鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

またしても早稲田古本市。

2011-10-04 17:43:21 | 書籍
春に早稲田大学の構内で古本市をやってましたが、どうやら毎年秋にもやっているようです。
ただし場所は大学の直ぐ傍にある穴八幡宮という神社の境内ですが。
とりあえず昨日今日と行ってきまして、計5冊の本を入手しました。

ソ同盟M.E.L研究所編『遊撃戦論』五月書房(400円)
 …マルクス、エンゲルス、レーニン、スターリンの著作の中から遊撃戦、つまりゲリラ戦に言及した内容のものを集めた論文集ですな。
  面白いと言えば面白いんですが、普仏戦争関係の著作などはちょいと分かりづらいですな。知りませんから。

毛沢東『わが持久戦―戦争における中共の戦略及び戦術』大和出版社(400円)
 …上のと同様に毛沢東の著作の中から戦時指導などに関する内容のものを集めた論文集です。

澁澤龍彦『神聖受胎』『ドラコニア綺譚集』河出書房新社(200円、250円)
 …鮎川が好きな澁澤龍彦の著作集。『神聖受胎』の方がやや難解な内容であるのに対し、『ドラコニア~』は気軽に読めるエッセイ集。

ケネス・グラント『アレイスター・クロウリーと蘇る秘神』国書刊行会(1000円)
 …毎度のオカルト趣味により購入。著者によれば「クロウリーが実践した、性魔術とその儀式体系に関する研究書」ということですが、何しろ本文が難解。
  というより、独特の用語で読み下すのにも一苦労です。

それでは皆様お手元のしおりを

2011-03-14 20:50:30 | 書籍
というかスイス政府編集「民間防衛」82P目「一次放射線」の項をごらんくださーい

ごそ ごそ ごそ ごそ



あれ…あれれ おろろろろ

アラアラどうしたのですか准尉(シュレディンガー)君

先生(ドク)ーゴメんなさい
「民間防衛」の本なんて持ってませんー

コラ!! まったくもうしかたないですね
今すぐAmazonで注文しなさい

…とまあ、のっけから訳の分からないHELLSINGネタで申し訳ない。何の話かというと、福島原発の話です。
燃料棒の露出だの炉心融解溶融だので色々と怪しい情報も出回っている中、我々一般市民はどのように対処したらよいのか。
そこで出てくるのが例の「民間防衛」。この中に出てくるのは原発ではなく原爆に対する対応ですが、まあ何かの助けにはなるでしょう。以下、原爆に関する対処の内容を一部紹介。


①遠くに逃げる
500キロトン原子爆弾が炸裂した場合に生ずる一次放射線によって被曝する放射線量は、
(1)戸外にいたとき…爆心地から2.0km地点で600レム(致死率100%)
                 〃  2.3km地点で200レム(人体に有害)
                 〃  2.8km地点で25レム(人体への害は少ない)
(2)屋内(避難所内)にいたとき…爆心地から0.0km地点で600レム
                        〃  0.8km地点で200レム
                        〃  1.6km地点で25レム

②物質的防護を得る
どんな物質でも多少は放射線を弱めることが出来る。その物質の密度が高いほど放射線を弱める度合いが大きくなる。
1mのコンクリートで固めた覆いがあれば、一次放射能は200分の1に、1mの厚さの土なら150分の1になる。
また二次的放射線の場合、1mのコンクリートで固めた覆いがあれば、放射線は10000分の1に、1mの厚さの土なら5000分の1になる。
もし戸外で核爆発にぶつかったら、すぐ地面にうつぶせになること。爆発とともに生ずる放射線は、光と同じく直線的に広がるから、地面の小さなくぼ地にでも入っていれば、放射線の一部分を免れることが出来る。
また、もし爆発が身近で起きたら、放射性降下物を身体に受けたものと考えて、衣服を脱ぎ捨てるとともに、体の露出した部分を徹底的に洗うか、シャワーを浴びなければならない。

