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『ライン(国境)の向こう』ストーリーと感想

2016-01-16 11:33:28 | 劇場・多目的ホール
劇団チョコレートケーキ with バンダ・ラ・コンチャン『ライン(国境)の向こう』ミューズ マーキーホールにて、1月15日(金)19:00開演を観劇しました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【脚本】古川健(劇団チョコレートケーキ)
【演出】日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
【舞台美術】鎌田朋子
【照明】朝日一真
【音響】佐久間修一
【音楽】加藤史崇
【衣装】藤田友
【ヘアメイク】武井優子
【舞台監督】本郷剛史
【キャスト】戸田恵子、高田聖子(劇団☆新感線)、小野賢章、清野菜名、浅井伸治(劇団チョコレートケーキ)、岡本篤(劇団チョコレートケーキ)、西尾友樹(劇団チョコレートケーキ)、谷仲恵輔(JACROW)、寺十吾(tsumazuki no ishi)、近藤芳正(バンダ・ラ・コンチャン)


【ストーリー】
敗戦の結果、日本列島は日本国と日本人民共和国に分断された。某県の山中、ごく小さな集落にも国境線があった。
しかし、村人たちが気になるのは今年の農作業と収穫のことばかり。
冷戦の最前線で営まれる、ごくごくささやかな生活。だが、歴史の波がじわじわと集落に忍び寄る。


【感想】
客入れはヒーリング系の楽曲。
美術はとてもシンプル。国境線のある旧県境付近とおぼしき場所。
背景は暗幕、舞台幅いっぱいに薄茶色の階段が広がる。時折、照明がその階段中央を照らし国境線を表している。

某国の有様を彷彿とさせるようなシュチュエーション。
物語は淡々と農作業を中心に進み、北日軍から脱走してきた義男がひっそりと村に戻ってくるあたりから、段々と共同体でもあり親戚同士でもある人間関係が軋み始める。
北日軍と南日軍の兵士はやる気がなさそうに見え、その実、冷酷な任務を軍から命じられていて…。時折、爆音で鳴り響く戦闘機の音が一層不安をかき立てる。
北と南、それぞれ相手国に持っている感情は、無知からくる不気味さや大きな怒りだったりする。それらが義男の脱走を期に、一気に吹き出していくさまが怖い。
やがて、二人の兵士が銃を持ち出し、一触即発の様相を呈したあたりから直視ができなくなってきた。幸い血は流れることなく、兵士たちはそれぞれの軍へと戻っていき、村には日常が戻ってくる。
そして迎えた終戦。一体、この戦争はなんだったのだろう、、?

ラスト近く、一郎が言い放つ「目の前にあることをやるだけだ!」。
諦念でもなく、希望を盲信しているのでもなく、ただ淡々と目の前にあることをやっていくこと。これこそが救いのような気がした。

戸田恵子、高田聖子、両女優陣は華があって上手いなぁ~♪
近藤芳正は、安定感+お茶目な感じがおもしろく。
谷仲恵輔演じる次郎のキャラクターが好き♪ 身内からひどい扱いなところが不憫、でも笑ってしまう。

カーテンコールは2回。2回目に近藤芳正がご挨拶。
「自分から出たい!と言ってきた谷仲から~」と話をふられ、びっくりされつつ話をされる谷仲恵輔。日大芸術学部出身だったとか、小劇場で活動しているので池袋とか下北沢とかにもいらしてくださいとか。


【画像】
当日パンフレットやフライヤーなどなど。












ミューズの広場はイルミネーションがブルーで綺麗♪




【余談】
第二次世界大戦の敗戦後、日本も同じような状況になったかもしれないと言われており、そうならなかった現在に感謝せざるを得ない。
戦争はどんなにご立派な主義主張を唱えても、所詮、人が人を殺す殺し合いでしかない。
戦争を始めるのは、自分たちは絶対に安全なところにいながら、膨大な利益を得たい一部の人間なのだ。
なんだかきな臭くなりつつある昨今、同じ轍を踏まないように祈るばかり…。


【リンク】