

  • 2018.05.30 Wednesday
  • 00:09

 

 

▼ トランプがイランを敵視するほど世界が多極化する


イラン協定離脱後、トランプの米国は、イラン敵視をどんどん強めている。


欧州など国際社会に「米国にはついていけない」と思わせるためだ。
 

 

新たな経済制裁は、欧州企業をも制裁対象としうる。
 

 

EUは、米とイランの対立が激化したら、イランの側に立つことを決めている(国際法上、イランが正しく、米国が違法だから)。


シリアには、米国とイランの両方の軍勢が駐留している。

米国はシリア政府の許可も取らず、撤退要求を無視して駐留する「国際法違反」だ。


イランは、シリア政府から頼まれて軍事顧問団を派遣しており「合法」だ。


真の目的は、イランを標的にしているように見せて、実のところ、米国以外の国際社会(欧州、露中など)を標的にしている。
 

 


喧嘩を売られた国際社会は以前、イラク侵攻のころまで「ご無理ごもっとも」と米国の言いなりになる傾向が強かったが、昨今の米国の衰退加速とトランプの覇権放棄の加速を受け、対米自立を傾向を強めている


ボルトンやポンペオは、それを加速する役回りだ。実際にイランが政権転覆されることはない。


米国の協定離脱は、国際社会がイランを許す方向の動きにつながっている。

そもそもイラン敵視は濡れ衣だったのだから、これは正しい方向だ。


03年に子ブッシュの米国が単独覇権主義を宣言してイラクに侵攻した当時、日本の外交官ら「専門家」たちは「イラク侵攻が濡れ衣に基づく国際法違反であるとしても、もはや大したことでない。

これからの世界で、何が正しいかは、単独覇権国を宣言した、絶対の力を持った米国が決める


米国を非難する国際法や国連など、もはや何の力もない(米国に従属している日本も安泰だ)」と、したり顔で言っていた

 



その後、オバマ時代の米国は、国際法を守る風を装う姿勢に戻ったが、トランプになって再び国際法無視を繰り返し、今回は、国際法の側から反撃され、覇権低下に拍車をかける事態となっている。


もはや「専門家」たちは、この事態をわかりやすく解説することすらできなくなっている。



http://tanakanews.com/180523iran.htm

 

 

 


中露の大国化、世界の多極化(2)
2007年6月12日   田中 宇


この記事は「中国の大国化、世界の多極化」の続きです。(関連記事)

 前回の記事で、中国が外貨を急速に貯め込み、中国政府はこの財力を使って国際的な影響力(覇権)を拡大していることを書いたが、外貨を貯め込み、その金で覇権拡大をめざしている国は、中国だけではない。ロシア、サウジアラビア、ベネズエラなどの産油国は、いずれも石油価格の高騰によって外貨を貯め込み、それを自国の国際影響力の拡大や、外国から自国への影響力を排除するために使っている。これらの国々は、いずれもアメリカ(米英)からの影響力行使や圧力、敵視を受けている。その代表例は、ロシアである。

 ロシアは冷戦後、1990年代のエリツィン政権時代に親米英の新興財閥(オリガルヒもしくはオリガーキー)によって経済を無茶苦茶にされ、国家財政は欧米からの借金漬けにされた。00年からのプーチン政権時代には、グルジア、ウクライナ、ベラルーシ、中央アジア諸国など、ロシアが影響圏だと思っている近隣諸国で、アメリカから反政府団体への非公式援助によって相次いで政権転覆の画策が行われた。英米は、ロシア本国でも反政府の人権政治家を支援し、政権転覆を画策した。(関連記事その1、その2)

 これに対してプーチンは、2002年以降の石油価格の高騰を利用して巻き返した。欧米からの借金の返済、オリガルヒに私物化された石油ガス産業の再国有化などを行った上、グルジアやウクライナなど周辺諸国に対し、石油ガスの供給を使って支配力を再獲得することに努めた。このような動きは、プーチンが独裁欲の強い人だったから行われたのではなく、90年代に欧米にやられた分を取り戻すための作業である。(関連記事)

 アメリカは、ベネズエラでも2002年に野党を非公式に支援してチャベス大統領を倒させるクーデターを画策し、失敗している。チャベスはその後の石油高騰の中で、自分を倒そうとするアメリカへの対抗措置として、米欧の石油会社がベネズエラ国内に持っていた油田の権利を剥奪し、国営石油会社に集中させる措置を進めるとともに、石油が出ない中南米の他の国々に対して超格安で石油を援助し、中南米諸国の反米化を扇動している。(関連記事)

 サウジアラビアは、以前から現在まで親米国ではあるが、911事件で「犯人」として濡れ衣を着せられ(15人のサウジ人「犯人」のうち6人は人違いだったが、いまだに米当局は犯人リストを差し替えていない)、その後もサウジは米政界で目の敵にされている。これに対してサウジ政府は表向き親米を保ちつつも、アメリカが敵視するイランやロシアとの外交関係を強化し、外交の多方向化を進めている。(関連記事)

▼日独と中露の違い

 1970-80年代に高度経済成長を達成して豊かになり、外貨を貯め込んだ日本とドイツは、アメリカから敵視されたり露骨な政治圧力を加えられておらず、対米関係がおおむね良好である。そのため、日独は外貨を貯めて経済的な国際影響力が大きくなっても、アメリカに対抗する覇権国になろうとしなかった。覇権という面倒な仕事をアメリカに任せていられる状態だった。

 日独とは対照的に、中国、ロシア、サウジアラビア、ベネズエラといった、最近外貨を貯め込んでいる国々は、いずれもアメリカから政権転覆されそうな圧力を受けており、そのために経済的な力を政治的な覇権に結びつけ、アメリカに対抗せざるを得ない。この状況を作った原因は「テロ戦争」「単独覇権主義」を声高に叫び続けたアメリカの側にある。

 中国とロシアは、従来は仲が良くなかったが、アメリカに対抗するため、中露と中央アジア諸国とのゆるやかな集団安保体制である「上海協力機構」を強化している。中露は、上海協力機構にイランやインド、パキスタンなども加えることによって、ユーラシア大陸の中央部からアメリカの影響力を排除しようとする動きを共同で行っている。ロシアや中国は、1カ国ずつでは、まだ力が弱く、アメリカに対抗できないので、サウジやベネズエラなどとも連携を強め、集団でアメリカの覇権に対抗している。

 私は、こうした動きを「非米同盟」と名付け、3年前に出した本(文春新書)のタイトルにした。非米同盟諸国は、明確な同盟体を結成せず、国連などの既存の国際社会の枠内で、結束して発言することによって、事実上の同盟体として機能している。プーチンが画策している隠然とした「国際ガスカルテル」と同じ手法である。(関連記事)

 ブッシュ政権が単独覇権主義を標榜し、アフガニスタンやイラクに侵攻し、イランや北朝鮮などを攻撃しそうな姿勢を示したことが、本来は結束していなかったロシアや中国、中近東、中南米諸国を結束させ、非米同盟を作ってしまった。私は、この動きはアメリカによる失策ではなく、アメリカの中枢に多極主義者がいるためだと思っている。

 そして今、非米同盟諸国は、経済成長や原油高騰によって資金を蓄え、その金を使ってさらに欧米から覇権を奪うべく、石油やガスの利権を国有化している。以前の記事「反米諸国に移る石油利権」で紹介した「新しいセブン・シスターズ」の動きである。(関連記事)

▼G7が進めた通貨多極化の失敗

 アメリカはすでに巨大な双子の赤字を抱えて経済難に向かいつつあり、軍事的にもイラクで疲弊している。西欧諸国も、ロシアや中国の台頭に敵対するつもりはない。世界は、このまま非米同盟の側の覇権が強くなり、欧米と中国、ロシアなどが並び立つ状態に移行するのではないかとも思えるが、現実はそれほど簡単ではない。世界の基軸通貨がアメリカのドルである状態のままなので、非米同盟諸国が貯め込んでいる資金の多くはドル建てだ。アメリカの経済力が衰退してドルが急落したら、非米同盟側の資産も大きく目減りしてしまう。

 昨年の前半、G7やIMFといったアメリカを中心とする先進国の側は、世界経済の不均衡、つまりアメリカが大赤字で非米同盟側が大黒字である状態を解消するために、世界経済を多極化する戦略を打ち出した。それは、日中を中心とする東アジア諸国や、サウジを中心とするペルシャ湾岸の産油国が、地域の多国間の共通通貨を新設し、その地域でのドルに代わる通貨にするとともに、国内消費を増やすことで、減退しそうなアメリカの消費力を肩代わりする戦略だった。(関連記事その1、その2)

 この時すでに、東アジアにはASEAN+3によるアジア通貨バスケットの構想があった。ペルシャ湾岸諸国(GCC)も、2010年の通貨統合を目指し、動いていた。GCC6カ国の多くは、通貨が米ドルにペグ(釘付け)されている固定相場制なので、ドルペグしたまま通貨統合し、その後でドルペグを外す予定だった。しかしその後、東アジアでもペルシャ湾岸でも、共通通貨作りは進展しなかった。(関連記事その1、その2)

 東アジアでは、中心となる中国と日本の仲がなかなか良くならなかった。昨夏に首相が小泉から安倍に変わり、アメリカの圧力を受けて安倍は就任早々に中国を訪問し、小泉時代に日中関係を悪化させた首相の靖国神社参拝はとりあえず行われなくなった。だが、日中関係はゆっくとしか改善しておらず、共通通貨を作る状況にはない。

 しかも中国政府は、アメリカの政府や議会から圧力をかけられても、頑固に人民元のドルペグ体制をやめていない。製造業を振興させたい中国は、ドルがユーロなど他の通貨に対して下がっている方が、自国の輸出品のユーロ建てなどの価格が下がるので、むしろペグを外さない方が好都合だと考えている。今後、ドルが急落したり、米市場の消費力が不可逆的に減退したら、中国はドルペグをやめるだろうが、米のドル急落や消費減退が「起きる可能性がある」という未然の状態の現状においては、中国は、ドルペグを続行する姿勢を見せている。

▼大宴会の舞台の下で腐る柱

 共通通貨作りは、中東のペルシャ湾岸地域でも頓挫している。中東では、米軍によるイラク占領の状況が悪化し続け、地域の全体で反米のイスラム主義運動が盛んになっている。親米政権ばかりであるGCC諸国は、国内の人心を掌握するための財政支出などを行わねばならず、通貨を共通化するにあたって必要な金融・財政政策の各国間の協調ができない。

 そうこうするうちに、ドルの為替が他の諸通貨、特にユーロに対して下がり続けた。ペルシャ湾岸諸国は、通貨はドルにペグしているものの、国内で消費される商品の多くが欧州のユーロ圏からの輸入に頼っており、ドル安ユーロ高は、輸入品の値上がりを引き起こした。その結果、インフレがひどくなり、国民の不満が強まっている。これに耐えられず、共通通貨作りのために2003年からドルペグ制に変更していたクウェートは5月下旬、ドルペグをやめて、以前の、ドルとユーロなどとの通貨バスケットに対する連動制に戻した。(関連記事)

 クウェートのドルペグ離脱は、まさにドルが通貨としての力を失いつつあることの表れなのだが、この離脱によって逆に、GCC諸国の全部がドルペグ制を維持する中で通貨を統合していくという作業ができなくなり、GCCの通貨統合は破綻した。以前から通貨統合に消極的だったアラブ首長国連邦なども、ドルペグをやめるのではないかとの推測も出ている。(関連記事その1、その2)

 このように、IMFやG8が意図した、東アジアとペルシャ湾岸における地域共通通貨作りは頓挫している。その一方で、アメリカの財政赤字と貿易赤字が増える傾向が続いており、ドルの潜在的な危機の状況は悪化している。

 東アジアとペルシャ湾岸で共通通貨が作られれば、今後もしドルが急落しても、世界経済に対する影響は少なくてすみ、世界はドルの一極体制から、多極的な通貨体制にソフトランディングできる。しかし現実には、東アジアとペルシャ湾岸の共通通貨が作れていないため、ドルが急落した場合の悪影響は大きいままで、世界経済はハードランディング(クラッシュ)する懸念が消えていない。

 今のところ、アメリカの株価は上昇傾向を続けている。これは、外貨備蓄を急増させている中国や、ペルシャ湾岸諸国、ロシアなどの産油国が貯めた巨額の石油代金が、投資としてアメリカの金融市場に流入しているからである。中国や産油国からの資金の流入圧力が非常に強いので、市場では、米経済が潜在的に悪い状況を深めていることは無視されている。中国と産油国の巨額の資金は、アメリカだけでなく欧州、日本、上海、ドバイなどの金融市場にも流入し、世界的な相場の上昇が起きている。

 世界の金融相場は上がっているものの、その基盤となっている体制は依然としてドルの一極基軸体制であり、ドルを支えているアメリカの経済的、政治的な力は潜在的にかなり弱まっている。今の世界金融は、舞台の上では派手な催し物が繰り広げられて繁盛しているように見えるが、舞台を支えているドルという名の柱が腐ってぐらついている状態だ。IMFやG7といった舞台の管理者たちは、舞台を支える新たな柱を湾岸産油国や日中に作らせようとしたが、失敗した。

▼プーチンの非米WTO

 そんな中、最近ロシアのプーチン大統領が「親欧米」の立場からではなく「反欧米」の立場から、舞台の柱を補強しようとする言動を始めている。プーチンは6月10日、サンクトペテルブルグで開かれた経済フォーラムで講演し、経済の分野において、従来の欧米中心の世界体制を崩すことを提唱した。(関連記事)

「先進国の経済力は、相対的にかなり落ちているのに、WTOや世銀、IMFといった国際経済機関は、いまだに欧米が支配している。WTOやIMFは、すでに時代遅れで不当な機関になっている」「今後、欧米中心ではない(ロシア、中国、インドなどの)ユーラシア版WTO(自由貿易圏)を作る必要がある」「世界の基軸通貨体制を、ドルの一極体制から、複数の基軸通貨による(多極的な)体制に転換すべきだ。ロシアのルーブルは、基軸通貨の一つになるだろう」「(今はニューヨークとロンドンにしかない)世界的な金融センターも、新たにいくつか(ユーラシアに)新設すべきだ」などと、プーチンは提案した。(関連記事)

 ロシアは7年前からWTOに加盟申請しているが、受け入れられていない。プーチンは、自国をWTOに加盟させない欧米に文句を言う意味で、欧米との交渉の道具としてユーラシア版WTOを提案しただけで、本気ではないのかもしれない。日本人の多くは「ロシアや中国に、そんなものが作れるはずがない」と考えるかもしれない。

 しかし、上に書いたように、プーチンはエネルギーの分野では、世界の非米諸国を結束させて新たなカルテルを作ることを着々と進めている。以前の記事に書いたように、プーチン主導のエネルギーカルテルは、非公式に強化されており、欧米や日本の人々が気づかぬうちに、世界のエネルギー支配力を欧米から奪い始めている。プーチンのユーラシア版WTOの構想は、貿易一般の分野で、これと同じことをやろうとしているのかもしれない。プーチンの世界戦略はこっそり進められるので、欧米の支配権を守りたい人々にとっては非常に危険である。

▼大崩壊後、多極化して安定しそうな世界経済

 すでに政治や軍事の分野では、ロシアと中国、中央アジア、南アジア、イランを束ねる「上海協力機構」が強化されている。上海協力機構の枠組みが経済の分野に拡大されれば、ユーラシア版WTOとして機能しうる。欧米諸国の消費力は低下し、代わりに中国やインド、中近東諸国の消費力が上がっている。製造業の面では中国が台頭しているし、エネルギーは中東とロシアにある。ユーラシア諸国は、欧米を無視した経済運営が可能になっている。中南米諸国や、南アフリカなども入り、ユーラシア版のWTOは、非米同盟WTOになりうる。プーチンの世界的な構想が実現した場合、困るのは欧米の方である。

 日本も、ロシアや中国と仲良くせざるを得なくなる。アメリカとFTA交渉し、同時に中露との関係も良い韓国は、親米と非米の両方の立場を持っているので、日本より優位に立っている。

 今後、ドル急落が起きて世界経済がいったん潰れた場合、それは欧米日だけでなく、中国やロシアの経済にも大打撃となるだろう。だが、世界経済の中での成長センターが中国やインドなどのユーラシアであることは、おそらく今後も変わりないので、大崩壊後の世界経済は、今よりさらに欧米日の衰退と、中国やロシアなどの非米同盟側の台頭が強まることになる。

 中東では、アメリカの覇権衰退によってイスラエルが消滅もしくは無力化されるだろうから、中東はアラブ・イランの側が勝利した状態で安定する。中東イスラム諸国は石油があるので、金持ちになり、いずれ世界経済の成長センターの一つになるだろう。すでに金融センターとしてのドバイの発展はめざましい。米英イスラエル中心体制の崩壊と世界の多極化は、長期的には、世界に経済発展と安定をもたらす。その意味で、多極化は「資本家の戦略」であると感じられる。


