映画「WATARIDORI」はすごかった。
もう20年以上も前に制作された映画なのだが,渡り鳥の飛翔映像が収録された名作だ。
なかでも,当時の私は,ハクガンのおびただしい数の飛翔映像に圧倒され,また,羨ましくも思ったものだ。
そんな夢の光景が,今,現実になりつつある。
ここは,八郎潟を埋め立ててできた大潟村。
男鹿で生まれ,秋田市で育った私にとっては,その中間にあるココは地元みたいな土地。
父母が健在のときは,里帰りついでに,毎年年末に探鳥で訪れていた地でもある。
だから,嬉しいこと,この上ない。
ハクガンは,それほど昔でない以前,宮城県では,1羽でも来れば話題になったし,5羽の群れを見たときなど大興奮だった。大潟村では,昔から定期的に来ていたが,それでも数羽単位。
それが,民間レベルの人々の努力でここまで飛来数が増えた。自然に増えたのではない。
今は,2,000羽とも言われるレベル。倍々ゲームに近い増え方をしてきたように思う。
当時を知る者としては信じられない光景。
復活に力を注いでいただいた方々には本当に頭が下がる。
私も,大切な想いを持って,真摯な心で観察しなければならない。
そう思う。
秋田の友人は,幼鳥が少なめだと心配していたが,久しぶりに来た私の目には,幼鳥が多い群れも結構あったように見えた。
今回来たヒトたちには,ぜひとも,次の世代をどんどん連れてきて,万単位まで増えてほしい。
今季も,首から下が黒っぽいタイプのアオハクガンが少数混ざっていたが,今急いで見に行くことはない。今後ハクガンが増えてきたら,きっと,もっと普通に見えるようになる。
昔の東京湾で見られたという「雪が降るように」無数と思えるほどのハクガンの光景を,生きているうちに見たいものだ。「WATARIDORI」に映っていたのは何十万羽という群れだったので,そのレベルまでは今の百倍以上か…。
ところで,お邪魔して知らず知らずご迷惑をおかけする地元の方々に対し,何もできない私は,意識して,その土地にお金を落としていくことにしている。
大潟村に行ったときは,「潟の店」に寄って,パンプキンパイと佃煮を買って帰ることにしている。
大潟村唯一のホテル,「サンルーラル大潟」に隣接する日帰り温泉「ボルダー潟の湯」もすごく良い温泉だ。
【付記】
ここにたどり着くまでの道路,また,探鳥地周辺の道路は,雪が降るようになると,ABSのブレーキも効かないようなつるっつるのアイスバーンになることがある。私は,橋がかかる道路の坂道で,くるっと一回転して反対車線の向こう側まで滑ってしまったことがある。このときは,たまたま対向車がなかったので命拾い。
大潟村内では,猛吹雪になると,周囲が全く見えないホワイトアウトになる。テレビのニュースでは,ホワイトアウトと称して,背景がうっすら見える映像を流しているが,現実,ひどいときは一寸先も見えない。目をつぶったまま運転するのと同じ状態。怖いことこの上ない。
積雪時,車での探鳥中,雪に埋まってタイヤが空回りし,立ち往生したこともある。当時,ジムニーだったが,それでも,お腹が雪につかえてタイヤが空回りし,雪原の中で身動きできなくなった。このときは,JAFの助けで命拾い。案内する目印もない場所だったので,ご迷惑をおかけしてしまった。携帯の電池もなくなり,ホント,ピンチだった。逆に,雪に埋まった車に遭遇し,近くの消防署からロープを借りて牽引して助けたこともある。助け合いは冬の秋田の常識。
秋田自動車道などは事故が原因の通行止めになることも多く,年末,秋田の実家でテレビを見ていると,毎年,何度も何度も通行止めと解除のお知らせが流れていた。通行止めで現地に着くのが遅れるのはまだ良いが,その原因になったら多大なご迷惑をかけることとなる。秋田の人は雪道でも飛ばすから,真似をしてはだめ。
時期,天候条件などによっては,命がけとなることを覚悟。
運転初心者にはお勧めしない探鳥地。
(2023/12/09-10 ハクガン)
昨年行きました、今季も行きたかったのですが、夏以降長距離運転が辛い状況になっていて我慢しました。
先日、宮城県北部で100羽前後のハクガンを観察しました。宮城県も増えているようです。
秋田にいるハクガンの一部が,秋田の雪で飛んできたのでしょうか。このヒトたちにとって,2~300㎞なんて何でもないと言いますよね。
それにしても,お体,大事になさってください。人間はハクガンと違いますから。
いずれ,シジュウカラガンのように,宮城県でもハクガンが普通になることを信じています。