
年に4、5本の娯楽映画しか観ない僕なので、気の効いた感想は書けませんが、
事前に情報を知らないと、どんな印象を持つ映画なのか、ありのままを
書いてみたいと思います(ネタバレ勿論あります)。
結論としては、観たくないシーンも、何箇所かありましたが、
非常に面白く観る事が出来ました。
それは、藤井隆のプロモ(※1)、小松彩夏のファンタのCM(※2)
という、ミーハーな僕の入り口が前半に見つかったから(笑)。
<物語>幼い子供2人を、メキシコ人の乳母に託し、
モロッコを旅行中のアメリカ人夫婦、リチャード(ブラッド・ピット)と、
スーザン(ケイト・ブランシェット)。
2人には哀しい過去があり、リチャードは、それが原因で壊れかけている、
夫婦の絆を取り戻そうとしています。
しかし、不幸にも、モロッコ人の少年の放った、1発の銃弾が、
スーザンに命中してしまいます。帰れなくなった両親、残された子供たち。
息子の結婚式に出席する為、仕方なく、その2人の子供たちを
故郷のメキシコに連れていく乳母・アメリア。しかしその乳母の甥の暴走で、
アメリアと2人の子供の運命も、次第に狂っていきます。
そして日本では、モロッコで使われた銃の、かつての持ち主・ 安次郎
(役所広司)と、その娘、聾唖の女子高校生・チエコ(菊地凛子)の物語が
展開していくというもの。
モロッコ、メキシコ、日本と、場面は次々に展開していきますが、
時系列が違ってるのに気付けば、頭に入ってきやすいです。
予告編CMによる、「安次郎の銃が、殺人未遂事件に使われた。」
くらいしか、物語の情報を持ってなかったので、
聾唖の女子高校生・チエコ役の、菊地凛子には驚きました。
チエコそのものになり切ってる演技力は、素晴らしいの一言ですが、
下着をつけない「氷の微笑」的なシーン、そしてフルヌードと、
盛り上がってたのは、こういう要素もあったのかと(汗)
ただ、若い男を誘ったり、歯科医にモーションをかけるといった、
その不可解な行動も、チエコの輪郭がわかってくると、
次第に理解できるようになりました。
読唇や筆談なんてすっ飛ばしたい、ウソのない部分で
確かめあってみたい、そんな気持ちではなかったんでしょうか。
この映画に描かれてるのは、言語の違いも含め、伝わらない想い、
そして同じ言語を持っていても、理解しあえない辛さ。
その象徴的な存在として、チエコが描かれていたような気がします。
チエコにとっては、肉体も、伝える手段のひとつだったのかなと。
そして想像力をかきたてる、全てを見せない手法は、
連ドラ慣れしてる、僕には新鮮でした。
●チエコが、刑事を誘った後、渡した手紙の内容。
●チエコの母親の自殺の理由。猟銃自殺というのも、普通では
ないものを感じます。
●猟銃を撃ってしまった、モロッコの少年の家族のその後。
●国境を強硬突破してしまった、アメリアの甥のその後。
個人的に、苦手なシーンもありました。
●上映1時間20分辺りのクラブでの光の点滅。
報道されてるように、音楽と相まって、かなり辛いシーンでした。
●ニワトリのシーン。
●モロッコの少年の○○○ーシーン。
全てを見せない手法と、余計かな?と思えるシーン。
でもこれらのシーンも、それが彫刻の一刀一刀のように、
この映画を、形作ってると思います。でも苦手な人は、目をつぶる準備を。
最後に、深読みかもしれませんが、
スーザンがヘリで移送される時、リチャードは大変世話になった、
現地のガイドさんに、お金を渡そうとしましたが、
ガイドさんは受け取りませんでした。
安次郎も、現地のガイドさんに、お礼として銃をプレゼントした。
日本人が、礼として銃をプレゼントするっていうのは、違和感があるものの、
プレゼントした銃が巻き起こした一連の事件、その収束のシーンに
お礼を拒否する人物が出てきてるのも、面白いなと感じました。
◆藤井隆(※1)
「OH MY JULIET!」(2005.10.19)Tommy february6プロデュース。
