鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

奇異太郎少年の…。

2011-05-07 23:31:40 | マンガ
「奇異太郎少年の妖怪絵日記」というWeb漫画がありまして、これが妙に面白い。
や、元々鮎川が結構妖怪好きだってのもひとつにはあるんですけどね。
今度書籍化するようなので、ぜひ皆さんも読んでみてくだされ。
書籍化特設ページは左の「応援バナー」から飛べるはずです。

「兵器擬人化漫画」を買ったら地雷だったでござるの巻。

2011-01-13 23:16:39 | マンガ
今日、学校の帰りに立ち寄った本屋で「深夜隊」という漫画を買ったんですがね。
なんか帯に兵器擬人化とか書いてあるし、たまにはこういうのも読んでみるかと思ったんですよ。
ええ、絵が絵だったのでやおい風味は覚悟の上でしたが。

陸軍の扱い酷過ぎだろ常考www

後で調べたら元々作者のサイトでの名称は「大日本帝國擬人化海軍深夜隊」だそうなんですが、じゃあ書籍版のタイトルにもそう書いといてくれよ!
いやまあよく見ると背表紙にはドイツ語で「Mitternacht Marine」とか書いてあるんですが、パッと見でそんなの分かる訳無いじゃないですか。不親切な設計だ!

で、1ページ目。
>この作品はフィクションです。戦争の美化を意図するものではありません。
いや知ってるよ。こういうこと書くと逆に怪しいし鬱陶しいんだが。

カラーページ「カレーの日」。
>(米軍について)「鬼」とか言われているけどチョコレートとかくれる結構優しい人たち。
ほー。日本兵の耳を切り取って塩漬けにして本国に送ったり、日本兵の頭蓋骨を記念品として女性にプレゼントしたりする人たちが「優しい人たち」ですか。私にはとてもそうは思えませんがのう。

海軍紹介ページ。
>(零式艦上戦闘機について)「ゼロ戦」という名で有名だけど本当は「レイ戦」なんだけどなー……。

>「(戦時中、英語は敵性語として使用を制限されていたから、)『零戦』を『ぜろせん』と読むのは誤り」と言う者もあり、定説の様に思われていたが、戦時中の新聞報道に「兵士たちにはゼロセンと呼ばれており……」という記述があることからも、「ぜろせん」「れいせん」の両方が使われていたと考えられる。渡辺洋二の著書や坂井三郎を始めとする関係者の話からも、「ぜろせん」という言葉は当時から一般的であり、中央から現場(実戦部隊)にいくにつれて「れいせん」より「ぜろせん」、時代が下るにつれて「れいせん」より「ぜろせん」と呼ばれる傾向が読み取れる。1942年(昭和17年)後半以降は部隊では「ぜろせん」であったらしく、1944年(昭和19年)11月23日付の朝日新聞で初めて零戦の存在が公開された際も「荒鷲などからは零戦(ゼロセン)と呼び親しまれ」とルビ付きで紹介されている。(「零式艦上戦闘機」Wikipediaより。)

だそうです。どっちが正しいなんて使い分けは無いですな。

>実は無線の性能が悪いので喋れない

二一型の九六式空一号無線電話機は兎も角、五二型に装備されていた三式空一号無線電話機は米軍も自軍の無線機に匹敵する性能を持っていると評価しているそうなんですが。そもそも「零戦」という大雑把な括りで終わらせようとしている事自体アレな気もします。

>(戦艦大和について)海軍で最強の戦艦。
たいして戦ってもいないのに最強(笑)。戦果も不詳なのに最強(笑)。悪けりゃ戦果無しなのに最強(笑)。
スペックだけ強くても意味が無いのでさっさと出撃させてもらいたかった。海軍さんは真珠湾で大鑑巨砲主義時代の終わりを自分で告げたくせに、何で自分たちは最後まで大鑑巨砲主義に拘ったんですかねえ。あ、これは「深夜隊」というよりは海軍さんに対しての愚痴ですが。

