鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

貴方も「貴族」になりませんこと?―シーランド「以外」での爵位称号購入のススメ―

2022-06-28 19:19:20 | その他サブカルチャー
皆様ごきげんよう、東條でございますわ。
まだ6月というのに暑さ厳しい折、皆様いかがお過ごしでらっしゃいますかしら?
賃金労働者の方々におかれましては待ちに望んだ賞与の支給もあったと存じますけれども、昨今の情勢下、なかなか大きな買い物とか旅行とかをするという訳にも参りませんわよね。
ですのでわたくし、皆様にあまり金銭的負担なく豊かな生活を送っていただきたいと思いまして、次のようにご提案いたしますの。


爵位買いましょう、爵位。


ええ、先ほどから慣れないお嬢様口調みたいな文章でこの記事を書き綴っておりますのも、つまりはそういうことでございますわ。ちなみに今回は全編通してこの口調で参りますのでお覚悟くださいませ。

爵位を買う、というと皆様おそらくシーランド公国の爵位のことを連想されるでしょうね。
けれどもわたくし、シーランドの爵位についてはあえてここでおすすめしようとは思いませんの。と申しますのも、シーランドの爵位を購入する方法については「爵位 購入」などのキーワードで検索すれば大量の記事がヒットいたしますし…正直なところ、「爵位を買うならシーランド」のような固定観念が広まってしまうのはあまり面白くありませんわ。皆様には、もっと広い選択肢があるということを知っていただきたいんですの。

ですから今回は、シーランド「以外」の爵位称号を購入する方法についてご案内差し上げたいと思いますわ。

実を言いますと、称号を販売している組織というか団体というか、とにかくその手の主体というのは結構ありますの。ただし、その多くはシーランドのように独立国を称している訳ではなく、単なる「ちょっとユニークなプレゼント」の通販サイトのような形になっておりますわ。下記にその例を挙げていくことといたしましょう。なお、中にはわたくし、およびわたくしのお友達が既に購入して郵送物が届くことを確認している主体もありますので、そうしたところにつきましては実際に届いた書類などの写真をご参考までに皆様へお披露目することにいたしますわね。あ、ちなみにそれぞれの称号には女性形もございますけれども、煩瑣を避けるためにここでは男性形のみ挙げさせていただければ幸いですわ。例えば「”Lord”を販売している」と書いた場合、大抵は”Lady”も販売しておりますので、そこは補って読んでくださいましね。


1.Consultingdigital.com(http://www.consultingdigital.com/adelstitel.php)
 2004年以来、貴族の称号を含む様々な称号の証明書を販売してきたサイトだそうですわ。取り扱われている爵位称号の中で最も安いものは15ユーロで、領地名(例えば” Herzog von Pleß”でしたら” von Pleß”に相当する部分を本記事では便宜上このように表記させていただきますわ。支配権を喪失した旧領名や家門の発祥地、あるいは叙爵される前からの姓をこの位置に持ってくる場合もありますので必ずしも適当ではない場合があることについてはご勘弁くださいませ!)がなく、かつ電子メールによるPDFでの配送となるようですの。実体のある証明書が郵送されてくるわけでないのは残念ですけれど、逆に考えれば住所の入力間違いや郵便事故などで証明書が届かない、というリスクについては避けることができるというメリットもありますわね。ちなみに実体のある証明書が発行されるプランは29ユーロで、領地名があるものも含め基本的にはこの価格が標準になっているようですわ。特徴的な称号としては” Bojar de Transilvania”というものがありまして、こちらを購入するとスラヴ圏における称号である「ボヤール」を名乗れる、ということになりますわね。立て付けとしては発行主体がトランシルバニアに土地を所有していて、このプランを購入することによってその土地の共同所有者になるので土地所有に結びついた「ボヤール」称号を名乗れる、ということになっているようですわ。