中露に米国覇権を引き倒させるトランプ

2019年07月23日 | シリア

中露に米国覇権を引き倒させるトランプ

2019年6月24日   田中 宇


6月5日、中国の習近平主席がモスクワを訪問してプーチン大統領と首脳会談し、中東から北朝鮮までの安保問題、一帯一路など広域の経済開発事案など、ユーラシア広域における中露共同の覇権運営のやり方を決めた。トランプの米国が、米中貿易戦争など世界の貿易体制の破壊や、ドルの基軸性を悪用した経済制裁の乱発、イランやパレスチナ、サウジアラビアによる人道犯罪などの中東の諸問題での偏向的・好戦的な態度、北朝鮮問題解決の頓挫、露中イランへの濡れ衣に基づく敵視など、覇権国として不適格な行為を各所で続けているため、中露が結束して米国覇権を抑止し、中露がユーラシアの覇権運営を手がける傾向を強めることにした。手始めにイランやパレスチナなどの中東問題を中露共同で手がけていく。これは、冷戦後の世界的な米国の単独覇権体制を解体して多極型の覇権に転換しようとする、初めての明示的な戦略の発表であり、画期的だ。6月5日の中露首脳会談は、地政学的な転換点として記憶されるべきだろう。 (Declassified: The Sino-Russian Masterplan To End U.S. Dominance In Middle East) (米国の覇権を抑止し始める中露

中露は、03年の米イラク侵攻の後ぐらいから、ユーラシアの覇権運営を米国に任せず中露が手がける方向性を打ち出し、13年からの中国の習近平政権はユーラシア覇権計画である一帯一路を進めてきた。しかし17年のトランプの登場まで中露は、自分たちが米国より弱いうえ、覇権をとるとコストもかかるため、米国の覇権を抑止してユーラシアの覇権を中露がとる「覇権奪取」の姿勢をとらなかった。だがトランプは就任後、覇権の放棄策や自滅策をとり続け、中露がユーラシアにおいて米国の覇権を奪取するハードルが大幅に下がった。米国の無茶苦茶を傍観して迷惑を被るより、米国から覇権を奪ってしまった方が手っ取り早くなった。覇権放棄屋のトランプは、中露のために、米国覇権を引き倒しやすい状況を作ってやった。 (多極化の目的は世界の安定化と経済成長

今年に入り、それまでの「中国が米国に輸出し、その儲けで米国債を買い支える」という米国の経済覇権体制に中国が従う米中の共存共栄体制が、トランプの対中貿易戦争によって破壊され、中国は米国の覇権に付き合うことをあきらめた。中露間にはそれまで、米国覇権の打倒に積極的なロシアと、消極的な中国との齟齬があったが、今年に入って中国も米国覇権の打倒に積極的になった。4月の米中貿易交渉の破談の後、5月13日の中露の外相会談で中露共同のユーラシア覇権運営のやり方を内定し、6月5日の中露首脳会談で正式決定した。 (America Must Prepare for the Coming Chinese Empire) (米中百年新冷戦の深意

トランプと中露は、トランプが棄てた覇権を中露が拾うという「連携関係」にある。6月5日の中露首脳会談後、連携が最も進んでいるのがイラン問題だ。トランプの米国は、6月13日のオマーン湾での日本系などのタンカーの爆破事件をイランが犯人だと無根拠に決めつけた後、6月20日に米海軍の無人偵察機を意図的にイランの領空に入れる飛ばし方をやり(イラン領空に入るときにトランスポンダを切っており、意図的な侵入だった)、イランが正当防衛策として米偵察機を撃墜すると、米国側は報復としてイランのミサイル基地などを空爆することを準備したが、実行予定の10分前にトランプが空爆を取りやめる決定を下した。 ("Bomb, Bomb, Bomb... Bomb, Bomb" Iran) (Iran Says US Drone Entered Iranian Airspace, Turned Off ID Transponder

この一件は、国際社会における米国の信用失墜を加速することになる。欧州など、従来は親米・反露の側にいた米同盟諸国が「トランプの米国は信用できないので、ロシアや中国と協力して今回のイラン危機の真相究明(誰がタンカーを爆破したかなど)を行い、米国が悪い場合は、米国に毅然とした態度をとる必要がある」と考えるようになり、欧州と中露が共同で米国を批判するようになっていく。トランプは、意図的にこの流れを作っていると考えられるので、トランプと中露が連携して米国の覇権失墜と多極化を引き起こしていることになる。 (Trump Says He’s ‘In No Hurry’ to Confront Iran) (China Warns: US About To Open "Pandora's Box" In Middle East

イランへの報復攻撃をとりやめたトランプは、おそらく今後もうイランを軍事的に攻撃すると言わなくなる。米国が今にもイランを軍事攻撃しそうな状態なら、中露やEUは傍観するしかないが、米国がイランを攻撃しそうでなくなると、ロシアが主導し中国やEUも協力し、米国抜きでイラン問題を解決していこうとする多極化の傾向が増す。 (Trump says will be Iran's 'best friend,’ thanks for not downing US plane) (Mike Pompeo, Top US Official Set Condition That Will Trigger Military Action Against Iran

中露は6月5日の首脳会談で、米国がドルの基軸性を利用してイランなどに対し、不条理な経済制裁をしていることを問題にした。世界の貿易決済の大半がドル建てで、ドルの国際決済は米国のNY連銀に通知されるので、米当局は決済を不許可にすることで経済制裁できる。イランは、核兵器開発をしておらず核協定(JCPOA)を守っているのに米国から石油ガス輸出のドル決済を禁じられ、制裁されている。中露は米国の不正行為を指摘し、イランがドル建てでない形で石油ガスを輸出できるようにする対抗措置の実施を決めた。これも、中露が米国の覇権を抑止し始めた一例だ。 (‘We were cocked & loaded’: Trump’s account of Iran attack plan facing scrutiny) (Schumer: Trump must get congressional approval before any military action against Iran

イランとのドル建てでない石油ガス取引については、トランプが核協定を離脱してイランを制裁し始めた後、EUがこのトランプの動きを不当とみなし、ユーロ建て(?)でイランと貿易できる特別な機構(SPV。INSTEX)を作った。だがトランプが「EUがSPVを稼働させるなら、米国はイランだけでなくEUの対米ドル決済も禁止する制裁をやるぞ」と脅したのでEUはSPVを延期・棚上げしている。ロシア政府は6月21日、EUがSPVを棚上げし続けるなら、ロシアがSPVに替わる非ドル的な決済機構を作り、それでイランと世界が取引できるようにするつもりだと発表した。ロシアは、すでに米国からドル決済を禁じられる制裁を受けており、イランを擁護しても追加の国家的な損失がない。ロシア政府は、産油国であるロシアがイランの石油輸出を代行する(ロシアが代行輸出したのと同量の石油をイランがロシアに輸出する)構想も発表している。 (Russia Will Help Iran With Oil, Banking If Europe's SPV Payment Channel Not Launched) (Iran, Europe and Trump

EUのSPVはユーロ建てのようだが(米国に制裁されたくないのでシステムが今ひとつ不明確)、ロシアは「主要通貨のバスケット建て」によるイランとの取引を構想している。「主要通貨のバスケット」として最も有名なのはIMFのSDRだが、最近、SDRを意識した通貨バスケット建ての暗号通貨「リブラ」を新たに創設すると発表したのはフェイスブックである。リブラの発表は、影響力が巨大な米国の大企業が、ドル覇権の低下につながる非ドル通貨の発行を発表したことを意味するので驚きだ。ロシアとフェイスブックが同じこと(米覇権の引き倒し)を考えているのも驚きだ。詳しいことは最近の有料記事に書いた。 (Trading with Iran via the special purpose vehicle: How it can work) (フェイスブックの通貨リブラ:ドル崩壊への道筋の解禁

イランは、米軍侵攻前のイラクなどより軍事的にはるかに強い国であり、イランと戦争すると米国は大きな被害を被るし、戦争は何年も続く。米民主党を主導するペロシ下院議長は6月20日「米国はイランと戦争する意欲がない」と明言している。米議会は超党派で、トランプのイラン攻撃をやめさせるため、911事件の時に制定した、大統領が議会に許可をとらずに外国を攻撃できる「テロ戦争」の有事立法を無効化しようとしている。これが無効化されると、トランプはイラン攻撃だけでなく、アフガニスタン占領もやめねばならなくなるし、サウジがやっているイエメン戦争への支援もできなくなる。 (Pelosi: US has no appetite for war with Iran) (U.S. Intel to Congress: No Evidence al Qaeda Is Helping Iran

トランプは表向き大統領権限の剥奪に抵抗しているが、本音では、アフガンやイエメンから撤退したいと思っている。米軍が撤退すると、その後アフガニスタンの面倒を見るのは中露やイラン、パキスタンといった上海協力機構(中国主導)の国々だ。米軍がイエメンから撤退したら、サウジはロシアなどの仲裁を受けてイエメンのフーシ派と仲直りせざるを得ない。フーシ派の背後にはイランがおり、サウジはイラン敵視もやめていかざるを得ない。いずれも、米覇権の低下と中露イランの台頭、多極化につながる。 (Taliban: US Has Accepted Full Withdrawal From Afghanistan) (Senate Blocks Arms Sales To Saudi Arabia In Bipartisan Trump Rebuke

トランプはパレスチナ和平案も手がけているが、イスラエルの言いなりになりすぎて、アラブ諸国がついてこれない和平案になっている。ヨルダンは、対米従属なのでトランプの和平案に賛同せざるを得ないが、国民(野党=ムスリム同胞団)はトランプ案に猛反対で、デモ行進など反対運動が盛り上がっている。ヨルダン王政が対米従属を貫こうとすると、政権転覆される危険が増す。各国はトランプの和平案に乗れなくなっている。代わりの和平案を出すとしたらロシアだ。 (Jordan likely to attend Bahrain summit despite reservations) (Kushner conference was supposed to bring Israelis and Palestinians together. Neither side is likely to show up.

イスラエルはシリア内戦終結後の今、レバノン、シリア、ガザという3つの隣接地域がイラン系の勢力(レバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権、ガザのハマス)に支配される結果になっている。このまま米国の中東覇権が低下すると、イスラエルは3方から敵のいらんに包囲され、危機に陥る。イスラエルが国家存続したければ、シリア内戦でイランとともに勝者になったロシアに頼るしかない。 (Putin, Netanyahu break ground on deeper Russia-Israel engagement) (Hundreds of Israeli security experts warn of annexation dangers

イスラエルは9月にやり直し選挙をするが、そこで大幅台頭しそうなのは、ロシアとのパイプ役をしてきたリーベルマン元国防相(ロシア出身者)の政党だ。リーベルマンがキングメーカーとなり、右派のリクードと中道派の青白連合を連立させ、米国でなくロシア主導の新たな中東和平策に乗るといった展開が考えられる(だからリーベルマンはネタニヤフの連立組閣を失敗させ、4月の選挙を無効にしたのかも)。イスラエルは話が複雑なので恐縮だが、こうした事態も、トランプが意図的に稚拙な中東和平をやってロシアとイスラエルをくっつける覇権放棄・多極化策な観がある。 (Liberman: We’ll force gov’t with Likud, Blue and White to block ultra-Orthodox) (The final round: Netanyahu versus Liberman

トランプは議会の反対を押し切ってサウジに兵器を売るなど「武器商人」も演じているが、実のところ、ロシアは無敵でコスパが良い迎撃ミサイルS400を世界各国に売りまくっている。トランプが各国に無理やり米国の兵器を買わせようとするほど、各国は嫌がり、ロシアや中国の兵器の売れ行きが良くなる。S400が世界に普及するほど、米国は戦争をやれなくなる。これもトランプの多極化策だ。詳しいことは最近の有料記事に書いた。トランプは、非常に多角的に覇権放棄・多極化を進めている。それに気づかない間抜けな人が多いので驚く。 (S400迎撃ミサイル:米は中露イランと戦争できない) (India "Risks Triggering Sanctions" Over Russian S-400 Deal, US Warns

ユーラシア以外では、ベネズエラ情勢が、米国に不利、ロシアに有利になっている。トランプは、ベネズエラの左翼のマドゥロ政権を倒すと宣言し、野党党首のフアン・グアイドを支援したが、グアイドは4月末にクーデターに失敗し、マドゥロ政権の続投がほぼ確定している。報じられている「お話」によると、トランプは、ベネズエラの政権転覆を昔から狙っていた側近のボルトン顧問の言い分を信用してグアイド支持を決めたが、グアイドがクーデターに失敗したためトランプはボルトンを叱りつけ、それ以来、ベネズエラに対する関心を失ってしまったという。米国がやる気を喪失したため、米国に対抗してマドゥロを擁護しに入ったロシアの勝ちとなった。トランプの「関心喪失(の演技)」は、ロシアの覇権拡大につながっている。 (Trump losing interest in Venezuela amid stall, aides say) (Why Venezuela Needs Russia) ('Frustrated' Trump Sours On Venezuela Regime Change After Bolton 'Got Played'

中露は6月5日の首脳会談で、北朝鮮問題についても話し合ったようだ。その後、6月19日に習近平が北朝鮮を訪問した。北朝鮮問題の解決は最近頓挫しているが、それは韓国が北朝鮮と経済交流を進めたくても、北朝鮮に対する国連制裁に抵触するのでできないからだ。中露が国連安保理で制裁の一部緩和を提案し、米国がそれに反対しなければ、北問題の解決が再び進む。こういったシナリオが進んでいるのかどうか、近いうちにわかる。 (China likely to tread carefully on North Korea as power dynamic shifts) (多極化への寸止め続く北朝鮮問題

6月27-29日の大阪でのG20サミットでは、トランプがまた保護主義・孤立主義的・自由貿易否定の態度をとるかもしれない。中露が欧州勢と組み、米国に代わって自由貿易や国際協調的な世界運営を主導する意欲を見せ、議長国である日本の安倍がトランプの親友(笑)として中露とトランプを仲裁しようとする・・・。そんなおきまりの演技が展開されるかもしれない。安倍もトランプによって、非米・多極の側に押しやられている。 (米欧同盟を内側から壊す) (Is the G20 destined to fade into irrelevance in a leaderless world – courtesy of Donald Trump?

トランプはG20の大阪のあと、6月29日から韓国を訪問する。もしかすると、トランプは板門店まで行って金正恩と3回目の米朝首脳会談をするかも、という予測も出ている。板門店なら北の国内であり、金正恩も簡単に来れるので、金正恩の暗殺防止策として事前の十分な準備が必要だった国外での2回の米朝首脳会談と異なり、事前の準備なしに米朝首脳会談を実施できる。 (North Korea’s Kim receives ‘excellent letter’ from Trump, state media says

 

 


田中宇史観:世界帝国から多極化へ

2019年07月23日 | シリア


田中宇史観:世界帝国から多極化へ
2017年10月13日   田中 宇


 国際政治で最も重要な視点は「覇権」だ。覇権とは、ある国(覇権国)が他の国(従属国)に対し、軍事占領や植民地化といった具体的な支配方法によってでなく、もっと隠然と影響力を行使して、事実上支配する行為や状態のことだ。20世紀初頭まで(前近代。大英帝国の覇権の時代まで)は、軍事占領や植民地といった露骨な国際支配が認められていたが、その後、2度の大戦を経て、世界のすべての地域の人々が独立国家を持つ状態が作られ、すべての国家が平等であり、ある国家が他の国家を支配してはならないという国際秩序が作られた。露骨な国際支配は国際法違反とされ、国連によって制裁される建前になった。 (覇権の起源)

 だが、その後も、強い国が弱い国々を支配する状態は変わっていない。植民地や軍事占領でなく、隠然とした覇権のかたちで支配が続いている。ゴリゴリの対米従属である戦後の日本が象徴的だ。覇権は隠然としており、公式には存在していないことになっているので分析が難しい。戦後の日本では(自国の対米従属を隠蔽するため)覇権分析が正当な学問とみなされていない。 (日本の官僚支配と沖縄米軍)

 私が見るところ、覇権には、地域覇権と世界覇権の2種類がある。近代以前の言い方をするなら、地域帝国と世界帝国の2種類だ。地域覇権・地域帝国は、強い国が、自国の周辺の(もしくは経済的、思想信条的につながりがある)弱い国を支配するものだ。強い国の視点に立って存在している。これと対照的に、世界覇権・世界帝国は、先に「世界」という枠組みが存在し、その全体をどうやって支配するかという戦略やグランドデザインの問題になる。

 地域覇権・地域帝国の最も顕著な例は中国だ。ユーラシア東部の「陸の大国」である中国は、古代から、地理的な必然性として、自国の安定を維持するため、自国の辺境やその先の周辺諸国を支配する必要があった。中国帝国が強い時代は版図が大きくなり、中国が弱体化すると版図も小さくなり、中国自も内部分裂する。現在の習近平の中国は、史上最大に近い影響圏・版図だ(モンゴル帝国に次ぐ広さ)。中国という存在が先にあり、中国自身の強さに応じて帝国の広さや状況が変わる。 (600年ぶりの中国の世界覇権)

 これに対し、世界帝国は、欧州人(スペイン、ポルトガル、英国など)が、15-16世紀の「地理上の発見」によって、世界のかたち(球形)や大きさを、人類史上初めて公式に把握したところから始まっている。中華帝国やローマ帝国は、世界がどのくらいの広さかに関係なく運営されていたが、スペインポルトガル以降の欧州人の世界帝国は、そうでない。先に世界が「発見」され、どうやってそのすべてを支配するかを考案し続けるという、概念や戦略が先行したのが世界帝国・世界覇権である。 (米中逆転・序章)

 世界を「発見」した直後、スペイン1か国で支配するには広すぎたので、スペインとポルトガルで談合して世界を分割した。それでも帆船で世界を支配するのは難儀で、細長い航路の周辺しか支配できなかった。効率の良い世界支配への技術革新が続けられ、18世紀に英国で蒸気機関が開発され、汽船や鉄道が誕生し、交通の効率が飛躍的に向上した。世界帝国の運営が一気に効率的になり、産業革命をなしとげた英国が世界帝国(大英帝国)の所有者・運営者となった。産業革命は、鉄鋼の生産効率の向上、軍事力の増大にもつながり、オスマントルコや中国の清朝といった欧州以外の地域帝国を次々と潰し、欧州人による世界支配が確立した。 (世界史解読:欧州の勃興)