陸軍紹介ページ。
>(九七式中戦車について)日本の主力戦車弱い
まー、それでも海軍最強(笑)の大和よりは確実に戦果を挙げてる訳でして。

>(一式戦闘機隼について)日本では、零ばかりが有名で地味な陸軍にいるばっかりにあまり人気が無い。

>太平洋戦争中には戦況を報じる新聞・ラジオ放送・ニュース映画・雑誌・戦時歌謡などといった各種メディアのみならず、軍神と謳われた加藤建夫少将と加藤隼戦闘隊(飛行第64戦隊)に代表される活躍や、1942年10月公開の映画『翼の凱歌』、1943年(昭和18年)公開の記録映画『陸軍航空戦記 ビルマ篇』、1944年(昭和19年)3月公開の映画『加藤隼戦闘隊』などといった実機の一式戦が出演する映画作品を通じ、一式戦「隼」は太平洋戦争中最も有名な日本軍の戦闘機として日本国民に広く親しまれることとなった。(「一式戦闘機」Wikipediaより。)

>一式戦「隼」は太平洋戦争中最も有名な日本軍の戦闘機として日本国民に広く親しまれることとなった。

大事なことなので二回言いました。作者は帝国陸軍をディスっとるのか?

本文エピソード「陸軍参上」。
>Q.大日本帝國陸軍で最強の兵器はなんですか?「お答えしましょう 円匙です」
基本的にこのページは突っ込み所しかありませんがあえて言わせていただきたい。最強の兵器は人だ。白兵戦こそが帝国陸軍の得意技だろうが!

本文エピソード「アクセじゃないんです。」
>(騎士鉄十字章について)ちなみに日本でも偉い人に授与されていたりします
そりゃされてはいますが、ここに描いてある絵のように佩用して「にあうかー?」なんて聞いた人はいたんでしょうか。生前叙勲の話を聞いたことが無いんですよね。

本文エピソード「海軍VS陸軍」
>「(前略)そこのお飾り戦艦をさっさと前線へ出したらどうですか?(後略)」「口を慎んで頂こう 大和への侮辱は日本國への侮辱であるぞ」
あのー、そういうのはいいんでさっさと出してくれませんか? その最強(笑)戦艦。

>「大体この戦争は獨国との同盟を急かした陸軍の自業自得だろう 海軍は反対だったのだ」
元々英米と反目する決定的要因となったのは海軍が唱道した南進論だったと記憶しておりますが。
支那事変で留まっているうちは正式に先端を開くことは無かったと思う。

ドイツ軍紹介ページ。
>怖い顔ととんでもない行動をおこしがちなせいで悪の軍団扱いされているが
国防軍とNSDAPを混同してないか? というか紹介絵の中にアルゲマイネSSっぽいのがいるのは気のせいか?
というか、なんでⅤ号パンターがパンツァーファウスト装備してるんだ。

本文エピソード「旦那のターン! ドイチュラント!」
>(チハの台詞)「よし! ではそんなティーガー殿に自分が漢字を贈るであります! ジャーン! 『福』であります!」
えー、このエピソードですが、実は作者が小林源文氏の「ハッピータイガー」から話を持ってきた可能性があります。
というのもこの「ハッピータイガー」、クルスク戦時に撮影されたとあるティーガーI型の写真に「倒福」(「福」の字を逆様にした物)マークがついていたのがそもそも話の発端なんですが、この「倒福」は中国の招福の印なんです。ドイツと中国(中華民国)は軍事的に結構緊密な時期があったので、普通に考えたらこれは中国に関係のあるマーキングなんですよね。日本人を関わらせたエピソードってのは過分にして小林氏のフィクション以外は見たことがありません。

ざっと見回してもこんなところですな。ちなみに作者のロクザキ氏にはネット上で盗作やら事実誤認やらの色々な噂が出ており、まとめwikiまでできています。Amazonでの評価も1.9/5.0だし…ううむ、地雷だったなあ。ネタにはなったけど。

「劇画内閣総理大臣伝」を読む。

2010-06-10 21:30:08 | マンガ
引越しが近づいてきたのでそろそろ荷物の整理が佳境に入ってきたところなんですが、本を荷造りしている時に実業之日本社「劇画内閣総理大臣伝」が出てきました。三年ほど前に人から貰った物なのですが、当時一読して中身が気に入らずに本棚の肥やしにしていた記憶が…という訳で読み返してみたのですが、