2.Noble-society.net(https://noble-society.net/ja/)
 こちらも大体2000年頃から称号を販売しているらしいサイトですわ。というかわたくしも先ほどアクセスして気づいたのですけれど、いつの間にか公式に日本語対応してますわね…。確実に日本にそういう需要があることが把握されているようですわ…。ともあれ、こちらのサイトではドイツ系の爵位称号のみならず、スコットランドやアイルランド、フランス、イタリアなどの称号が販売されておりますわ。ちょっと珍しい例をいくつか申し上げますと、例えば(ご時世的に少々いかがなものかとは思いますけれど)ロシアのバシコルトスタンにある土地の共同所有者になるという立て付けで得られる” Tsar of Marinovka”、つまり「マリノフカのツァーリ」という称号ですとか、「エジプトにおける称号」とされている” Pasha of Safaga”、つまり「サファガのパシャ」などというものもありますわね。面白いのが東アジアの称号とされるものも取り扱われているところで、例えば日本の称号とされている”Shogun kara Taishi”などというものもありますわ。これ、おそらくはドイツ語のvonや英語のofに相当する語として「~から」を入れているのだと思いますけれど…Taishiが何なのかはよく分かりませんわね。明らかに自動翻訳された「神の恩寵による、侍マスターである私は…」から始まる文言と謎のおじさまや鳥居といったエキゾティックジャペァーン要素がこれでもかとばかりに詰め込まれた証明書は一見の価値ありですわ。わたくしが自分のお小遣いで買えと言われたら躊躇してしまいますけれども。ちなみにこちらのサイトと全く同じ称号を扱っているhttps://adelstitel-kaufen.com/というサイトもあるのですけれど、どうやら両方とも同じくterra presenta ltd.という企業(?)が運営しているようですわ。


3.ADELSTITEL KAUFEN(https://adelstitel-kauf.eu/)
 「高貴な称号を購入する」というそのものずばりのサイト名、決して嫌いではありませんわよ。こちらではKaiserからRitterまで様々なドイツ系の称号が販売されておりますけれども、それぞれの称号と「利用することが可能」な領地名を自由に組み合わせて購入することができるのが特徴ですわね。ただ、この領地名の選択が購入の際に入力必須な項目となっている点がいささか気になりますわ。わたくしでしたらKaiserの称号などはそういったものがない方がよいと思うのですけれど…。他の販売主体に比較して価格や称号の独自性の点で少々物足りない部分があるようにも思われるのですけれど、一応こちらのサイトで購入できる称号についてはその使用権を法的に確保するため、ブランド名として特許庁に登録されている、ということが謳われておりますわ。


4.4micromax(https://www.4micromax-online.de/)
 こちらでは基本的にFürst(公爵/侯爵)、Graf(伯爵)、Lord(貴族の称号としては訳しにくいですけれども、あえて訳すならば「卿」になりますかしら?)およびそれ以外のいくつかの称号を購入することができますわ。日本への配送は行わないということになっておりますけれども、実際には日本へ送ってほしい旨と支払いをPaypalで行いたい旨を問い合わせ欄からご相談すれば送料を含む支払総額や支払先を教えていただけますわ。親切ですわね!
価格は爵位称号そのものよりもむしろ領地名の方に紐づけられているようでして、例えば同じFürst でも”von Lilienthal“なら19,95ユーロ、”von Königsberg”なら29.95ユーロで、ここに日本への送料とPaypal使用手数料が上乗せされて支払総額になるとイメージしていただければ結構ですわ。ちなみに2022年6月現在で19.95ユーロの称号を購入した場合、支払総額は25.65ユーロとなっておりますけれども、送料などについては変更になる可能性も考えられますので注文の度に支払総額をたずねるのをお勧めいたしますわ。
ちなみに、こちらから届くのは以下のような書類ですわ。証明書と領地名に関する小冊子が主ですわね。

   


さて、爵位称号を販売している主体の中には、そこが独立した国家である、もしくはその系譜を受け継いでいると称しているところもございますの。もっとも有名でかつ一定の実態があるのがシーランドですけれども、他にも例えばこんなところが爵位を販売しておりますわ。


5.GRAND DUKEDOM OF POMERANIA AND LIVONIA(https://www.royaltitles.net/)
 「ポメラニア・リヴォニア大公国」ですわね。ルードヴィヒ1世(Prince Ludwig I)を元首、彼の兄弟であるフェルディナンド(Prince Ferdinand)を継嗣とする亡命政府のようなもの…と主張しているようですけれど、まあミクロネーションと見なしてよろしいと思いますわ。実際、爵位称号を販売する以外の目立った活動は行っていない様子ですし…。ちなみにこちらで扱われております称号はLordからPrince Elector & Margrave (Kürfurst und Margrave)、すなわち「選帝侯にして辺境伯」まですべて同一価格の199ユーロ(送料として別に20ユーロ)だそうですわ。配偶者の方もご一緒にペアで申し込まれると299ユーロと少しお安くなる感じですわね。これまでご紹介した他の主体に比べて少々お高い価格帯になりますけれど、書類のみならず” Blue & Gold Neck Medal with Blue Ribbon”が付属するという特長がありますわ。見たところプール・ル・メリット勲章ですけれど。