▼産業革命後、世界帝国は世界市場になった

 産業革命は、世界帝国(大英帝国)を強化したが、同時に、帝国を解体する方向の要素としても働いた。それまでの世界帝国の運営は、支配地域からの略奪か、もしくは欧州で売れる物品の採掘や栽培を植民地に強要するやり方だったが、産業革命によって欧州の工業製品の生産力が急拡大すると、欧州が作った工業製品を買わせる市場として、植民地が重要になった。植民地の人々を、工業製品を買える「消費者」に仕立てるには、まず植民地の人々をある程度豊かにして、貧困層を脱して中産階級にしてやらねばならない。それまでの、植民地からできるだけ収奪しようとする戦略からの転換が必要になった。 (資本主義の歴史を再考する)

 もう一つ、産業革命を実現した投資家たちがやりたがった、大英帝国の解体につながる事業が、産業革命を英国から全世界に広げていくことだった。産業革命は、経済を急成長させ、投資家を大儲けさせるが、20-50年たって産業革命(工業化)が一段落すると、成長が鈍化して儲けが減る。儲けを極大化するには、いつまでも英国だけに投資するのでなく、まだ産業革命を経験していない、貧困で「遅れた」地域に投資して産業革命を誘発する必要がある。長期的に、投資家は「焼き畑農業」のように、次々と新たな新天地に投資を移していく必要がある。

 植民地を工業化すると、経済発展し、人々が豊かになって「消費者」になる。植民地を消費地にすることと、資本家の焼き畑農業戦略は、同一の趣旨を持っていた。植民地を経済発展させるには、宗主国が好き勝手に植民地を一方的に収奪されてきた状態を壊す必要がある。産業革命後、資本家にとって、世界帝国は、世界市場に変質した。この変質、世界帝国(大英帝国)の解体のために扇動されたのが、19世紀末からの世界的な「植民地独立」を求める政治運動だった。

 植民地独立の世界的な運動は、植民地の人々が政治的に覚醒して民族自決の意識を持つようになり、欧州の宗主国の人々が、それを「人権重視」の理想主義の観点から支持容認した結果であると、教科書で説明されている。だが、英国など欧州の宗主国は、植民地の人々を政治覚醒させぬよう、細心の注意を払っていたはずだ。しかも、事態を動かす力は、理想主義より現実の利害の方がはるかに強い。植民地の人々が独立を求めるようになったのは、植民地の人々が頑張ったからというより、宗主国の資本家が、儲けを増やすため、宗主国政府の植民地運営の方針にこっそり逆らって、植民地の独立運動を煽ったからだと考えられる。正史が理想主義史観を採るのは、その方が人々のやる気を鼓舞し、社会的な効率が良くなるからだ。

 いったん植民地から独立した世界中の新興の国民国家群が、再びどこかの大国に征服されて植民地に戻らないよう、国家が他の国家を軍事占領したり植民地支配することを禁止する世界的な規範(国際法)が作られた。すべての国家が対等であるとの建前が作られた。世界帝国は世界市場になり、帝国は覇権国に変質した。帝国は、時代遅れな歴史的遺物になった。大英帝国は、英国自身を富ますための仕組みから、できるだけ効率的に世界市場の安定を守るための機能に変わった。これらはすべて、資本の論理に基づいていた。 (資本の論理と帝国の論理)

▼世界帝国を起案したのも、帝国を市場に変えたがるのもユダヤ資本家

 近代以前の欧州において、資本家のほとんどがユダヤ人だった。スペインやポルトガルの王室に資金提供し、地理上の発見や世界帝国の戦略を作ったのもユダヤ資本家たちだ。古来、地中海周辺の全域に住んでいたユダヤ人は、中東イスラム世界と欧州キリスト教世界の両方に通じており(イスラム世界は、一神教の先輩としてユダヤ教徒を受容してきた)、イスラム世界が持っていた高度な航海技術や地図類をスペインとポルトガルに伝授し、資金と技術の両面で地理上の発見を推進にした。世界帝国は、ユダヤ資本家の創造物だった。 (覇権の起源:ユダヤ・ネットワーク)

 その後、ユダヤ資本家たちは、ユダヤ人迫害を強めるスペインを見捨て、スペインから独立したオランダに移り、世界覇権の主導役もオランダに移った。さらにその後、英国がユダヤ資本家を厚遇したため、資本家と覇権の両方が英国に移り、産業革命が実現された。ユダヤ資本家は、世界帝国の発案者だっただけでなく、その後、今に至る世界帝国・世界覇権の運営を手がけ、スペインからオランダ、オランダから英国、英国から米国へと「覇権ころがし」をやってきた。米国でも英国でもロシアでも、覇権をめぐる運営や発案、描写を手がける高官や外交官、学者、歴史家、記者には、ユダヤ人が多い。世界帝国・覇権の黒幕的な運営は、ユダヤ人の天職である。(覇権運営をユダヤ人に依存していないのは、生来の地域覇権国である中国だけだ。その中国でさえ、キッシンジャーが訪中すると大歓迎して教えを請う)

 世界の帝国・覇権体制の近代化をうながした要素として、産業革命と並ぶもうひとつが、フランス革命に始まる「国民革命」だ。王制を倒し、主権在民の共和制を敷いたことで、王侯貴族に労働や納税、兵役を強制されて嫌々ながら働いていた農奴や臣民は、国民革命を経て「国家の主人」とおだてられて俄然やる気になり、喜んで労働、納税、兵役をこなす「国民」に変身した。ナポレオン率いるフランス国民軍はすすんで戦い、他の諸国のやる気のない傭兵軍よりはるかに強かった。

 産業革命がモノ(機械)の効率化だったのと対照的に、国民革命(フランス革命)は人々(社会)の効率化だった。国民国家は、封建国家より、はるかに効率的だった。英国をはじめとする王政の諸国は、これを見て、王政を維持しつつ、国民に部分的に主権を与えてやる気を出させる立憲君主制(擬似的な国民国家体制)に移行していった。

 ユダヤ人はここでも、フランス革命の黒幕的な推進役として登場する。資本家(=ユダヤ人)にとって、社会を効率化する国民革命と、機械を効率化する産業革命は、自分たちの投資の儲けを増やす策だった。投資家たちは、投資の利益を増やすため、2つの革命を、英仏だけにとどまらせず、全世界に拡大することを画策した。覇権国だった英国は、欧州征服を狙ったナポレオンを何とか退治した後、1815年にウィーンに欧州諸国を集め、まだ国家としてまとまっていなかったドイツとイタリアを、国民国家としてまとめていくことを決定した。 (国家と戦争、軍産イスラエル)

 ドイツとイタリアは、住民がドイツ人やイタリア人としての意識を高めて国民国家を創設するより先に前に、英国によって、あらかじめ国民国家になることが決められていた。覇権や国際体制は自然・偶然に形成されているかのように見えて、偶然や理想主義の発露に見せかけること(歴史家や記者による正史の形成)も含めて、黒幕的な設計者がいると感じられる。黒幕がいると指摘する者を陰謀論者・ユダヤ人差別主義者として社会的に抹殺する装置も用意されている。

▼しぶとく黒幕化して覇権を維持した英国

 その後150年ほどかけて、世界的に植民地の独立運動が進み、世界中が国民国家で埋め尽くされていった。この動きが興味深い点は、英国自身が、世界覇権(大英帝国)の永遠の存続を望む一方で、自らの世界体制を解体消滅させる植民地の相次ぐ独立を容認したことだ。英国は、旧来の王国勢力(アングロサクソン)が、世界覇権の運営勢力(ユダヤ資本家)を招き入れて合体することで、覇権国である大英帝国になった。だが、産業革命によって英国の覇権力が強まると同時に、世界中に産業革命を広めようとする資本家の欲求が強くなり、帝国の永久繁栄を望むアングロサクソン的な要素より、世界経済全体の繁栄を望むユダヤ的・資本家的な要素が優先されるようになった。「帝国と資本の相克」が大きくなった。 (多極化の本質を考える)

 英国の上層部で、英国自身の強さの維持を望む勢力が、英国より世界の発展で儲けたい資本家勢力と談合して決めたことは、植民地の独立を容認し、世界中を国民国家で埋め尽くす転換をやっても良いが、作られる一つずつの国民国家をできるだけ大きくせず、英国よりもはるかに大きい国民国家を作らないようにすることだった。 (大均衡に向かう世界)

 英国より大きな国民国家がたくさん作られると、それらの諸国はいずれ英国より大きな経済力・国力を持つにいたり、相対的に英国の力が弱まってしまう。英国と同じくらいの大きさの国民国家が世界中を埋め尽くす状態なら、英国は外交技能を駆使して、それらの国々の主導役をやっていられる。英国は、ナポレオンがスペインを征服し、南米大陸でスペインの植民地が独立する際、バラバラの小さな諸国として独立するように扇動した(ポルトガル領だったブラジルだけは手を出せず、大国になった)。英国はまた、中近東(サイクスピコ条約)やアフリカ、中国の分割も画策している。中国の分割は、米国の妨害で実現しなかった。 (アフリカの統合)

 英国から欧州大陸に産業革命が広がった結果、ものづくりがおたく的にうまいドイツが、英国をしのぐ経済力を持つようになった。産業革命のアジアへの拡大は、日本の台頭を生じさせた。経済的に劣勢になった英国は、政治や軍事で、ドイツなどの新興大国に対抗し、この過程で2度の世界大戦が起きた。資本家の側から見ると、2度の大戦は、英国とドイツ(独日)を戦わせて相互に破滅させ、残りの世界の諸国(世界中の植民地)を支配から解放し、戦後の世界的な経済発展を引き起こそうとする動きだ。 (真珠湾攻撃から始まる覇権分析)

 大戦によって大英帝国が消滅し、代わりに国際機関(国際連盟や国際連合)が世界を運営する機能を引き継ぐ「覇権の機関化」「覇権の超国家化」が、大戦によって画策された。世界の支配権(覇権・帝国)を一つの国が握っている限り、その国が世界から収奪する傾向が続き、世界の発展が阻害される。英国とドイツなどが覇権を奪い合って大戦争になる可能性も続く。だが、国際機関を作って覇権(世界運営)を委ねる「覇権の機関化」をすれば、世界の発展を極大化できるし、戦争の発生も国際機関の調停・裁定によって防げる。世界の市場化、世界中を国民国家で埋め尽くす植民地の独立、覇権の機関化(国際連盟などの創設)という3つの現象は、表裏一体のものだった。

 この3つの現象を鼓舞・主導する役割を演じたのが、20世紀初頭の米国だった。英国(ロンドン)から米国(ニューヨーク)に資本家の中心地が移動する事態が、19世紀末から起きていた。それまで、世界の支配権の争奪戦は、欧州などユーラシア大陸で起きていたが、米国は、ユーラシアから遠く離れた孤立的な米州大陸にあった。米国は、世界の新興大国の一つだったが、地理的な理由から、諸大国間の覇権争いに参加せず、超然としていた(モンロー宣言や、中国に関する門戸開放宣言など)。米国は、世界大戦によって英国など欧州の諸大国が相互に自滅した後、覇権の機関化を主導する役割としてうってつけだった。 (世界のデザインをめぐる200年の暗闘)

 だが、国際的な策略の技能としては、米国より英国の方が上だった。米国は、英国の側に立って途中から第一次大戦に参戦し、参戦の見返りに、戦後の世界体制を構築する主導権を英国に譲渡させ、国際連盟を作った。だが、英国は国際連盟の運営に協力せず、ドイツや日本の覇権拡大を止められなくなり、第2次大戦が起きた。米国は再び、戦後の世界体制を構築することを条件に、英国の側に立って参戦し、日独を倒し、戦後の覇権の機関化策として国際連合を作った。だが、国際連合の体制も、発足から2年後に、英国によって米ソ対立の冷戦構造を構築され、機能不全に陥った。 (ヤルタ体制の復活)

 国際連合(と国際連盟)は、諸大国の談合によって戦争を抑止する安全保障理事会(常任理事国)の「覇権の多極化」の体制と、一カ国一票ずつの投票で世界を運営していく総会の「覇権の民主化」を組み合わせて機能させていた。世界の安定を維持するには、安保理常任理事国の5か国(P5)が相互に対立せず、仲良くすることが必要だった。英国はこの点を突き、終戦から2年後の1947年にチャーチル首相が訪米して発したロシア敵視の鉄のカーテン演説を皮切りに、米国とソ連の敵対を扇動し、P5が米英仏と中ソで対立して分裂するよう仕向け、国連による世界運営を機能不全に陥らせた。英国(帝国維持派)の策略により、米国(資本家)が画策した覇権の機関化は頓挫した。 (隠れ多極主義の歴史)

 同時に英国は、米国の政権内や政界、言論界で、ソ連や共産主義(中ソ)を敵視する勢力が権限を握るように誘導した。第2次大戦中、英国は、戦争に勝てるようにするという口実で、米英の軍事諜報やプロパガンダの部門を連携・統合したが、戦後、英国はこの機能を使って米国の軍事諜報・プロパガンダ部門に入り込んで隠然と牛耳り、ソ連敵視、国連の機能不全、ソ連と敵対するNATOを作って国連でなく米国・米英同盟が世界戦略を決定する米国(米英)覇権体制の構築などを推進し、米国の戦略決定機構を英国好みに改造してしまった。 (覇権の起源:ロシアと英米)

 英国に隠然と牛耳られた米国の軍事諜報・プロパガンダ部門が「軍産複合体」である。CIA、国防総省、国務省、各種シンクタンク、マスコミ、学界などが含まれている。米国の諜報機関であるCIAは戦時中、英国(MI6)からの技術指導によって創設されており、最初から英国(のスパイ)に入り込まれている。

 ニューヨークの国連本部は、当時の最有力資本家だったロックフェラー家が寄贈した土地に作られた(ロックフェラー家自身は非ユダヤだが、その周辺はユダヤ人に満ちている)。米国の資本家が、覇権の機関化(英国覇権の解体)を推進したことが見て取れる。しかし、米国の世界戦略を練るためのシンクタンクとしてロックフェラーが戦時中に作ったCFR(外交問題評議会)は、創設時から、英国の戦略立案機関である王立国際問題研究所(チャタムハウス)の姉妹機関として作られており、CIAと同様、最初から英国に入り込まれている。

▼冷戦終結で資本側が勝ったが911で帝国側がクーデター的返り咲き

 英国は、第2次世界大戦に参戦してくれた米国に対し、旧覇権国として、覇権運営を教えてあげると言いつつ、米国の戦略部門を隠然と乗っ取ってしまった。米国は、覇権を英国から引き剥がして国連に移転する覇権の機関化をやりたかったのに、冷戦勃発、軍産複合体による隠然クーデターによって、米国自身が国連無視、左翼敵視(=途上国敵視)の好戦的な覇権国として振る舞うという「ミイラ取りがミイラになる」事態になった。

 それ以来、米国は、英国や軍産複合体に牛耳られてソ連を敵視する状態から脱する「冷戦終結」を実現するまでに、40年以上もかかっている。軍産との暗闘の末、ケネディが殺され、ニクソンは辞めさせられた。ソ連の経済運営が失敗し、80年代のアフガニスタン占領でソ連がさらに疲弊し、親欧米的なゴルバチョフが権力を持ったことを突いて、レーガンが89年に米ソ和解を果たした。ソ連は崩壊し、米国は、ドイツ(英国の仇敵)を英国好みの「東西恒久分割の刑」から救い出して東西統合させ、EU統合を始めさせた。 (ニクソン、レーガン、そしてトランプ)

 レーガン政権は巧妙だった。軍産の黒幕だった英国に対し、米英が共同で金融財政面から世界を支配する「金融覇権体制」(債券金融システムの運営権。投機筋を使って他の諸国を財政破綻させられる「金融兵器」)を与えて懐柔し、英国を軍産から引きはがした上で、軍産英国が維持していたソ連敵視の冷戦構造を崩した。 (金融覇権をめぐる攻防)

 英国は、旧覇権国として19世紀から国際政治(外交)のシステムを作って維持してきただけに、冷戦下の世界戦略を運営する米国の軍産の黒幕として高い技能を持っていた。英国に去られた軍産は力を失った。冷戦後に米政権をとったビル・クリントンは、英国のブレア政権と組み、G7諸国をしたがえて経済主導の世界運営を行う一方、米国の軍事産業を縮小し、合理化・統廃合を進めた。覇権が経済主導になり、軍事主導だった「歴史の終わり」が語られた。帝国と資本の暗闘は、冷戦終結とともに、資本が大幅に強くなった。

 窮乏していた軍産を救ったのは、以前から米政界に影響力を持っていたイスラエル右派勢力だった。彼らは、米国が半永久的にイスラエルを守る体制を作ることを目的に、中東のイスラム諸勢力(アルカイダ、ハマス、ヒズボラ、イラン、サダムフセインのイラク、タリバンなど)の米国敵視を扇動し、米国が、中東イスラム過激派との間で、米ソ冷戦に代わる恒久対立(第2冷戦)を行う状態を作ろうと画策した。策略の皮切りは90年の湾岸戦争だったが、米側が慎重でイラクに侵攻しなかった。