うん、塵芥だわこの本。

歴史ものの漫画の癖に巻末に参考文献の一覧が載っていないという点で既に怪しさが漂ってますが、漫画の内容にも間違い、事実の確認できない描写がかなり見受けられます。
バカヤロー解散の描写で吉田茂が指を指して大声で「バカヤロウー!」と叫んでいたり(実際には自席に戻る途中でボソッとつぶやいただけ)、岸信介が安保闘争の群衆に怯えて「自衛隊を呼べ! 軍はなにをしているんだ!」と叫んだり(典拠不明。但し昭和35年6月19日に予定されていたアイゼンハワー大統領の来日に備え大統領の安全を確保するための自衛隊出動を検討していたという事実はあるのでその誤描写とも考えられる)、広田弘毅が巣鴨でMPに「ホープ・トゥ・ダイ(死を望む)」と発言していたり(典拠不明。そもそも広田は死刑判決を受けたあとに元ドイツ大使の大島浩に対して「雷に打たれた様なものだ」と飄々とした表情で返答している【Wikipedia「広田弘毅」の項より】)、そして極め付けに東條英機大将が「平和なら軍人はいらん! 軍人にとっての幸福は戦争のあることだ!」と発言していたり(典拠不明。そもそも「内閣総理大臣伝」なのに総理大臣としての東條大将にほとんど触れていない。唯一触れていると言えるのは最後のページの「昭和十六年(一九四一年)総理大臣となった東条は太平洋戦争の荒波の中へと日本を突撃させる 今度は東条がより巨大な太平洋戦争をつくったのである」という文章だが、元々東條大将が首相に任ぜられたのが戦争回避のためであり最終交渉が行われたのが東條内閣においてであるというのを無視した話である)。
…こうしてみると参考文献は書かないんじゃなくて「書けない」んですかね。元から参考文献なんか存在しないんじゃないか、と思うくらいのグダグダっぷりですが、恐ろしいことにこの漫画を読んで「それにしても東条英機と岸信介は酷い奴だな。」だの「(東條は)政治家としても軍人としても五流」とか平気でブログに書いちゃう人が居るわけで…。うん、矢張り日本近代史は高校の必修科目に入れるべきだな。でないとこういう嘘に塗れた本に騙される人がどんどん出て来る。皆さんもゆめゆめこういった「漫画で分かる~」系の嘘だらけ本に丸め込まれることのないようにお気をつけください。最終的に物を言うのは自分自身の見識ですから。

「ムダヅモ無き改革」4巻を読む。

2010-05-23 00:05:42 | マンガ
月曜日からは中間試験だというのにセブンアンドワイで「魔法先生ネギま!」30巻(通常版と限定版)、「つぐもも」4巻、そして「ムダヅモ無き改革」4巻を買ってしまいました。はっはっは、滅びよ私。

まーそんなわけでムダヅモももう4巻ですが、なんというか…勢いが衰えない漫画ですねえ。個人的には鮎川は第四帝国側にぜひとも頑張ってほしいので(笑)総統閣下の衰弱した姿などはもう見るに耐えなかったわけですが、しかしそこはさすが大和田漫画の総統閣下。数ページ後にスーパーアーリア人として見事に復活なさいました(笑)…ところでこれ、ナチ体制下でニーチェ言うところの「超人(Übermensch)」=アーリア人種である、という解釈がなされていたという話が根底にあるんでしょうか。それとも本当に単なるドラゴンボールネタなんでしょうか? ううむ、深い。
ロンメル元帥が叛乱起こすわ恐山で卓上のヤルタ会談だわとこれからの展開も(少なくとも鮎川的には)一層面白い方向に進んでいくようで非常に楽しみです。
…しかしまー、ロンメル元帥も「今度こそチェックメイト」なんて言ってますが元々あの人って別に叛乱活動に関わってた経緯って無いですよね。シュタウフェンベルク事件への連座だって冤罪ですし。