土曜日に埼玉県の熊谷から上長瀞まで40kmを歩くという某高校の年中行事に参加してまいりました。東ドイツ軍国境警備隊中尉の制服で。
ええ、もう汗だくで倒れるかと思いましたよ。ウールだから全然風を通さないし。
曇りだから良かったようなもののあれで晴れだったら間違いなく今頃は病院のベッドの上ですな。
さて、そんな強行軍の翌日に同好の士たるN参謀殿とM氏と共に高崎の古書店&骨董屋巡りと洒落込みました。洒落込むなんて言うほど大層なものでもないですが、鮎川の地元には骨董屋だのといった気の利いた店は無いのでこういう機会は有難いものなのです。
詳しい話を書くと色々と危うい点(何)もありますので掻い摘んで行程のみを書きますと、高崎駅で参謀殿、M氏と合流後にレンタサイクルで「みやま書店」ともう一軒の古書店を漁った後M氏宅へ。M氏ご自慢の蒐集品を拝見―特にどれとは言いませんが…どこから手に入れたんですか、あんな物(汗)―した後、昼食をとって国道17号沿い近くの骨董会館へ。その後また一軒の古書店に立ち寄って駅で解散、という一日でした。
色々と面白いものが手に入りましたが、以下その一覧。
①雑誌「歴史写真」昭和十一年三月号
②同六月号 特集・エチオピヤの敗亡
③スペインに武器を 人民戦線とフランスの《革命》/ジャン・プラデル著
④復刻版・新京案内/編輯兼発行人 永見文太郎
⑤日本を知れ/蘇峰 徳富猪一郎著
⑥現代思想戦史論/野村重臣著
⑦雑誌「丸」平成元年八月号
⑧スターリン 家族の肖像/福田ますみ著
⑨軍用カメラ大図鑑 Vol.2 ドイツ軍用カメラ編/中山蛙+野田忠司+今井今朝春著
⑩赤い旗/槙本楠郎著
⑪軍猪口「支那事変凱旋記念」日章旗と五色旗
…えらく本に偏った購入内容ですが、気にしたら負けです。
で、この中でも特にぶっ飛んだ内容で気に入ったのが10番の「赤い旗」。
タイトルからしてアレですが、裏表紙には駄目押しの如く赤旗に鎌と鎚のマーク。
で、中表紙には…ん? 「プロレタリア童謡集」?
そうです。なんとこの本は何を思ったか少年少女たちに共産主義思想を植え付けるために著された「プロレタリア童謡集」なのです!
特に前書きの一部を引いて見ましょう。
プロレタリアの少年少女たちへ
貧しい子供たちよ。
おぢさんは、みんなが大へん可愛い。この本は君たちに読んでもらひ、歌つてもらうために書いたのだ。金持の子供なんか読まなくたつていい。
おぢさんは君たちのお父さんやお母さんと同じやうに貧乏だ。
(中略)
ではみんなよ、早く大きくなつて、君たちも勇敢なプロレタリアの闘士となつて、君たちや君たちのお父さんお母さんを苦しめてゐる奴らを叩きのめしてくれ!
いやあ、中身全部すっ飛ばした最初と最後だけでこれですよ。いい味出してますね。まずもってこんな見るからにイデオロギイ丸だしな本を「貧しい子供たち」が買ったのかどうか疑問ですが、そもそもこの本自体が出版直後に発禁処分を食らってますので(昭和五年。ちなみに鮎川が買ったのは後の昭和五十三年にほるぷ出版から復刻出版されたものです)実際どうだったかは知る由もありません。
で、やっぱり中身の詩も凄い。
一寸法師
足袋の穴から
指が出た
一寸法師の
よごれ顔
へへのの・も・への・と
書いてやれ
これなんぞはユーモアがあって面白いですが、こんなのも。
とるとるづくし(第二連)
とるとるづくしではじめましょ
地主はいばつて年貢米とる
金持ァ遊んでて利子をとる
あつても無くても税はとる
ブルジヨア・にぎり拳
今においらが、あれをとる
ええ、あれをとる!
プロレタリア丸出しです。さすがにこんな歌を好んで歌う子供もいないのでは…。
極めつけはこちら。
おんまコッコ
おんまコッコ
ハイドード
おんまはマルクス
エンゲルス
リイプクネヒトも
四つん這ひ
乗りては赤毛の
チビのジヤン
(後連略)
マルクスとエンゲルスとリープクネヒトが馬の名前に!(笑)
下手をしたら逆に蔑んでるようにも見えてしまいますが。
とても我々には真似の出来ない芸当でしょう。
で、この本には付録として「プロレタリア童謡の活用に関する覚書」が収録されているんですが、その中にこんな一節が。
即ち一句のスローガンを眞に児童の心に植えつける為には、我々は幾十幾百の童謡を作り、それを読ませ、歌はせ、聞かせなければならぬかわからないのである。
人はそれを洗脳というんですよ、楠本さん!
