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観劇の感想もろもろな備忘録。
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KOKAMI@network vol.13 『朝日のような夕日をつれて2014』ストーリーと感想

2014-08-21 09:40:50 | 劇場・多目的ホール
KOKAMI@network vol.13 紀伊國屋ホール開場50年記念公演『朝日のような夕日をつれて2014』を紀伊國屋ホールにて、8月19日(火)19:00開演を観劇しました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。






【作・演出】鴻上尚史
【出演】大高洋夫、小須田康人、藤井隆、伊礼彼方、玉置玲央
【美術】松井るみ
【音楽】HIROSHI WATANABE
【照明】坂本明浩
【音響】原田耕児
【振付】川崎悦子
【衣装】森川雅代
【ヘアメイク】西川直子
【映像】冨田中理
【ストーリー】
サミュエル・ベケットの不条理劇『ゴドーを待ちながら』がベース。
立花トーイというおもちゃ会社を舞台に、 5人の男たち(A・B・C・D・E)が状況に応じて役が変化していく。A/ウラヤマ/部長、B/エスカワ/社長、C/ゴドー1/研究員、D/ゴドー2/マーケッター、E/少年/医者 というように。そして、社長の娘であるみよ子は名前だけで登場しない。
虚々実々の世界を5人の男が真剣に遊びながら渡り歩く。そして、みよ子は・・・。


【感想】
客入れのPOPS、聞き覚えがあるけど曲名まではわからず。。(後で戯曲で確認したら、Roxy Music / More Than This と判明。)
劇中使用曲、手元にあるDVD’87版と同じだったかと。YMOがかかっただけで泣きそうになった。
美術はものすごくシンプル。八百屋舞台で背景は黒。この背景にプロジェクションマッピング用の上下可動式スクリーン。
照明が天井、フットライト以外に左右にも多数。足元にできる影や逆光がきれい。
プロジェクションマッピングの映像も多用。冒頭のダンスシーンには映像が重なり、役者5人が映像のブレで10人にも観えたりする。さらにノイズが入ったようになり、さながら『マックス・ヘッドルーム』のよう。

念願の映像ではない、聖地で生の『朝日のような夕日をつれて』! 
脚本は何十回も(*)読んだし、DVDも何度も観ていたけど、生の『朝日・・』は今回が初めて。必死にリダイヤルして、ぴあで奇跡的にチケットがとれたことがあったのだが、都合で結局行けずじまいに。ようやくリベンジが叶った。
地方住みだったとき、観劇はいろんな意味でイベント並みだったなぁ。。遠い目。
感想を文字にすると、なんだかどんどん気持ちと離れていく気がするので、あまり多くを書きたくない気分。こんなことも珍しいかも。
構成やら伏線やらの検証なんて野暮。そういうのは評論家の方々にまるっ!とお任せして。
役者さ5人の汗と唾とダンスと弾丸のような台詞を刮目せよ! ただただ、感じていればいい。
客電がついても立ち上がりたくなかった。。ずっと座ってこの世界に浸っていたかった。
この世界観が大好きだぁ~♪♪

遊びの部分は今現在にアレンジしてあるけど、基本同じなので「くるか?くるのか?!」と思っていると、やっぱりそのとおりで、でも爆笑。
巨大フラフープ、キャッチボールのとき天井から降ってくる大量のボール、首から下げたダーツの的(足に当たりそうで危なかった小須田康人、謝る大高洋夫)。みよ子の使用済み巨大ストロー、フェイスタオル並のハンカチ、洋式便座など。
ほかにもコップのフチ子さん、「進撃の巨人」、「アナ雪」、mixi、Twitter、Facebook、アイボにルンバ。藤井隆に至っては「吉本興業をはじめとしたブラック企業・・」なんて台詞も。椅子から落ちるかと思った~爆笑。
プロジェクションマッピングのいい意味での無駄使いや各方面に危ないネタがいっぱいでそこが好き♪
ゴドー2登場時の銀色の紙吹雪パーン!も健在。長方形に切られた銀紙がひらひら、くるくると舞うさまは美しい。終演後、階段にも落ちていた紙吹雪が切なくて。。

キャスト5人は本当によかった!かっこいい♪
大高洋夫、小須田康人はもう安定の素晴らしさ。ダンスもきれっきれ♪
藤井隆、野田地図『エッグ』でも思ったけど滑舌がよく、印象に残るお芝居をするな~と。
伊礼彼方、お初。くっきりとしたお顔立ちでイケメンなのに、何故か漂う残念感がかわいい。(当たり前だけど)歌がとっても上手い!
玉置玲央、柿喰う客を未観なものでお初。いじられキャラの少年役がぴったり。小劇場の匂いがぷんぷんで好き♪ きゃりーぱみゅぱみゅ、似てたしかわいいし。

