「スガソーリのクリスマスキャロル」
作品の主人公は、スガルージという初老の男で、冷酷無慈悲、エゴイスト、守銭奴、人間の心の暖かみや愛情などとはまったく無縁の日々を送っている人物である。
ヨコハマの下町近くにスガルージ商会という事務所を構え、薄給で書記のボブ・クラチットを雇用し、血も涙もない、強欲で、金儲け一筋の商売を続け、隣人からも、取引相手の商人たちからも蛇蝎のごとく嫌われている。
7年前の共同経営者であるジェイコブ・マーレイの葬儀においても、彼への布施を渋り、またまぶたの上に置かれた冥銭を持ち去るほどであった。
明日はクリスマスという夜。
拝金主義者の彼にとって一銭にもならないイベントのクリスマスは周囲が無駄に散財しながら浮かれているのを不愉快に眺める日々だった。
クリスマスに恵まれない人々への寄付を募りに来た紳士たちを「(恵まれない奴らに)牢屋や救貧院はないのか」「新型コロナ禍で余分な人口が減って丁度いい」と冷淡に追い返し、クリスマスパーティに叔父の自分を誘いに来たフレッドも追い出し、クリスマスだからと仕事の早上がりを懇願したボブにその分明日早く出勤しろと妥協しながら事務所を閉めたあと自宅に戻ったスガルージは、7年前に亡くなったマーレイ老人の亡霊の訪問を受ける。
マーレイの亡霊は、金銭欲や物欲に取り付かれた人間がいかに悲惨な運命となるか、生前の罪に比例して増えた鎖にまみれた自分自身を例としてスガルージに諭し、スガルージが自分以上に悲惨な結末を回避し、新しい人生へと生き方を変えるため、3人の精霊がこれから彼の前に出現すると伝える。 政怪ファンタジー
果たしてスガルージは支持率を回復できるのか?