ホワイエでコーヒーを飲みながら♪

観劇の感想もろもろな備忘録。
「つれづれな日々のつぶやき♪」からお引越し中。

『ザ・ヒットパレード~ショウと私を愛した夫~』ストーリーと感想

2010-01-30 15:32:05 | テレビ
NHKミッドナイトステージ館 『ザ・ヒットパレード~ショウと私を愛した夫~』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【脚本】
鈴木聡


【演出】
山田和也


【出演】
原田泰造(シン)、戸田恵子(ミサ)、堀内敬子(ザ・ピーナッツ)、瀬戸カトリーヌ(ザ・ピーナッツ)、北村岳子、杉崎真宏、和田正人、升毅、RAG FAIR


【公演】
2007年7月 ル テアトル銀座


【ストーリー】
多くの人気歌手を輩出した大手芸能事務所(渡辺プロダクション)の創設者 渡邊晋・美佐夫妻の出会いから、恋と夢を数々の名曲で綴ったミュージカル。
戦後の東京から始まり、二人の出会い、結婚、そして渡邊プロダクションの設立、次々と新しいアイデアでショウビジネスを成功させていくが…。やがて、シンは癌に侵されてしまう。


【感想】
シンを演じたのはお笑いのネプチューンの原田泰造。不快にならない、いい意味の軽さと明るさでこの役柄にぴたりと当てはまっていて、いい意味で意外だった。普段、お笑い番組で見せる顔とは違う表情や雰囲気、特にショウに対する純粋な想いがよく出ていたと思う。
ミサを演じた戸田恵子は、非の打ちどころのない演技と歌唱力、感情表現も上手く、なんと言ってもとても華がある人だなと思った。
ザ・ピーナッツを演じた、堀内敬子と瀬戸カトリーヌのかわいらしさと息の合った歌唱力には脱帽。
ミュージカルではお馴染みの北村岳子の存在感も秀逸。この方は毎回、キャラがとてもたっていて楽しませてくれる。
ちょっと惜しまれるのは、RAG FAIRのメンバーの中には演技になると、う~んと思わざるを得ない方がいらしたこと。元々、本業はアカペラの方々なので仕方ないと言えば仕方ないのだが…。演技力が不足していると、そこだけポン!と穴が開いたように場面が現実に戻ってしまい、舞台の流れが切れてしまうように感じてしまうので。でも、歌唱力はさすがだな~と感じた。

シンの口癖は、「どうせ現実なんてろくなもんじゃない。だったら、上手な嘘を楽しんだほうがいい」。そうかもしれないな…。
この作品は音楽に夢と希望を託していたシンの素敵な人生を描きたかったのだと思う。終わってからもしあわせな気分が残る作品だった。


【余談】
以前にもこの番組で放送されたときに観ているので、今回は再見になる。
そういえば、この舞台が行われた前年に、フジテレビの単発ドラマでも、渡邊晋の話を柳葉敏郎主演でやっていた。こちらの方は、もっと生々しい現実を描いていたように思う。





『晩秋』ストーリーと感想

2010-01-25 18:11:14 | テレビ
NHKデジタル教育3 劇場への招待『晩秋』を観ました。
ストーリーと感想を備忘録として書きます。

※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【作・演出】
マキノノゾミ


【出演】
坂東三津五郎、八千草薫、森光子、米倉斉加年、中田喜子、星野真里、馬渕英俚可ほか


【公演】
2009年11月 明治座


【ストーリー】
物語は瀬戸内海の小島が舞台。平成11年と昭和34年を時代背景に、恋模様や親子の情愛、師弟の絆を描く。


【感想】
第三幕で、小学校の元教師役の八千草薫と子供を捨てた母親役の森光子の会話が胸を打った。
「昔のことですわ。。」
「ああ‥昔のことだね」
たったこれだけの言葉に込められた想いの深さ…。それは計り知れない深さと、諦念と郷愁が混じった想いなのではないだろうか。

主演舞台「放浪記」で2000回公演を達成した森光子。なんとも形容し難い存在感を発して、舞台に存在していた。舞台に立ち、動き、台詞を言っているだけで深い感動を覚える。背中に羽が生えているのではないだろうか?と疑ってしまうほど、軽やかな印象を与えていた。
なにがそうさせるのかわからないけど、女優としてすごい方なのだと再認識させていただいた。
主演を務める、息子役の坂東三津五郎、孫娘役の馬渕英俚可、みなさんはまり役で、舞台で見せる涙にはとても説得力があり、胸を打つものがあった。

嫌な事件や世相に、辟易しそうな日常をほんの束の間、忘れさせてくれる心温まる作品。


【余談】
作・演出のマキノノゾミは、今年限りで解散する劇団M.O.Pを主宰している方。ご自分のブログの中でも、ご自分のことを保守的だと言ってらして、劇団の作品もこの作品にも強くその傾向は感じられた。
いい意味の保守的、心優しきひとたちの織りなす人間模様を描きたかったのだと思う。
それは、古いと言ってしまえばそうなのかもしれない。そんなにいい人たちばかりじゃないよ、とも思う。でも、それだけで片づけてしまってはいけない大事なものが、人にはあるんじゃないのかな…。