ラストシーン。
みよ子の遺書は本当に胸を打つ。当時もどうしてなんだろうと考えていたし、今もまたそう。
それは、多分、人が生きていくうえで抱えるどうしようもない「不安」と「寂しさ」に気づき、向きあおうとしたみよ子の心情が心を打つのではないのだろうか…。
「リーインカネーション、生まれ変わりを私は信じます。」と群唱し、逆光の中、5人の男たちが傾斜が大きくなっていく八百屋舞台に、ゆっくりと、でもしっかりと立ち上がる姿に背中がぞくぞくと…。

カーテンコールは3回。3回目に大高洋夫がご挨拶。「明日も2回あるんで、帰りましょう」とのこと。本当に、お疲れさまでした。
大千秋楽まで、みなさま怪我なく体調も崩されませんように。


【余談】
(*)大学生の頃、演劇同好会の旗揚げで『朝日のような夕日をつれて』をやったことがあり、それで結構台詞を今も覚えている。群唱の「朝日のような夕日をつれて・・」とゴドー2の「トランシルバニアのサミーが死んだ・・」は、今でも完璧ではないかもしれないがそらで言えたりする。学生のときに『朝日のような夕日をつれて』や『熱海殺人事件』をやったことがある方は多いのではないかな~?

終演後のロビーに鴻上尚史がいらしたので、勇気を出して声をかけさせていただいた。下の写真にある『朝日のような夕日をつれて』の初版本をお見せして、そのときのお礼を伝えた。
この本はちょっとしたことでのお礼にいただいたもので、サインとお手紙付き。私の大切な宝物♪
鴻上尚史は柔らかい笑顔が印象的だったな♡ 

東京凱旋公演のチケットも無事とれたので、行きます! まだ発券はしていないので、お席が若干心配。サンシャイン劇場はキャパ800だしね。


【画像】

祝!満員御礼☆



当日パンフレット。鴻上尚史の「ごあいさつ」。直筆のコピーかな?丸っこい文字でびっしりと書かれている。いろいろと感慨深いものがある。






フライヤー3種類。東京凱旋公演決定~!@サンシャイン劇場。




パンフレット A5判1000円。メカのパーツで構成されたゴドーが表紙。
本広克行と鴻上尚史の対談、キャストの作品に対する思いなど。


第一戯曲集『朝日のような夕日をつれて』の初版本。鴻上尚史のサインとお手紙付き♪ 宝物♡




【リンク】

公式サイトはこちら → サードステージ
掲載記事はこちら → ぴあ
掲載記事はこちら → e+


 

 

 


 

 




 




 


『涙を数える』ストーリーと感想

2014-08-01 09:49:41 | 劇場・多目的ホール

キャラメルボックス2014 サマーツアー・プレミアム『涙を数える』をサンシャイン劇場にて、7月31日(木)開演14:00を観劇しました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。




【脚本・演出】成井豊+真柴あずき
【美術】伊藤保恵
【照明】黒尾芳昭
【音響】早川毅
【殺陣】武田浩二
【衣装】三大寺志保美
【ヘアメイク】武井優子
【小道具】高庄優子
【音楽監督】加藤昌史
【キャスト】多田直人、辻本祐樹、池岡亮介、西川浩幸、岡田達也、坂口理恵、原田樹里
【ストーリー】
安政6年(1859年)、上田藩士・長谷川鏡吾は20歳。8歳の時、父が公金横領の罪で切腹。以来、母の淑江と二人で暮らしてきた。
ある日、幼なじみの舟橋明一郎が父を斬って、江戸へ逃亡。鏡吾は藩の命令で、明一郎の叔父の南条朔之助とともに、江戸へ向かう。
江戸藩邸に着いた二人は、世話役の大佛聞多とともに、明一郎の行方を探す。鏡吾は、明一郎の妹・樹雨から、兄を助けてくれと頼まれていた。
もちろん、鏡吾も助けたかった。が、南条は、明一郎が抵抗した場合、問答無用で斬ると言う。
南条は上田藩随一の剣士で、明一郎はもちろん、鏡吾にも歯が立たない腕前だった……。


【感想】
客入れの楽曲はJ-POP。曲名は不明。
前説に製作総指揮の加藤さんと新人劇団員の近藤が登壇。高校時代はボクシングをやっていたという変わり種。声が威圧的に大きいのが特徴とか。
パンフレットと客演の池岡亮介の1st.写真集のご紹介もある。