6.Großherzogtums Ahlensteyn
 「アーレンシュタイン大公国」ですわ。これはeBayでこの国の紙幣や勲章(といってもメダル本体は紙に印刷されたものなのですけれども。コスト削減ですわね! SDGsですわ!)を販売している個人が創作した架空の国家で、本人が販売ページの説明欄でそのように言及したりしていますわ。称号としては"Edler von"が3ユーロ台で販売されておりまして、送料込みで2022年6月現在の日本円換算ですと概ね1000円強といったところですわね。ちなみにこちらはわたくしのお友達が実際に購入しておりまして、以下のような書類が届くとのことですわ。

     


いかがでしたかしら? 一口に「爵位を買う」と申しましても、ざっと調べただけでもこれだけの選択肢がありますの。シーランドだけですと入手可能なのは”Lord”、”Baron”、”Count”および”Duke”といったところですけれども(あとはナイトとしての敬称ですかしら?)、ドイツ系の称号などまで含めますとぐっと幅が広がりますわね! わたくしが見たところ、一番入手が難しいのは子爵に相当する爵位称号ですわね。「ポメラニア・リヴォニア大公国」での選択肢の一つとして以外には見た記憶がございませんわ…。

なお、一言申し添えておきますけれども、これらの称号はすべて民間称号ですわ。ミクロネーションがその「国家」の爵位と称して授与しているものであれ、それ以外の主体がある種の商標のような形でその使用を許可しているものであれ、いずれにしても月の土地を買うのと似たようなもので、公には概ね何の意味も持ちませんの。と申しますか、下手に公的な場所で通用させようとしたら軽犯罪法でポリスの御厄介になりかねませんわ。そこまで事態がエスカレートするようなことは滅多にないとは思いますけれど…。
まあ、こういう称号の購入と申しますのは、言ってしまえばちょっとしたごっこ遊びのようなものですわね。でも、たった数千円から数万円で生涯、あるいは子々孫々に至るまで(なにしろ一部の発行主体はそれらから購入した爵位について継承できるものと明言しておりますので!)楽しめるとしたら、それはとても有意義なお遊びではなくって?
この記事が、皆様のよりよい精神生活のために多少なりともお役に立てれば幸いでございますわ。それでは本日はこれにて、ごめんあそばせ!

バーチャルYouTuberのすゝめ(自分がなる方の意味で)・その2「3Dモデルが動く動画を作ろう」

2020-09-08 21:34:04 | その他サブカルチャー
前回に引き続き、バーチャルYouTuber(VTuber)になる、つまりVTuberとしてのコンテンツをどう制作していくかというお話です。
その1では「名乗ってしまったもの勝ち」の精神で紙芝居動画でのVTuberデビューについてお話をさせていただきましたが、あれはあれで低スペックのPCでコンテンツが作成できるというメリットはあるものの(なにしろどっからどう見ても低スペックであるドン・キホーテの「ジブン専用PC&タブレットU1」でも紙芝居動画なら作れるのです)、それ単独で我はVTuber、と名乗るのが気持ち的に厳しいこともまた事実であろうかと思われます。全身の動きをトレースするとか表情を実際の顔に連動させるとかは別として、とりあえず今回はアバターを静止画ではなく動画として活用する、ということについて考えていきたいと思います。

動くアバターという点ではFaceRigとかを使う方法もありますが、あれはソフト本体を購入しなければならないので今回はパス。無料で導入でき、かつ自分の好みでアバターをアレンジできるという点で、前回に引き続きカスタムキャストを利用した方法をご説明していきたいと思います。というか、自分がそれでやってるので実体験に即した話がやりやすいんですよね。



カスタムキャストを利用する場合、キャラクターの設定なんかは前回ご説明したスクリーンショットの撮影に至る過程とほとんど同じなのでそこは省略します。わかんなかったら他のサイトとかでの解説を参照してください(他力本願
最低限「背景をアバターの色と違うタイプの単色にする」ことと「ブルームを0にする」ことにだけ注意していただければ大体大丈夫です。アンチエイリアスとかグラフィッククオリティとかは各自お使いの端末の性能とご相談ください。
キャプチャの撮影は「配信」画面で行うのがよいでしょう。nicocasアプリを入れていなければ勝手に外部サイトで配信されることはないので大丈夫です。