 米国はイスラエルに、パレスチナ・アラブ側と和解させる中東和平を押しつけ、イスラエルの左派はそれに乗ってラビン首相が95年にオスロ合意を締結した。だが、イスラエル右派は97年にラビンを暗殺して中東和平を壊し、同時に米国の軍産と組んで、イスラム過激派にテロリストのレッテルを貼り、イスラム世界との第2冷戦の対立構造を作っていった。軍産イスラエルの圧力を受け、クリントン政権は98年ごろからイスラム敵視の姿勢を強めた。

 イスラムとの第2冷戦(テロ戦争)の構造が劇的に立ち上がったのが、米政府が共和党ブッシュ政権に交代して間もなく起きた、01年の911テロ事件だった。米当局(軍産)の自作自演性が感じられる911は、軍産イスラエルによる米国の乗っ取り、クーデターだったと言える。米政府の戦略は、アフガニスタンやイラク、イランなどに対する敵視が席巻し、中東以外との関係が軽視され「911後、米国は中東の国になった」とまで言われた。米軍を自国の「衛兵」にするイスラエル右派の策略は、911によって見事に結実した。軍産が、米政権の中枢に返り咲いた。帝国と資本の相克において、資本側がまさっていた時代は、冷戦終結から11年しか続かなかった。

▼隠れ多極主義でないと軍産支配に勝てない

 911後、軍産イスラエル(=帝国)の恒久支配が続くと思われたが、何年かたつうちに、事態はそうならず、奇妙な展開をするようになった。911後、米国は、アフガンとイラクに侵攻して占領を開始し、中東を軍事で政権転覆して強制民主化(恒久占領、傀儡化)を進める戦略を打ち出した。だが、これらの戦略を立案したブッシュ政権中枢のネオコン(多くがユダヤ人)は、恒久占領や傀儡化に必要な、緻密な安定化戦略を初めから立てず、しかもイラク侵攻時の開戦事由として使ったイラクの大量破壊兵器保有が捏造したウソ(濡れ衣)であり、それが侵攻前からバレていた。

 これらは、戦略立案者としてあまりに稚拙であり、少なくとも未必の故意である。似たような稚拙な過激策を中東各国で次々と繰り返したことからみて、うっかりミスでなく、意図的なものと考えられる。どうやらネオコンは、わざと稚拙で過激な戦略を大胆に実行し、米国の中東支配戦略を失敗に至らせることで、軍産イスラエルの戦略を破綻させる役割を担ったようだ。ネオコンの多くは、イスラエル右派を標榜するユダヤ人だが、同時にロックフェラー家が運営費を出してきた国際戦略立案のシンクタンクCFR(外交問題評議会)のメンバーでもある。

 ネオコンは表向き軍産イスラエル(帝国)の一味のようなふりをして軍産に入り込んで戦略立案を任されたが、実は資本家が送り込んだスパイで、稚拙な策を過激に展開し、軍産の策をわざと失敗させ、米国の覇権を意図的に低下させたと考えられる。私は彼らのような存在を、単独覇権主義者(帝国側)のふりをして単独覇権を壊し、覇権の多極化(機関化)へと誘導しようとする勢力(資本側)と考えて「隠れ多極主義者」と呼んでいる。(ネオコンは一枚岩でなく、本当に軍産の一味だった人もいただろうが、スパイの世界=軍産内部は本当とウソの見分けがつかないので分析は困難だ) (ネオコンの表と裏)

 ネオコン(資本家の側)が、隠れ多極主義などという手の込んだ策略をとる必要があった理由は、911によって軍産イスラエルが構築した新体制が、軍産の「戦争プロパガンダ」の機能を活用した強固なもので、正攻法で壊せなかったからだ。戦争プロパガンダは、戦時にマスコミ・言論界・政界・諜報界などが国家総動員で、敵国=悪・自国=善の構図を作って全国民を信じこませる(信じない者を弾圧する)機能で、第2次大戦で世界的に確立された。軍産英国は、この機能を使ってソ連敵視の冷戦構造を確立し、当時の覇権の多極化体制(米ソ協調。ヤルタ体制)を潰している。 (歴史を繰り返させる人々)

 戦争プロパガンダは、いったん発動されると、それに逆らうことや沈静化させることが非常に難しい。マスコミが911の自作自演性を全く報じないのは、それが戦争プロパガンダの範疇だからだ。911のアルカイダ犯人説や、イラクの大量破壊兵器、イランの核兵器開発は、いずれも米国の諜報界がでっち上げた自作自演・濡れ衣なのだが、戦争プロパガンダなのでウソが露呈しない。米政府は、イラクの占領に失敗した後、侵攻前のイラクに大量破壊が存在していなかったことを静かに認めた。だが、911と、イランの核開発については、今でもウソが「事実」としてまかり通っている。IAEAは、イランが核兵器開発していないことを静かに認めたが、米国のマスコミはその後も、イランが核開発していると喧伝し続けた。軍産プロパガンダのウソを指摘する人々は「頭のおかしな人」「左翼」「陰謀論者」「売国奴」などのレッテルを貼られ、社会的に抹殺される。資本家側は、軍産がでっち上げたウソを受け入れざるを得なかった。 (ネオコンと多極化の本質)

 911後のイスラム敵視の戦争プロパガンダの体制下において、ウソをウソと言うのは困難だが、イスラム敵視の稚拙な濡れ衣を粗製濫造することは許され、むしろ奨励された。ネオコンはこの線に沿って、あとでバレやすい稚拙な濡れ衣や、米国では受け入れられるが欧州など他の同盟諸国の同意を得られない過激な濡れ衣をどんどん作った。 (CIAの反乱)

 イラク侵攻後、大量破壊兵器の開戦事由がウソだったことが露呈し、イラク占領も失敗が確定したことにより、米国の国際信用(覇権)は大幅に低下した。戦争プロパガンダを使った軍産の独裁体制を壊すには、プロパガンダのウソを指摘するやり方ではダメで、プロパガンダに乗って稚拙なウソに基づく過激な戦略をどんどんやって失敗させるネオコンやトランプのやり方が、おそらく唯一の対抗策だ。だから、ネオコンやトランプは、稚拙で過激な路線をとっている。

▼トランプのネオコン戦略

 冷戦後、クリントン政権の時代は資本の側が勝っていたが、ブッシュ(W)政権になって911で帝国の側が盛り返した。しかし、それもネオコンの隠れ多極主義戦略によって自滅させられた。冷戦後、米国が英国を誘って作っていた金融覇権体制(債券金融システム)も、ブッシュ政権末に起きたリーマン危機で壊れた。債券金融システムは、中央銀行群によるQE(資金注入)によって表向き延命・バブル膨張しているが、いずれQE(や金融規制緩和などの延命策)が終わるとバブルが崩壊して潰れる。金融覇権も、すでに潜在的に死んでいる。 (さよなら先進国) (やがて破綻するドル)

 オバマ政権は、イラクから米軍を撤退し、イランと核協定を結んで核の濡れ衣を解いた。これらの策は、ブッシュ前政権下でネオコンが失墜させた米国の国際信用の回復を狙うもので、それを見ると、オバマは米国の世界覇権を維持回復しようとしたと感じられる。だが同時にオバマは、シリア内戦の解決をロシアに頼み、中東を、米国の覇権下から露イランの覇権下に押しやるという、覇権の多極化も手がけている。 (軍産複合体と闘うオバマ)

 そして今のトランプ政権になって、米国は再び、帝国と資本の相克が激化している。トランプは、選挙戦段階から、世界に覇権を行使しようとする米国のエスタブリッシュメント(=軍産)と対立し、軍産の一部であるマスコミに敵視され続けている。帝国と資本の相克、米国覇権を維持しようとする勢力と、米覇権の自滅や放棄、多極化を画策する勢力との対立構造の中で、トランプは資本や多極化の側にいる。トランプは当初、ネオコンを覇権主義勢力とみなして敵視していたが、大統領に就任し、ロシアと和解する正攻法の戦略を軍産に阻止された後、正攻法よりも隠れ多極主義の方が良いと気づいたらしく、ネオコンの戦略を採り入れた。 (トランプ革命の檄文としての就任演説)

 トランプは北朝鮮に対して今にも先制攻撃しそうなツイートを発信したり、イランとの核協定を離脱して経済制裁を強めそうなことを言ったりして、これ以上ないぐらい好戦的な姿勢をとっている。政権内の軍産系の側近たちは、北との戦争にも、イラン核協定からの離脱にも反対しており、トランプは軍産がいやがる過激策を稚拙にやりたがるネオコン策をやっている。実際のところ、米国が北を先制攻撃すると、北からの報復で韓国が壊滅するので、米国が北を先制攻撃することはない。イランへの制裁も、トランプは自分でやらず米議会に決めさせようとしており、米議会は制裁に乗り気でないので実現しない。トランプは、過激なことを言っているだけだ。 (軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃)

 トランプが過激で稚拙なことを言うだけの戦略をとり続けると、国際社会で米国への信用が低下し、対照的に、現実的な国際戦略をやっているロシアや中国への信用が高まる。北もイランも、露中の傘下で問題解決されていく道筋が見え始めている。米国の信用が低下し、露中の信用が上がるほど、安保理常任理事会での露中の主導権が強まり、世界を安定させる国連の機能が復活する。一見無茶苦茶なトランプの言動は、覇権の多極化と機関化を推進している。 (多極型世界の始まり)

 トランプは最近、国連機関であるユネスコからの脱退を決めたが、こうした国連敵視策も、国連を弱めるのでなく、逆に、米国抜きの国連が世界を運営し、米国は孤立して弱体化することにつながる。ロシアも中国も、米国の軍産に比べると、安定した世界を好む傾向がはるかに強い。露中が台頭すると世界が悪化すると思っている人は、軍産のプロパガンダを軽信してしまっている。

 トランプが20年の選挙で負けて1期4年で終わり、次に民主党の巧妙な大統領が出てくると、トランプの覇権放棄策が無効にされ、米国覇権の再建が試みられるだろう。だがトランプが2期8年続くと、その間に露中主導の多極型覇権が定着し、米国から自立して国家統合するEUもそこに加わり、その後の米国の覇権回復が難しくなる。

 19世紀末以来、人類は百年以上、帝国と資本の相克・暗闘に翻弄されてきた。19世紀末に、大英帝国の運営者が、帝国の解体と市場化に全面賛成していたら、百年以上前に「歴史の終わり」が実現していただろうが、実際の歴史はそうならず、人類の近代史は丸ごと相克になっている。トランプが、この相克を終わりにできるのかどうか、まだわからない。

 




ウソ工場CNNは崩壊しつつある。ありがたいことだ。

2019年07月23日 | シリア

2019年7月21日 (日)

ウソ工場CNNは崩壊しつつある。ありがたいことだ。

2019年7月18日
Paul Craig Roberts

CNNはジャーナリズムを捨て、民主党全国委員会とCIAとFBIの不正な幹部連中のための宣伝省になった。3年間、民主主義国家とされているものにおける報道機関とされるものとして、今までで最も法外な嘘をついてきたCNNの視聴率は崩壊した。CNN転じて宣伝省は、ゴールデンタイムの視聴者が40%減ることになった。無頓着なアメリカ人でさえCNNが嘘工場以外の何ものでもないのが分かったのだ。 https://russia-insider.com/en/cnn-continues-implode-after-russiahoax-its-much-worse-people-realize/ri27465

 CNNは教訓を学んだはずだと思いたいものだ。だが明らかに、そうではない。人間の屑というかCNNを運営する阿呆連中は、そのいずれにせよ、その代わり、更にもっと多く嘘を語ると決定した。宣伝省はCNN視聴者の40%を追い払ったものより更に一層信じられない話を仕組んだのだ。アレックス・マルクヮルトが「報じた」話は以下のようなものだ。

 ロシア・スパイであるアサンジは、ロシアを喜ばせるべく、アメリカ大統領選挙結果を操作するため、亡命していたロンドンのエクアドル大使館を司令本部に変えたのだ。大使館基地から、アサンジが、どのようにして、エクアドルのコレア大統領やエクアドル駐イギリス大使からの妨害を受けずに、ハッキングされた資料を入手し、ロシアや世界的に有名なハッカーとのいかがわしい会談に助けられて、アメリカ大統領選挙を傷つけたかという空想をマルクヮルトは紡ぎだしているのだ。https://www.cnn.com/videos/politics/2019/07/15/julian-assange-embassy-documents-marquardt-dnt-tsr-vpx.cnn

 ダブニー・フリードリッヒ連邦地方裁判所判事が、ロシアのアメリカ選挙干渉に関する「全面的で組織的」だというマラー報告の主張は、証拠なしの起訴にすぎず、それゆえ無効な起訴だと裁定した後で、CNNがこのたわ言を語っているのだ。裁判官はマラーに不当な主張をするのをやめるよう命じていた。https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/17/robert-mueller-should-be-arrested-for-conspiracy-to-overthrow-the-president-of-the-united-states/

 言い換えれば、マラー報告では何も見つけられなかったのだ。どういうわけかCNNは、視聴者にこの基本的事実を話さないことに成功した。

 アサンジ亡命中のほどんどの間、エクアドル大統領だったラファエル・コレアは、CNN物語に、その目的が、ワシントンが計画しているアサンジに対する明白なぬれぎぬを、アメリカ人に信じさせるための「たわごと」だと烙印を押した。

 「CNNや他のメディアが言っていることは、たわごとだが、我々はそれに慣れている。彼らは見せしめ裁判の準備をしているのだ。彼らがアメリカにアサンジを引き渡させ、彼に終身刑を宣告する際、国民の支持が欲しいのが理由だ。連中はそのお膳立てをしているのだ。」https://www.rt.com/news/464409-correa-cnn-assange-embassy/

 ここには、アメリカが例外である理由が二つある。ニュースはウソで構成されており、アメリカ司法省の機能は見せしめ裁判を手配し、罪がない人々を罪に陥れることだ。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

 ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/07/18/the-lie-factory-cnn-is-collapsing-thank-god/

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トランプに「やれるものならやってみろ」といどむトルコ

2019年7月14日
エリック・マーゴリス
ericmargolis.com

 トルコは、ロシアのS-400対空ミサイル購入を進めて、ドナルド・トランプに「やれるものならやってみろ」といどんでいる。ワシントンの怒りは非常に激しい。反抗的なトルコに地獄の業火のような制裁を浴びせるとトランプは誓っている。

 S-400はロシア第一級の対空のミサイルだ。それはステルス機、巡航ミサイル、中距離弾道ミサイル、無人飛行機と若干の他タイプのミサイルを含め、あらゆる形の航空機に対して大いに有効だと信じられている。自身のホーミング・レーダーによる自己誘導版と、砲兵隊レーダーに誘導される、それほど高価ではない「セミ・アクティ」版オプションがある。

 この地対空ミサイル(NATO用語でSS-21)を特に恐ろしいものにしているのは、注目に値する400キロの射程距離だ。S-400はステルス航空機の覆面をはがせるとロシアは言っている。私は大昔の1990年、ソ連保全当局者に、彼らのレーダーはアメリカのステルス航空機を探知できると言われたことがある。

 ミサイルの注目に値する射程距離と探知能力は、アメリカ戦闘能力の主要要素、特に、空飛ぶレーダー機、E-3AWACS早期警戒管制機や、アメリカ電子戦機、給油機や、もちろん、新しいステルスF-35、改良版F-15、F-22やB-1、B-2や長距離巡航ミサイルの輸送に使われる由緒あるB-52重爆撃機など、一部の戦闘機を危険にさらす。

 ロシアの地対空ミサイルは‘発射し、走り去れる’、発射してから素早く移動できるのだ。さらにいっそう重要なのは、S-400システムは、主要競合システム、アメリカのパトリオットPAC -2システム価格の約半分のコストなのだ。S-400は、一層信頼でき、正確かもしれない。ワシントンのアメリカ大統領は満足ではない。

 トランプ政権は、新しいステルスF-35、100機のトルコの注文をキャンセルすると脅して、S-400を買わないようトルコに激しい圧力を加えた。トルコがこの問題で、アメリカを拒絶すると思った人々はごく僅かで、彼らはアメリカに対するトルコの怒りの深さを理解し損ねたのだ。

 アメリカに亡命して暮らしている、宗教・政治指導者フェトフッラー・ギュレンが運営するうさんくさい宗教団体を通して、アメリカが、アンカラの民主的政府に対する2016年のクーデター未遂を画策したと、大半のトルコ人は信じている。選挙で選ばれたトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、シリアと湾岸に関し、アメリカの政策にと衝突し、ワシントンにとって余りに独立志向だった。パレスチナ人のために公正を要求することに対しても、彼はアメリカのイスラエルロビーの激怒を受けていた。

 トルコは今ワシントンによる経済攻撃の下にある。トランプ大統領は、古くからの忠実なアメリカの同盟国トルコに対する制裁(経済戦争と読むべき)を警告している。朝鮮戦争の際には、トルコ部隊が、アメリカ兵を中国の包囲から救った。だがトルコ人は大半がイスラム教で、イスラム教徒はトランプと彼の同盟者に憎まれている。

 S-400ミサイルが今トルコに到着しつつある。トランプは何をするだろう? F-35や他の軍装備品や保守部品のトルコ輸出中止。NATOからトルコを追い出す恫喝。イスラエルとギリシャに、トルコを威嚇させる。

 トルコは、F-35なしでゆけるのだ。それは余りに高価で、喧伝されているより一層脆弱かもしれない。トルコはロシアから類似の、それほど高価でない軍用機を入手できる。インドも中国もS-400を購入している。モスクワは売却を延期しているが、サウジアラビアさえ彼らに加わるかもしれない。S-400は、ロシア軍により、シリアにも配備されており、海軍版も予定されている。