美術はシンプルでほぼ転換はなし。
コバルトブルーの背景に山並みのシルエット。中央のみに、やや傾斜のある八百屋舞台。額縁状に垂れ下がるように、暗い色合いで透けている樹木。下手側の樹木のみ左右に可動。
照明がきれい。明一郎が父を斬るシーンの赤が印象的。暗転はやや多め。

冒頭にプロジェクションマッピングで文章が映し出される。(さすがに覚えきれず。。)

あえて誤解を恐れずに書くのだけど。。久しぶりにキャラメルボックスを観て、すっきりと気持ちよく泣けた。カタルシスを得られたのも久しぶり。
これまでキャラメルボックスを観終わった後に、もにょもにょした気持ちになることが多かったので。従来のテイストではなかったのが大きいような気がする。
理由は劇団員の人選と人数が少ないからなのか、華のある客演が2人もいらしたからなのか、時代劇だからなのか、はたまたなんなのかわからないのだが…。
客演お二人が華があり、違和感なく劇団に馴染み素敵な化学反応を起こしていた。
重く暗いテーマにもかかわらず、客演さんの明るさ爽やかさに救われ、後味が悪くなく切なくて泣けた。
それぞれの役のキャラ設定がしっかりとしていて、いい悪いでなく感情移入できたし。
笑いも多いけど、劇団員オンリーのときの「さぁ!ここは笑うところですよ!」といった感じの若干、押しつけがましい笑いポイントがなかったのが好感度大♪ これをやられると(普段は多め)若干、ひくし、笑いがとれないと観ているこちらが気まずくなってしまう。
観ていて気まずい思いをする「笑い」なら、ないほうがいいのでは?と思ってしまうのは私だけなのだろうか?

いつの時代にも通じる「親の心子知らず」。その逆もまたしかり。
男同士の友情と嫉妬。人が人を思いやるとき、言葉に出せばよいものを出さず、受け取る側も素直になれずに、すれ違い誤解を生む。気づいたときには遅かったりする。
時代背景は幕末だから現代とは違いもっとシンプルだったろうとは思う。でも、いつの時代も人の世は理不尽と不条理に満ちているものだから、そういった根本的なところは普遍なはず。
運命に翻弄されながらも必死に生きていく人々が哀しいけど愛おしい。

全編に殺陣がたっぷり!これも見どころのひとつ。
現在進行形のお話と回想シーンがくるくると変わる。衣装も変わらないし、セットチェンジもないけど、台詞で変わったことはわかる仕組みになっていた。

多田直人、心身共に辛い役のよう。ラストの頃には、着物の肩が汗で変色して。がんばって千秋楽まで演じきっていただきたいと思う。
辻本祐樹、明るく爽やかな様子から、段々と屈折していくのがみてとれて上手いなぁ~と。殺陣もきれっきれ♪
池岡亮介、明るくていい意味の軽さが、重いお話の中では一服の清涼剤♪ 岡田達也との掛け合いはインタビューにもあったけど、もうまんま「トムとジェリー」。もちろん、池岡亮介がジェリー。   
西川浩幸、安定の西川浩幸。
岡田達也、ご本人いわく「ラスボス」。まんまだね~。お顔だけでなくお腹も黒い、でも嫌いじゃないなぁ~。
坂口理恵、安定の凄みすら感じる。気丈な武家の妻、母そのもの。
原田樹里、健気で可憐♪

カーテンコール3回。
2回目、岡田達也が客演のお二人をご紹介。お二人がご挨拶。とてもマイペース。特に池岡亮介。
3回目、岡田達也から「この後、TRUTHのためにセットチェンジとかあるので、拍手はありがたいのですがそろそろ。。」とご通達がある。


【画像】

みき丸♪ TRUTH Tシャツを着て草履を履いている。




フライヤー。




当日パンフレット。『世に生を得るは事を成すにあり』に始まる、成井豊のお話も。




パンフレットA4判 2000円。多田直人、岡田達也、辻祐樹、池岡亮介の対談など。

 



【余談】
フライヤー束の中にもあったけど、9月にある辻本祐樹の舞台『源氏物語~夢浮橋~』。チケットがとれたので行くよ!
学生時代に優柔不断の浮舟にいらいらしつつ読んでいた「宇治十帖」。忘れているので、予習のために再読しようと思う♪


【リンク】
公式サイトはこちら → 『涙を数える』
ぴあインタビューはこちら → 多田直人×辻本祐樹×池岡亮介
げきぴあはこちら → 『涙を数える』稽古場レポート