カスタムキャストのキャプチャを動画として利用する上で注意したいのは、「リップシンクの設定をどうするか」と「フリック設定をどうするか」です。
リップシンクは音声認識と映像認識の二種類がありますが、私は音声認識を利用しています。これは私がカスタムキャストをエミュレータで利用しているPCにカメラを接続していないからという単純な理由でして、どちらを選ぶかはご自分の住環境などに即して決めていただければよいでしょう。音声認識にした場合、動画作成で自分の声を活用したい方は同時に録音まで済ませてしまえば手間が省けます。



フリック設定については、私は正直フリックによる表情/ポーズ変化をほぼ活用していないのでよくわかりません。だってPCでキャプチャしてる時にフリックするとマウスカーソルが録画に入っちゃうし、どの向きにどの表情/ポーズを登録したかとかいちいち覚えるの面倒なんだもの(酷い
後でトリミングするような位置、つまり画面のめっちゃ下の方かめっちゃ上の方で操作すればフリック操作もカメラ操作もできるのですが、いちいちマウスカーソルを撮影範囲外に迂回させて移動するのもプチ面倒ですし、どっちかを犠牲にするとしたらフリックによる変化よりもカメラぐりぐりして体の向きとか変える方が楽なので、私は画面の変化はもっぱらそれに頼っています。スマホ/タブレットで撮影する際にはカーソルがないのでどうとでもなると思いますが、エミュレータかませてPCで撮影する際にはカメラ位置の変化とフリック操作はどっちかだけに限定した方が事故らなくていいような気がします。



ここまで設定したうえで「配信」画面にたどり着くと、アバターの顔がでかでかと画面に貼り付いているのでビビると思います(特にカメラのないPCで操作している、つまり私と同じ環境の場合)。これはジャイロカメラ(3Dモデル)が有効になっているからなので、落ち着いて右上にある半透明の歯車ボタンからカメラ設定を開いて無効にしておきましょう。

自分の音声/口パクやカメラ操作、フリック操作によってアバターが自分の思い通りに操作できるようになっていることを確認したら、画面の動画撮影に移ります。PCでNoxPlayerを利用している場合は公式に画面の動画撮影機能があるのでそれを利用するのが一番簡単でしょう。スマホ/タブレットの場合はAZスクリーンレコーダーなんかのアプリを活用してください。
話す内容は事前に台本化しておくか、そうでなければその場で喋った内容を別に録音しておき、必要に応じて文字起こしするということになります。VOICEROIDなんかを活用する場合は先に台本と音声を作っておいて、聞きながら口パクする(もしくは台本を読み上げる)のも手でしょう。私は音声の最終確認も兼ねてこの方法を採っています。

後は適当な背景に撮影したアバターの動画をオーバーレイして適宜トリミングしてクロマキー処理して追加のオーバーレイ画像や音声や音楽とくっつけて字幕つけて動画にしてアップロードすればOKです。簡単ですね。
…いやまあ、はい。ここを手順としてさらっと流すわけにはいかないですね。ただ、この部分は使うソフトによって機能も使い勝手も(ついでに価格も)千差万別なので、説明しづらいのが事実です。私はCorelのVideoStudioを使っていますが、これは別件で使うために既に持っていたソフトを流用しているからで、VTuberとしての動画を作成するために最適化されたソフトはもっと他にいろいろあると思います。無料ソフトとしてはAviUtl、有料ソフトとしてはFilmora辺りが有名なところでしょうか。ニコニコとかYouTubeとかにもレビューとか使用方法の解説動画とか上がってますし、使ってない私があれこれ言うよりもそういう方の説明を見た方がわかりやすいと思いますのであえてここでは深く触れません。あえてね、あえて。

というわけで、今回はこの辺までにしておきたいと思います。
ありがとうございました。起立、礼、着席。

バーチャルYouTuberのすゝめ(自分がなる方の意味で)・その1「とにかくVの者を名乗れ、話はそこからだ」

2020-09-07 02:14:55 | その他サブカルチャー
前回の記事で「いつの間にか令和2年に~」とか書いてましたが、気づけばもう秋ですね。
COVID-19のせいですっかり虚無と化した2020年ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は前回の記事を書いた数週間後に家を追い出されてパンデミックが収まるまでアパートでの仮住まいを余儀なくされることとなっております。早く帰りたい。

