本日12月3日は、手品の掛け声「ワンツースリー」によって奇術の日です。1990年に日本奇術協会が制定しました。
奇術といい手品といい魔術といいますが、この中で「魔術」は英語のmagicの訳語として近年になって使われ始めたもの、奇術は明治時代に生まれた言葉で、手品は江戸時代頃からのようです。日本に伝わってきたのは以外に古く、奈良時代に「散楽」の名前で行われていました。手妻という言葉もありましたが、これはだいたい手品と同じ頃に生まれたもののようです。
桃山時代、出雲の阿国が歌舞伎踊りを京都・四条河原で始めた頃、同じ四条河原で滝川伝之丞という人が手品の興行をしていたといいます。江戸時代には多数の「放下師」が大道芸として手品を行っていました。しかし中には将軍の前で演じるような名人クラスもいたようです。「滝の白糸」で知られる水芸は大阪で生まれたもので、その美しさは今でも多くのファンがいます。日本の女性イリュージョニストの草分け的存在・松旭斎天勝も水芸は得意なレパートリーの一つでした。
手品の歴史は古く、その起源は実際分からないほどですが、3000年か4000年の歴史があるのは間違い無いでしょう。中世のヨーロッパでは教会の影響で怪しげな術がやりにくかったこと、その後魔女狩りのお陰で、そういう技術を持っていること自体が危険であった時期もあり、近世になってからもヨーロッパ人という形ではやりにくく、代わってアラビアやインドの魔術師たちが人気を集めました。現在でも例えばインド風の衣装を付けて行うイリュージョンを「ヒンズー・マジック」などと呼んでおり、ひとつのジャンルとして定着しています。
近世のマジックの歴史の中では18世紀のケンペレンという人が作ったチェス人形などは有名です。これはチェスを人間と対戦することのできる自動人形、というふれこみだったのですが、実際には箱の中に人間が入っていて操作していました。
トニー志茂は「腹話亭円ジョイ師匠」のカラクリを江戸で大道芸マジック「傀儡師」を伝統継承しています。