 もしアメリカが更なる怒りで反応すれば、トルコはNATOを脱退すると脅し、南東トルコにある戦略上大いに重要なインジルリク空軍基地からアメリカを追い出しかねない。NATOで、トルコがアメリカに次ぎ二番目に大きな軍を提供していることは思い出す価値がある。全く無知なトランプに、誰かが、トルコがないNATOは骨抜きになるのを思い出させなければならない。同じぐらい重要なのは、NATOに拘束されないトルコは、欠乏していて、絶望的に必要としている石油源と、新しい同盟を探すだろうことだ。

 僅か一世紀前、イギリスとフランスの帝国主義大国に奪われるまで、イラクの肥沃な油田はオスマン帝国の一部だった。従属的な飼い慣らされたトルコの日々は終わるかもしれない。

記事原文のurl:https://ericmargolis.com/2019/07/turkey-calls-trumps-bluff/

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カタールを制裁する馬鹿なサウジ

2019年07月23日 | シリア


カタールを制裁する馬鹿なサウジ
2017年6月9日   田中 宇

 


 6月5日、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)などアラブの5か国が、同じくアラブの小国であるカタールに対し、国交断絶と厳しい制裁を発表した。カタールが、イランやムスリム同胞団といった、サウジなどが敵視する勢力に対して寛容な姿勢をとってきたことが断交の理由とされている。カタール君主が作った衛星テレビ局アルジャジーラがサウジ王政を批判してきたことも一因とされている。カタールは、ペルシャ湾の領海内に世界有数の天然ガス埋蔵量を持ち、ガスの輸出収入で一人あたりの国民所得が世界最高(年収900万円)の国だ。原油価格の下落で財政難のサウジが、カタールを侵略併合してガス田を自分のものにしたいのだといった憶測まで出ている。 (The Saudis Demand Total Surrender But Qatar Will Not Fold) ("Forget Terrorism": The Real Reason Behind The Qatar Crisis Is Natural Gas)

 カタールは、サウジを盟主とするペルシャ湾岸の6つの君主制アラブ諸国で構成するGCC(湾岸協力機構)の一員で、もともとサウジとの関係がわりと良かった。今回、GCCのうち、サウジ、UAE、バーレーンという、イラン敵視が強い3か国はカタールと断交したが、クウェートとオマーンという、イランに寛容な2か国はカタールとの関係を保持している。エジプト、イエメン、モルジブなどは、サウジから経済援助をもらっている関係で、カタール制裁に参加した(サウジの外交はいつもカネだ)。 (What’s going on with Qatar?) (アルジャジーラがなくなる日)

 サウジやUAEは、2014年にも今回と似た理由でカタールを制裁している。当時、エジプトの軍部(現在のシシ政権)がクーデターでムスリム同胞団のモルシー政権を転覆させて政権をとった直後で、同胞団を敵視するサウジはシシの軍事政権を支持し、シシへの支持をGCC全体の政策にしようとした。だが、転覆された同胞団を支援していたカタールがシシへの支持を拒否したので、サウジとUAEはカタールから自国の大使を帰国させる制裁・抗議行動をした。この時は8か月間の大使召還だけで終わった。だが今回は完全な国交断絶であり、おそらくカタールの君主が退位しない限りサウジは断交をやめない。途中で態度を緩和するとアラブ世界での権威に傷がつくので、サウジは簡単に後戻りできない。 (Saudi Arabia, U.A.E., Bahrain and Egypt Cut Diplomatic Ties With Qatar) (Trump points finger at Qatar over terror financing)

 カタールは、1995-2013年に在位していた前君主のハマド・アルサーニが、ガス田開発による国富の急増、投資庁創設による国際投資活動、米軍を誘致して中東最大の米空軍基地の建設、イランやイスラエル(08年ガザ戦争まで)、ムスリム同胞団やハマスとの関係改善、サウジなどの王政への批判報道を展開するアルジャジーラの設立、エジプトやリビア、シリアなどでの同胞団による「アラブの春」の政権転覆活動への支援、国際会議の誘致(WTOドーハラウンド、地球温暖化対策会議など)、2022年ワールドカップ大会の誘致などを行った。カタールの現君主は前君主の息子で、父親の影響下にあるとされる。サウジの今回の断交は、サウジの権威に楯突くような勝手なことを続けるカタールの君主親子を退位させるのが真の目的と言われている。 (Hamad bin Khalifa Al Thani - From Wikipedia) (What’s Happening in the Persian Gulf)

 今回のサウジ主導のカタール制裁は、5月20-22日に米国のトランプ大統領がサウジを訪問した直後から画策が始まっている(トランプのサウジ訪問時、カタール君主もトランプとアラブ諸国とのサミットに出るためにサウジに招待されていた)。トランプは、サウジ訪問時、アラブ諸国に対し、ISやアルカイダといったスンニ派のテロ組織を根絶するとともに、シーア派のイランと敵対することを呼びかけた。トランプから、アラブとイスラムの盟主として称賛されたサウジ王政は、自らの権威が急上昇したと感じ、以前からやりたかったカタール制裁に踏み切った。カタールは、シリア内戦で(オバマ時代の米国から頼まれて)ISやアルカイダを支援していたし、イランに寛容なので、トランプが敵視する方向と合致していた。トランプは、サウジのカタール制裁に賛成する趣旨のツイートを発した。 (Qatar’s Tensions With GCC Took Root During the Arab Spring) (Trump Says Arab Leaders Accused Qatar of Funding Extremism)

▼カタールを自分の傘下からイランの傘下に追いやった馬鹿なサウジ

 これで、サウジの思惑どおりカタール君主親子が窮して退位に応じると、この話はアラブ諸国内だけのごたごたで終わる。だが今後、そのような展開にはならない。サウジのみと陸続きであるカタールは、食料や日用品の多くをサウジからの輸入に頼っており、断交されて食糧難に陥ったが、すぐにイランとトルコが食料などの供給を開始した。 (Isolating Qatar will not solve crisis, Turkey´s Erdogan says)

 カタールの天然ガスのLNG船は、UAE沖からホルムズ海峡を経由して輸出される。UAEがカタールからの船の領海航行を禁止したため、一時は天然ガスが輸出できなくなると懸念されたが、UAEの対岸にあるイランがすぐに自国の港を貸すことにしたため、この問題も回避された。イランは、カタールを擁護し、サウジこそがISやアルカイダを支援してきたテロ支援国家だと非難している(ISやアルカイダが信奉するワッハーブ派のイスラム教はサウジ王室が総本家)。 (Qatar Says "We Will Never Surrender", Welcomes Turkish Troops As Iran Offers Food, Ports)

 トルコは昨年、カタールと軍事協定を結び、トルコ軍はカタールに基地を作って150人の兵士を駐屯させている。サウジがカタールと断交してカタールへの軍事侵攻も辞さずとの態度をとり始めると、トルコのエルドアン大統領は、すぐに議会に要請してカタールへのトルコ軍増派を決議させた。エルドアンの与党AKPは、ムスリム同胞団との親和性が強く「隠れ同胞団」ともいうべき政党だ。同胞団を擁護するカタールを、エルドアンが支援するのは当然だ。サウジがカタールに軍事侵攻したら、トルコと戦争せねばならなくなる。サウジは軍事的に米国の傘下にあるが、トルコもNATOを通じて米国の同盟軍だ。トルコ軍がいる以上、サウジはカタールに侵攻できない。エルドアンは、自国のエゴでカタールを制裁したサウジを批判し、早く和解しろと言っている。 (Turkey parliament approves troop deployment to Qatar)

 カタールには、中東最大の米空軍基地であるアルウデイド基地がある。米政府は、カタールに対して邪険にできない。トランプは、サウジがカタールと断交した直後、サウジを支持してカタールを批判したが、側近たちからまずいですよと言われたらしく、そのあと軌道修正し、サウジとカタールは早く仲直りすべきで、必要ならホワイトハウスで和解交渉を取り持っても良いと言い直している。欧州ではドイツが、当初から、カタールよりもサウジを批判する態度を表明している。 (Trumpification of relations causing trouble in Middle East: German FM)

 カタールは今後、イランやトルコから支援され、サウジなどから断交されたままでも国家の安全を確保し、経済を回していくだろう。この事態が長引くほど、カタールはサウジやアラブの傘下から離れ、イランやトルコと親密になっていく。カタールとイランのガス田はペルシャ湾の海底にあってつながっており、一体的な開発や積み出しができる。世界の3大天然ガス産出国はカタールとイランとロシアだが、イランとロシアはイラン核問題やシリア内戦を通じて親密な「反米諸国同盟」を形成している。そこに、サウジやトランプから意地悪されたカタールが入ってくると、露イランカタールという世界の3大ガス産出国のすべてが、反米非米同盟として結束してしまう。 (Long Promised, the Global Market for Natural Gas Has Finally Arrived)

 サウジの今回の断交は、カタールを、親米的なGCCから切り離し、反米的な露イラン同盟の方に押しやり、天然ガスの巨大利権を、反米非米的な存在にしてしまう。サウジは、全く馬鹿なことをやっている。米軍は、今後もカタールの空軍基地から出て行かないだろうから、カタールは反米の国にならないが、露イランやトルコとの関係を強化すると、カタールは非米色が増す。 (反米諸国に移る石油利権)

 サウジは今回、イランの国際影響力を削ぐために、自国傘下のGCCにおいてイランと比較的親密だったカタールを制裁し、親イランな姿勢をやめさせようとした。だがその結果、カタールはむしろサウジの傘下から出てイランの傘下に入っていこうとしている。イランの影響力を削ぎ、サウジの影響力を拡大するための策略が、逆に、イランの影響力を拡大し、サウジの影響力を削ぐ結果となる。 (Iran enters the Qatar-Saudi conflict as war draws near)

 そもそも、ISやアルカイダの思想信条的な生みの親は、オサマ・ビンラディンの故郷でもあるサウジだ。シリア内戦において、サウジとカタールは、一緒にISやアルカイダ(ヌスラ戦線)にカネを出していた。サウジこそ、古くからのテロ支援国家であり、カタールのテロ支援を非難できる立場にない。 (Iran's Shockingly Honest Reaction To Trump's Visit To Saudi Arabia)

 一昨年来、サウジの国家戦略は、新国王の息子であるサルマン副皇太子が決定している。私は当初、彼がバランス感覚のある人で、イランとの敵対を緩和していくのでないかと予測したが、この予測は外れている。サルマンはイランとの敵対から抜けられず、新たなイラン敵視策を打つたびに、逆にイランの影響力が拡大する結果を招いている。シリアでもイエメンでも、今回のカタールでも、それが起きている。米国にしてやられて開始したイエメン戦争も終わらせられず、泥沼の戦闘が続いている。石油価格の操作と財政政策でも失敗し、サウジは財政難がひどくなっている。 (サウジアラビア王家の内紛) (中東諸国の米国離れを示す閣僚人事) (米国に相談せずイエメンを空爆したサウジ)

 今回のカタール制裁は、サウジ自身の発案でなく、UAEの駐米大使(Yousef al-Otaiba)が、米国のイスラエル系のネオコンなシンクタンク(Foundation for Defense of Democracies)と謀って進めたものだと、米政界の地政学戦略の分析が鋭いジム・ローブが書いている。サルマンは、軍産複合体・ネオコン系の側近の戦略を重用し、それがサウジにとって自滅的な隠れ多極主義的な効果をもたらしているのかもしれない。サウジの国家戦略は、異様に失敗している。 (What’s Happening in the Persian Gulf)

▼隠れ多極主義の罠にはまってイランを強化しつつ自滅する馬鹿なサウジ

 今回のサウジの失策は、シリア内戦が露イラン・アサドの勝ち、サウジやカタールが支援したISアルカイダの敗北で終わろうとしていることと同時期に起きている。イランと、その傘下のイラク政府軍・シーア派民兵団は、イラクのモスルでも、ISを壊滅させようとしている。これらのIS退治が終わるとシリアとイラクは安定に向かいそうだが、シリアもイラクも、イランの影響圏になる。トルコは、もともとサウジやカタールと協力してISアルカイダを支援していたが、シリア内戦が終結する今、イランと協調関係を強化しつつある。 (Battle to Liberate Raqqa from Isis 'Will be Over Quicker Than Mosul')

 今後、シリアとイラクでは、クルド人の国家建設の動きが強まる。イラクのクルド人は、モスル陥落予定後の9月末に独立を問う住民投票を行うことにした。シリアのクルド軍YPGは、米軍に支援され、ISの首都ラッカの攻略を開始した。シリアのクルド人は、シリア北東部の広範な地域を支配することになる。クルドは劇的に台頭している。 (Iraqi Kurds plan independence referendum on Sept. 25) (Kurdish YPG says 'major operation' on Syria's Raqqa to start in days)

 クルドの国家建設が大きな脅威であるトルコは、同じくクルドを包囲するイランやイラク政府(シーア派)、アサド政権(露イラン傘下)と協力していかざるを得ない。クルド人が台頭するほど、トルコにとって、イランとの関係が重要になる。NATOやサウジとの関係は切り捨てられる。サウジに敵視されたカタールを、トルコがイランと一緒に支援するのは、トルコにとって大きな意味がある。 (Rouhani, Erdogan seeking new chapter in Iran-Turkey ties)

 こうした中東の国際関係の組み直しの中で、サウジは負け組に入っている。トランプはサウジに、パレスチナ和平を進めるよう要請したが、その直後にサウジが挙行したのは、パレスチナの対立する2つの派閥の一つであるガザのハマスを擁護してきたカタールを制裁し、ハマスとの縁を切れと要求することだった。サウジが中東和平をやるには、カタールと仲良くして、カタールやエジプトがハマスの、サウジやヨルダンがファタハの後見人となり、両者を和解させた上でイスラエルと交渉する必要がある。だがサウジは、エジプトも巻き込んでカタールを敵視し、パレスチナを和平に向かわせる方向性を自ら破壊した。

 このサウジの動きを見て、イスラエルで中東和平に反対する勢力は大喜びしている。親イラン・親ハマスのカタールを切り捨てたサウジやエジプトと、イスラエルが協力関係を強める好機だという言説がイスラエルで流れている。確かにそうだが、サウジは、カタールを切り捨ててイラン側に押しやり、自らの国際政治力を低下させ、中東和平も推進できなくなった状態で、仕方なくイスラエルと組むことにしかならない。そんな弱まったサウジと組んでも、イスラエルにとって大したプラスにならない。イスラエルにとって今後の大きな問題は、サウジでなくイランとの関係をどうするかになっている。イランが台頭し、サウジは大したことない存在になっている。この変化は、東アジアにおいて、中国が台頭し、日本が大したことない存在になっているのと似ている。 (Israel backs Saudi Arabia in confrontation with Qatar)

 サウジがカタールと断交した2日後の6月7日、イランの首都テヘランの国会議事堂とホメイニ廟で、ISによる同時多発テロがあった。イランの政府や軍部(革命防衛隊)は、ISがサウジ系のワッハーブ主義のイスラム教を信奉していることから、テロの背後にサウジがいると非難している。間抜け(不運)なことに、このテロが起きる直前、サウジの国家戦略を決めているサルマン副皇太子が「イランはメッカを奪いにくる。それを防ぐために、今後のイランとの戦いはサウジでなくイランの国内で展開せねばならない」とテレビで発言した。イラン側が、この発言とテロを結びつけ、サルマンが傘下のISに命じてテヘランでテロをやらせた、と非難する事態になっている。 (Iran releases information on, photos of terrorists in Tehran attack)

 テヘランのテロは、イランの国際影響力を強化する効果を生んでいる。イランではそれまで、革命防衛隊や宗教指導部が、巨額の資金を必要とする、シリアやイラク、レバノンなどへの軍事支援強化に積極的な半面、一般市民は、なんでそんな外国を救うことに大事な国家の資金を使うのか、もっと国内の経済対策にカネを回せと批判的だった。この市民の批判が、最近の大統領選挙での穏健派ロハニの再選につながっている。 (Re-elected Iran Moderate Rouhani Faces Entrenched Interests)

 今回のテロは、そうした対外支援反対のイラン市民の従来の姿勢を急減させ、ISなどサウジ傘下のテロリストをやっつけるため、シリアやイラクやカタールを支援すべきだという国民意識を扇動する結果になっている。サウジは王政の独裁だが、イランは一応民主主義だ(宗教指導部に嫌われたら立候補できない「イスラム共和制」)。イランの民主主義の殿堂である国会議事堂を、サウジと親しいISがテロ攻撃したことは、イラン市民から見ると、独裁のサウジがイランの民主主義を憎んでテロをしたということになる。これはイラン人のナショナリズムを掻き立てる。現在のイランの国体を作ったホメイニの廟をISが襲撃したことも、同様の扇動行為だ。ISのテロは、イランを強化している。 (Iran's Sunni militants boosted by regional sectarian tension) (Iran blames Donald Trump for escalating Qatar diplomatic crisis)

 テヘランのテロで得をしたのはISやサウジでなく、ISやサウジを最も敵視するイランの革命防衛隊や宗教指導部である。サウジのサルマンがISに命じてテヘランでテロをやらせたのだとしたら、サルマンは全く馬鹿なことを、馬鹿なタイミングでやっている。実際にISにテロをやらせうるのは、サルマンらサウジ王政でなく、ISの生みの親である米国の軍産CIAだ。テヘランのテロは、隠れ多極主義的な事件である。もしくはイラン当局の自作自演かもしれない(イラン南部には反政府的なスンニ派アラブ系住民がおり、当局のスパイが彼らをそそのかしてテロをやらせられる)。トランプは、テロはイランの自業自得だとツイートしている。トランプが(わざと)がさつな放言っぽい感じで発するコメントが、イランの市民の反米ナショナリズムをますます煽る。 (Iran FM slams Trump’s remarks on Tehran attacks as ‘repugnant’) (敵としてイスラム国を作って戦争する米国)