しかも本人としては洗脳という感覚がまったく無いらしいのがさらに恐ろしいところです。
ちなみにこの本、行った三つの古書店のうち二つで見つけたので結構出回っているらしいです。興味の出た方は探してみるのもまた一興でしょう。
ええ、もう汗だくで倒れるかと思いましたよ。ウールだから全然風を通さないし。
曇りだから良かったようなもののあれで晴れだったら間違いなく今頃は病院のベッドの上ですな。
さて、そんな強行軍の翌日に同好の士たるN参謀殿とM氏と共に高崎の古書店&骨董屋巡りと洒落込みました。洒落込むなんて言うほど大層なものでもないですが、鮎川の地元には骨董屋だのといった気の利いた店は無いのでこういう機会は有難いものなのです。
詳しい話を書くと色々と危うい点(何)もありますので掻い摘んで行程のみを書きますと、高崎駅で参謀殿、M氏と合流後にレンタサイクルで「みやま書店」ともう一軒の古書店を漁った後M氏宅へ。M氏ご自慢の蒐集品を拝見―特にどれとは言いませんが…どこから手に入れたんですか、あんな物(汗)―した後、昼食をとって国道17号沿い近くの骨董会館へ。その後また一軒の古書店に立ち寄って駅で解散、という一日でした。
色々と面白いものが手に入りましたが、以下その一覧。
①雑誌「歴史写真」昭和十一年三月号
②同六月号 特集・エチオピヤの敗亡
③スペインに武器を 人民戦線とフランスの《革命》/ジャン・プラデル著
④復刻版・新京案内/編輯兼発行人 永見文太郎
⑤日本を知れ/蘇峰 徳富猪一郎著
⑥現代思想戦史論/野村重臣著
⑦雑誌「丸」平成元年八月号
⑧スターリン 家族の肖像/福田ますみ著
⑨軍用カメラ大図鑑 Vol.2 ドイツ軍用カメラ編/中山蛙+野田忠司+今井今朝春著
⑩赤い旗/槙本楠郎著
⑪軍猪口「支那事変凱旋記念」日章旗と五色旗
…えらく本に偏った購入内容ですが、気にしたら負けです。
で、この中でも特にぶっ飛んだ内容で気に入ったのが10番の「赤い旗」。
タイトルからしてアレですが、裏表紙には駄目押しの如く赤旗に鎌と鎚のマーク。
で、中表紙には…ん? 「プロレタリア童謡集」?
そうです。なんとこの本は何を思ったか少年少女たちに共産主義思想を植え付けるために著された「プロレタリア童謡集」なのです!
特に前書きの一部を引いて見ましょう。
プロレタリアの少年少女たちへ
貧しい子供たちよ。
おぢさんは、みんなが大へん可愛い。この本は君たちに読んでもらひ、歌つてもらうために書いたのだ。金持の子供なんか読まなくたつていい。
おぢさんは君たちのお父さんやお母さんと同じやうに貧乏だ。
(中略)
ではみんなよ、早く大きくなつて、君たちも勇敢なプロレタリアの闘士となつて、君たちや君たちのお父さんお母さんを苦しめてゐる奴らを叩きのめしてくれ!
いやあ、中身全部すっ飛ばした最初と最後だけでこれですよ。いい味出してますね。まずもってこんな見るからにイデオロギイ丸だしな本を「貧しい子供たち」が買ったのかどうか疑問ですが、そもそもこの本自体が出版直後に発禁処分を食らってますので(昭和五年。ちなみに鮎川が買ったのは後の昭和五十三年にほるぷ出版から復刻出版されたものです)実際どうだったかは知る由もありません。
で、やっぱり中身の詩も凄い。
一寸法師
足袋の穴から
指が出た
一寸法師の
よごれ顔
へへのの・も・への・と
書いてやれ
これなんぞはユーモアがあって面白いですが、こんなのも。
とるとるづくし(第二連)
とるとるづくしではじめましょ
地主はいばつて年貢米とる
金持ァ遊んでて利子をとる
あつても無くても税はとる
ブルジヨア・にぎり拳
今においらが、あれをとる
ええ、あれをとる!
プロレタリア丸出しです。さすがにこんな歌を好んで歌う子供もいないのでは…。
極めつけはこちら。
おんまコッコ
おんまコッコ
ハイドード
おんまはマルクス
エンゲルス
リイプクネヒトも
四つん這ひ
乗りては赤毛の
チビのジヤン
(後連略)
マルクスとエンゲルスとリープクネヒトが馬の名前に!(笑)
下手をしたら逆に蔑んでるようにも見えてしまいますが。
とても我々には真似の出来ない芸当でしょう。
で、この本には付録として「プロレタリア童謡の活用に関する覚書」が収録されているんですが、その中にこんな一節が。
即ち一句のスローガンを眞に児童の心に植えつける為には、我々は幾十幾百の童謡を作り、それを読ませ、歌はせ、聞かせなければならぬかわからないのである。
人はそれを洗脳というんですよ、楠本さん!
しかも本人としては洗脳という感覚がまったく無いらしいのがさらに恐ろしいところです。
ちなみにこの本、行った三つの古書店のうち二つで見つけたので結構出回っているらしいです。興味の出た方は探してみるのもまた一興でしょう。