幼稚園の子どもの中にも、まれに花の美しさのわかる子がいるのです。
その子にだけなぜわかるかというと、その子はほかの子どもよりも花に注意を集めることができる。 心を花のところに集めることができる。
そこだけがちがっているのです。 「風蘭」 ( 情緒と日本人 「 情緒 」 147頁)
するとその尼さんはすぐにわかって、次のようなおもしろい例を聞かせてくださった。 幼稚園の子供たちにはまだ花の美しいことはわからない。 しかし、一人だけわかる子がいる。 その子はよく私になついていて、私が花を植えるとそれを手伝う。 花がつぼみをつけて少し色が見えてくると、すぐに見つけ、大騒ぎをして知らせにくる。 花が美しいこともよくわかっているのである。 しかし、ここへはときどき娘さんたちがお花を習いにくるが、その人たちには花の美しさはわからない。 「夜雨の声」 やうのせい 12頁 角川文庫
( 尼さん : 真言宗の園長さん・本尊は観音さま ) ※文美禄注釈