今日、学校の帰りに立ち寄った本屋で「
深夜隊」という漫画を買ったんですがね。
なんか帯に兵器擬人化とか書いてあるし、たまにはこういうのも読んでみるかと思ったんですよ。
ええ、絵が絵だったのでやおい風味は覚悟の上でしたが。
陸軍の扱い酷過ぎだろ常考www
後で調べたら元々作者のサイトでの名称は「
大日本帝國擬人化海軍深夜隊」だそうなんですが、じゃあ書籍版のタイトルにもそう書いといてくれよ!
いやまあよく見ると背表紙にはドイツ語で「Mitternacht Marine」とか書いてあるんですが、パッと見でそんなの分かる訳無いじゃないですか。不親切な設計だ!
で、1ページ目。
>この作品はフィクションです。戦争の美化を意図するものではありません。
いや知ってるよ。こういうこと書くと逆に怪しいし鬱陶しいんだが。
カラーページ「カレーの日」。
>(米軍について)「鬼」とか言われているけどチョコレートとかくれる結構優しい人たち。
ほー。日本兵の耳を切り取って塩漬けにして本国に送ったり、日本兵の頭蓋骨を記念品として女性にプレゼントしたりする人たちが「優しい人たち」ですか。私にはとてもそうは思えませんがのう。
海軍紹介ページ。
>(零式艦上戦闘機について)「ゼロ戦」という名で有名だけど本当は「
レイ戦」なんだけどなー……。
>「(戦時中、英語は敵性語として使用を制限されていたから、)『零戦』を『ぜろせん』と読むのは誤り」と言う者もあり、定説の様に思われていたが、戦時中の新聞報道に「兵士たちには
ゼロセンと呼ばれており……」という記述があることからも、
「ぜろせん」「れいせん」の両方が使われていたと考えられる。渡辺洋二の著書や坂井三郎を始めとする関係者の話からも、
「ぜろせん」という言葉は当時から一般的であり、中央から現場(実戦部隊)にいくにつれて「れいせん」より「ぜろせん」、時代が下るにつれて「れいせん」より「ぜろせん」と呼ばれる傾向が読み取れる。1942年(昭和17年)後半以降は部隊では「ぜろせん」であったらしく、1944年(昭和19年)
11月23日付の朝日新聞で初めて零戦の存在が公開された際も「荒鷲などからは零戦(ゼロセン)と呼び親しまれ」とルビ付きで紹介されている。(「零式艦上戦闘機」Wikipediaより。)
だそうです。どっちが正しいなんて使い分けは無いですな。
>実は
無線の性能が悪いので喋れない
二一型の九六式空一号無線電話機は兎も角、五二型に装備されていた三式空一号無線電話機は米軍も自軍の無線機に匹敵する性能を持っていると評価しているそうなんですが。そもそも「零戦」という大雑把な括りで終わらせようとしている事自体アレな気もします。
>(戦艦大和について)海軍で
最強の戦艦。
たいして戦ってもいないのに最強(笑)。戦果も不詳なのに最強(笑)。悪けりゃ戦果無しなのに最強(笑)。
スペックだけ強くても意味が無いのでさっさと出撃させてもらいたかった。海軍さんは真珠湾で大鑑巨砲主義時代の終わりを自分で告げたくせに、何で自分たちは最後まで大鑑巨砲主義に拘ったんですかねえ。あ、これは「深夜隊」というよりは海軍さんに対しての愚痴ですが。
陸軍紹介ページ。
>(九七式中戦車について)日本の
主力戦車。
弱い。
まー、それでも海軍最強(笑)の大和よりは確実に戦果を挙げてる訳でして。
>(一式戦闘機隼について)日本では、零ばかりが有名で
地味な陸軍にいるばっかりにあまり人気が無い。
>太平洋戦争中には戦況を報じる新聞・ラジオ放送・ニュース映画・雑誌・戦時歌謡などといった各種メディアのみならず、軍神と謳われた加藤建夫少将と加藤隼戦闘隊(飛行第64戦隊)に代表される活躍や、1942年10月公開の映画『翼の凱歌』、1943年(昭和18年)公開の記録映画『陸軍航空戦記 ビルマ篇』、1944年(昭和19年)3月公開の映画『加藤隼戦闘隊』などといった実機の一式戦が出演する映画作品を通じ、
一式戦「隼」は太平洋戦争中最も有名な日本軍の戦闘機として日本国民に広く親しまれることとなった。(「一式戦闘機」Wikipediaより。)
>
一式戦「隼」は太平洋戦争中最も有名な日本軍の戦闘機として日本国民に広く親しまれることとなった。
大事なことなので二回言いました。作者は帝国陸軍をディスっとるのか?
本文エピソード「陸軍参上」。
>Q.大日本帝國陸軍で最強の兵器はなんですか?「お答えしましょう 円匙です」
基本的にこのページは突っ込み所しかありませんがあえて言わせていただきたい。最強の兵器は人だ。白兵戦こそが帝国陸軍の得意技だろうが!
本文エピソード「アクセじゃないんです。」
>(騎士鉄十字章について)ちなみに日本でも偉い人に授与されていたりします
そりゃされてはいますが、ここに描いてある絵のように佩用して「にあうかー?」なんて聞いた人はいたんでしょうか。生前叙勲の話を聞いたことが無いんですよね。
本文エピソード「海軍VS陸軍」
>「(前略)そこのお飾り戦艦をさっさと前線へ出したらどうですか?(後略)」「口を慎んで頂こう 大和への侮辱は日本國への侮辱であるぞ」
あのー、そういうのはいいんでさっさと出してくれませんか? その最強(笑)戦艦。
>「大体この戦争は獨国との同盟を急かした陸軍の自業自得だろう 海軍は反対だったのだ」
元々英米と反目する決定的要因となったのは海軍が唱道した南進論だったと記憶しておりますが。
支那事変で留まっているうちは正式に先端を開くことは無かったと思う。
ドイツ軍紹介ページ。
>怖い顔ととんでもない行動をおこしがちなせいで悪の軍団扱いされているが
国防軍とNSDAPを混同してないか? というか紹介絵の中にアルゲマイネSSっぽいのがいるのは気のせいか?
というか、なんでⅤ号パンターがパンツァーファウスト装備してるんだ。
本文エピソード「旦那のターン! ドイチュラント!」
>(チハの台詞)「よし! ではそんなティーガー殿に自分が漢字を贈るであります! ジャーン! 『福』であります!」
えー、このエピソードですが、実は作者が小林源文氏の「ハッピータイガー」から話を持ってきた可能性があります。
というのもこの「ハッピータイガー」、クルスク戦時に撮影されたとあるティーガーI型の写真に「倒福」(「福」の字を逆様にした物)マークがついていたのがそもそも話の発端なんですが、この「倒福」は
中国の招福の印なんです。ドイツと中国(中華民国)は軍事的に結構緊密な時期があったので、普通に考えたらこれは中国に関係のあるマーキングなんですよね。日本人を関わらせたエピソードってのは過分にして小林氏のフィクション以外は見たことがありません。
ざっと見回してもこんなところですな。ちなみに作者のロクザキ氏にはネット上で盗作やら事実誤認やらの色々な噂が出ており、
まとめwikiまでできています。Amazonでの評価も1.9/5.0だし…ううむ、地雷だったなあ。ネタにはなったけど。