劇中の、J-POPというカフェで、この曲のプロモーションビデオが
流れてて、学生服で踊る藤井さんが、しっかりと映ってます。
エンドロールに、クレジットもありました。
◆小松彩夏(※2)
チエコが、マンションで見ているテレビで、ファンタのCM
「そうだったらいいのにな カメラマン編」が流れてて、
一瞬、水着姿の小松彩夏が映る。
小松彩夏 ダイアリー
http://www.ayaka502.com/diary.html
ご本人の日記にも、バベルに一瞬映ってると載っていました。
それが縁で、試写会に行ったとも。
藤井さんと小松さんの事を見逃していましたが、なるほどそういうことだったのですね。
私も全く何も知らないで話題性だけで見に行ったわけですが、本当見たくなかったシーンがたくさんあって、閉口してしまいました。
でもそれ以上に、引きつけられるものがあったともいえます。チエコの描写には違和感と酷さを感じていましたが、
>「ウソのない部分で確かめあってみたい、そんな気持ちではなかったんでしょうか」
そうでしたか・・と今更のように思います。ただそういう感覚って日本人には無いような気がするので、何となく不快に見えたのかもしれません。
>チエコの描写には違和感と酷さを感じていましたが、
上映時間長かったんですよね?
でも僕は、ずっと引き付けられてて、その長さを
感じませんでしたわ。
僕が偉そうに言うことでもないんですが(笑)
引き込む力は、あったと思います。
>そうでしたか・・と今更のように思います。ただそういう感
>覚って日本人には無いような気がするので、何となく不快に見えたのかもしれません。
同じような感覚、なんか味わったことがあるなと。。。
例えば、メールでのやりとりなんて、抑揚がありませんから
全く逆の意味にとられることがありません?
そんな時、直接会って説明したい~~~~と
ギリギリと歯ぎしりしたくなる事があります。
他にも、掲示板上でのトラブルなんて経験すると、
もうコミニュケーションしたくない~~~とか(笑)
伝達する事での無力感って、すごいストレスですよね。
そんな時、スパーーーンと相手の気持ちの中に飛び込めたら
どんなにいいだろうと。
ま、それは別としても、日本人の描かれ方、違和感感じる部分は
ありましたね。
役所さんも、こりゃ日本の感覚じゃないなと、説明して、
セリフを変えてもらったところがあるそうです。
大体、日本人って外国に銃持っていって、ハンティングするんだろうか?
しかもお礼に、その銃置いて帰るって・・
ちょっと展開が強引な気がしますね。
そうなんです!SHINGO。さんと同じく予備知識もなく観たため、その時系列とやらが意味不明で前半は面白くなかった!ヾ(゜∇゜*)オイオイ
チエコの輪郭と言われれば、分からなくもないけどチエコを知るには短すぎ?刑事に渡したメモも、それだけ?みたいな。
本当の意味で体当たりしたのは分かりました(笑)びっくりしたもの!
>チエコにとっては、肉体も、伝える手段のひとつだったのかなと。
究極の伝達方法でしょうか。動物の本能のような…
歯医者さんには?あれは挑発?ちょっと引きました(笑)
本当、想像力必要ですね。また見返してみたいですもん。
苦手なシーンは全く同感。
あのチカチカ点滅は、どうしてそんな撮り方するのか理解出来ない。不快でしたね。
にわとりも、少年の…も。これらも想像力を必要とするんでしょうかね。意味の無いものなど無いはずですもんね。
ガイドさんの…
SHINGO。さん深いですねぇ。あれは結局貰わなかったですか?ヘリが飛び立つ時に、ガイドさんがポケットに手を入れてたように見えたので、そこが不明だったんですよ。
あ~、何だかんだともう一度見返したいです!
だって面白くないだもの(笑)
え?山田優、映ってましたっけ?記憶にない・・
あのウエートレスさん役、誰だったんだろ?