さておき、ここ数か月でいろんなことが激変しておりますが、それ以前、ここ数年ほど前からネット上で話題になって今やすっかり定着したものがありますね。
そう、「バーチャルYouTuber(VTuber)」です(強引な話の展開)。

VTuber。この言葉がどのような存在を指し示すものであるかという定義はいまだに若干の混乱がありますが、企業Vだの個人Vだの収益化がどうのスパチャがどうのみたいな話はひとまず置いておいて、広義では「投稿者とイコールであるところのバーチャルなキャラクターのアバターを用いて動画コンテンツを作成し、それを公開している人」程度の意味になりますでしょうか。

私、個々のVTuberにはそこまで関心がないというか、認知はしていても配信めっちゃ見る!というような推しはいないのですが、その全体としてのありようは非常に好もしく思っております。
以前からTwitterでは何度か言っていることではあるんですが、人類にとって性別や容姿は生活にとって無視し得ざる重要な要素であるにもかかわらず、その本質的な再配分や再選択は現時点ではかなり困難、というか実質的に不可能です。美容整形や性転換は所与のものとしての肉体に一定の変化をもたらし得るものですが、未だ十全とは言い難いところがあります。しかるに、バーチャルの世界においては自らの疑似的な肉体に相当するアバターを比較的手軽にリデザインし、おおむね自らの思うように構築することができるわけで、そこでは現実における自らの肉体的なあり方に囚われなくてよいわけです。自らの性別、容姿、背景となる設定を自ら作り出し、自由に構成することができる(企業Vとかだと自由の制限はあるでしょうし、使用するアプリやアバターの作成・発注等に係る費用とかの問題もあるでしょうが、現実世界で自分の肉体を変化させるよりは手間はかからないんじゃないでしょうか)。VTuberという存在は人類への光明です。未来への福音です。わかったか。わかったらそこのお前もVTuberになれ。

はい、というわけで今回の記事の本題、「そこのお前がVTuberになるために何をすればよいか・超低スペック版」に入りたいと思います。私は真面目に言っているんだ。

必要なものは次の四つ。

①画面のスクリーンショットが撮れるスマホないしタブレット(Androidエミュレータが動くならPCでも代用可能)
②画像加工ソフト(画像の透過やレイヤー合成がやりたいのでWindowsペイントだと厳しい。GIMPあたり使えば無料で何とかなる?)
③音声合成ソフト(地声でやるならなくてもいい。ボイスチェンジャーでも可。一応無料ソフトもある)
④動画作成ソフト(Windows10標準付属のフォトアプリでいい)

先に述べました通り、今回ご紹介するのは超低スペック版。
「金をかけず、かつ低スペックの機材でVTuberになる」方法です。
人によってはこんなのVじゃねえ!という人もいるでしょうが、そこは「広義のV」で押し通してください。



まず、スマホかタブレットに「カスタムキャスト」をインストールしてください。
アイテム課金制ですが、基本的には無料です。
カスタマイズ画面で好きな感じにアバターモデルを作成してください。この際、各パラメータをどのようにいじったかや、どのパーツを組み合わせたかを記録しておくと、あとで別の端末で同様のアバターを使いたくなった時に便利です。



背景はグリーンバックその他の単色背景に設定します。
また、「設定」で解像度「高」、アンチエイリアス「高」、ブルーム「0」、グラフィッククオリティ「高」に設定しておくといい感じになりますが、ブルーム以外はお使いの端末の性能とご相談ください。重要なのはブルームを「0」にすることで、これをやっておかないと後で背景を切り抜いたときにアバターの輪郭が元のバックの色にぼやけた感じになります。



設定が終わったら、ポーズと表情を変えてスクリーンショットを撮りましょう。
基本的には汎用性の高い立ちポーズと、喜怒哀楽の表情くらいがあればいいでしょう。
ただし、アバターは目パチのアニメーションをしますので、スクリーンショットのタイミングによっては半目とかになりますのでお気を付けください(この画像は悪い例です)。

スクリーンショットを撮ったら、それをPCに移動します(エミュでやってる場合はPCに保存されますのでそのままで大丈夫でしょう)。
そしてこんな感じで周囲の背景色を切り抜いた「立ち絵」を作ります。



次いで、動画の内容となる文章を作成していきます。メモ帳アプリあたりで書いていけばいいですし、最悪その辺の紙とペンでもなんとかなります。
文章が出来上がったら、それを元に動画に必要な画像を作成していきます。
例えばこんな感じですね。