 カタールは、軍産CIAネオコンの忠実なしもべだった。カタールは08年まで、イスラエルと仲が良かった。アラブの春は、米国の軍産CIAとその一味たる米民主党が好んだ政権転覆策であり、エジプト政府がムバラクから同胞団に変わったのは、オバマとカタールのおかげだった。カタール君主が作ったアルジャジーラは、軍産ネオコンが好む中東民主化を扇動してきた。 (Qatar cut off by major Arab states for supporting terrorism following Trump’s Saudi visit)

 トランプは、軍産CIAネオコン民主党の敵である。そのトランプが、サウジをけしかけてカタールを制裁させ、カタールを軍産CIAの傘下から、軍産CIAの仇敵であるイランの傘下に押しやった。そして、中途半端に軍産CIAにぶら下がるサルマンのサウジが馬鹿を見ている。このように読み解くと、今回のサウジのカタール制裁が、トランプ革命と関連していることも見えてくる。トランプは最近、CIAに命じて、イランに嫌がらせするための専門の部局を新設した。こうした部局も、嫌がらせを通じてますますイランを強化する効果を生むことになるかもしれない。国際政治は全く逆説的で興味深い。 (CIA Creates New Mission Center to Turn Up Heat on Iran)




エジプトでモルシー支持派がアルカイダと連携

2019年07月23日 | シリア

 

 

 

 


チュニジアの国旗

 

2010年12月17日朝、チュニジア中部のシディ・ブジドで、失業中だったM・ブアジジという26歳の青年が、青果物を街頭で売り始めたところ、販売の許可がないとして警察官が商品や秤を没収、暴行を受け、没収品の返還を求めるや賄賂を要求されました。この青年がこのことに抗議して同日午前11時30分、県庁舎前で焼身自殺を図ったのです。

 

この国の失業率は公式発表では14%をはるかに超え、実際には青年層では30%に近いとされ、社会には不満が満ちていました。この焼身自殺事件に端を発して反政府デモが発生、拡大し、軍もまた232年に及ぶ独裁を続けているベン=アリー大統領から離反し、1月14日、大統領はサウジアラビアに亡命しました。チュニジアを代表する花がジャスミンであることから、これを「ジャスミン革命」と呼ぶことが定着しています。「アラブの春」の始まりで、その後、リビアのカダフィ政権が倒され、エジプト、シリアと波紋は広がっています。

 

しかし、この「ジャスミン革命」ではこれまでのところ、チュニジアの国旗は変更されていません。それは中東諸国ではきわめて珍しいことです。

 


ムバーラク大統領が1984年に採択した国旗

 

騒乱はエジプトに飛び火しました。

 

エジプトではホスナー・ムバーラク大統領の非常事態宣言を継続する支配が30年近くにも及び、野党政治家への弾圧は恣意的かつ人権を無視する状況が続いていました。それでも、今世紀に入ってからの経済成長は年間57%以上を遂げてきたのです。しかし、チュニジアと同じく様年層の失業率は高く、20代では2割という報告もあります。また、国民の4割以上が1USドル以下で、また、約2割は1日2USドル以下で生活しているとも言われる中で、物価高は深刻でした。

 

そんな中でチュニジアの政変がエジプトに飛び火しました。既に2010年6月にインターネットを通じて警察の不正(薬物犯罪担当警察官による麻薬の密売)を告発・追及したアレクサンドリア出身のコンピュータ技術者H・ザイードが、官憲に撲殺されたという事件が起こって、国民の同情を買っていました。そんな下地がある中での「ジャスミン革命」、2011年1月14日には首都カイロのチュニジア大使館前で反政府デモが発生しました。そして、1月17日から18日にかけてはカイロやアレクサンドリアなどで合わせて3人が抗議と反抗を呼びかける焼身自殺を図りました。

 

イスラム教の礼拝日である金曜日に合わせ、ネットやクチコミで呼びかけたデモが急速に盛り上がり、大統領は2月11日、ついに退陣を表明したのです。その後収監され、さらに病床に伏していたムバーラク前大統領は2012年6月20日、逝去しました。





新大統領選出でエジプトの国旗はどうなるか

 

 


王政時代のエジプト国旗(~1958年)

ムバーラク大統領が1984年に採択した国旗

 

今のエジプトの国旗は独立以来5回目の国旗です。イラク、シリア、スーダン、イエメン、イランも革命やクーデターの都度といっていいほど頻繁に変わりました。

 

 

この写真はモルシー新大統領当選を喜び、6月24日にカイロの中心部タハリール広場に集まった支持者たちの様子です。テレビの報道などを合わせると、集まった人たちはこの写真にあるエジプトの国旗のほか、復活したリビアの国旗(写真右上)や、シリアの反政府運動の人たちが掲げているシリアの旧国旗なども見られます。アラブの連帯を意思表示しているのかと思われます。

 

ただ、現在のエジプトの国旗は、1984年10月4日に、今回、打倒されたムバーラク大統領の意向で改訂されたものです。ですから、そう遠くないうちに変更になるような気がします。あるいはその時がモルシー大統領と軍との対立の1つのピークになるときかもしれません。

 

6月25日付の産経新聞はエジプトの今後について、以下のように報道しています。今後を注意深く見ていく必要がありそうです。

 

エジプトでは、暫定統治を担う軍最高評議会が先ごろ、自由公正党が最大議席を握る人民議会(下院に相当)を解散し立法権を掌握しただけでなく、新憲法制定プロセスをも独占する気配をみせている。旧政権で保証されてきた軍部の特権的地位を守るため、今月末に予定される民政移管を前に、民主化プロセスの「骨抜き」を図っているとみられる。

エジプトでは1952年のクーデターで王政が打倒されて以来、軍部が歴代大統領を輩出しており、非軍出身の大統領はモルシー氏が初めてとなる。モルシー氏としては、軍部に妥協しながら政権運営を進めざるを得ず、民主化の前進を実現できるかは不透明だ。

また、負けたシャフィーク氏の支持者や、モルシー政権誕生に危機感を抱く旧政権関係者らによる抗議行動も予想され、混乱が長期化する恐れもある。




エジプトでモルシー支持派がアルカイダと連携

2013.07.11 木曜日

騒乱が続いているエジプトで7月5日、36人もの死者が出、1,342人が負傷した。

内外の報道を総合すると、エジプトのモルシー前大統領を支持する武装勢力の一部は、国際テロ組織アルカイダの旗を掲げている模様だ。シナイ半島の要衝アリーシュ(半島北部、地中海に臨む)では過激派が県の庁舎を襲撃し、この旗を掲げたという。


反モルシー派が掲げているエジプトの国旗

アルカイダの旗。
モルシー前大統領の復権を求める一部は国際テロ組織アルカイダとの連携も。

この旗の由来は明らかではないが、「コーラン」冒頭の聖句「アッラーの鉾に神はなくムハンマドはアッラーの預言者なり」と満月を描いたもの。

モルシー氏の支持母体でありその復権を目指するイスラム同胞団はこのほか、「一連の騒擾はエジプトによるイスラムへの宣戦布告だ」と唱えるエジプトのイスラム急進組織「アンサール・シャリーア」とも連携を強めているそうだ。

アリーシュはイスラエルに近いため、エジプト軍の駐留に国際的な制限があり、これまでもイスラム過激派の温床になってきた場所。

 

 

 

2013.07.02 火曜日

世界が今注目しているのは、元CIA職員エドワード・スノーデン容疑者がどうなるかとエジプトの反政府運動。前者については、たった今、日本テレビの報道エブリ(2日16:53からオンエアの予定)でしゃべってきたばかりなのだが、ロシアとアメリカはきっと早急に「大人の解決」を図ると思う。先日、朝日新聞の取材も受けたが、こちらは大きな記事の一部としてだが、いつ掲載されるかわからない。

さて、エジプトだが、6月30日には、政府系のアル・アハラム紙の報道でも、200万人もが、デモに参加したとのこと。これは2011年2月、ムバラク政権を倒して以降、最大規模となった数字である。死者も相次いでいる様子だ。

デモの参加者の多くが国旗を掲げ、モルシ大統領の写真に大きく×印を付けたプラカードを掲げている。軍は自制しつつも、48時間以内の収拾を大統領に迫っているし、既に5人の閣僚がデモ側に賛同して辞任した。(7月2日1500に執筆)

きく見えるからかもしれない。


エジプトの国旗

写真はロイターより。

現在のエジプトの国旗は1984年、ムバラク大統領が紋章部分を「サラディンのワシ」に変えたものであり、今回の騒乱がモルシ大統領の退陣という形で終わったなら、もしかして変更される可能性がある。

「サラディンのワシ」は20世紀の汎アラブ主義のシンボルであるが、実は、古学者や歴史学者の議論の的となっている。すなわち、このシンボルはもともとサラディンが建設したカイロの城塞の西壁にあったもの。一般にはこれがサラディン個人の家紋のようにみなされてきたが、サラディンがこれを自分のシンボルにしていたという証拠はこれ以外ほとんどないそうだ。このため、サラディンとこのワシ結び付けうる確証はないとされる。

ワシが文字通り鷲づかみにしている表示板にはアラビア語で「エジプト・アラブ共和国」と正式な国名を書いてある(右から左に読む)。

 


アメリカ:闇の支配構造と略奪戦争

2019年07月23日 | シリア


アメリカ:闇の支配構造と略奪戦争
256311 アルカイダは存在しない。それはアメリカが戦争遂行を正当化するためにアメリカによって作り上げられた。 1/2
 
きっちょむ ( 大阪 会社員 ) 11/09/01 PM09 【印刷用へ】
以下に紹介するのは、仏ジャーナリスト、リシャ-ル・ラベヴィエ-ル氏が登場する2003年に放送された対談番組の一部です。

彼は、アルカイダという組織は実際には存在せず、それはアメリカが終わりなき戦争を遂行するために作り上げたもので、ビンラディンらアルカイダがいると言い続けることでアメリカは軍隊をあちこちに配置できたといいます。
そして、アルカイダとは既にあった土着的でバラバラな小集団のテロ組織に、アルカイダというラベルを貼り、テロ組織を地域的なものから世界的なものへと押し上げ、大規模な軍の展開の正当化を図るために利用されたと・・・・
最後にはブッシュらとビンラディンの裏の繋がりまで押さえられています。

既に知られた内容もありますが、ここまでまとまった内容は初めてみました。

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アルカイダは存在しない テロの真の首謀者・資金源
リンク

仏ジャーナリスト、リシャ-ル・ラベヴィエ-ル。主著『テロのためのドル 合衆国とイスラム主義者』  2003年放送

以下は上記YOUTUBEにUPされた動画の対談を書き起こしたものです

司)=司会者  リ)=リシャール・ラベヴィエ-ル氏


司)「アルカイダは存在しない」これがあなたの最も注目すべき一文です。あなたによれば、石油やアメリカが独断で行う終わりなき戦争などの目的を正当化するために、アルカイダが必要であり、アルカイダはメディアの見事な創作である。
アルカイダとは、実際の事件を超えて、アメリカが作り上げたものだというのですね。

リ)9.11の前はアルカイダのことは話題になりませんでした。しかしサラフィスト活動家、ムスリム同胞団のイデオロギーを持つサウジアラビアのワービットは、10年前からアルジェリアやエジプトや東南アジアで人々殺害していました。
世界貿易センターへの最初のテロは、1993年だったことも忘れてはいけません。アメリカの情報局はこの組織の正体を完全に把握していました。
この組織はアメリカの道具になり、アフガニスタンの戦争での対ソ戦でもよく利用されていました。

司)つまり全てがすでに存在していたということですね。

リ)アメリカは9.11の後、アルカイダのラベルをその組織に貼り、それは大規模な軍の派遣を正当化し、世界中にアメリカの見方を強制するためだった。
転機は2002年10月バリ島のテロと同11月のモンバサのテロ、そして2003年5月のカサブランカとリヤドのテロ、最後にイスタンブールのテロです。
アルカイダもビンラディンも、これらのテロとは何の関係もありません。これらは地方の土着の人々によるテロで、その地域の経済、政治的状況が原因です。
アルカイダは、地域的なものを世界的な規模にするためのラベル、準拠として利用されました。

司)あなたの本にとれば、アルカイダはかつての国際共産党組織コミンテルンのような国際的ピラミッド型構造を持たず、独立した複数の少数団であり、テロリズムの地方移転である。

リ)それがアメリカの第2次大戦後最も大規模な戦略的軍事展開のために利用されました。ビンラディンがあちこちにいるといい続ければ米兵をあちこちに配置できます。軍事的影響のため、また経済的戦略のためです。

司)アリバイというわけですね。

リ)そうです。

司)あなたは世界がオーウェル的になったと言います。「1984年」のオーウェルですね。メディアによる大量偽造の世界、テロリズムに対する終わりなき戦争、あいまいな準拠が、どんな軍事介入も正当化するということですね。

リ)冷戦終結後は、アメリカという帝国は敵を失いました。帝国にとっては重大なことです。それで敵を作り出す必要があります。終わりなき戦争のイデオロギーは戦争のイデオロギーに取って代わるものです。そのお陰で帝国は再び軍を派遣し米兵を世界各地に置くことができます。敵を持ち続け、ブッシュや新保守主義の言うテロリズムへの終わりなき戦争を続けられます。


司)目的は中央アジアの石油ですね。

リ)それは目的の一つです。他にも理由はあります。そのもっともよい準拠は、アメリカがバクダッドに侵攻したときバクダット博物館で略奪を放置し・・・人類文明初期の豊かな考古学的遺産が保存されていました。
それに対して、保護された唯一の場所が、石油生産省の建物だった。

司)アメリカによるイラクの石油支配はOPECの支配に繋がるとあなたは言います。イラクは以前と違い現在OPECにおいて有力です。

リ)石油の埋蔵量というよりは、石油の相場の支配に関してです。

司)それに関して、アメリカはイラク占領以来サウジアラビアの石油にあまり頼らなくなっています。
あなたは、アメリカとサウジアラビアの関係を調べ、最も高いレベルで金融汚職が行われており、いつか暴露される危険があると述べ、「ビンラディンゲート」という表現を用いています。

リ)テロ組織とその資金を研究するとまさに「ビンラディンゲート」です。(この番組が放送された2003年の)12年前から金融構造の研究をしており、ジュネーブで金の往来を観察してきました。調べるとソマリアやパキスタンの銀行には結びつかず、サウジアラビアの金に結びつきます。この金はアメリカの金と提携し、それをたどると、ベクテル、ハリバートンやカーライルなどのアメリカの大きな軍事複合会社へ至ります。これらの会社が現在のイラクの再構築を担当しています。
これらの会社の経営協議会には、共和党の名士やブッシュ政権の新保守主義者のイデオローグが名を連ねているだけでなく、父ブッシュもカーライルの役員で、元CIA長官カールッチも同様です。「ビンラディンゲート」というのは、あなたが真面目に現在のテロリズムの資金を調査すれば、あなたの行き着く先はどうしてもアメリカ、オフショア、イギリス・ノルマディー島、バハマ島、ケイマン諸島、キュラソー島だということです。
すなわち、アメリカ人がその秘密を明かすことを恐れる国際金融の仕組みに行き着くのです。

(続く)

 

 

 

 

2008年10月19日 (日)

アメリカの覇権追求-「アルカイダの脅威」なるもの

ユスフ・ナザール

 

2008年10月13日、月曜

ザ・ニューズ(パキスタン)

 

 

アメリカ合州国で今受け入れられている認識は、パキスタン北西部の過激派が、パキスタン-アフガニスタン国境沿いに、アルカイダに対する安全な隠れ家を提供しており、アメリカの安全保障に対する最大の脅威は、この地域から来るというものだ。アメリカの高官も、ジャーナリストも、シンク・タンクの誰も、アラン・グリーンスパンが著書『波乱の時代』で書いている疑問を呈しておらず、答えてもいない。

 

「ワシントンにおいて、なぜ二度目の攻撃がないのだろう?という疑問ほど重要な疑問はありえない。もしもアルカイダの狙いが、ビン・ラディンが宣言したように、アメリカ経済を崩壊させることであれば、攻撃は続くはずだ。アメリカ社会はオープンで、国境は穴だらけで、武器や爆弾を探知する能力は脆弱だ。私はこの疑問を政府の最高レベルにいる多数の人々に尋ねたのだが、誰一人として説得力ある答えを持っていなかった。」

 

グリーンスパン氏は一般人ではない。彼は、単に連邦準備制度理事会の元理事長だっただけではない。彼は、ジョージ・ブッシュ、ディック・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルドや、他のトップ指導者と長年の知り合いであり、ワシントンの重要人物の誰とでも自由に話すことができたのだ。彼が説得力のある答えを得られなかった理由は、[アメリカ]政府最高レベルの連中が答えを持ち合わせていなかったからだ。なぜだろう?

