夢を叶えたいので今すぐ死ぬ気はない。
生きていれば嫌なことは山ほどあるがいいこともあるのだ。
幸い結婚も出来た。
好みの男では無かったが、あばたもえくぼよろしく、一緒に暮らせば愛おしくもなるのだ。
この人と結婚したことは良かったのだと思う。
時に愛おしいが、私のひねくれた性格で冷たくも当たる。
心残りは子供が出来なかったことだった。
子供を産み、子育てをし、母親になりお母さんとママとか呼ばれてみたかった。
長女に生まれたが故の悲しい運命を辿ってきているので、子供の頃から年上の女性は姉のように思っていた。
どこかで理想の姉を求めていた。
姉とショッピングに行く。
姉が私の服を選んでくれる。
女同士なのでサイズが合えば趣味が合えば服を共有する。
時には年頃になったら恋愛相談等もしてみたかった。
長女と言うのは如何なる場合もばつが悪い。
弟と喧嘩をしてもお姉ちゃんなんだからと怒られる。
のんびり屋の姉の私は食べ物も弟に取られる。
自分の器に入れたすき焼きの牛肉が、余所見をしている隙に弟に食べられることは常だった。
白菜と長ネギばかりを食べていた。
買ってもらったアイスもソフトクリームも半分食べているとすぐに弟の口が出てきて食べてしまう。
もたもたしているのが悪いと怒られる。
弟は勝ち誇ったかのように食べる。
私がいじめられても見て見ぬふりをし、かばうこともしない。
いつもピーピー泣いていた姉の私はかばってくれる人が欲しかった。
母は母で泣いている私を叱責する。
そんなわけで私はどこかいじけた子供だった。
他人の顔色を伺い時にびくびくして過ごした。
やっとつかんだ結婚で得た安住の地もほどなくして母との同居で元の木阿弥になったのだ。