画像加工ソフトで「適当な背景」>「立ち絵」>「テキスト表示ウィンドウ」>「テキスト」の順にレイヤーを重ねるとこんな感じになります。
これを、立ち絵の表情やポーズを変えつつ、テキストの表示に必要な分量だけ同様に作成していく訳ですね。
あとは、動画作成ソフトで画像と別撮りした音声とを組み合わせて動画にするわけです。いわゆる紙芝居動画ですね。

はい、今「こんなのVじゃねえ!」と思った方。いらっしゃると思います。
でもこれ、表示されている立ち絵のアバターが投稿者とイコールである限り、先に述べた広義の定義を満たしていると言える訳ですよ。
VTuberになるということは決して難しくない、動画にする内容さえあれば誰でもVTuberを名乗っていい。
この超低スペック版の方法は、VTuberになる敷居をかなり低くしてくれると思います。
思い立ったらVTuber。この記事をここまで読んだ貴方が、どうぞ素敵なVTuberになれますように。

後半だいぶ失速した気がするけど別に飽きたとかじゃないぞ? ほんとだぞ?

UVレジンで(オタクな)アクセサリーを作る。

2016-12-18 16:07:47 | その他サブカルチャー
ここ一ヶ月ばかりの事ですが、UVレジンでアクセサリーを作るのにハマっています。
UVレジンというのは紫外線を照射すると固まるアクリル系樹脂で、その特性からハンドメイドのアクセサリーなどを作るのに用いられます。
最近ではダイソーやセリアなどの百円ショップにも売っているとのことで試しにやってみたら、これがまあ見事にハマりまして。



例えばこんなの。ミスタードーナツの紙袋を背景にして、東條英機の写真と金属製のネコ、樹脂製のバラのパーツを組み合わせています。
紙袋と写真以外はすべて百円ショップの素材。素材も単品で売っている訳ではないですし、UVレジンの液も数回程度は使える量なので、金額的な負担もそこまで大きくはないのが魅力的です。それにこんなアクセサリー、普通のお店では絶対に手に入らないですしね。売ってるところがあったら逆に教えてください。買占めに行きます。

閑話休題。じゃあこれ、どんなふうに作っているかというのを(自分用の備忘録を兼ねて)ご説明していきましょう。



まずこんな風に、ミール皿(アクセサリーの土台となる部品。金属製や樹脂製のものがある)に背景となる紙を貼り付け、その上にアクセサリーにしたい人物写真やキャラの画像を貼り付けます。貼り付けるには薄く伸ばしたレジン液を接着剤代わりに用いますが、多分糊で貼っちゃっても大丈夫です。まあ、そこから後で劣化してくる可能性もあるので無理にお勧めはしませんが。またここで貼り付ける人物写真やキャラの画像ですが、基本的に普通のコピー用紙に印刷したものは使わない方が無難かと思います。私は使ったことがないのでわかりませんが、水溶性のインクだとにじむ恐れがあります。また、印刷用紙はレジン液が染み込むと色が少し暗くなり、また白い部分が透けやすくなります。最初に紹介した英機レジン(私は東條英機の肖像画・写真を使ったレジンをこう呼んでいます)でも、写真の裏に貼ってある背景の柄が透けて見えているのが分かるかと思います。効果としては面白いのでわざとやるのもありですが、透けさせたくない場合はコピー用紙を二枚重ねにして厚みを出してから写真・画像を切り出した方がよいでしょう。

で、画像を貼り付け、素材の配置が終わったらその上にUVレジン液を盛ります。結構粘度がありますからこぼれることはないと思いますが、念のため出し過ぎに注意するようにしてください。液の中に気泡が入ってしまった場合、爪楊枝を使って潰します。爪楊枝は素材の配置にも便利なので、レジンアクセサリーを作る際には必需品ですね。私はこの時点ではダイソーのラメ入りレジンを使うことが多いです。



レジン液を盛ったら、紫外線で固めます。日光で固めてもいいのですが、天候や時間帯にも左右されますし、最近はもっぱらネットで買ったUVライトを使っています。送料込みでも2000円しない程度の価格で手に入りますし、これだと長くても10分~15分くらいで固まるので、なかなか重宝です。

ある程度時間がたったら取り出してみて、爪楊枝の背でつついて固まり具合を確かめます。固まっていないようならもうしばらく紫外線をあてましょう。無事に固まっているようなら、その上にさらに仕上げのコーティングをします。私はセリアのクリアUVレジンハードタイプを盛って再度ライトで硬化させていますが、UVレジンは日光などに含まれている紫外線でも徐々に劣化していくそうなので、UVカットのネイル用トップコートを塗ってみてもいいかもしれませんね。

