大学2年の9月から翌年2月までの約半年、おらっちは、アメリカワシントン州スポーケンにある、東ワシントン大学に留学していた。
同じ時期に、同じ東ワシントン大学へ留学した亜細亜大学の学生は約40名。多いように思えるが、寮生活は基本的に、アメリカ人(または日本人以外の留学生)と2人1室。
部屋では、日本語は話せない・・・というより、日本語で話しかけたところで、
「What?」
もしくは
「Pardon?」
と聞き返されるのがオチである。
今現在も相当なビンボーだが、当時は今にも増して、「極ビンボー」だった。
同時期に留学した学生の中には、週末ごとにやれ「サンフランシスコ」だ、やれ「ニューヨーク」だと、観光を楽しむ輩もいたが、おらっちにはまるで関係ない。誘われても行けなかったし、そのうち、誘ってももらえなくなった。
日本の「冬休み」にあたるのは「Christmas Break」。その1ヶ月ほど前にも「Thanks Giving(感謝祭)」の連休がある。
今日は、その「Thanks Giving」のときのお話。
他のみんなは、やれ「グランドキャニオン」だのやれ「ディズニーワールド」だのとアメリカ各地に蜘蛛の子散らすように去っていった。
また、亜細亜大生以外の留学生やアメリカ人学生も友達の家や実家に帰省して、キャンパス内は寒風が吹き渡る感じ・・・。ひとっこ一人いない・・・。しかも、学食や売店スタッフも連休のため、食事を取るにもどこかキャンパス外へ(日本の大学と違って、キャンパスの外で食事をするためには、バスで最低20分かかる。逆に言えば、そのくらいキャンパス内には何でもある)行かなければならない。
それはキツイ・・・
そんなぼくと、同じく「留守番組」のKくんを見るに見かねて声をかけてくれたのが、我が愛しの教師、Kris(表記合ってますよ。ChrisではなくKris)だった。
本当は英語でしゃべっているが(おらっちはテキトー・イングリッシュだが)わかりやすく日本語でそのときの会話を再現。
Kris:みずきもKも、サンクスギビングの連休なのに、どこにも行かないの?
みずき:うん。だって、他のみんなみたいに遠くへ旅行する金なんか持ってないもん。
Kris:だったら、うちの別荘に行かない?うちの旦那と私、それに息子と息子の彼女が一緒に来るけど・・・。どう?
みずき:い、いいんですかぁ?
Kris:もちろんよ。・・・で、今夜出発だから!
大慌てです!!
とりあえず3日分の衣服を準備して(「寒い」と聞かされていたので、かなりぶ厚いコートを持参)旦那さんの運転する車に乗り込む。
車内には、Krisと5歳くらいの少年少女が一人ずつ・・・ま、まさか・・・
コイツラが「噂のカップル」??
ガキのくせに生意気な!!おらっちにだって彼女いないのに(当時)・・・。っていうか、Krisの子供はもう少し大きいと思っていた
先行き不安だったが、片言の英語と身振り手振りで、4時間に及ぶドライブも終了。
Kris:さあ、着いたわよ。私たちの別荘へようこそ!(ごめんなさい。何だか「直訳」っぽい)
みずき:(車のドアを開ける)・・・・い、痛っ!?
辺りは、なんとマイナス25度の世界。バナナで釘が打てる。
おまけに吹雪。肌を直撃する雪が画鋲のように思える。チクチク痛い!
持ってきたコートはもはや役立たず。
Kris一家はというと・・・
エスキモー一家になっちゃってる!!
車のトランクに、そんなアンニュイな衣装を隠し持っていたなんて・・・。
到着したところ、そこは、アイダホ州の北の外れ、カナダとの国境に程近い町だった。
マイナス25度・・・鼻水もツララになります(マジで)。
Krisのだんな:おーい、早く家の中に入っといで。死ぬぞ~!
「死ぬぞ~」って、
どうやら、その言葉に嘘はないらしい・・・
軽めの夕食(途中のピザ屋でテイクアウトした巨大ピザ)を終え、風呂に入り(といってもシャワーだけどね)、就寝。
部屋に一歩入れば暑いくらいに暖房が効いている。寝床で凍死することもなかった。
翌朝、7時過ぎに起床し、顔を洗いリビングルームに行く。そこで、とてもショッキングな出来事を聞かされることとなる。
みずき:おはようございます、クリス先生(直訳モード)。
Kris:おはよう。
みずき:・・・ところで朝ごはんは?