③食料類の備蓄
ごく小さい放射性のチリは、数ヶ月に渡ってはるか上空に浮いており、雨とともに降下して地表を汚染する。そのため、草、野菜、果実、時には飲料水まで汚染されることもある。我々は何日も、何週間も、放射能の汚染を受けない備蓄品だけで生活していけるよう用意しなければならない。ただし一般的に言って、地下水や湧き水は放射能で汚染されていないと見てよい。


一応言っておきますと、この本の内容がどれだけ正しいかは鮎川も知りません。
ただ一国の政府が編集した本なんですから、訳の分からん流言蜚語よりはよっぽどましだと思いますよ。
その他にも緊急時に備えるものの一覧なんかも載ってますし、敵国に占領されたときの対処法(!)なども載っているのであれこれ役立つかと。マスト読むべし。

「大摑源氏物語 まろ、ん?」を読む。

2010-12-22 23:07:44 | 書籍
 

本日は鮎川の通う高校の二学期終業式でした。その後文芸部での作品発表に参加した後、ブックオフに立ち寄りました。
そこで購入した本のうち、一冊が写真のこれ。「大摑源氏物語 まろ、ん?」です。作者は「ブッタとシッタカブッタ」で有名な小泉吉宏氏。
実はこれ、私が二年の時に当時の古文担当の先生が、「源氏」の「桐壺」を授業でやったときに参考資料としてプリントにして配ってくれた本なんですね。見つけたときは「おっ、これは」と思いまして即購入。
内容としては「源氏」の五十四帖を各巻見開き8コマの漫画にしてダイジェストで紹介するという形式です。
その他、補足事項としての注釈、人物紹介、人物関係図、漫画に入りきらなかったエピソードの紹介など。ちょっと面白いのは「ブッタとシッタカブッタ」の作者らしくところどころに妙に教訓めいた文章が載せられていること。
例えば第二巻「輝日宮」では「初恋は、自分も周りも見えなくなることが多い。」という文章が。これは光源氏(この作中では「まろ」)が、父帝の後添いである藤壺女御にのぼせ上がって手を出してしまった事に対するコメントとなっています。ちなみにこの頃の光源氏の年齢は13歳から16歳、つまり大体中学生程度。
ま、元々当時は十二歳ぐらいで元服(=成人)でしたからアレですが、まあこの位の年頃になると一通りの事はやれる訳でして。色々な意味で(笑)。

一般的に光源氏はやれロリコンだのマザコンだのバイだのと結構散々なことを言われています。
あ、光源氏=バイ疑惑というのはですね。第四巻「空蝉」の中に、この巻のヒロイン?である空蝉の弟である「小君」に対して「いとらうたしと思す。手さぐりの、細く小さきほど…この子は、いといとほしくさうざうしと思ふ」という文章があるわけなんですが、この部分に関して、国文学者の田中貴子氏が「80%、ヤっていると解していい」(「セクシィ古文!」メディアファクトリー刊より)と言っているんです。
閑話休題。これまでそんな風評被害とも言うべき評判を受けてきた光源氏ですが、この本を読めばそんな噂がことごとく嘘だと…言えないwww
いやだって、既に二巻目の段階で藤壺との不義密通ですよ? 第三巻「帚木」の雨夜の品定めのシーンで藤壺を理想の女性と再認識ですよ? んでもって第五巻の「若紫」で理想の女性に育てるために幼女誘拐(マテ
さすがにその時点では手を出していないにしろ、第九巻の「葵」で新枕(=初夜)。その後いろいろあって明石・須磨へ行っていた源氏が十三巻「明石」で紫と再会した時のコマに「二年半ぶりに会った紫は美しく成人していた」とあるので「じゃあ新枕当時の紫はまだ未成年かよ?」とか邪推をせざるを得ないとか、ほかにも色々と庇えない言動が多々ありますな。極めつけは第八巻「花宴」の四コマ目の台詞。