以下、こんな感じの歴史&キャラものアクセサリーが作れますよ…という例です。















「自分のセンスで何かを作る」というのは結構面白いですし、上でも述べましたように「とりあえずやってみよう」レベルならそんなに費用も掛かりません(無論、凝りだしたらそれなりにお金はかかりますが、それについてはどんな趣味も共通です)。もし興味を持たれたら、一度お近くの百円ショップでUVレジン液を探してトライしてみることをお勧めします。

社会主義者は切手がお好き?―切手雑誌『郵趣』1960年8月号を読む

2014-03-19 14:37:17 | その他サブカルチャー
先日友人と東京・目白にある「切手の博物館」を見に行ったことから切手についての興味が再燃しています。
そんな訳で、以前市立図書館のリサイクル図書に出されていた切手雑誌『郵趣』の古い号を徒然に読んでいるのですが…

どーにも内容が左派くさい。というより、明らかに寄稿者・編集者に社会主義シンパがいる。

一例を挙げます。『郵趣』の1960年8月号を見てみましょう。
表紙をめくりますと、まず「日本―ハワイ,虹のかけ橋 ―ハワイ官約移住75年切手、8月20日発行」という記事が目に入ります。
題名だけならいかにも中立的に切手の背景や内容を取り上げているような印象ですが、ところがさにあらず。内容は当時の郵政省で切手係を務めていた中村宗文氏に対する批判が大部分で、図案や形式などについての説明は僅か7行半に過ぎません。横書き3段組みでの7行半ですから、如何に少ないかが分かろうというものです。
で、問題なのはその批判部分。少し引用してみましょう。

「かれは日本の切手収集家の間ではきわめて評判が悪い。ところがアメリカの連中に対してのサービスぶりなど、まるで主人につかえる犬のようで、ちょうど戦犯・岸首相とそっくりである」

なんでここで岸首相を引き合いに出す必要があるんですかねえ…?
この記事、最後の方では同じく中村氏の企画によって発行されたと思われる「《日米修好》100年切手」についても「悪評ふんぷんたる」ものだと書き、「アイクの訪日に対する答礼として皇太子が訪米することを記念し」て発行する小型シートについて「大衆的な反対によってアイクの訪日が無期延期され、岸政府が崩壊したいま、なぜまだこのような小型シートを出さなければならないのか、ますます評判が悪い」としています。
政治的な偏りのない切手収集家にとってはわりとどーでもいいことだと思うというか、寧ろ収集対象が増えて宜しいんじゃないかと思うんですけどね。

そしてページをめくると、今度は「朝鮮切手への招待 ―1946~59年の完全なチェック・リスト」という記事が載っています。筆者は小柴谷吉。
これも記事自体は良いでしょう。社会主義諸国が(概ね外貨獲得を目的として)様々な記念切手を発行していたことは周知の事実ですし、北朝鮮の切手を収集すること自体は政治的立場や思想に拠らず面白いことだと思います。
でもこの記事、やっぱり書き方があれなんですよねぇ…。

「15年前の8月、朝鮮人民が永い間まちのぞんだ、解放の日が訪れた。だがそれは、38度線による南北朝鮮の分割という悲しい形で実現されたのである」

これがはしがき。解放って…ま、まあいいでしょう。でもこれが「Ⅱ 解放戦争期(50~53年)の発行」になるとどうでしょうか。

「朝鮮の首都ソウルは、英雄的な人民軍によって、6月28日11時30分に解放された。それを記念して国会議事堂を描いた切手が発行されている。そのご戦争の性格は「国連軍」の派遣によって、一変し内戦から祖国解放戦争となっていった」

…あの、これ切手雑誌の記事ですよね? 北朝鮮の対外プロパガンダ雑誌じゃないんですよね???
この記事についてはもうこの辺で置いておくとして、しばらくページをめくっていくと物凄い記事にぶつかりました。
その題も「反動的な《世界難民年》切手 ―アメリカ帝国主義の冷戦政策に反対する」。筆者は前田邦博。
この記事は2/3ページくらいの分量なので、思い切って全文を引用してみましょう。

