ホワイエでコーヒーを飲みながら♪

観劇の感想もろもろな備忘録。
「つれづれな日々のつぶやき♪」からお引越し中。

『MACBETH』ストーリーと感想

2012-08-18 11:47:34 | 劇場・多目的ホール
『MACBETH』をラフォーレミュージアム原宿にて、8月17日夜の回を観劇してきました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【原作】ウィリアム・シェイクスピア


【翻訳】河合祥一郎


【脚本】斎藤栄作


【演出】板垣恭一


【出演】
矢崎広:マクベス
馬渕英俚可:マクベス夫人
宮下雄也(RUN&GUN)※
国沢一誠(ヒカリゴケ)
小林且弥
二瓶拓也
末原拓馬
マーク
長倉正明
山本侑平
加藤啓
松村雄基 
※出演予定だった永田彬(RUN&GUN)は、体調不良により降板。(フライヤーのキャストには載っている)


【ストーリー】
スコットランドはグラーミス地方の領主で武将のマクベス。ある日、彼は友人でスコットランド軍将軍のバンクォーと戦場からの帰りすがら、不気味な三人の魔女たちと出会う。
「マクベスは王になる」魔女たちに奇妙な予言をされたマクベスは、やがて、心の底に眠る野心とともにその予言通りスコットランド国王を暗殺し、王子に罪をきせスコットランド国王となる。
血塗られた王位は、やがてマクベスとマクベス夫人の心を破滅に導き、王位を奪われることへの不安から次々と罪を重ねて行く…。


【感想】
舞台は中央に四角い舞台を設置、四方を客席が囲むという形になっていた。セットはないが、照明がきれいで雰囲気があったし、音響は低音が大音量で流れて迫力があった。低音が響くときは足元からも響くのがわかった。初めての感覚。

初舞台という方がキャスティングされていて、う~ん、どんなものか。。とチケット購入をぎりぎりまで迷っていたのだが、いい意味で裏切られた。
シェイクスピアにありがちな冗長感を全く感じさせない、スピード感溢れる約2時間の舞台。
マクベスとその夫人のお互いに対する愛から発生していった悪徳のお話。
「君のために。。」「あの人のために。。」
マクベスの心の奥底には、確かに冷酷な野心があったのかもしれないが、それだけが原因ではないのだろうか。愛する夫人に捨てられたくない依存心の強いマクベスが、自分でもなにをしているのかわからないうちに、どんどん恐ろしい深みにはまり、そこから逃れられなくなっていき、最後は最愛の人も失い、正義の剣に打ち倒されてしまったように思えた。
なんだかとても悲しく、哀しく、苦しくなるほどの切なさが胸にくる作品だった。
両手を真っ赤な王の返り血で染めたマクベス演じる矢崎広が、半狂乱で喚いている姿が頭にこびりついている。その夫をひしと、まるで幼い我が子を抱くように抱きしめる夫人役の馬渕英俚可の姿も胸に迫るものがあった。
「きれいはきたない、きたないはきれい」
なんの符号?なんの暗示?それとも…。
不思議な魔女たちの言葉も不気味。言葉は怖い。人を生かすことも殺すことも(間接的に)できてしまう。

初主演の矢崎広はものすごい熱演ぶり!「戦国鍋TV」を観てからお名前を知ったので、ご本人の劇場での舞台は初見。立ち姿も凛々しく、ロイヤルブルーのマントがとてもお似合い♡演技はとても上手くて、馬渕英俚可や松村雄基のようなベテラン勢と絡んでいても遜色なく存在感があった。
喉が若干、枯れかかっていたように感じられたので、千秋楽まで無理せずに頑張っていただきたいたいと思う。
個人的に男優の魅力は、言葉にならない苦悩と狂気を表現できることだと思っているので、矢崎広はそのどちらも見事に体現できていたと思う。素敵だった♡
矢崎広がカーテンコールで何度もほかのキャストを、舞台上に手招きする姿がとても嬉しそうで微笑ましかった♪

マクベス夫人役の馬渕英俚可は、だてに蜷川さんのシェイクスピアなどに出演されていない!と思わされる、真に迫った演技。特に、後半の狂っていくさまは、観ていてぞっ‥とするものがあった。
その胸にある想いは、ただ愛する夫のマクベスの野心を叶えてあげたいという一心なのだから、余計に悲しく、切ない…。
華奢な立ち姿が凛として美しい王妃だった。

松村雄基は、とにかく舞台映えのするお姿で、ただ舞台に立っているだけなのに絵になる。格好いい♡
個人的に、男優の色気は無言の背中にあると思っている。松村雄基はその背中が素敵だった。
とあるシーンで悲しみと怒りがこみ上げてくるとき、両目から二筋の涙が流れていた…。観ていて心が揺さぶられた。