「お静かに わたしは何をしても許されている身です」

何だとこの野郎www
いやー、教科書会社は是非こういうアホな部分を採用するべきですよ。絶対その方が学生は食いつくから。

和製クトゥルー神話二冊を読む。

2010-05-30 22:13:25 | 書籍
さて、中間試験も終わりましてあまりの出来の悪さに愕然となりつつもつんであった本に手を付けられるのが嬉しい今日この頃です。
という訳でブックオフで買ってきた和製クトゥルー神話ものを二冊立て続けに読んでいるわけですが…正直な話、日本の作家が書いたクトゥルーものってどれも微妙なんですよね。クトゥルー神話を十分に生かしきれていないというか、下手なパロディにしか見えないというか。
まず一冊目は殊能将之「黒い仏」。以前クトゥルー神話の魔導書関連のネタを漁っていた時に偶然この作者の「妙法蟲聲經義疏」を見つけてから気になっていたんですが、いざ読んでみると…いやはやなんとも。ミステリー作品としても神話作品としてもどちらも中途半端で消化不良この上ありません。折角「妙法蟲聲經」やら「くろみさま」やらの面白そうな小道具が出てくるのにそれを生かしきれていない感は否めません。というか個人的にはミステリー成分全廃して天台僧と星慧派(笑)の攻防を描いてくれたほうが嬉しかったのですが…。最後の方で星慧が時を駆ける僧侶になってしまったのは驚きですよ。「確か、こんな台詞だったな、と思い出しながら」って消失のキョンですかあんたは。
あ、ちなみにこの妙法蟲聲經って他の魔導書類の名前なんかと同じで他の人が作品を書くときにも使って良いんですよね? っていうか良いですよね。異論は認めない。よし今度の文芸部の作品で使ってやろう。
二冊目は田中文雄「邪神たちの2・26」。…えー、カバー折り返しの略歴によると作者は早稲田の政経学部卒だそうですが、その割にはこの程度の作品かよとしか言いようが無いです。神話作品として云々以前に時代考証が甘い。在郷軍人会員の村長が「中国の戦況は――」などと言うし(この時代の呼称としては「支那」或いは「大陸」が妥当)。後は個人的な話として作者の歴史観が気に食わないというのもありますが。
…うーむ、これならネット上にある個人HPの神話作品のほうがよっぽど見事な仕上がりですわ。

澁澤龍彦「秘密結社の手帖」を読む

2010-05-02 21:54:43 | 書籍
今回もご多分に漏れずブックオフの105円棚から見つけてきた河出文庫版です。表紙にアブラクサスの護符をあしらったシンプルなデザインですが、個人的には澁澤龍彦の作品にはこの版がしっくり来ますな。最近の文庫版の極彩色な表紙はどうも趣味に合わないというか…。
閑話休題。文章としての初出は昭和40(1965)年と古い本ですが、年月の差をものともしない澁澤龍彦の文章はさすが見事です。内容もグノーシス派やフリーメーソン、薔薇十字団といったメジャー(?)なものからキュベレー女神の密儀、クロアチアの「ウスタシ」党、イスラームのヌサイル派にいたるまで古今東西の政治的・宗教的・遊戯的結社を(まあ東洋分が少ないとかイルミナティなどの結社が載っていないとかの瑕疵はあるにせよ)網羅したすばらしいもので、現在でもこれ程の内容をここまで簡潔かつ明瞭に述べた本は無いのではないでしょうか。
ちなみにこの本は澁澤龍彦の他の二つの著作「黒魔術の手帖」「毒薬の手帖」と共に「手帖三部作」を成しています。鮎川は以前に「黒魔術~」も入手していますので、あとは「毒薬~」を入手すれば三部作を網羅できるわけです。さて、早くブックオフに出てきてくれないものか…(マテ

ところで先ほどマイナー結社として取り上げた「ウスタシ」ですが、pixivで検索したら2件イラストが見つかりました。ネットは広大だわ……。