少し前から四柱推命白帯というソフトの簡易版を作ってきました。
まだ改良の余地はたくさんありますが、機能を絞っているということもあり、当初予定していた内容はほぼ作れました。
あとは、エラー対策や使い勝手を良くすることができればいいかなと思っています。
そんなわけで、今日はこの簡易版で用いている五行の計算方法を紹介します。
(計算法はともかく、単に結果だけを知りたい方はこちらからソフトをダウンロードしてください。)
以前に、「五行の調和性と偏向性の求め方(ちょっと数学)」 という記事を書いたのですが、計算の仕方が煩雑なことから、その時には五行の計算法そのものには触れられませんでした。でも、今回の簡易版での方法は手計算できることを前提で考えたものなので、少し四柱推命の知識がある人なら、実際に自分で計算することができると思います。
そのためには、まず計算式を覚え、幾つかの表を参考に数値を出す必要があります。
現在、四柱推命の流派ごとに違う五行の計算方法があるような状況ですので、この記事で書く方法論も、あくまでそうしたものの一つだと思ってください。ただ、この計算式は異なる流派の見方を一緒くたにしたような感じなので、ここでの式を覚えるだけで、主要な流派の読み方に近い数値を出すことができるはずです。
各五行の力量=「旺相死囚休の値」×{干の基数(※1)+天干数+(蔵干数×蔵干比率(※2))}×(通根の基数(※3)+通根量)
※1・・・ソフトでは0.01で固定。計算上、0を出さないようにする目的もある。
※2・・・0.2~0.5程の割合で、天干と蔵干の比重を考えると良さそうに思います(この記事では0.5を使って説明しています)。
※3・・・2と同じ程度の値で調整すると良さそうですが、ここでは0.1を使って説明しています。
力量のバランス的には、 蔵干比率を0.3辺りにすると、冲合などでの力量変化も含めて割と収まりがいいかもしれません。もし何も力量変化(増減)させないのであれば、平均的には蔵干の配分も基数の設定も0.5くらいで良いと思います。(研究中)
この式は5つある五行の一つ一つに対して求めるものですが、その前に、あまり四柱推命の知識がない方もいることを想定し、基本的なことを含めて一つずつ解説していこうと思います。
§1. 旺相死囚休
・五行の力量
「五行(ごぎょう)」とは、陰陽の概念と同じく、四柱推命などの東洋占術の基本的な用語の一つです。自然界のエレメンツ(構成要素)を木・火・土・金・水の5つに分類した考え方であり、四柱推命ではこの五行エネルギーの強弱や配分によって、生活の中での事象の現れ方を読み取ろうとします。
四柱推命は年月日時に配される干支の並びから各自の運命を考える技術ですが、その時に基準となるのは、その人が生まれた日の「日干(にっかん)」が示す五行(エレメント)です。例えば、甲子(きのえね)が生まれ日の干支ならば、甲が示す木行がその人の核となる五行になります。
この核となる五行に対して、他の4つの五行がどの程度の割合で影響を与えているのかを知ることが、運命解読の基本作業です。
そして、五行の力量に大きな影響を与える要因の一つが、生まれた月および季節です。これが次の旺相死囚休の概念につながります。
・旺相死囚休
「おう、そう、し、しゅう、きゅう」と読みます。季節による影響力の強さを表した言葉。
ある人が生まれた月(季節)を基準に、他の季節が持つ力を象徴的に言い表しています。
旺 : その人が生まれた季節の五行を旺盛にします。例えば冬生まれなら水行を強めます。また、本人の命式(年月日時の干支)に対して最も大きな影響力を持っています。
相 : 旺の次の季節です。冬生まれの人なら春に当たります。季節的に旺の加勢を受けるので、それなりに強い力があります。
死 : 字面は不吉ですが、その実は「活動の抑止」といった感じの意味で、恐ろしさはありません。ただし、五行には全体として「生」と「克(剋)」の関係があり、相は旺から生じられますが、死は最も強い旺から克されるため、その活動力はかなり弱くなります。旺が冬なら、次の次の季節、つまり夏になります。