 

2007年12月21日、アメリカ国防長官ロバート・M・ゲーツは、復活したアルカイダ・テロリスト・ネットワートは、攻撃の中心をパキスタンに移したと語った。「アルカイダは今やその顔をパキスタンに向け、パキスタ政府とパキスタン国民を攻撃しているようだ」ゲーツは報道記者たちに語った。

 

ワシントン・ポストは、ペンタゴンのトップは、パキスタンにおけるこの集団の作戦の特徴や場所には具体的に触れなかったと書き、国防長官による評価を切り捨てた、アフガニスタン-パキスタン国境における対テロリスト作戦のペンタゴン専門家の発言を引用している。「ゲーツは、この政権が過去六年間やってきたのと同じように、盲信しているのです」。この人物はあの地域の戦士たちはアルカイダと無関係だとも語っている。この人物、仕事を失いたくないため、匿名を条件に語っている。

 

アルカイダがパキスタンの他の地域でも、本当の脅威かどうかも明確ではないと、国務長官の元南アジア担当次官補代理テレシタ・C・シャファーは語っている。「明らかに、パキスタンという国家に対する大きな脅威として、過激派の暴力が浮上しています」彼女は語っている。「それがアルカイダかそうでないかは知りません。」

 

2008年1月2日、それぞれ9/11委員会の委員長と副委員長をつとめた、トーマス・H・キーンとリー・H・ハミルトンが、ニューヨーク・タイムズで社説の反対側に掲載される論説記事を書き、抑留者尋問のビデオテープがあることを政権の誰も委員会に話さなかった隠ぺい工作に関し、アメリカ政府を非難している。「法律問題として、こうしたテープの存在を明かさなかったCIAの過ちを調査するのは、我々の責任ではない。それは他の人々の仕事だ。我々が知っているのは、政府幹部が、この国が直面した最大の悲劇の一つを調査すべく、議会と大統領が作った合法的に制定された組織に、その情報を知らせないと決定したということだ。我々はこれを妨害と呼んでいる。」これが二人の結論だ。

 

委員会自身、事実の全貌追求には熱心ではなかった。報告書の172ページで、究極的に誰が攻撃に資金をだしたかという問題は「実際上ほとんど重要ではない」と述べ、「今日に至るまで、アメリカ政府は、9/11攻撃に使われた資金の出所を割り出せていない。」と書いている。その通り。9/11委員会は、その報告書で、究極的にこの犯罪に関与した連中につながる、金の流れを追うことは重要ではないと結論づけているのだ。

 

9/11の黒幕とされるハリド・シェイク・ムハンマドを、逮捕から五年以上過ぎても、通常の民事の連邦裁判所で裁判することをアメリカ政府が拒否していることは周知の事実だ。

 

なぜアメリカ政府は、9/11攻撃につながるアルカイダの資金の流れを追求しようとしないのだろう? グアンタナモ湾におけるアルカイダ抑留者の何百時間もの尋問を撮影したビデオ・テープを、CIAは一体なぜ破壊したのだろう? なぜアメリカ議会の議員たちによる独自の調査を妨害しようとしたのだすう? なぜペンタゴンとCIAは、ハリドや他のアルカイダ・メンバーを通常の裁判所で裁こうとしないのだろう?

 

これらは決定的かつ極めて重要な疑問だ。アメリカがこうした極めて重要な疑問に答えられない以上、彼等を批判する人々が、アルカイダがパキスタンに安全な隠れ場を持っているという彼等の理論に疑念を持つのは、当然であり、道理にかなったことだ。

 

過去において、アメリカ諜報機関はサダム・フセインが大量破壊兵器を持っていると結論づけた。この嘘には、しっかり証拠文書が揃っているので、これ以上のコメントはいるまい。本当の動機は、イラクを征服し、その油田を支配することだった。

 

2007年10月、ブッシュ大統領は、核武装したイランは「第三次世界大戦」をひき起こしかねないと示唆し、もしもテヘラン政府が核開発計画を廃棄しない場合に、「深刻な結果」をディック・チェイニー副大統領は約束した。だが、アメリカの支配層とその諜報機関は、焦点をイラン以外の場所に移すことに決定した。2007年12月、アメリカの16の諜報機関全てによる見解の合意である国家情報評価が、テヘランは、核爆弾開発に向けて執拗に活動しているという2005年の自らの判断に反して、イランは2003年に核兵器計画を中断し、計画は凍結されたままだと結論を出した。

 

アメリカが、これまでのところ、9/11攻撃の責任が誰にあるのかをはっきりさせそこねていること、9/11以来、アメリカ本土にアルカイダの攻撃が無いという事実、イラク戦争の背後にある本当の動機、そして、イランの核開発計画にかかわる組織的な偽情報キャンペーンを考えれば、パキスタンアにおけるメリカ政策の本当の動機に疑問を抱くのは、極めて論理にかなったことだ。

 

サラ・ペイリンとのディベート中に、民主党副大統領候補ジョー・バイデンが行った有害な発言によって、この問題は、より重大かつ緊急な重要性を帯びることになった。「パキスタンの(核)ミサイルは、既にイスラエルを攻撃している可能性があった」とバイデンは大声で言ったのだ。しかし彼は一体何の話をしていたのだろう? パキスタンにはイスラエルを攻撃する能力はない。パキスタンはこれまでにイスラエルを脅迫したことはない。ワシントン・ポストのジャクソン・ディールは(10月3日)こう書いた。「バイデンの発言のかなりの部分は、誇張か歪曲か、さもなければ単なる嘘だ- 特に彼の専門領域とされている海外政策において。」

 

ロバート・フィスクは、イギリスのインデペンデント紙(10月4日)記事で、7,000のイスラム教神学校が建設され... そして、そこにビン・ラディンが暮らしており、具体的な(原文のまま)諜報情報さえあれば我々は彼を追跡するという、バイデン発言をあざけった。フィスクはこうとがめた。「7,000校? 一体この数字はどこから出てきたのだろう? そう、パキスタンには何千もの神学校があるが、全てが国境沿いにあるわけではない」。フィスクはアメリカの本当の狙いを警告している。「『パキスタン国内の世界に対する邪悪』に対する次の戦いに備えなければならない。」

 

アルカイダの脅威とされるものに対する、アメリカ・マスコミやシンク・タンクによるあらゆるプロパガンダにもかかわらず、現実は別の話を物語っている。2008年8月5日、ニューズ・インターナショナルは報じた。「ムシャラフ大統領と、カヤニ将軍と、ナディーム・タジISI(パキスタン統合情報局)長官が、アメリカ統合参謀本部議長マイケル・マレン海軍大将とCIA副長官スティーブン・R・カッペスとの、7月12日ラワルピンジでの個別会談中に、パキスタン国内におけるテロをアメリカが黙認していることの強力な証拠と状況証拠の概略を示した、と非の打ちどころのない当局筋が語った。」アメリカ軍の最高司令官とCIA幹部は、2008年5月24日に、バイトゥッラー・メフスードの正確な居場所を知らされた際に、CIAが操縦するプレデター無人偵察機とアメリカ軍が、なぜ即座に行動しなかったのかということも質問された。

 

バイトゥッラー・メフスードのいとこで、いわゆるタリバン-エ-パキスタンの元指導者アブドゥラー・メフスードは、アフガニスタンで、2001年12月アメリカ軍によって逮捕され、2004年3月まで拘留され、グアンタナモ湾収容所から出所し、ワジリスタンへの帰国を許されたことは記録に残っている。二人の中国人技術者を誘拐した後、ムシャラフが中国から強い圧力を受けた際に、パキスタンの治安部隊によって、殺害されるまで「過激派」を組織する上で、アブドゥラー・メフスードは重要な役割を演じていた。

 

結局、こうしたこと全てが、パキスタンにとって何を意味するのだろう? こうしたことの全てが、一体何につながるのだろう? パキスタンにおけるアメリカ合州国の現在の戦略的目標は何だろう? オタワ大学の教授で、カナダのセンター・フォー・リサーチ・オン・グローバリゼーション所長のミッシェル・チョスドフスキー教授は、以下の身も凍るような説明をしている。

 

「政治的な手詰まりは意図的なものだ。それは今展開中の、パキスタンという国家構造の崩壊と混乱を望む、アメリカ海外政策目標の一部だ。パキスタン軍と諜報機関による間接支配が、パキスタン国内におけるアメリカ軍駐の留拡大を含む、アメリカの干渉という、より直接的な形で置き換えられようとしているのだ。この軍事駐留の拡大は、更に、中東-中央アジアの地政学的状況と、中東戦争をさらに広域に拡張しようという、ワシントンが継続している計画によっても、決定されている。」

 

著者は経済学者であり、“The Gathering Storm in Pakistan: Political Economy of a Security State”(Royal Book Co.、2008)の著者。Email: ynazar@cyber.net.pk

ynazar@cyber.net.pk

 

記事原文のurl:www.thenews.com.pk/daily_detail.asp?id=140670

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アルカイダと同胞団の共闘?

2019年07月23日 | シリア

アルカイダと同胞団の共闘?

あまり知られていないかもしれませんが、エジプトはテロとの戦いの最前線のひとつです。

エジプト軍は現在、シナイ半島でテロリスト掃討作戦を展開しており、昨日は8カ所の隠れ家、3カ所の地下倉庫、5カ所の地下トンネルを破壊し、テロリストを13人拘束、うち3人はハマス、もう3人はアルカイダのメンバーだった、とのことです。

ムスリム同胞団が政権をとっていたころは、どの新聞においても、どの識者も、「エジプトにはアルカイダはいない」とか、「思想的にアルカイダに毒された人はいるが、アルカイダ組織やメンバーはいない」と口を揃えて言っていたのですが、7月の政変以降は、今度はみんなが口を揃えて、「エジプトにアルカイダはいるっ!!」と力強く断言するようになりました。

なんなんでしょうね、この変わり身の早さは・・・。

様々な記事を総合してみるに、これは別に最近になって急にアルカイダがエジプトに進出してきたというわけではなく、前々からいたんだけど、同胞団時代には報道規制があって、アルカイダがいる、とか言えなかったんだよね、ということのようです。

しかも単に、同胞団は、アルカイダがエジプトの地を蹂躙しているということを、国民に知られたくなかったというだけのことではなく、同胞団がアルカイダと共闘する意図を持って、かなり積極的につながっていたという証拠や証言も、あちこちから出て来ています。

例えば、昨日UAEのメズマー研究センターというところが発表した報告書によると、エジプト軍は現在実施しているテロ掃討作戦において、ムスリム同胞団のメンバーと、様々なテロ組織と、モルシ前大統領の諮問官らとの間でかわされていた秘密文書や証拠を多数入手した、とのことです。

アリー・マイサル・アブドゥッサイイド・ターハというタクフィール組織のリーダーが先日拘束されたのですが、彼のもとからは多数の携帯電話が押収され、それらにはモルシ前大統領の補佐官であるイマード・アブドゥルガッフールや、諮問官であるアイマン・ハドハド、アスアド・シェーハらの電話番号が登録されていたそうです。

筋によると、同胞団は政権について以降、シナイ半島とスエズの通行許可権を完全に掌握、爆弾を作る材料になるTNT火薬を0.5トン入手し、爆弾を作る訓練をうけたアルカイダのメンバーを多数エジプトに入国させた、とのこと。そして、なんとまあ、彼らは大統領府に所属する車に乗せられてシナイ半島に行き、ハマスの傘下に入ってせっせと爆弾を作っていた、とも報告されています。

筋はまた、エジプト軍の押収した書類には、同胞団副団長でロンドン在住のグムア・アミーンと、同胞団国際部長でイスタンブール在住のイブラヒーム・ムニール、ガザにいると思われるマフムード・エッザトらの交信記録も含まれているとしています。

相変わらず、この手の話は、何がどこまで本当なのかさっぱりわからないのですが、大統領府の車にのってアルカイダがシナイ入りし、そこでハマスとせっせと爆弾を作ってるって・・・同胞団はまだまだ、エジプト政府と正面きっての武力衝突を画策しているということでしょうか?

シナイ半島以外のエジプト各地では、いまだに同胞団員がデモをしたり、大学で他の学生と衝突したり、交通を麻痺させようと地下鉄ジャックを試みたり、なんだかもうかなりグテグテな感じであれこれとやっているのですが、指導部の機能はどうなっちゃったんですかねえ?

同胞団は、軍隊的な上意下達組織ってことになってるはずなんですが・・・

武装作戦と市民運動と、二本立てで行きましょう、ってことになってるんでしょうか?

更にはこんな、同胞団支持を表明する「ラービア・グッズ」が売り出されたりもしていて・・・

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どっちの方向に向かおうとしているのか、さっぱりわかりません。

先週、裁判所が同胞団のあらゆる活動を禁じる判決を下したのですが、今後の展開からまだまだ目がはなせません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ジハードは誰のもの?

エジプトのイスラムの「公式な」権威は近頃、発言を活発化させています

先日はエジプトの大ムフティーであるシャウキー・アッラーマが民放テレビに初出演し、先だってのヨーロッパ歴訪や正しいジハードとは何かについて、長々と話しました。



まあ。。。誰もこんなの興味はないと思うのですが、私にとっては非常に興味深い内容です。

アッラーマ師曰く、正しいジハードとは、

「お国(エジプト)が宗教(イスラム教)と国民(エジプト人)を守るために発動する防衛ジハード」

のみであり、そのジハードに参加して死んだ者は殉教者になる、とのこと。

一方、過激派が「伝統的書物(イスラム法の古典書)」に依拠してジハードを勝手に発動することは、「伝統に対する冒涜」であり、「宗教(イスラム教)の濫用」である、とのこと。

なぜそうなのかというと、「過去のイスラム法的判断を現代に無条件的に適用することは認められない、というのがアズハルとファトワー発行局の考え方だから」、だそうです。

そうなんですよねー、問題はここにあるわけです。

『コーラン』の章句やハディース、古典イスラム法の規範をそのままダイレクトに適用するイスラム国のような過激派の解釈に対抗するには、「あらゆる規範は場所と時代に応じて変更される」という方法論を持ち出すしかないわけで、どうも弱い。

私はこの方法論が歴史的にどのように構築されて、実用化されてきたかを研究していた(いる)ので、アズハルの言いたいことはよくわかるのですが、弱点もまたよくわかってしまうわけです。

先日、エジプトの公式宗教権威はイスラムに宗教改革をもたらそうとしている、と書きましたが、方向性はこっちに向かうしかないわけで、そのへんが私が「宗教改革無理」と思ってしまう理由のひとつでもあります。

それはそうと、アッラーマ師の言っていることはいつもと同じで、別に全く新しくはないのですが、要するにいつもはNHKの深夜誰も見ない時間の番組にしか出演しないえらーいお坊さんが、民放のゴールデンタイムの番組に出演した、みたいなインパクトはあるわけで、ちょっとがんばってるなーという印象は受けます。

ファトワー庁は例えば、イスラム国が「考古学はハラーム(イスラム的に禁止)」だというファトワーを出したのに対し、「考古学がハラームであるわけがない」という反駁ファトワーを発行するなど、過激派のイスラム解釈は間違っている、とかなり頑張って発言しています。

ですが。。。問題はその影響力がイマイチ弱いってことなんですよね。。。

アズハルやファトワー庁はエジプト政府の犬だ、と思っている国民は多いですし、アズハルの主張する包括的イスラム解釈は『コーラン』の明示に比べるとやっぱり普通の人にはわかりにくい。。。

アッラーマ師ももちろんそれを認識しているわけで、だからこそ「そもそもアズハル式イスラムが正しいイスラムなんだってことを知らしめるための教育が必要なんだ、テレビもそういう番組をやるべきだ」とか言っているわけでして。

イスラム解釈問題は、ややこしくて根深い問題なのです。。。

ではここ数日のテロ事件、いきます。

・ 30日、イスラム国シナイ県(アンサール・バイトゥルマクディス)メンバー5人が出頭
・ 30日、シェイフズウェイドで爆発、軍人1人負傷
・ 30日、カイロの地下鉄のガムラ駅で仕掛け爆弾2発発見

5月

・ 1日、ギザのシッタオクトーブル地区で新聞社アハラームの従業員バスを同胞団員が火炎瓶や石で攻撃、4人負傷
・ 1日、シャルキーヤのザカーズィークの携帯電話ショップで爆弾爆発
・ 1日、シャルキーヤのザカーズィーク大学スタジアムで爆弾爆発
・ 1日、シャルキーヤで強力な爆弾発見、処理
・ 1日、カイロのマタリーヤで同胞団員が暴力を伴うデモ
・ 1日、ギザで同胞団員がデモ、道路封鎖、45人逮捕
・ 1日、カイロのアインシャムスで同胞団員が暴力を伴うデモ
・ 1日、アリーシュ第三警察署をテロリストが銃撃
・ 1日、アリーシュのカラム・カワーリースでテロリストが軍を銃撃、1人負傷
・ 1日、シャルキーヤのアブーカビールで同胞団員と住民が衝突、3人負傷
・ 1日、カイロのアインシャムス駅で爆弾発見、処理
・ 1日、イスラム国シナイ県(アンサール・バイトゥルマクディス)が市民の首を家族の前で切断
・ 2日、シャルキーヤの電気塔が爆破
・ 2日、ディムヤート(ダミエッタ)の電気施設で爆弾爆発、もう一発を処理
・ 2日、ファイユームで爆弾爆発、もう一発を処理
・ 2日、アドリー元内相の別荘が放火され、革命的懲罰運動が犯行声明を出す
・ 2日、クフルショクルの電気塔に放火しようとしていた男を逮捕
・ 3日、ブハイラの警察署前で爆発
・ 3日、ブハイラの電気施設が爆破
・ 3日、カイロとアスユート間の道路の電気塔が爆破
・ 3日、スハーグの鉄道駅で爆弾発見、処理
・ 3日、ギザのシッタオクトーバー地区で同胞団と警官隊が衝突、複数の警官が負傷
・ 3日、サライ・エルウッバ広場で爆弾発見、処理
・ 3日、アリーシュで仕掛け爆弾が爆発、1人死亡、3人負傷
・ 3日、カイロのマンシヤトゥッナーセルで爆弾が爆発、6人負傷
・ 4日、ファイユームで携帯電話の電波塔が爆破される
・ 4日、ウムラーニーヤの警官が銃撃される
・ 4日、ダクハリーヤで電気施設に放火した中学生を逮捕、ラービアで兄が殺された復讐としている
・ 4日、シェイフズウェイドの学校2校をテロリストが爆破
・ 4日、ラファハの軍基地をテロリストが迫撃砲で攻撃
・5日、カイロのナセルシティで爆弾をつくっていた同胞団員3人が誤爆により負傷

