【盆市で大工が拾った迷子の男の子。迷子札を頼りに家を訪ねると、父親は火事ですでに亡く、そこにいた子は母と共に行方知れずだが、迷子の子とは違うという…(「まひごのしるべ」)。不器量で大女のお信が、評判の美男子に見そめられた。その理由とは、あら恐ろしや…(「器量のぞみ」)。下町の人情と怪異を四季折々にたどる12編。江戸の片隅で、貧しくも精いっぱい生きた人々の喜びと悲しみを、四季折々の風物とともにミステリータッチで描く】
切ない、切ない人情話。
現代のように豊かではなく、誰もがみんな貧しくて、必死に、でも助け合って暮らしていた時代だからこそ、
こういう人情話が素直に心に響くんだろうな。
火の気のない神棚から火が出た。燃え残った注連縄の中から謎の髪の毛が…。幼い奉公人の
母を思う気持ちが切ない。(「鬼子母火」)
体の弱い女房のために禁制のかんざしを作ることにした飾り職人の佐吉。なのに…。(「紅の玉」)
自分の器量が悪いことで不幸になったと恨んだ幽霊が…。(「器量のぞみ」)
つらくて首を吊ろうとすると『おや、こんばんわ。気の毒だがここはもういっぱいだよ』…。
(「首吊り御本尊」)。
どちらもハッピーエンド。救われる。
「侘助の花」は、孤独でさびしい娘(妾)の(ただ親孝行したいだけ)という気持ちが切ない・・・
「神無月」は体の弱い娘のために年に一度だけ強盗をする父親、「紙吹雪」は非情な高利貸しのために無理心中をした母親と兄の仇を討つため、その高利貸しに奉公した娘、どれも切ない話。
切ないけど読んだ後、心が洗われやさしい気持ちになるいいお話ばかりです。
さすが、宮部さん!!
星5つ
せかせかと毎日を過ごしていると心が枯れ枯れになっちゃうので、こんな本を読んで潤いと栄養をやらなくっちゃね。
「紅の玉」はそんなぁぁぁ・・・て感じでしたが。
計画、いいですね!しましょ、しましょ!