囚 : 旺の五行から数えて4番目の季節の五行。冬生まれなら旺が水なので、水→木→火→土となります(土行については他の季節とは趣きを異にするため、後ほど別の項目で解説します)。囚は旺を克す立場ですが、最強の力量を持つ旺に対峙する形であり、かえって気弱になっているような状態です。力量的には死ほど弱くないにせよ、その次程度と考えられます。
休 : 季節的には旺の一つ前に当たります。冬生まれならば秋の五行。古来は「老」という文字が当てられていました。旺に向かう手前ですので、力量的には言うほど弱いというわけではありません(旺と比べて半分弱ほど)。
四柱推命白帯の簡易版では、デフォルト値として以下の値を使っています。
旺 : 10
相 : 7
死 : 2.5
囚 : 3
休 : 5
単純に言えば、旺を1とした時、相はその7割、死は2.5割・・・ということです。
(この数値の割り当ては、各季節との距離感を考慮して√2(1.41421356・・・)の値を使って出していますが、そういう内容は、ここでは覚える必要はありません。ただなんとなく、裏付けみたいなことがあるんだな、と思ってもらえたら十分です。)
単純に整数のみで覚えるなら、旺相死囚休の順で、9・6・2・3・4くらいでもいいかもしれません。
§2. 天干と蔵干
改めて式を眺めてみます。
各五行の力量=「旺相死囚休の値」×{干の基数0.01+天干数+(蔵干数×蔵干比率(0.5))}×(通根の基数(0.1)+通根量)
いま、旺相死囚休まで説明しました。次は、干(かん)についてです。
もう一つの蔵干とは、十二支の中に含まれるエネルギーの中継点、もしくはその源となる干のことです。
この天干と蔵干に何が出ているかによって、その人の五行の内訳が変わってきます。人によっては火行ばかりだとか、二つか三つの五行しか出ていないとか、様々です。
そして、この部分は流派によって考え方が分かれているところで、蔵干をその人の持ち前の五行とみるかどうかで、多くの場合、その配分にかなりの違いが出てきます。この辺りの話に関してここで深く触れることはしませんが、どちらの方法が正しいというよりも、その人がどのような生き方を選択しているかによって、天干主体になるか、蔵干を含めたトータルな影響力の中で生きているのかが分かれてくるんじゃないかと、今の僕は思っています。イメージ的には、プライベートでの自分と、社会的な存在としての自分との違いに似ているかもしれません。
・干の基数
話を戻して式を見てみると、まず干の基数というのがあります。これは式が掛け算で構成されている都合上、0を出さないようにするためのものです。個々の五行は、人によって全く数も量も出てこないことがありますが、だからといってそれを0にしてしまうと、他の計算との絡みで不都合が起きてしまいます(五行の調和度などが求められなくなる)。そのため、最初に初期値として0.01を置いています。(1や0.1などでもいいのですが、計算の仕方によります)
・天干数
次の天干数とは、年月日時の四柱に出ている各干の数を単純に数えたものです。
今これを書いている日時の四柱干支を例にとってみます。(画像参照)
2014/1/21 21:20 愛知県 → 癸巳年乙丑月壬辰日辛亥時
年に癸(みずのと)、月に乙(きのと)、日に壬(みずのえ)、時に辛(かのと)が出ています。五行に直すと、水、木、水、金の四つです。
(厳密にはそれぞれ陰の水、陰の木、陽の水、陰の金ということになりますが、ここでは話を簡単にします。)
十干の五行は次の通りです。左が陽干グループ、右が陰干グループ。
甲(こう/きのえ) | 乙(おつ/きのと) | 木 |
丙(へい/ひのえ) | 丁(てい/ひのと) | 火 |
戊(ぼ/つちのえ) | 己(き/つちのと) | 土 |
庚(こう/かのえ) | 辛(しん/かのと) | 金 |
壬(じん/みずのえ) | 癸(き/みずのと) | 水 |
火および土は、この日時の天干には出ていません。だから、流派によってはたとえ蔵干に火や土が出ていても命式上の五行とは見ない、という読み方をすることがあります。