前回のブログ記事では、「あれ?テロ減ったか?」なんて書いたのですが、全然減ってませんね。。。汗。

同胞団員は中学生もがテロに走っているとか、今後を考えると恐ろしいですし、シェイフズウェイドではイスラム国シナイ県が学校を爆破するというタリバンやボコハラム的行動に出ているのも恐ろしいです。。。

イスラム国シナイ県は、シナイの住民を恐怖で支配しようとみんなの前で首を切ったりもしています。。。

こんな写真を公開して、「オレたちはエジプト軍を頑張って攻撃している!」とアピールしたりもしています。。。

ラファハ

怖いですね。。。

みなさん、お忘れかもしれませんが、エジプトにもちゃんとありますからね、イスラム国。

イラクとシリアだけじゃないんですよ。。。
 
 
 
 
 

イスラムの宗教改革

このところエジプトの宗教界は、全イスラム世界に向けて「イスラムの宗教改革」を呼びかけています。

牽引役はアズハル総長アフマド・タイイブで、昨日もUAEで開催されている「イスラム社会における平和推進フォーラム」なる会議の開会演説において、「我々は、我々の伝統的なイスラム理解を批判的な視点から再検証する必要性に迫られている」と述べました。

2月にもサウジで開催された会議において、「『コーラン』とスンナ(預言者ムハンマドの言行)の悪しき解釈が、(イスラム)過激派の拡大につながった」とし、イスラム世界が一丸となって教育のレベルからこうした悪しき解釈を追放し、正しい穏健なイスラム理解を広めないかぎり、過激派を一掃することはできない、と述べています。

これはどういうことかと言いますと。。。

善良なイスラム教徒はイスラム国やアルカイダのようなイスラム過激派のことを「あれはイスラムではない」「間違ったイスラムだ」と必ず批判しますが、実はイスラム過激派のイスラム解釈は、伝統的イスラム解釈に忠実に則ったものであり、だからこそ少なからぬ数のイスラム教徒を魅了する強力な求心力を有しているのだ、という隠蔽されがちな側面があるわけです。

イスラムの伝統的方法論に則って各々の教義について論争した場合、エジプトにおけるイスラムの権威であるアズハルよりイスラム国の方がより強い論拠を有しているというのは、否めない真実なのです。

例を挙げますと。。。

イスラム国は捕虜にした敵の首を切って処刑することは、イスラム的に正しいと主張します。

その論拠のひとつはこちら、『コーラン』の第47章4節です。

このようにあります。

「あなた方が不信仰者たちと出会った際には首を打ち切れ。」

アズハルはこうした行為はイスラム的に誤っていると主張しますが、「この節は戦争状態の場合に限った内容である」とか、「イスラム国の行っているのはイスラム的に正しい戦争ではない」とか、「そもそもイスラムとは平和の宗教である」とかあれこれ言ってみたところで、『コーラン』第47章4節に「不信仰者の首を打ち切れ」とある真実は決して揺るぎません。

イスラム教徒は皆、『コーラン』は神の言葉そのものであると信じています。というか、こう信じない人はイスラム教徒失格の烙印を押されます。

イスラムには様々な解釈の方法論がありますが、最強の論拠が神の言葉そのものである『コーラン』の章句であるというのは、その方法論における大前提です。

イスラム国は『コーラン』というイスラム的最強の論拠に依拠し、過激行為を繰り返し、国家まで樹立してしまったわけです。

誤解を恐れずはっきり言うならば、イスラム国こそが「イスラムど真ん中」、「最もイスラム的存在」なわけです。

アフマド・タイイブもそんなことは当然よくよく理解しているわけで、だからこそ、これまでのように「イスラム国はイスラムじゃない」となんとかのひとつ覚えのように虚しく繰り返しているだけでは問題は解決しない、と思ったのでしょう。

そこでこの頃、「宗教改革」の必要性を主張しだしたのだと思います。

彼はよく、「戦略的視点」の重要性を強調します。

つまり、イスラム国のような過激派にイスラム議論で勝利するためには、穏健イスラムこそが唯一正しいイスラムなのだ、という合意を全イスラム諸国からとりつけることが重要だとしているわけです。

ただこれは、ものすごーーーーく難しいことです。

っていうか、たぶん。。。ほぼ無理です。

なぜなら今でも多くのムスリムは穏健イスラムこそ正しいイスラムだと信じていますが、ここエジプトにも『コーラン』を字義どおりに解釈する厳格イスラムこそが正しいイスラムだと信じている人はいくらでもいるからです。

そして、イスラムという宗教の構造上、その解釈傾向をひとつに統一する機構や権威は存在しません。

むしろ解釈の多様性こそ神が人間に与えてくださった恩恵そのものなのだ、というのがイスラムの伝統的解釈です。

それに厳格イスラムを標榜する人々はそもそも、現行の世俗国家というものを認めていないので、たとえイスラム諸国連合加盟国全てが合意したとしても、そんなものは意に介さないムスリムはいくらでもいます。

それにイスラム諸国に住んでいるわけではない、欧米諸国のムスリムらの取り込みはどうするのでしょう?

また、ここまではスンナ派に限定して話をしてきましたが、イスラムにはシーア派もいますし、シーア派自体の中にもものすごい数の分派が存在します。

うーん。。。

ちょっと考えるだけでも、深く考えても、いずれにしてもイスラム解釈を統ーする術はない。。。という結論にどうしても至ってしまうのですが、アフマド・タイイブはどんな戦略をもって、具体的にどんなやり方で、イスラム過激派のイスラム解釈に立ち向かうつもりなんですかねえ?

まあ、あんま考えてないけど、とりあえず宗教改革の必要性を訴え、伝統的イスラムに間違ったところがあるということを認めるところから始めないと、なにも始まらないよね?という感じなのかなあ???

イスラム法研究者からみると、イスラム国の日々の営みは、ジハード(戦闘)はもとより、ハッド刑やタアズィール刑、同害報復の執行、イスラム裁判所や警察の運営、ヒスバの実践、ザカートの徴収などなど、「壮大で歴史的な実験」としか思えない事柄の連続です。

自分が生きているうちに、カリフ制が再興され、イスラム国家が建設され、イスラム法ががっちり適用されるようになる領域が生まれようとは、イスラム法研究を始めた頃は想像だにしたことはありませんでした。

これに各国宗教界がどう立ち向かえるか。

イラン対立に関する英国のジレンマ

2019年07月23日 | シリア
月曜日、2019年7月22日12時35分[更新:月曜日、2019年7月22日01時08分]
2019年7月11日にロンドンで発表された2005年10月の配布写真は、イギリス海軍のHMSモントローズ、タイプ23フリゲート隊がオマーン沖で演習「Marstrike 05」の間にターンを行っているのを示しています。 (AFPによる写真)2019年7月11日にロンドンで発表された2005年10月の配布写真は、イギリス海軍のHMSモントローズ、タイプ23フリゲート隊がオマーン沖で演習「Marstrike 05」の間にターンを行っているのを示しています。(AFPによる写真)

ギデオンラフマン

 

(ギディオン・レイチマンがチーフ外交コラムニストになったフィナンシャル・タイムズ 2006年7月に彼が参加FTを、15年のキャリアの後エコノミストブリュッセル、ワシントン、バンコクの外国特派として呪文を含め、。彼はまた、編集したエコノミストを "ビジネス部門とアジア部門、特に興味を持っているのは、アメリカの外交政策、欧州連合、そしてグローバリゼーションです。

 

予期しない出来事は世界のリーダーを混雑させる方法を持っています。Boris Johnsonは、イギリスの保守党のリーダーにさえ選出されていません。ダウニング街10番地に引っ越しました。

今火曜日にその選挙に勝ち、水曜日に英国首相に任命されると予想される人は、軍事紛争にスパイラル化する可能性があるイランとの大きな外交危機に対処しなければならないという見通しに直面している。

金曜日に、  イランはホルムズ海峡を航海していたイギリスの旗を付けられた石油タンカーつかみましたイランの行動は今月初め、シリアの制裁を破った疑いのある、ジブラルタル近くのイランのタンカーによるイギリスの発作に対する報復と見られ  ていた。

イギリス政府はすでにイランの「深刻な結果」を脅しています。これはしばしば軍事的対応の婉曲表現と見なされています。ジョンソン氏は、堅実でナンセンスな愛国者として慎重に培われたイメージで権力を握るようになり、そして国家指導者としての彼の最初の主要な試練となるかもしれないことに強く現われたいと思うでしょう。

しかし、軍事的および外交的現実は英国の対応を制限するでしょう。イギリスは一貫してテヘランとの交渉の道を追求しようとしました。先週(タンカーの発作前)、ジョンソン氏はイランに対する軍事行動に反対すると述べた。そしてイギリス海軍が非常に薄く伸びているので、イギリスが自分たちの裏庭でイランを占領するのは危険です。

イランとのいかなる軍事衝突においても、英国は確かに米国に支援を求めます。金曜日に、ドナルドトランプはそのような支持が来るであろうと漠然と暗示した。しかし、アメリカ大統領はすでにイランに対して軍事行動をとることへの消極的な姿勢を示しています。先月、彼はイランが無人のアメリカの無人機を撃墜した後、報復として計画されていたイランへの爆撃の急襲を  突然キャンセルしました。

イギリスの現在のジレンマは、テヘランとワシントンの政府が中心的な役割を果たす、イランと西の間の緊張のより広範なエスカレーションの一部としてのみ理解することができます。

米国はテヘランを直接交渉に駆り立てるために設計された「最大圧力」の戦略を追求してきた。この目標を追求するために、米国はイランの核合意から撤退し、揺れ動く経済制裁を再度課した。

これまでのところ、アメリカの戦略はうまくいっていません。イランは直接会談をすることを拒否し、代わりにタンカー発作やアメリカの無人機への攻撃を含む一連の小規模な軍事挑発に頼ってきた。イランの指導部は、トランプ氏が中東での新たな射撃戦争に巻き込まれることへの明らかな消極的な姿勢に頼っているかもしれない。

しかし、テヘランは誤算の危険があります。トランプ氏の国家安全保障アドバイザーであるジョン・ボルトン氏のように、長い間イランへのストライキの支持者であったワシントンには影響力のある人々がいます。

イギリスの旗を付けられた石油タンカーの押収はまた、イランでよりタカ派的な立場に向かってイギリスを推進する可能性があり、これはEUによって抵抗されてきた。原子力協定を撤退するというトランプ政権の2018年の決定は、この協定の署名者であるドイツ、フランス、イギリスによって却下された。彼らは、イランがその核計画に対する交渉による拘束を尊重し続けることから経済的利益を享受するという見通しを生かし続けるために奮闘している。

しかし、英国が軍事的対応が間に合わなくなる「深刻な結果」をイランにもたらすことを目指しているのであれば、イランの核合意を維持するための努力を放棄し、代わりにトランプ政権によるイラン経済の締め付け努力に加わることができる。

イランの政策をワシントンの政策に合わせるというイギリスの決定は、おそらくイランの核協定を存続させ続けるというEUの努力をやめさせるでしょう。それはまた、長年にわたる英国の外交政策的地位の放棄を表しており、今後さらに軍事的対立の可能性を高める可能性があります。就任後数日のうちに新首相が直面するのは重大な選択だ。

 

(この記事で表現されている見解は、必ずしもPress TVの見解を反映するものではありません。)

 

 

 

 

月Jul 22、2019 03:54 PM
2018年10月21日に撮影されたこのAFPファイル写真では、ミネソタ州ミネアポリスのHiawathaとCedar Avenuesに沿った大きな野営地でオピオイドの過剰摂取で亡くなった人々を記念して毎日花が置かれています。 2018年10月21日に撮影されたこのAFPファイル写真では、ミネソタ州ミネアポリスのHiawathaとCedar Avenuesに沿った大きな野営地でオピオイドの過剰摂取で亡くなった人々を記念して毎日花が置かれています。

米国の製薬会社は、過剰摂取による死亡が加速しているにもかかわらず、OxyContinのような何十億もの処方鎮痛剤で国をあふれさせることによって米国のオピオイド危機に貢献した、と新たに発表された政府の数値は示唆しています。

米国麻薬取締局が記録した記録によると、2006年から2012年の間に760億個のオキシコドンとヒドロコドンの丸薬が米国の薬局に出荷されました。

強力な鎮痛剤は、他のオピオイドよりも中毒性が低いと誤ってOxyContinを販売したとしてPurdue Pharmaが6億3,500万ドルの罰金を科された後でさえも、より速く流れました。

スタンフォード大学のオピオイド研究者であるKeith HumphreysはAP通信へのインタビューで、「この規模は驚くべきものだと思います」と述べた。

また、一人当たりの薬物数が最も多い場所は、一人当たりの過剰摂取が最も多い場所であることをデータが示していることを指摘しています。

新しく発表された情報は、製造業者から地域社会への医薬品の流れを詳しく示しています。ウェストバージニア州、ケンタッキー州、テネシー州、ネバダ州はすべて、毎年男性、女性、子供それぞれに50個以上の錠剤を服用しました。

ケンタッキー州ペリー郡の保安官、ジョー・イングル氏は、「毎日戦争の最前線にいるようなものだ」と語った。ケンタッキー州東部にいる私たちの人々は、これらの製薬会社によって利用されています。それはあなたが社会、そして人々にできる最悪のことの一つです。そして私たちは苦しんでいます。」

ほぼすべての州が訴訟を起こしており、そのほとんどがPurdue Pharmaに焦点を当てています。多くの地方自治体も他の製薬会社、流通会社および薬局を訴えています。

連邦政府の報告書には、2,000を超える州政府、地方自治体、部族政府が、米国史上最大かつおそらく最も複雑な訴訟で麻薬業界のメンバーを訴えてきた。

疾病管理予防センター(CDC)によると、ヘロインやフェンタニルなどの処方と違法なオピオイドは、2000年以来、米国で43万人以上の死亡の要因となっています。

2006年から2012年までの間に、年間のオピオイド死亡数は年間18,000人から23,000人以上に増加しました。それ以来、米国でのオピオイド全体の死亡者数は倍増し、約46,000人に達しました。

 
 
 
 
 
月曜日、2019年3月22日午後3時08分[更新:月曜日、2019年7月22日午後3時40分]
無人機で撮影されたこの写真では、7月22日、西部が支援するWhite Helmetsの「援助」グループのメンバーが、掘削機を使ってシリア北西部Idlib州のMaaret al-Numanで空爆した可能性がある瓦礫の下で犠牲者を探しています。 2019.(AFPによる写真)無人機で撮影されたこの写真では、7月22日、西部が支援するWhite Helmetsの「援助」グループのメンバーが、掘削機を使ってシリア北西部Idlib州のMaaret al-Numanで空爆した可能性がある瓦礫の下で犠牲者を探しています。 2019.(AFPによる写真)

ロシアは、その軍用機がシリア北西部のイドリブ州の過激派都市で約2ダースの人員を殺害した致命的な空爆を実施したという報告を強く否定している。

「イギリスと米国が資金援助しているホワイトヘルメット組織の匿名の代表がマーレ・アル・ヌマン(イドゥリブ州)の市場でロシアの飛行機によるストライキを行ったという声明は、偽のニュース記事だ」と述べた。月曜日に国防省。

その日の早い時期に、西部の支援を受けたホワイトヘルメットの「援助」グループは、人口密集都市でのロシアの空爆により20人が死亡し、さらに50人以上が負傷したと述べた。

いわゆる人権のためのシリアの天文台はまた、攻撃が行われた「卸売野菜市場」で27人に死者数を27人に、負傷者を45人に引き上げました。

「ロシア空軍はシリアのこの部分で任務を遂行していなかった」とロシア防衛省の声明はさらに述べた。

西側では「市民防衛労働者」と予測されている、英国を拠点とするWhite Helmetsグループは、2014年にイギリスの元陸軍将校James Le Mesurierによって設立されました。

セルフスタイルのボランティアレスキューグループは、Takfiriテログループのメディア部門として活動していると繰り返し非難されており、シリアでの西側の軍事介入を促すために偽旗化学攻撃を仕掛けることで起訴されています。

イギリス、カナダ、ドイツは、ホワイトヘルメットを難民として受け入れることに関心を示しています。

ロシアは2015年9月にシリアの選ばれた政府からの要求に応じてシリアの過激派に対する空爆キャンペーンを開始しました。

イランの軍事諮問援助とロシアの援助と共に、シリア軍は過激派からほぼ全土を奪った。

Idlibは最後の引火点であり、外資系過激派の最後の要塞です。

シリア軍はタクフィリのテロリストの握りから解放するために2ヶ月以上前に始まった過激派が支配する地域で攻撃を受けています。