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(ボネ神父伝)45、あとがき

2017-10-05 05:23:26 | ボネ神父様
江藤きみえ『島々の宣教師 ボネ神父』、45

◆ あとがき

 ずっと尾をひいて夜空を流れ、まもなくやみの中に消えてゆく流れ星のように、長い歴史のある一点にかがやきはじめたボネ神父さまのこ生涯も、しばらくその美しい光をみせたあとで、また永遠のやみへと消えてゆきました。その81年の長い歳月も、宇宙の悠久さにたいしては、岩にくだけ散る泡のように、はかないものでした。

 でも神父さまのこ生涯は、くだけ散った泡でも、虚無にかえった時間でもなく、この世に実現された永遠のみことばの一つだったのです。

 じつに、ボネ神父さまの姿こそ、主がおのれに似せてつくりたいと望まれたものでした。しかも、自由意志をあたえて、自己完成をまっとうさせた、幸福な典型的人間像ではなかったでしょうか。

 けがれた歴史の古い垢でつくられた、この世のすべての虚偽を捨てた野人ボネ神父さまのご生活をしのぶときあの純心さ、無邪気さ、あたたかいいつくしみは、ややもすれば技術文明のなかで、人間らしさと、精神の自由を失いながら、機械化されようとする不幸なわたしたちに、なにか一つの希望をあたえてくれるように思われます。わたしは、かれの生涯が、人々の心に永遠の愛の甘美なひらめきとなることを望まないではおられません。しかし、わたしのつたない筆には、ボネ神父さまのこ生涯は、あまりに偉大すぎるようにみえました。それでひたすら思い出の記をたどることによって、わたしの小さな役目をはたさせていただいたと思います。


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