・蔵干数
天干の数については単純なので難しくないのですが、ちょっと面倒なのは蔵干の数です。
先にも書いたように、蔵干は地支(十二支)の中に秘められていて、一つの支の中に二つから三つあります。
(伝承によっては申のように4干含まれているとする支もあります)
ここでは四柱推命白帯の簡易版で用いている表を例にします。
支 | 余気 | 中気 | 本気 |
子(ね) | 壬0.3 | 癸0.7 | |
丑(うし) | 癸0.4 | 辛0.2 | 己0.4 |
寅(とら) | 戊0 | 丙0.3 | 甲0.7 |
卯(う) | 甲0.3 | 乙0.7 | |
辰(たつ) | 乙0.3 | 癸0.2 | 戊0.5 |
巳(み) | 戊0.1 | 庚0.2 | 丙0.7 |
午(うま) | 丙0.2 | 己0.2 | 丁0.6 |
未(ひつじ) | 丁0.3 | 乙0.2 | 己0.5 |
申(さる) | 戊0 | 壬0.4 | 庚0.6 |
酉(とり) | 庚0.3 | 辛0.7 | |
戌(いぬ) | 辛0.2 | 丁0.2 | 戊0.6 |
亥(い) | 戊0 | 甲0.3 | 壬0.7 |
数値については後で説明しますが、こうした蔵干表には多くの種類がありますし、その蔵干の取得法も様々で、かねてより議論を呼んでいます。
基本的には、生まれた日時に基づいて「月令(げつれい)」という主要な五行(干)を求めることに使われますが、これも流派や個人によりまちまちで、月柱のみこうした表から蔵干を求める場合もあれば、四柱の全ての支から蔵干を出す場合もあります。
四柱推命白帯の簡易版では、四柱全ての蔵干を時間に応じて一つずつ抽出すると同時に、各支に含まれる蔵干量を加味して力量計算する方法論を採っています。(ただし、蔵干の個数を計算から外す場合は、蔵干量のほうだけ通根(つうこん)として考慮します)
実際の蔵干の抽出方法は諸説あるわけですが、最も単純には「本気」に当たっている蔵干を取り出すことです。ちなみに、本気を正気とか本期・正期などと呼ぶ人もいますが、意味することは一緒だと思います。
ただ、ここでは簡易版の方法論に従って説明していることから、少し細かくなりますが、時間按分による蔵干取得法を書いておきます。(日付から簡易的に取得する場合、概算のため1日程度ズレることがあります)
この方法は太陽黄径を十干で等分して、それを年月日時に合わせて計算したもので、中気を含みません。
考え方としては、「四柱推命 暦と運命への科学的アプローチ」 松倉孝宗・甘木太郎[著] ラッセル社 1998年 に詳しく出ています。
年の蔵干 |
|
寅巳申亥 | 年始(立春)より、全て本気 |
子卯午酉 | 立春より4月17日(黄経27度)以前は余気、それ以降は本気 |
丑未辰戌 | 立春より7月1日(黄経99度)以前は余気、それ以降は本気 |
寅巳申亥を孟支(もうし)と呼び、子卯午酉を仲支(ちゅうし)と呼び、丑辰未辰を季支(きし)と呼びますが、太陽黄径等分法の場合、孟支の蔵干は一支に対して一干しかありません。寅ならば甲、巳ならば丙という風にです。なので、年月日時とも全て本気ということになります。
仲支の場合は、時間按分すると5分の1(0.2)が余気、残りが本気です。これは月の蔵干表の30日の内、5日間が余気でそれ以降が本気という理屈から来ています。これを年に換算すると、年の起点である立春から2.4ヶ月(二十四節気で言うと4節気と12日分。360度×0.2=72度。立春315+72=387、387-360=27度)になるわけです。ちなみに、4月17日は春の土用入りの頃です。
同じように、季支の場合は、土用入りが30日の内の12日からなので、0.4ヶ月。これを年換算にすると360度×0.4=144度になり、315+144=459、360度を引いて99度ということになります。これは例年では6月最終日か7月1日頃です。
煩雑になるので一々解説しませんが、これと同じことを各柱で計算した結果が以下の表です。(それぞれの起点から区切りまでの期間を、仲支は「×0.2」、季支は「×0.4」する)