小林且弥、お客さまをいじるシーンがあるのだが、高飛車なのか、低姿勢なのか、よくわからないキャラには笑わせていただいた。

できれば再演を希望♪メインキャストは同じ方々で。


【余談】
初めて劇場以外のラフォーレミュージアム原宿というイベントスペースでの観劇。イメージとしては、青山円形劇場に近い感じ。客席は階段上に段差がついていたので、最後尾席だったが観やすかった。
事前に会場がお化け屋敷のようという感想を読んだのだが、その意味がようやくわかった。なるほどそんな感じ。
難点は劇場ではないのでどこもかしこも狭いのと、当然ながらホワイエもないこと。開場後の居場所がない。とにかく冷房ががんがん。夏の観劇の必需品、羽織ものの大判ストールも持参したけど、それでも足元が寒い。レッグウォーマーがいると思った。
ラフォーレの男性スタッフの応対というか、レベルが人によって天と地ほども違うのには驚いた。きちんと丁寧な応対ができる方もいるかと思えば、なかには、「もうちょっと、端に寄ってもらえますぅ~~?」なんて開場待ちのお客さまたちに、軽いタメ口で指図する方もいるという。苦笑。

8.19(SUN)まで、ラフォーレミュージアム原宿で公演中。千秋楽は完売だそう。


【関連リンク】
る・ひまわり公式サイトはこちら。→ 『MACBETH』

公式ブログはこちら。→ マクベスのブログ 


【画像いろいろ】
飾ってあったお花の一部♪「戦国鍋TV」推進委員会&スタッフ一同さまより。
最近は諸般の事情で、お花を飾る劇場(ここは劇場じゃないけど)が少なくなって寂しい。仕方がないが…。




フライヤーの裏側。トップの画像が表側。




おなじみのフライヤーの束♪
今回のフライヤーは、イケメン若手俳優率が高い。すでに完売している、『僕等の図書室2』が入っているのはご愛嬌。




る・ひまわりでDVD購入♪発売までほぼ一年がかり長いな~。
特典映像の千秋楽、袖にはけてきた矢崎広のお姿が印象的。夫人役の馬渕英俚可に抱きつくところは、「ハニー♡」というより、「ママン♡」に見えてしまったのは私だけではないと思う。










『叔母との旅 TRAVELS WITH MY AUNT』ストーリーと感想

2012-08-04 10:33:51 | 劇場・多目的ホール
シス・カンパニー『叔母との旅 TRAVELS WITH MY AUNT』を青山円形劇場にて、8月2日夜の回を観劇してきました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【原作】
グレアム・グリーン


【劇化】
ジャイルズ・ハヴァガル


【翻訳】
小田島恒志


【出演】
段田安則(ヘンリー・プリング/オーガスタ叔母さん)
浅野和之(ヘンリー・プリング/トゥーリィ/オトゥール/ミス・キーン/シュミット陸軍大将夫人/イタリアの若い女/イオランダ/リチャード・プリング/牧師/警察官/他)
高橋克実(ヘンリー・プリング/ワーズワース/ミスター・ヴィスコンティ/ハーキーム大佐/ハッティ/スパロウ警部/タクシー運転手/他)
鈴木浩介(ヘンリー・プリング/乗馬ズボンの若い女/ウルフ/ホテルのフロント/トルコ人警察官/スペイン人紳士/ボディガード/ポーター/ウェイター/警察官/火葬場職員/ドイツ人将校/他)


【ストーリー】
銀行の支店長まで務めあげ、今は静かな引退生活を送る独身男ヘンリー。ある日、86歳で他界した母親の葬儀で、叔母オーガスタと50数年ぶりの再開を果たす。
すでに70代後半だという叔母だったが、彼女を愛してやまない若い恋人もいて、その生き方は自由奔放そのもの。かたぶつの自分とは対照的な“ぶっ飛んだ叔母”に当惑しながらも、誘われるまま共に旅に出たヘンリーだったが、やがて叔母が導く波乱と冒険の旅路の真っ只中へ…。
「もはや老後」と決め込んでいたはずの男の人生は、思いがけない輝きと甘美な香りを放ち始め、いつしか自己の真実に向きあう旅のクライマックスへと近づいて行く…。


【感想】
初日ならではのいい意味での緊張感があり、同じキャストによる再演ということもあるのだろうが、しっかりと作りこまれており安心して作品に没頭できた。
とにかく、実力派揃いの役者ばかりで一人も見劣りすることなく、それぞれがそれぞれの仕事をきっちりとこなした舞台になっていたと思う。
4人の男優たちは終始ダークスーツの衣装、円形の舞台にはセットもなし、小道具が時折使われるくらいで、あとは天井からぶら下がる地名の文字、それとそれぞれが持つ革のトランクだけ。この革のトランクはいろいろなものに変化しつつ、物語の最後まで使われていく。フライヤーにあったように、初演時に「演劇ならではの醍醐味!」と絶賛されたというのも納得。
ラスト近くには悲しい出来事がありながら、それでも、オーガスタ叔母さんはオーガスタ叔母さんであり…。最後のシーンで、オーガスタ叔母さんとヘンリーの姿にはぐっとくるものがあった。
上質な大人のための作品。


【余談】
初日の観劇となった。珍しく初日のチケットがとれたから。とても人気があったようで、追加公演もあるようだ。
8月15日(水)まで青山円形劇場にて上演中。

円形の舞台から役者がはけていくときに、気合?のような声が何回も聞こえてきた。多分、鈴木浩介ではなかったかと思われる。カーテンコールのときに、鈴木浩介が「えっ?出てっていいの?」みたいに、きょろきょろしながら舞台に行く様子が、ごめんなさい、かわいらしかった♪


【画像いろいろ】

フライヤー♪これを観てチケット購入を決定!




ミニパンフレット♪







観劇名物フライヤー♪いろいろといただいたので観劇を検討中。