けっこう綺麗な女性だったが。。。
>本当、想像力必要ですね。また見返してみたいですもん。
この監督の映画は初めて観たんですが、
っていうか、ホント娯楽映画しか観ないので、何なんですが
おそらく必要のなさそうなもの、あまり観たくないもの、
劇中の人物がその場面で、感じてるものそのもの(あのクラブのシーン)
など、ひっくるめて、この監督の映像の特徴なんだと思います。
とにかく日本のドラマ慣れしてると、嫌悪しか感じないかもしれない。
日本のドラマなんて、親切心の塊ですもん(笑)
僕は、観たくないものも多かったですが、刺激的で面白かった。
>ガイドさんがポケットに
いや、かたくなに拒否してたと思います。
だから、何かいいなぁと。。。
唯一、あそこが泣きそうになったシーンでしたが、
泣きはしませんでした(笑)
人種の違う、現地のガイドさんが、1番親身になってくれたのも
ちょっと皮肉なところでしたね。
僕ももう一度観たいです。
2時間20分(・・・でしたよね?)という長さを全く感じさせず、ぐんぐん引き込まれました。
モロッコのガイドさんの存在は、この作品の中で大きかったですよね。
彼が出てくるたびにほっとしてましたもん。
お金、かたくなに拒否してましたね。
リチャードはお世話になって、心から感謝してたのでしょうが、
ガイドさんのあの行動にじわ~っときましたよ。
そうそう、ニワトリのシーンはツラかったです。
でもあの後、2人の子どもがすぐにショックから立ち直ってメキシコの人たちに馴染んでいたのがちょっと・・・???
私だったらあんなものを見せられたらしばらくあと引きそうです・・・
トラックバックありがとうございました
>モロッコのガイドさんの存在は、この作品の中で大きかったですよね。
そうそう。このガイドさんの家の人も、協力的でした。
バスに乗ってた同じ国の人には、わかってもらえませんでしたが
ガイドさんが救いでしたね。
お金を渡す気持ちもわかるし(お金しかないですもんね)
受け取らない側の気持ちも理解できた。
あのシーンが1番、ぐっときました。
その後のヘリのシーンも、やけに綺麗だった。。。
>私だったらあんなものを見せられたら
実は、子供の頃、あれに近いシーンを経験したんです。
ただ普通に、にわとりを・・しただけですが。
その時は何も感じなかったんですが、
大人になってゾッとしました。
子供は、何もわからない分、慣れるというか、
流せる事も多いんでしょうね。
そんなところも、何か他のエピソードとリンクしてるのかも
しませんね。。。
そこが映画の良いところなんですが。
SHINGO。さんの興味深いブログを拝見し、
またそれを実感しました。
それにしても他の人のブログ、読んでますね~。脱帽。
またのお越し、お待ちしております。
藤井隆のプロモ流れてたんですか、しっかり観てますね(笑)
チエコの母親の自殺の理由も謎ですが、チエコが刑事にウソをついた理由も気になります。
刑事が母親の自殺について聞きに来たと勘違いしたのなら、母親は飛び降り自殺をしたなどとウソをつく意味がありませんよね。
担当刑事なら、猟銃自殺だということを知っているはずですから。
あえて全てを見せていないストーリーでしたが、仮に全てが見えたときにちゃんと話が成立しているのか、謎が深まります・・・。
ニワトリのシーンは確かに残酷でしたけれど、食べる為に日常的にしている事だとするなら、
日本での魚の活き作り等と同じような感覚でしている事なのかもしれませんね。
クラブのシーンでは、入店前に服用していたドラッグの効果と、クラブの照明の点滅のシーンとを重ねる事で、めまいを起こす感覚に相乗効果をもたらしているように思いました。
気分が悪くならないようにずっと正視するのは注意されましたが、
うっかり流し見をしてしまうと、チエコの友人の行動を見逃してしまいそうでした。
>>プレゼントした銃が巻き起こした一連の事件、その収束のシーンに
お礼を拒否する人物が出てきてるのも、面白いなと感じました。
SHINGO。さんは良いところを見てらっしゃいますね!
言われてみれば、確かにそうです。
もしあの時ガイドさんがお金を受け取っていたら、またそれを巡って因果関係が発生していったのかもしれないですね。
と、お礼を一方は受取り、他方は拒否というのは、発見です。
なるほどと思い、よく見ていますね。