ちょこのすけ の ブログ

ちょこのすけ の 楽しい話、不思議な話、頭にきた話?

本当のはなし 第1回

2017-06-27 20:55:14 | Weblog





 それは、2千年も前から続くという、古い古い東北の温泉にでかけたときのことじゃった。

 それまでは、仕事でも遊びでも東北を訪れたことはめったになかった。
それが出張で東北に行くことになったのじゃ。
しかも、珍しく余裕ある日程じゃったから、ついでに温泉にも足をのばしてみたくなった。
 それでも仕事が一番の目的なのだから、宿はできるだけ質素なところにしようと出発前から決めておった。

 どんな風に探し当てたかは忘れてしまったのじゃが、1泊2食付だというのに破格な値段設定にしている宿をみつけることができた。

 いやぁ、破格も破格、先日の休日にでかけた箱根の宿の4分の1以下じゃったから、まあ、多くを期待してはいけないのはわかっておる。
 なぁに、今回は出張のついで、古温泉を楽しめればそれでいいのじゃ、と。

 東北での仕事は簡単に終わった。
午後からはゆっくりと温泉を楽しめる。
宿は駅からほんの数分歩いたところのはず。

 出来立ての小さな駅舎を降りると、脇を流れる川の両岸には堅牢な建物がずらっと並んでおって、かつてはかなり繁盛したであろうこの温泉街は、今では随分と寂れてしまって、観光客らしき人をみかけないのは無論のこと、すれ違う人の数より、子育てに忙しく飛び回るツバメたちの数のほうが多いくらいじゃ。

 それでも、その町の様子を逆にのどかなものに感じながら、すぐに電話で予約をしてあった旅館の看板をみつけることができた。
 それは、こじんまりとしした民宿のような大きさの建物じゃった。


(つづく)
 
コメント
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