ホワイエでコーヒーを飲みながら♪

観劇の感想もろもろな備忘録。
「つれづれな日々のつぶやき♪」からお引越し中。

『歌謡シアター「ラムネ」~木綿のハンカチーフ編~』ストーリーと感想

2009-03-22 15:07:48 | テレビ
NHK BS2 ミッドナイトステージ館 『歌謡シアター「ラムネ」~木綿のハンカチーフ編~』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【作・演出】
田村孝裕(ONEOR8)


【ストーリー】
50代の克男と東海林がスナックで飲みながら、学生時代を回想するところから物語は始まる。それぞれ思い出と残してきた感情が今と交錯して…。


【感想】
70年代の歌謡曲を散りばめ、気恥ずかしくなるくらいに、真っすぐで不器用な青春が描かれていた。役者は歌も踊りも上手く、曲の入り方も自然な流れが感じられて、劇中に唐突に入る歌が苦手な私でも違和感を感じなかった。
大人が演じる学生ということで、キャラメルボックスの『スキップ』をちょっと思い出したり。
話は太田裕美の「木綿のハンカチーフ」そのままな感じで、切なく悲しい気持ちになった。最近には珍しく、見終わった後に気持ちよさが残る良い舞台だったと思う。


【余談】
そういえば、作・演出の田村孝裕は、確かNHKの「サラリーマンNEO」にも関わっていたはず。作風は全く違うけど。




『1945』ストーリーと感想

2009-03-15 12:17:34 | テレビ
NHK 芸術劇場 劇場中継『1945』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【原作】
芥川龍之介『藪の中』


【脚本】
青木豪、ロバート・アラン・アッカーマン 


【演出】
ロバート・アラン・アッカーマン


【出演】
中村ゆり、山本亨、パク・ソヒ、瀬川亮、松浦佐知子、高橋和也、有希九美、深貝大輔、斉藤直樹、矢内文章、宮光真理子、倉本朋幸、呂美 ほか


【公演】
2008年10~11月 世田谷パブリックシアター


【ストーリー】
舞台は第二次世界大戦、終戦直後の1945年の東京闇市。特攻隊の生き残りの半田がやっている店に、幼なじみの女性とその夫が現れたことから、その夫の殺人事件へと発展していく。
朝鮮人の男性、幼なじみの女性、その夫(亡くなっている)たちのそれぞれの語る事実は皆違っていて、真実はわからないままだ。そして、また一人死んでしまう…。


【感想】
タミというイタコをやっている老婆が、哲という若者に言って聞かせる言葉が深く重い‥と思った。
「人は見たいものだけを見て、聞きたいものだけを聞く。嘘の上に嘘の上塗りをする」
「人は見せたい自分を見せるもの」
真実は藪の中…。人にとっての真実って何なんだろう…。

『かもめ』ストーリーと感想

2009-03-08 12:01:40 | テレビ
NHK BShi ハイビジョンステージ『かもめ』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【作】
アントン・チェーホフ

【翻訳】
沼野充義


【演出】
栗山民也


【出演】
藤原竜也、鹿賀丈史、麻実れい、美波、小島聖、中嶋しゅう、藤木孝、藤田弓子、たかお鷹、勝部演之 ほか


【公演】
2008年6~7月 赤坂ACTシアター
 

【ストーリー】
十九世紀末、帝政崩壊前夜のロシア。惰性な日々に我慢がならず、前衛的な劇の創作にその発露を見いだそうとする、青年トレープレフ(藤原竜也)。その恋人で女優志望のニーナ(美波)。青年の母で大女優のアルカ(麻美れい)。母の恋人で有名な作家のトリゴーリ(鹿賀丈史)。
湖の畔の屋敷で起こる愛憎劇はやがて悲しい結末がやってくるのだった…。


【感想】
チェーホフの戯曲を、栗山民也が演出した作品。
原作を残念ながら読んでいないので、どの程度、原作の雰囲気が出ているのかよくわからないのだが…。自分なりに感じたことは、混沌とした不安な時代に生きる人間の気持ちとは、時や場所を越えて同じなのだなと。

異なる強い個性の藤原竜也と鹿賀丈史は、馴染まない心地悪さを懸念していたのだが、思ったよりも舞台上で馴染んでいて、落ち着いて観ていられた。
以前に『身毒丸 復活』を観に行った時にも感じたのだが、藤原竜也の狂気を孕んだ青年の様には、心の奥をぐいっと掴まれるような気がしてならない。
鹿賀丈史と麻美れいは、ベテランのしっかりとした大人の芝居を観せてくれていた。美波は技術云々ではない、初々しい透明感溢れる存在感があり、暗がりに咲く一輪の花のようだった。
全体としてよくまとまっていたと思う。


『空の定義』ストーリーと感想

2009-03-01 11:39:32 | テレビ
NHK BS2 ミッドナイトステージ館の劇場中継・俳優座劇場プロデュースNo.79 『空の定義』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【脚本】
青木豪


【演出】
黒岩亮


【出演】
松永玲子、名取幸政、中嶋しゅう、浅野雅博、杉山文雄、津田真澄、塩屋洋子 


【公演】
2008年12月 俳優座劇場


【ストーリー】
とある町の画廊喫茶を舞台に、その店の店主と娘夫婦や知り合いの人々の織りなす人間模様。ある日一人の男が店に訪ねてきて、「壁に飾ってある一枚の絵を譲って欲しい」と申し出る。しかし、店主はその申し出を断るのだった。
その絵は、店主の行方不明の元妻が描いたものだったから…。
やがて、店主は再婚相手を娘夫婦に紹介するのだが、その女性こそが元妻だった。


【感想】
脚本はグリングの青木豪。人間を描くことには定評のある方だけに、上滑りせず重くもなり過ぎない、いい作品だった。

舞台は場面転換や暗転もなく、淡々と時間がリアルタイムのように過ぎていく。見ている側は、本当にその場面を見聞きしているかのような感じに陥っていく。
70年安保とその時代を生きた店主や、元妻の思いを主軸に、彼らを取り巻く人達の織りなす人間模様。70年安保とは彼らにとっては何だったのか?それはどう終わらせるべきものなのか?
ラストシーンで娘が母親にぶつける感情、母親が娘の言葉を受けて、自分の感情を訴える。そこには人間がとてもしっかりと描かれていたと思う。

「空の定義」とはかつて店主の元妻が描いた、壁に飾られている絵の空のことだった。全てを含む「空」。とても深いなぁ。。と思った。