江藤きみえ『島々の宣教師 ボネ神父』、39
◆、わたしのおかあさん
また、神父さまはひじょうに愉快なかたでもありました。これは、Yさんというおばさんから聞いたお話でしたが、神父さまは、おばさんの家に写真をもってくると、「おばさん、わたしのおかあさんの写真をみせてあげようか?」といいました。
おばさんは、好奇心に胸をわくわくさせましたが、なんと、おばさんの目のまえに出されたのは、「牛」の写真だったのです。いっぱいくわされて、がっかりしているおばさんにいった神父さまのことばがまた、ふるっています。
「わたしは、牛の乳で育ったのだから、牛はわたしのおかあさんですよ」。まるで小児のように無邪気で、いたずら好きの神父さまでした。
こんな神父さまでしたから、カトリックのきらいな人でも、みな神父さまが好きでした。いや、人間だけでなく、子やぎも鶏も、大きな黒いスータンの神父さまの後から、チョコチョコついて歩いてゆきました。
病院の2階からこの様子をみるたびに、いつもわたしは、心に何かほのぼのとあたたかいものが流れてくるのを感じたものです。
◆、わたしのおかあさん
また、神父さまはひじょうに愉快なかたでもありました。これは、Yさんというおばさんから聞いたお話でしたが、神父さまは、おばさんの家に写真をもってくると、「おばさん、わたしのおかあさんの写真をみせてあげようか?」といいました。
おばさんは、好奇心に胸をわくわくさせましたが、なんと、おばさんの目のまえに出されたのは、「牛」の写真だったのです。いっぱいくわされて、がっかりしているおばさんにいった神父さまのことばがまた、ふるっています。
「わたしは、牛の乳で育ったのだから、牛はわたしのおかあさんですよ」。まるで小児のように無邪気で、いたずら好きの神父さまでした。
こんな神父さまでしたから、カトリックのきらいな人でも、みな神父さまが好きでした。いや、人間だけでなく、子やぎも鶏も、大きな黒いスータンの神父さまの後から、チョコチョコついて歩いてゆきました。
病院の2階からこの様子をみるたびに、いつもわたしは、心に何かほのぼのとあたたかいものが流れてくるのを感じたものです。