「本誌6月号のトピカル・カラー・ページの見開きページをみたとき、わたくしは、まったくあぜんとして、しばらくは声も出ませんでした。わが国において、もっとも信頼できる「郵趣」が、アメリカ帝国主義の冷戦政策のお先き棒をかつぎ、2ページにもわたる大きなスペースをさき、いわゆる《世界難民年》切手について、このような記事をのせるとは、いったいどうしたということでしょう。
 この《世界難民年》切手は、どのようにして生れたのか、それについてはほとんど説明がなされていませんが、この《世界難民年》という仕事は、さる1958年12月5日の国連総会において、アメリカ帝国主義者がその傘下にある諸国をあやつり、社会主義諸国の代表の厳正な反論をしりぞけ、一気に通過させた反動的なものです。かれらは1959年7月1日から、60年6月30日までを《世界難民年》とよび、そのなかの重要な政策として、この《世界難民年》切手の発行を推進したのです。
 いわゆる《難民》を助けるためといえば、ていさいは良いが、その実態は切手の販売によって得た利益を、反革命分子の反共活動の資金にしょうとするものです。
 “アメリカン・フィラテリスト”の編集者は、その誌上において、いわゆる《難民年》切手の発行は、“収集家に対して反共の意識を高め、共産主義を根絶する上に有意義なものである」と書いています。これこそアメリカ帝国主義の野望を赤裸に暴露したものであり、この切手が、いかに反動的な内容をもっているかの、正しい証拠となるものであります。
 いわゆる《難民》とは、どのような人びとを指すのか。これについてアメリカ帝国主義者たちは、“共産諸国の圧政を逃れて、自由の天地を求めてきた人びと”のことだと説明していますが、これほどひどいギマンはありません。逃れた人間は、いわゆる地主とか、貴族とか、いままで人民を搾取して富を積み上げていた階級と、反革命の分子であり、かれらは、もう人間が人間を搾取することができなくなった社会主義の下では、生活ができなくなったからこそ逃げ出したのです。
 このような連中に、さらに資金を与えるために、なぜわれわれ収集家が、財布のひもをゆるめなければならないのでしょうか。
 救済されなければならないのは、このような反共の分子ではなく、もっとほかに多数の苦しい人びとがいます。例をアメリカにとるならば、いまもなお貧民窟に住む2,200万以上の人びとを救うことであり、450万以上にのぼる失業者の救済こそ重要であります。あるいはわたくしたちの近くに目を転ずるなら、朝鮮戦争のときアメリカ帝国主義者の無差別爆撃によって、家を焼かれ、すべを失った1,000万人以上の朝鮮の人びとがおります。またキューバにおいては、アメリカ帝国主義者の圧力によって多くの人びとが、苦しい生活をつづけています。
 いわゆる《世界難民年》切手の発行は、アメリカ帝国主義者の冷戦を激化し、反共活動をさらに高めるための方策の現われであることは、いまや明明白白の事実です。
 わたくしたちは、この切手のもつ反動的な内容をつかみ、反人民的なこの切手に反対し、その収集を、だんことして行わないことが大切であります」

うん、くらくらしますね。
この記事では《世界難民年》切手の発行が「アメリカ帝国主義の野望」による「反動的」なものであると言い、「このような連中に、さらに資金を与えるために、なぜわれわれ収集家が、財布のひもをゆるめなければならないのでしょうか」と言っている訳ですが、一方で共産主義諸国が外貨獲得のために様々な社会主義的記念切手を発行して世界の収集家に販売していたことについてはどう考えているんでしょうか。多分「革命的」で「人民的」な切手に対しては何にも文句言わなかったんでしょうね。

さらに数ページめくりますと、「世界新切手ニュース」という記事が載っています。これは当時世界で新たにどんな切手が発行されたかを紹介するページなんですが、それぞれ地域が分かれています。その区分は「アジア・アフリカ諸国」「東欧民主諸国」「その他の諸国」の三つ。ちなみにアメリカは「その他の諸国」に分類されています。うん、すんげえ露骨。

そして最後、「編集通信」のところには「あの解放の日から、もう15年という歳月が流れた」と書いてあります。もうやだこの雑誌。

この時代の切手収集家たち、及びその組織の思想的方向性などについては郵便学者の内藤陽介氏のブログで寄せられたコメントに返信する形で「駒長」氏という方が詳しく述べられていますが、この切手雑誌『郵趣』を見るだけでもかなりこう、イヤーンな感じが伝わってきます。
趣味は趣味、思想は思想。しっかり峻別する事って大事ですよね。