年度末に向けて、益々忙しくなり、来週はピークに達しそうです。そろそろパーワー切れになりそうな.....、感じです。
最近、バッハの弦楽器による作品を聞いている時間が多いのですが、今回はヴァイオリン・ソナタ集を紹介します。左のCDは「バッハ:ヴァイオリン・ソナタ BWV1014-1019」(ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン、ピアノ:エンリコ・バーチェ)(録音:2006年11月)(SONY:SICC 766~7)で、クライスラーが所有していたという1711年製ストラディヴァリウスでの演奏です。解説書(ハンス=クラウス・ユングハインリッヒ、訳:渡辺 正)によると、このヴァイオリンとピアノ(鍵盤楽器)のためのソナタ(BWV1014-1019)は、1725年頃にライプツッヒで作曲され、同市内のツィンマーマンのコーヒー店で開催されていた音楽団体「コレギウム・ムジクム」の定期演奏会において、バッハ自身も参加して演奏したと考えられているようです。これらの6つのソナタは、形式的にはコレルリが確立した教会ソナタを手本にしており、第6番以外は、“緩-急-緩-急”という4楽章で構成されています。
このヴァイオリン・ソナタ集は以前は少し地味なイメージがあり、少し敬遠気味でしたが、このツィンマーマンの演奏を聴いて、この曲集のイメージが大きく変わりました。冒頭の第1番ロ短調のアダージョの出だしから感動的で、薄暗い、奥深い森の中にあるお伽噺に出てくるような神秘の世界にゆっくりと分け入って行くような感じがしました。過去の誰の演奏とも違う、現代風のイメージがあり、バッハの宗教的な厳かな雰囲気と、ダイナミックで躍動的な演奏がうまく絡み合っています。特にピアノの演奏が深い!(自分でも意味不明ですが....)と感じました。SONYレーベルの録音は、ペライアの頃から何となくピアノの音がぼやけてシャープでなく、空間での音の反響がボヤッと、モヤッとしていて、好みの問題でもあるとは思いますが、グールドのCD以外はあまり好きにはなれなかったのですが、このCDに関してはこの特徴によって、うまくピアノとヴァイオリンの音色と絡み合って、独特な素晴らしい録音となっているように思います。グールドのこの曲集をもう一度聞き直してみたいと思いました。
右のCDは「J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集(全11曲)BWV1014-1023」(ヴァイオリン:アルテュール・グリュミュオー)(録音:1978年、1980年)(PHILIPS:UCCP3367/8)です。凄く凛とした演奏で、頭の中にそよ風が流れるような演奏です。全11曲収録されていて、第6番の異稿も録音されています。
この2つのCDは、ピアノとチェンバロの違いもあり、雰囲気もかなり違いますが、どちらもこの曲集の真髄をとらえた名盤と思います。