鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

ついに実装された艦これ「勲章」を考察する

2014-03-17 20:00:14 | 軍事
近頃何かと話題の艦隊これくしょん(艦これ)ですが、私も細々とやっております。
横須賀鎮守府所属ですが未だに2-4突破できておりません。階級も少佐~中佐を行ったり来たり、そんな感じ。

さて、この間のアップデートでついに待望の勲章システムが実装されました。
といっても、特定の海域をクリアすると報酬で貰えるアイテムみたいな感じですが。
今回は、その勲章についてちょっと深読みしてみることにいたしましょう。



こちらがその「勲章」です。Twitterで流れていた画像を拡大してみました。
元が小さいアイコンなので分かりにくいですが、どうやら綬の色は緑色であるらしいこと、章本体にも青っぽい色が入っているらしいことが分かります。
これに該当する日本の勲章は…そう、金鵄勲章ですね。



金鵄勲章は軍人軍属のうち武功抜群ある者に対して与えられる勲章ですから、まず艦これの「勲章」は金鵄勲章だと見て間違いないでしょう。
さて、金鵄勲章には功一級から功七級までの功級がありますが、この「勲章」は何級にあたるものでしょうか?
もう一度上のアイコンを見てみましょう。綬が小綬であるらしいこと、また本章に色がついているらしいことが分かります。
小綬で且つ本章が色つきである金鵄勲章には功四級と功五級がありますが、功四級の綬についている綵花は艦これの「勲章」では確認できません。
以上のことから考えて、艦これで入手できる「勲章」は功五級金鵄勲章であると推測することが出来ます。

さて、金鵄勲章は階級に応じて授与される功級の下限、上限が決まっている勲章でもあります。
功五級金鵄勲章はどの階級の者に対して授与されるかというと、まず尉官の初叙せられる功級。
それから准士官、下士官の中で功労を重ねた者の功級。また兵の最高位の功級ともなっています。

…あれ? 艦これってどんな提督でも最初から少佐以上の階級で始まるんじゃあ…

と言う訳で運営さん、陸軍としては「勲章」アイコンの差し替えを提案します。大丈夫、綵花を付ければ何とかなる。

満洲国軍の軍人勅諭。

2012-08-08 15:11:29 | 軍事
一般にはあまり知られていないことですが、満洲国軍にも康徳帝から下賜された勅語、つまり「軍人勅諭」が存在しました。
これは1934(康徳元)年の3月5日に満洲国軍の将兵に下賜されたものです。
原文は漢文なのですが、この度当時の雑誌『満蒙』に掲載された日本語訳が見つかりましたので以下にご紹介を。



朕夙に順天安民を以て心と為し盟邦と協力して群黎の福利を図り内は匪害を勦絶して以て境土を綏め外は邊患を攘除して以て四疆を靖む、建国二載庶績咸熙き国運愈隆く国基盛固まる、玆に上天の宓命を承け満洲国皇帝の位に即く 惟ふに爾将士建国の始搶攘未だ定まらざる時に當り、克く順逆を辨へ大義を洞明し力を戒行に致して其の身を顧みす濯征是れ勗め以て堅寇を鋤し以て弗庭を服す、功の社稷に在るや洵に鮮からすと爲す朕深く之を嘉す
夫れ一国を統治するには必す大中正至堅忍不抜の軍隊有りて方に拱衛に資するに足ること古今理を一にし東西軌を同くす、今我か新帝国亦将た此に国基を確定して之を悠久に擁護せんとす、爾将士に望む所のもの寔に多し、朕と盟邦とは関係緊密にして将に無窮に相信し相倚り以て東亜の和平を確定し億兆の安康を保障せんとし、前に盟邦と議定書を交換し国家の防衛は必す両国共同して以て其の任を完うすへきことを戴明せり、爾将士宜く此の旨を體し盟邦諸士と親善提携すること渾然一の如し、中正にして純厳明にして公以て国祚を擁護し永久替ること無かるへし朕深く之を望む
我か新帝国は建国より以来大中至正を以て本と爲す、其の諸朋黨比周の軋を傾け事を生し専閫独裁して飛揚跋扈するは必す禁する所に在り、爾将士は国の干城たり、朕は即ち爾の大元帥たり
原同気一體に属す、各級の指揮には各職掌有り或は時に因り宜きを制し、特に規範を定むと雖も而も統帥の大権は攬りて朕が躬に在り、爾将士は総て宜く全軍一心朕を奉戴して元首と爲し、其の股肱の力を竭し、以て匪躬の節を致すへし、朕深く之にる
今や凡百の施設蒸々として日に上り初有らさる靡く要は終有るに在り、爾将士の任大にして責重し凡そ民の安居楽業は胥に惟れ爾に是れる、務めて宜く故習を湔除し、軍心を一新し夙夜懈らす宣誓の條文を恪守して厥の職事に供へ敢て怠荒すること勿かるへし
玆に御極の始に當り、天地照鑒の下特に諭旨を爾将士に頒つ、尚くは其れ朕か命を廃する勿らんことを厚く望むところ有り此を欽む

