昭和57年冬。
三重県四日市市。
スナックで知り合った19歳のかわいい女の子。
彼女と映画を観に行く約束をした。
どういう映画を観るかまで決めていた。
彼女は店を休んでくるはずだった。
約束した街角で、2時間待った。
その間、小雨も降り始めた。
19時の待ち合わせ時間。
既に21時。
僕は何もなかったかのように踵を返した。
許すも許さないもない。
彼女の存在は、完全に消えたのだ。
独身寮までは歩いて40分。
僕は強くなった雨に打たれながら、帰って行った。
33年ぶりに思い出した、ちょっと悲しい想い出話。