コア建築設計工房の井下です。
新国立競技場の建築費予算が大幅に膨らんでいることがニュースになっています。
当初のザハの案よりもかなり縮小されたにもかかわらず、工事費は2520億円という金額です。
著名な建築家も異議を唱え、修正案、代替案を提示されていました。
それでも、具体的なところは明かされないまま、旧国立競技場の解体がされて、事業は進んでいます。
なぜ、こんなに金額が膨らんでしまっているのか、様々な意見が飛び交っています。
ザハの案そのものが、予算を超えることは選定時から予測されていました。
また、開閉式の屋根で、スポーツの他、コンサート等にも使用する、8万人収容のスタンド、天然芝のグラウンド、という、
当初の想定そのものがコストがかかること、
競技に直接関係の無い部屋(VIPルームなど)がかなりの面積を占めている、
屋根をささえる長手方向にかかるキールアーチが1本500億円もかかるなど。
コストがなぜこんなに高騰してしまったのか個人的に思うのは、
「ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式」とも呼ばれる施工予定者技術協議方式によるところも要因のひとつではないかという気がしています。
設計段階から施工者が関与し、施工上の課題を設計にフィードバックすることで、工事費のリスク軽減および工期の短縮を図る、
早期の発注が可能で、発注時に詳細仕様の確定が困難な事業に適しているというのが、この方式のようですが、
施工者が先に選定されてしまえば、価格は施工者の言い値になってしまうのではないかと思います。
お金のかからないオリンピックというのが当初のコンセプトだったような記憶がありますが、、、
最近の状況は、私共の設計する規模のものでもコストコントロールはとても難しい問題です。
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横浜の設計事務所
【コア建築設計工房】 井下
http://www.arc-core.co.jp/