ホワイエでコーヒーを飲みながら♪

観劇の感想もろもろな備忘録。
「つれづれな日々のつぶやき♪」からお引越し中。

『トリデ~砦~』ストーリーと感想

2009-09-20 17:50:00 | テレビ
NHKハイビジョンステージ 劇団ダンダンブエノGO!GO!公演『トリデ~砦~』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【作】
和久田理人&ダンダンブエノ


【演出】
山西惇


【出演】
永島敏行(ナガセマ)、坂井真紀(サキ)、宮地雅子(ミヤコ)、ぼくもとさきこ(タナカ)、酒井敏也(センパイ)、山西惇(ヤマニン)、近藤芳正(コンチャン)


【公演】
2006年6月 青山円形劇場


【ストーリー】
地元の若者たち7人が「ザ・サンフラワー祭」という夏のイベントに参加するために、海辺で合宿する物語。サキ以外はまともに楽器演奏ができないのに、一向に真剣に取り組もうとしないリーダーのコンチャンに、真面目なヤマニンは怒りを爆発させいなくなってしまう。みんなで手分けして探すうちに、それぞれ自分の気持を語るようになっていく。
台風が来て停電になり、ロウソクをつけた暗い部屋で“ノストラダムスの大予言”について、自分たちの将来について思いを馳せていく。


【感想】
近藤芳正が公演の度に俳優・女優を集めて行う形式の劇団ユニット「劇団ダンダンブエノ」の第5回公演。今回はカーテンコールに、“栗コーターカルテット”というリコーダーグループの生演奏付き。

“ノストラダムスの大予言”を信じていた頃、若さゆえ誰もが抱えていた悩み・不安・形にできない思いを演じた青春の1ページのお話。
「コンチャンは人の気持ちがわかっていない!」
「少しは人の気持ちをわかれよ!」
男の子たちにそう言い放つ女の子たち。
「僕がいなくなってから、みんな自分のことを語りだした。それは僕が望んでいたものかもしれない」と思ったヤマニン。
「なんで生きてくんだろ?生きてれば忘れないでしょ?」と言ったサキ。
「終わりは始まり」と言ったセンパイ。
それぞれの思いを言葉にして語ることの大切さ、生きていくことの意味や希望が詰まったほろ苦い青春ストーリー。
時々、ふっと観たくなるような作品。


【余談】
以前にBS2ミッドナイトステージ館でやっていたのを観た記憶がある。もう一度ゆっくり観たいな~と思って再度観てみた。ストーリーがわかっていると、話の筋や相関図に気をとられることなく、楽しめるのがよいな~♪

山西惇は演出と出演だけでも手一杯なのに、演奏まであって大変だったと心情を吐露していたのが印象的だった。お疲れさまでした。


『続々オールド・バンチ~カルメン戦場に帰る~』ストーリーと感想

2009-09-05 17:28:48 | テレビ
NHK ミッドナイトステージ館劇場中継『続々オールド・バンチ~カルメン戦場に帰る~』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【作】
山元清多


【演出】
流山児祥


【音楽】
林光


【美術】
妹尾河童


【出演】
戌井市郎、瓜生正美、岩淵達治、中村哮夫、本多一夫、肝付兼太、ふじたあさや、二瓶鮫一 ほか


【公演】
2009年2月 本多劇場


【ストーリー】
昭和最後の日、昭和天皇崩御の朝から物語が始まる。戦後、「男」をやっているのが嫌になり“椿”というゲイバーを始め、「女」として生きてきた、「おっかさん」こと「ローズ」。時代は流れ今は、ゲイバー“椿”は椿興行という会社がショーパブにしている。
昭和天皇崩御の日に時を同じくしてローズが亡くなり、葬式の準備をしているところに、かつての仲間たちが集まってくる。実はローズが甥夫婦に頼んで一芝居打ち、自分が死んだことにしただけだった。
かつての仲間たち、ローズの息子(実は嘘で他人)とその秘書、現在のショーパブの踊り子たち、彼らの思いともくろみが次々と現れてくる。
そして、昭和の葬式、戦後の葬式、ゲイバー“椿”の葬式、彼らの長かった戦後がようやく終わる時がきた。


【感想】
演劇界最長老93歳にして今も現役の演出家・戌井市郎をはじめ、演劇界のそうそうたるキャリアをお持ちの平均年齢80歳の方々による、3年限定の「パラダイス一座」の最終公演。
皆さん演劇界では立派なキャリアをお持ちだが、本業は俳優以外の方々ばかり。細かい技術的なことや台詞を噛んだりもあったりする。でも、そんなことはどうでもよくなるほど、一人一人の人として舞台に立っている様に感動させられた。

ラストシーンでかつての戦地であったビルマの砂浜に立ち、彼らは声を合わせてこう叫ぶ。「ただいま~!帰ってきたわよ~!」と。
照明がフェードアウトしていき、機関銃の炸裂音とオレンジ色の閃光が重なっていく。戦争体験の欠片も持たない自分でさえ、胸に迫るシーンだった。
戦後は彼らにとって、終わらない、終わらせられない、あまりにも大きく残酷なことだったのだろう…。


【余談】
「パラダイス一座」の第一回公演も同じミッドナイトステージ館で観たのだけど、その時に比べて完成度は高くなっていたように思う。