Kris:(笑いながら)何言ってるのよ、「Thanks Giving」は日ごろの恵みや、こうやって元気で働かせてもらっていることなどについて、神さまにありがとうを言う日なの。だから家事を含めた労働は一切しないのよ。
ま、旦那がターキーを外で焼いてるけどね。
みずき:・・・・・・・・・・・・
これって「感謝祭」というか、
断食フェスタ!?
結局、薪で焼くオーブンでターキーが焼きあがったのは午後1時過ぎ。ターキーはナイフで削ぎ、ピクルス、レタスなどを好きなだけパンにサンドして喰らう。
うまい!
腹が減っていたとはいえ、こんなにうまいサンドイッチを食うのは生まれて初めてだ。正直、感動した。
・・・・で、他には?
Kris:何にもないわよ。飲み物は冷蔵庫の中にあるから勝手に飲んでね。
「勝手に飲んでね」って、
あなた、何にも感謝してない!!
①サンドイッチだけでは腹が減る。
②腹が減るから、またターキーをナイフで削ってパンにはさむ。
③飲み物を用意する。
④喰らいつく。
⑤しばしの満腹感。
①に戻る・・・
これの繰り返し。
Krisの子供、シャヒーン:みずきって、まるで「バキュームクリーナー(掃除機)」だね!いっぱい食べ過ぎて、明日の分まで食べつくさないでね!
あ、明日の分・・・?
2泊3日、毎食これでいくおつもりですかぁ?
ショックでした。
結局、別荘にお邪魔した2泊3日で何をしたか?
映画「クリフハンガー」をビデオで2回見て、近くの川辺を散歩(川が凍っていて上に立つことができた。圧巻!)、子供たちに「恋のレクチャー」、部屋で昼寝、映画「ゴーストバスターズ」をビデオで見て・・・
一家総出で、軽い「引きこもり」状態・・・
何が起こるのか、過度の期待をしていたおらっちが悪かった!
たのむから寮に返して~!!
2泊3日の間、心の中でそう叫んでいた。
えっ、「ところでKくんは?」って?
彼は本当に無口な人で、一緒について来てたことは来てたのだが、ほとんど会話もしないで、部屋で寝てましたね。
ホンモノの引きこもり・・・
なんだかんだあったけど、景色はすごくきれいでした(今更無駄ですか?)。何だか、今思えば、「アメリカの風習」みたいなのを一番身近に感じられた出来事だったように思う。
こうやって、ブログのネタにもできたし・・・。
それではまた明日!バイバ~イ!!
同じ時期に、同じ東ワシントン大学へ留学した亜細亜大学の学生は約40名。多いように思えるが、寮生活は基本的に、アメリカ人(または日本人以外の留学生)と2人1室。
部屋では、日本語は話せない・・・というより、日本語で話しかけたところで、
「What?」
もしくは
「Pardon?」
と聞き返されるのがオチである。
今現在も相当なビンボーだが、当時は今にも増して、「極ビンボー」だった。
同時期に留学した学生の中には、週末ごとにやれ「サンフランシスコ」だ、やれ「ニューヨーク」だと、観光を楽しむ輩もいたが、おらっちにはまるで関係ない。誘われても行けなかったし、そのうち、誘ってももらえなくなった。
日本の「冬休み」にあたるのは「Christmas Break」。その1ヶ月ほど前にも「Thanks Giving(感謝祭)」の連休がある。
今日は、その「Thanks Giving」のときのお話。
他のみんなは、やれ「グランドキャニオン」だのやれ「ディズニーワールド」だのとアメリカ各地に蜘蛛の子散らすように去っていった。
また、亜細亜大生以外の留学生やアメリカ人学生も友達の家や実家に帰省して、キャンパス内は寒風が吹き渡る感じ・・・。ひとっこ一人いない・・・。しかも、学食や売店スタッフも連休のため、食事を取るにもどこかキャンパス外へ(日本の大学と違って、キャンパスの外で食事をするためには、バスで最低20分かかる。逆に言えば、そのくらいキャンパス内には何でもある)行かなければならない。
それはキツイ・・・
そんなぼくと、同じく「留守番組」のKくんを見るに見かねて声をかけてくれたのが、我が愛しの教師、Kris(表記合ってますよ。ChrisではなくKris)だった。
本当は英語でしゃべっているが(おらっちはテキトー・イングリッシュだが)わかりやすく日本語でそのときの会話を再現。
Kris:みずきもKも、サンクスギビングの連休なのに、どこにも行かないの?
みずき:うん。だって、他のみんなみたいに遠くへ旅行する金なんか持ってないもん。
Kris:だったら、うちの別荘に行かない?うちの旦那と私、それに息子と息子の彼女が一緒に来るけど・・・。どう?