月の蔵干 |
|
寅巳申亥 | 節入り後、全て本気 |
子卯午酉 | 節入り後、6日(6度)以前は余気、それ以降は本気 |
丑未辰戌 | 節入り後、12日(12度:土用入り)以前は余気、それ以降は本気 |
いわゆる透派のテキストでは月柱の蔵干のみをこの方法で取得して月令を知り、他の柱は本気を取るか、省略しているようです。
また、個別化を図る理由からか、節入り日数を基に各柱の蔵干すべてを取得するという方法を用いる流派もあります。
日の蔵干 |
|
寅巳申亥 | 全て本気 |
子卯午酉 | 卯時以前(日の切り替わりから4時間48分間)は余気、それ以降は本気 |
丑未辰戌 | 巳時以前(日の切り替わりから9時間36分間)は余気、それ以降は本気 |
日の蔵干については、日の切り替わりをいつと考えるかによって微妙なところです。
もし23時(子時の始まり)を日の境目とするなら、そこから4時間48分だと寅時の中頃で、0時起点だと寅時の終わり頃。
また、9時間36分の場合は、辰時の終わりの30分頃か巳時に入って30分頃。
この辺は、もっと実例研究してみないとなんとも言えませんが、時間按分の蔵干法を採用している書籍をみる限りでは(蔵干表は太陽黄径等分法のものではないものの)、日の起点を0時に置いているようです。
時の蔵干 |
|
寅巳申亥 | 時刻の切り替わりから全て本気 |
子卯午酉 | 時刻の切り替わりから24分間は余気、それ以降は本気 |
丑未辰戌 | 時刻の切り替わりから48分間は余気、それ以降は本気 |
※厳密には上のようになりますが、四柱推命白帯の簡易版では二時間単位で区切っているため、時の蔵干は単純に本気蔵干を取得しています。
で、これを書いている日時の四柱干支(八字)は、癸巳(年)乙丑(月)壬辰(日)辛亥(時)ですので、巳の蔵干は丙、丑の蔵干は己、辰の蔵干は戊、亥の蔵干は壬ということになります。この例では、全て本気となりました。
時柱 | 日柱 | 月柱 | 年柱 | 命式 |
辛 | 壬 | 乙 | 癸 | 天干 |
亥 | 辰 | 丑 | 巳 | 地支 |
壬 | 戊 | 己 | 丙 | 蔵干 |
冬の土旺 | 季節 | |||
戊0 | 乙0.3 | 癸0.4 | 戊0.1 | 余気 |
甲0.3 | 癸0.2 | 辛0.2 | 庚0.2 | 中気 |
壬0.7 | 戊0.5 | 己0.4 | 丙0.7 | 本気 |
この計算式の場合、抽出される蔵干によっても力量に変化が出てくるので、細かく言えば時の蔵干部分にも気を遣わなくてはなりませんが、特に注意が必要なのは、先に旺相死囚休のところで説明したように生まれた季節が何かということです。なぜなら、そのことが五行の配分に最も強い影響力を持っているからです。
占術上の季節は太陽の移動に沿って二十四節気として区分けされており、現代では天文学的に定義づけられていますが、大まかには春夏秋冬の四季と、それぞれの季節の境目に当たる土用の時期の5つです。そしてこれらが五行と対応しています。
四季についてはそれぞれ72日もの長きに亘って続きますが、土用に関しては季節の変わり目の約18日間として分散するため、蔵干を出す際はこの土用の期間に気をつけなくてはなりません。大まかな日付は次の通りですが、年によって微妙に異なります。
※土用の黄経度数と日付の目安
春 27~ 44.9度(4/17-5/5)
夏 117~134.9度(7/20-8/7)
秋 207~224.9度(10/21-11/7)
冬 297~314.9度(1/17-2/3)
今日は1月21日で、厳密に黄経計算すると301.4度ほどですから、冬の土用の期間に当たっています。
ただし、もともと土用は季節の推移を考えたものなので、実際のところ、あまり厳密さにこだわる必要はないかもしれません。四柱推命の先生の中にも土用の始まりを天文学的な位置で見ていない人もいますし、僕自身もいきなり土旺としてバチッと切り替わるとは思っていません。そのため、土用期間に関して、簡易版ではその土用を含む季節と土旺の力量とをミックスさせたものをデフォルト値としています。
