(三浦しをん著)
★★★★★(ベアの満足度)
簡単に言ってしまうと、辞書作りのお話。
「大渡海」という辞書を長い年月をかけて作る。
辞書は言葉を渡る舟。
だから、このタイトル。
辞書というのはこんな風に作っているのかという感嘆と
工程の多さ、見出し語の厳選、紙質、
こだわりの深さに驚く。
辞書に対する情熱、言葉に対するこだわり。
熱い想いに久しぶりに触れた。
出版社に入社した。
頁をめくると...
「それから、辞書づくりひとすじ37年ですわ」
一気の場面転換にびっくりした!
まるで舞台みたい!
でも、これってありだよな。
行数を合わせるのが、辞書に通ずる。
濃紺に銀文字のこの本の装幀が
小説にしては、珍しいと思ったら、
その謎も最後にわかった。
馬締(まじめ)さんという
本当に辞書を作るために
生まれて来たような主人公も魅力的。
人生を捧げられるものが1つあれば
それで、豊かななんだなあ。
さすが、本屋大賞にノミネートされる
ストーリーでした。