湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

オカンの誕生日

2018-11-22 09:00:13 | 日記
今日は、今年の1月に亡くなった母の
誕生日の日。
五年前に書いたものがちがうSNSからあがってきた。


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今日は朝から
母の背中に抱きついた
「誕生日 おめでとう!』
年々小さくなっていく背中

オカンと呼べばその姿を
見えない視界から空を見るように
体全体を動かしながら
目の前に立っている娘の顔さえ探すのは難しいようだから
背中から抱きついてやった

『忘れてたやろ?今日って』
『ああ、忘れてたわ、誕生日やったんやな。来んでもいいのに』

無事にまた誕生日が迎えられるということを
際して意味のあるようには思っていなさそうにして
実はしっかりと意識してる
普段は自分の体が辛くて
目の不自由さが恨めしくて
運命を呪って
愚痴ばかりのこの頃である
もっと穏やかで静かに年を重ねてはいけないものだろうか?
きっと、この人も、もがいているんだろう
考え方ひとつでもっと素晴らしい日々を送れることを
諭してやりたいが
事実つきつけられた目の病気に
私がどんな言葉をかけても
この人の思いは癒せない


分かっていることは
もう、この年になれば言わずもがな
ただ、うんうんと頷いて聞いてあげることを
私の信条にする以外
手立てはないものと思っている


好きなように時間を過ごしてください
韓流のテレビの時間は声をかけないわ
お肉が食べたいというのなら
今日は『すき焼き』にしました
そしたら、いつもよりも倍近く
ご飯を食べてくれるのでしょう?


鯛の潮汁が飲みたいというのなら
誕生日に合わせて作ってあげましょう


特別なことや
特別なお出かけは
その目の悪さから神経を使ってまで
やろうとは思わないんでしょ?


だから、せめて
今日という日は朝から抱きしめて始めましょう♪


また来年もこうして迎えられますように。


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そうして、5年経たずに
穏やかに、天国に登っていった


最後の最後、昏睡状態にはいる10日間以外は

お茶を飲むのも、
ご飯を食べるのも
私が母の背中に回り
聴力のある右耳に顔を近づけて
話しながら
密かに、母の背中を感じていた


静かになっていく母に
私は、幼い頃、甘えられなかった全ての思いをその背中の暖かさから
いつまで、こうしていられるだろうと
世話はしているものの
子供の頃の自分の気持ちを
母の背中にくっつけながら
去年の今日を過ごしてた


母は、去年の今日の夕方から
本格的な痴呆状態と、昏睡状態を繰り返すようになっていった


誕生日に大好きな
鯛の潮汁と茶碗蒸しが
去年は食べられずに、、、、。


今日は、そっと
供えてあげよう


88歳だよって