 御名御璽



日本の軍人勅諭に比べると、大分短い感じがしますね。原文は漢文なので更に短くなります。
内容としては日本の「朕は汝等軍人の大元帥なるそ」に該当すると思われる「朕は即ち爾の大元帥たり」などの文言があるなど、ある程度日本の軍人勅諭を参考にしたと思われる部分もあるには有りますが、どちらかといえば独自色がかなり強い文章になっていると思います。特に「夫れ一国は…」から始まる第二段は、日本軍と提携して国家防衛の任に当たる事の重要性を強調したもので、満洲国軍の性格を強く規定しているものであるとも言えるでしょう。

満州国兵役制度要綱解題。

2011-12-17 01:54:13 | 軍事
昨日届いた満州国の兵役制度要綱(日・満文)を文字に起こしてサイトで公開しました。
当該ページにはこちらのリンクからどうぞ。

で、この要綱、ちょっと読んだだけでも結構興味深い内容が出てきます。
例えば「方針」の所に書いてある「日満共同防衛」の語。通常なら慣例通り自国を先に持ってきて「満日~」とするべき所ですが、日本を先に持ってくる表記になっています。満州国と国軍が日本の強い影響下にあったことが察せられます。

また、「要領」の「一、兵役服務義務者ノ範圍」には「帝國人民タル男子ハ~」とありますが、これは日本の兵役法第一条「帝国臣民タル男子ハ~」と非常に似通っています。「人民」の語を用いているのは、日本における天皇の「臣民」との差異を示すためのものでしょう。
更に、この部分には「同盟國ノ國籍ヲ有スル者ハ原則トシテ兵役ニ服セズ」という規定がありますが、これは日本の兵役法に該当条文が見られません。おそらく満洲開拓移民の日本人子弟が国軍に徴集されることが無いようにと策定された規定なのでしょう。

「ニ、壯丁適齢」では、「壯丁適齢ハ年齢十九年トス」とされています。日本では満二十歳が徴兵適齢とされていました(第二十三条)が、昭和18(1943)年にこれが19歳に引き下げられています。この兵役制度要綱が策定されたのは康徳7(1940)年ですから、それに先駆けて、ということになるのでしょうか。

「三、兵役ノ種類」では「兵役ハ當分ノ間現役ノミト」され、また「四、服役」では「現役ハ三年ト」されています。日本の兵役法が予備役や後備役などを定め、また陸軍の現役期間が二年だった(第五条)ことを考えると、それなりに国軍独自の特色が出ているといえるでしょう。

満州国軍資料12冊届く。

2011-12-15 22:00:25 | 軍事
ふっふっふ。

ふっふっふっふ。

ふははははははははははははははははははは!


失敬、いきなり取り乱しました。
いや、取り乱すくらいのことは許してください。



ヤフオクで落札した満州国軍当時資料12冊、本日無事に到着いたしました!
いやー、なんか思ったよりボリュームありますなあ。もっとこう、手帳サイズの版型・薄さかと思ってました。
しかも元々の所有者の名前とか役柄とかも入ってますし。イイヨイイヨー。
とりあえず、この内容に関してはサイトのほうで順次公開していきたいと思います。
こういった貴重な資料は公開・共有してなんぼのもんですし、それでサイトのアクセス数が伸びれば…いやその、ゲフンゲフン。

満州国の軍歌。

2011-12-13 15:33:58 | 軍事
この間買ってきた「世界軍歌全集」(辻田真佐憲、社会評論社)に満州国の歌が「建国歌」と「国歌」の二つしか載っていなくて少々意気消沈していたのですが、今日大学から借りてきた「満洲國軍」(蘭星会)に康徳元(1934)年9月24日に制定・発表された「満洲帝国陸軍歌」「満洲帝国海軍歌」が載っていました。

 満洲帝国陸軍歌 作曲・園山民平

 皇徳兮徽徽 皇軍兮魏魏
  徳有鄰兮信与睦 軍有容兮旗与麾
 五色兮吾旗 五色兮吾麾
  旗麾飄揚兮 天柱地維
 矢我多士兮 同心戮力
  親仁善鄰兮 永好毋違
 礼義干櫓兮 皇軍之武
  忠信甲冑兮 皇軍之威
 尚礼義兮懐忠信 皇徳皇軍兮天與人帰


 満洲帝国海軍歌 作曲・園山民平

 旭日東転 到処光輝爛
  大地春 飛煙歛
 白山碧草長 黒水清波濺
  新国建 新国建
 三千万衆斉歓忭
  海上波濤険 破浪男児願
 颷輪急 艦旗燦
  但知身許国 那怕風雲変
 共患難 共患難 同文日満應親善

正確な訳はちょっとわかりません。Google先生はこういう詩文は苦手なようです。
まあ、最後の「同文日満應親善」辺りは如何にもらしいなあ…という感じがします。というか「日満」て。「満日」じゃないのかと。
一応楽譜も掲載されているのですが、かなり縮刷されているので辛うじて音符が読めるか…? といった具合です。
この辺は蘭星会の方にもうちょっと何とかしていただきたかったところですが。