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「下町ロケット」池井戸潤

2012年04月30日 | 読書

お金儲け、利益追求などとは無縁の世界で働いていたので、
「(中小)企業のモノづくりの話ねえ…。」と、今ひとつ興味をもてずにいたのだが、
直木賞受賞作、しかもどの書評を見ても「面白い!」と高評価なので、借りてみた。

…面白かった

【その特許がなければロケットは飛ばない……。
大田区の町工場が取得した最先端特許をめぐる、中小企業vs大企業の熱い戦い!
かつて研究者としてロケット開発に携わっていた佃航平は、打ち上げ失敗の責任を取って研究者の道を辞し、いまは親の跡を継いで従業員200人の小さな会社、佃製作所を経営していた。
下請けいじめ、資金繰り難……。
ご多分に洩れず中小企業の悲哀を味わいつつも、日々奮闘している佃のもとに、ある日一通の訴状が届く。
相手は、容赦無い法廷戦略を駆使し、ライバル企業を叩き潰すことで知られるナカシマ工業だ。
否応なく法廷闘争に巻き込まれる佃製作所は、社会的信用を失い、会社存亡に危機に立たされる。
そんな中、佃製作所が取得した特許技術が、日本を代表する大企業、帝国重工に大きな衝撃を与えていた。
会社は小さくても技術は負けない……。
モノ作りに情熱を燃やし続ける男たちの矜恃と卑劣な企業戦略の息詰まるガチンコ勝負。
さらに日本を代表する大企業との特許技術(知財)を巡る駆け引きの中で、佃が見出したものは……?
夢と現実。社員と家族。かつてロケットエンジンに夢を馳せた佃の、そして男たちの意地とプライドを賭した戦いがここにある。】

ドキドキ、ハラハラ
グイグイ読ませる

会社とは何か?何のために働いているのか?誰のために生きているのか?

自分のためではなく、家族や社員のために働いているーそう考えることで、自分は心のどこかにある挫折感を打ち消そうとしていたのではないか。他人のためだと思いこむことで、真実から目を背けていただけではないか。

オレはもっと自分のために生きてもいいのかも知れない。そうすることで、逃げるだけの人生にはピリオドを打てるかも知れない。いや、そうすることでしかピリオドを打つことはできないはずだ。

まったく興味のなかった企業の世界だが、
「いかに生きるか」という視点でみると、新鮮でとても興味深かった。
(ちょっと視野が広がったかな?)

展開がはやく分かりやすい。思ったより読みやすかった。
夢をもって、自分を信じてがんばる、ていいなって思える気持ちのいい作品だった。

星4つ半 

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