横浜の建築設計事務所 コア建築設計工房のブログ

建築のこと、 横浜のこと、保育や福祉施設のこと、介護のことを表現します。

伊東豊雄 講演会「この場所にしかない建築」

2016年07月14日 | セミナー・講習会

こんばんは。
横浜の設計事務所、株式会社コア建築設計工房の井下です。

先日、アイカ工業主催の建築家伊東豊雄氏による講演会に行ってきました。
テーマはこの場所にしかない建築でした。

諏訪のご出身で諏訪大社のお話から始まりました。
御柱祭りで有名な諏訪大社には本殿が無く、上社、下社とも、それぞれ御柱が4本建っており、
4本の柱に囲まれた中心部に神が宿るとされているそうです。
建築とは、空間を作り出すことであり、
それは4本の柱を建てるだけで、特別な空間を作り出すことができる例として挙げられました。

せんだいメディアテークもその延長にあるそうです。
チューブ状の柱が建ち、その間に空間を作り出す、
また、その柱がその場所から生えてきたかのように見せるため、スパイラル状になっています。

釜石のみんなの家も18本の柱からなり、そこにみんなが集まるところを作られました。 

伊東さんの建築のテーマは、「自然とどう折り合いをつけるか」
うずまき、気まぐれで不安定な自然と、幾何学的な建築とをどのように結び付けるか
中沢新一氏「建築のエチカ」を引用し、説明されました。

・ぎふメディアコスモスでは、周囲の山並みに溶け込むような3次曲線の屋根形状になり、
伏流水を使った自然エネルギーによる冷房システムを取り入れているそうです。

・新国立競技場B案のお話もされました。
コンペで求められたのは、日本らしさと木を使うこと。
伊東さんは72本の柱を円形に並べて、その中心部に競技場があるという、諏訪大社のような、
また、縄文時代から日本人にとっては、柱というものが重要視されていることを表現されたそうです。
竹中工務店と組んでましたが、モエンウッドという耐火建築で使用できる柱で、太さは最大1.5m角とのこと。
この日はおっしゃりませんでしたが、別なところでは、A案のことを、
神宮の杜に、五重塔(お寺)を建てていいのだろうかと発言されていました。

・プエブラのバロックミュージアム(メキシコ)については、
グリッドを少しずらすことで生まれる空間を外部とつながる中間領域として考えられていました。

・台中国家歌劇院(台湾)は、
せんだいメディアテークでは縦方向だけだったチューブが、横方向にもながれ、
チューブの中が室内だったり、別な場所では外だったり、そこが、中なのか外なのかとても複雑な構造でした。
これも別なところで伊東さんが「胃の中は外部である」とおっしゃっていたことを思い出しました。
口から食道、胃、小腸、大腸とつづき、肛門からでるこのチューブは、外部につながっているということです。

内部のような外部、外部のような内部を作ることで、自然と折り合いをつけているのだと思います。
 

落ち着いた語り口でさりげなく話しながら、とてつもなく複雑なことをやってのけてしまう、
また、世界を駆け巡り超多忙でありながら、被災地復興のボランティアを先頭きって行われているバイタリティー。
とても心地の良いエネルギーをいただきました。
日々の業務につなげていきたいです。





横浜の設計事務所 
【コア建築設計工房】 
http://www.arc-core.co.jp/

 

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