弁護女子。~越谷の女性弁護士の日々~

越谷市の弁護士(離婚・親権・面会交流・養育費・財産分与・不貞問題等を主に扱っております)の生井澤葵の日々を綴ります。

安全な面会交流のために・・・。

2017-10-23 | 【親権・面会交流等】
全国的にニュースになりましたが、

面会交流中にお子さんが非監護親である父に殺害されるという事件がありました。

私自身も、ネットニュースでの情報しかありませんが、

離婚調停・・・つまり裁判所が関与していたこと、

少なくともどちらか側に代理人の弁護士さんが就いておられたようです。

面会交流調停の中で、

裁判所の立場は、「お子さんの健全な発達のためにも」できる限り面会交流を実現させる方向です。

監護親(お子さんを普段育てている親)側で代理人になる場合、

「会わせていきましょうね」というプレッシャーを感じます

きちんとした理由なく、面会を拒否していると、

むしろこちら側にとって不利になる(間接強制や、親権者変更等)可能性もあるので、

代理人として、「大丈夫そうであれば」と自分の依頼者と話し合うことになります。

ただし、大丈夫そうかの判断は、

相手方、つまり敵側となる、非監護親の様子を想像するしかございませんので、

かなり難しいと感じます。

今回のようなケースが2度と起こらないように・・・とするには、

どのように防いでいけばいいのかは、面会交流に携わる弁護士の方であれば、頭を悩ませる部分ではないでしょうか。

非監護親側の代理人であれば、「会わせて」「会わせて」でよいのですが、

監護親の側の場合が特にです。



私が思いつくのは、

裁判所の関与、踏み込めば、調査官の調査+調停官(裁判官)の関わりの充実だと思います。

代理人の私としては、ほとんどのケースで、

調査官調査の必要性があると感じるので、

上申書を付す等して、調査命令を待ちます。

しかしながら、この調査官調査も全ての件に入ることが確約されているわけではなく、

当事者双方に代理人が付いていない件で、

さらに何となく面会交流ができている件では「必要ない」とされることも、

あると聞きます。

裁判所の立場であれば、中立ですので、監護親とも非監護親とも面談をすることができます。

まして、調査官は裁判所で特別な研修を受けた、その道のプロです。

法律家でしかない私が、「会わせても多分大丈夫か」と素人判断するものとはわけが違います。

ただし、この面談も、多くの場合、何度も何時間もされるわけではありません。

私は専門の訓練を受けた調査官ではありませんので、

限定された回数や時間で調査ができるものなのか、時に、ひっそり心配をしております。

この、調査官調査を基に、審判となれば裁判官が判断をすることになります。


ここまで書いて感じることは、

これでは、調査官と裁判官に期待しすぎではないか・・・という問題です。

調査官や裁判官の扱う事件数の多さで、

きめ細かい、安全な、面会交流のルール作りは本当にできるものでしょうか。

何より、裁判官はやはり「法律」のプロでしかないのです。

お子様の健全な発達や、非監護親の安全性等、判断できるものでしょうか。

面会交流審判は審判になじまない・・・と、頭を抱える裁判官も多いと聞きます。

裁判所の決めたルールに基づいて事件が起こってしまった場合、

裁判所を相手に国賠をすることになるのでしょうか・・・?う~ん・・・。


他に考え付く案は、

面会交流をサポートしてくれる団体との連携です。

現在この面会交流をサポートしてくれる団体は、

全国にあるわけではなく、

費用も高く、

さらに、裁判所との連携はございません。

ただ、この面会交流サポート団体は、

団体を運営している方が、

裁判所関係者“だった”ことが多いのです。

面会交流のサポートの必要性を感じ、

よかれと思ってやってくださっている団体です。

費用はどうしても高くなってしまいますが、

担当してくださる方の労力を考えますと、決して高額とも言い切れないのです。

また、

問題が生じそうなケースのサポートをしてくださっているわけですから、

万が一の時のために、団体の方の安全が確保される必要もありますし、

万が一が起きた時の責任が団体に集中することもあってはならないと思います。

そう考えますと、

きちんと裁判所との連携・・・つまり、国のお墨付きくらいの立場に引き上げていただく必要があるのではないかと感じます。



難しい問題ですので、

悩みを悩みのまま書いてしまいました。

うまくいく方法があれば、是非アドバイスをいただきたいと感じている問題です。




こばと法律事務所
弁護士  生井澤 葵(なまいざわ あおい)

◆プロフィール◆

埼玉県熊谷市の弁護士 ・ 中央大学法科大学院実務講師 ・ JADP認定夫婦カウンセラー資格取得

離婚問題、不貞問題についての相談を多くいただいております。

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