みずき:い、いいんですかぁ?
Kris:もちろんよ。・・・で、今夜出発だから!
大慌てです!!
とりあえず3日分の衣服を準備して(「寒い」と聞かされていたので、かなりぶ厚いコートを持参)旦那さんの運転する車に乗り込む。
車内には、Krisと5歳くらいの少年少女が一人ずつ・・・ま、まさか・・・
コイツラが「噂のカップル」??
ガキのくせに生意気な!!おらっちにだって彼女いないのに(当時)・・・。っていうか、Krisの子供はもう少し大きいと思っていた
先行き不安だったが、片言の英語と身振り手振りで、4時間に及ぶドライブも終了。
Kris:さあ、着いたわよ。私たちの別荘へようこそ!(ごめんなさい。何だか「直訳」っぽい)
みずき:(車のドアを開ける)・・・・い、痛っ!?
辺りは、なんとマイナス25度の世界。バナナで釘が打てる。
おまけに吹雪。肌を直撃する雪が画鋲のように思える。チクチク痛い!
持ってきたコートはもはや役立たず。
Kris一家はというと・・・
エスキモー一家になっちゃってる!!
車のトランクに、そんなアンニュイな衣装を隠し持っていたなんて・・・。
到着したところ、そこは、アイダホ州の北の外れ、カナダとの国境に程近い町だった。
マイナス25度・・・鼻水もツララになります(マジで)。
Krisのだんな:おーい、早く家の中に入っといで。死ぬぞ~!
「死ぬぞ~」って、
どうやら、その言葉に嘘はないらしい・・・
軽めの夕食(途中のピザ屋でテイクアウトした巨大ピザ)を終え、風呂に入り(といってもシャワーだけどね)、就寝。
部屋に一歩入れば暑いくらいに暖房が効いている。寝床で凍死することもなかった。
翌朝、7時過ぎに起床し、顔を洗いリビングルームに行く。そこで、とてもショッキングな出来事を聞かされることとなる。
みずき:おはようございます、クリス先生(直訳モード)。
Kris:おはよう。
みずき:・・・ところで朝ごはんは?
Kris:(笑いながら)何言ってるのよ、「Thanks Giving」は日ごろの恵みや、こうやって元気で働かせてもらっていることなどについて、神さまにありがとうを言う日なの。だから家事を含めた労働は一切しないのよ。
ま、旦那がターキーを外で焼いてるけどね。
みずき:・・・・・・・・・・・・
これって「感謝祭」というか、
断食フェスタ!?
結局、薪で焼くオーブンでターキーが焼きあがったのは午後1時過ぎ。ターキーはナイフで削ぎ、ピクルス、レタスなどを好きなだけパンにサンドして喰らう。
うまい!
腹が減っていたとはいえ、こんなにうまいサンドイッチを食うのは生まれて初めてだ。正直、感動した。
・・・・で、他には?
Kris:何にもないわよ。飲み物は冷蔵庫の中にあるから勝手に飲んでね。
「勝手に飲んでね」って、
あなた、何にも感謝してない!!
①サンドイッチだけでは腹が減る。
②腹が減るから、またターキーをナイフで削ってパンにはさむ。
③飲み物を用意する。
④喰らいつく。
⑤しばしの満腹感。
①に戻る・・・
これの繰り返し。
Krisの子供、シャヒーン:みずきって、まるで「バキュームクリーナー(掃除機)」だね!いっぱい食べ過ぎて、明日の分まで食べつくさないでね!
あ、明日の分・・・?
2泊3日、毎食これでいくおつもりですかぁ?
ショックでした。
結局、別荘にお邪魔した2泊3日で何をしたか?
映画「クリフハンガー」をビデオで2回見て、近くの川辺を散歩(川が凍っていて上に立つことができた。圧巻!)、子供たちに「恋のレクチャー」、部屋で昼寝、映画「ゴーストバスターズ」をビデオで見て・・・
一家総出で、軽い「引きこもり」状態・・・
何が起こるのか、過度の期待をしていたおらっちが悪かった!
たのむから寮に返して~!!
2泊3日の間、心の中でそう叫んでいた。
えっ、「ところでKくんは?」って?
彼は本当に無口な人で、一緒について来てたことは来てたのだが、ほとんど会話もしないで、部屋で寝てましたね。
ホンモノの引きこもり・・・
なんだかんだあったけど、景色はすごくきれいでした(今更無駄ですか?)。何だか、今思えば、「アメリカの風習」みたいなのを一番身近に感じられた出来事だったように思う。
こうやって、ブログのネタにもできたし・・・。
それではまた明日!バイバ~イ!!