(たとえば、春の土旺ならば、春の木は旺で10ですが、土旺では木は囚の3.5になるため、それらを平均すると6.75になります。表は小数点以下一桁で四捨五入したもの)
五行 | 春の土旺 | 夏の土旺 | 秋の土旺 | 冬の土旺 |
木 | 6.8 | 4.3 | 3 | 5.3 |
火 | 6 | 7.5 | 4.3 | 3.8 |
土 | 6.3 | 8.5 | 7.5 | 6.8 |
金 | 5.3 | 4.8 | 8.5 | 6 |
水 | 3.8 | 3 | 4.8 | 6.3 |
一方、四季の始まりは立春や立夏のように明確に「立つ」瞬間ですので、土用の引きずりを考える必要はないだろうと思います。そのまま二十四節気の切り替わり日時に添って考えて構いません。
説明が長くなってきて計算式から遠ざかってしまっているので、ここで再掲します。
各五行の力量=「旺相死囚休の値」×{干の基数0.01+天干数+(蔵干数×蔵干比率(0.5))}×(通根の基数(0.1)+通根量)
先ほど蔵干を抽出しましたので、それを天干の分と合わせて整理しておきます。
天干 蔵干
木 : 1(乙)
火 : 0 1(丙)
土 : 0 2(己・戊)
金 : 1(辛)
水 : 2(癸、壬) 1(壬)
・蔵干比率
もともと蔵干とは十二支に潜在する干のことですから、それが表面化する頻度や程度を比率として設定します。
四柱推命白帯の簡易版では「0.5」つまり、天干の半分の割合としていますが、これは僕が研究する中で平均的だと思う値です。現実には他の数値設定との絡みもあり、もっと適した数値があるかもしれません。今のところは、0.2~0.5ぐらいで調整するのが良いだろうと考えています。
ただ、よく分からない人や初心者の方は、ひとまずデフォルト値のままで計算してみてください。
§3. 通根(つうこん)
計算式の最後の項目は通根に関するものです。
通根とは、天干および蔵干にとってのエネルギーの源泉を意味する概念です。例えば甲に対する寅や卯のように、同じ木行の中に根を張ることができるかどうか、それによってエネルギーを得ることができるかどうか、という視点です。干の側からは通根と言いますが、これを支のほうから見て「透干」(とうかん)と表現する場合もあります。(他にも「透天」や「透出」とも)
ともかく、この通根がなければ、たとえ干が幾つあっても強い力を得ることはできず、根無し草のようになってしまいます。逆に、旺盛な根を得ると、たった一つしかその五行の干がなかったとしても、他の五行以上の力量を持つことはよくあります。この式の場合は掛け算ですから、一つの干に対して二つ三つと通根要素があれば、それだけその五行の存在感は高まるわけです。
・通根の基数
そして通根にも基数を設定しています。もちろん、これは計算において0を出さないためでもありますが、さらには通根によってどの程度、干を強調するかにも関わってきます。ここでは「0.1」で計算していますが、仮にこれを0.5とか1にすると、それに応じて命式に出ている干の存在感が増すことになります。関心のある方は、色々と数値を変えて試してみてください。(平均的には0.5ほどでよいだろうと思います)
※この項目、もし旺相死囚休を旺を×1、相を×0.7・・・みたいにするなら、通根量の部分を小数ではなく整数にして、この初期値も1とかでいいのかもしれません。実際に命式や大運を計算させてみないことには分かりませんが。
・通根量
最後に通根量です。これを説明するために、改めて先ほどの蔵干表を掲載します。
支 | 余気 | 中気 | 本気 |
子(ね) | 壬0.3 | 癸0.7 | |
丑(うし) | 癸0.4 | 辛0.2 | 己0.4 |
寅(とら) | 戊0 | 丙0.3 | 甲0.7 |
卯(う) | 甲0.3 | 乙0.7 | |
辰(たつ) | 乙0.3 | 癸0.2 | 戊0.5 |
巳(み) | 戊0.1 | 庚0.2 | 丙0.7 |
午(うま) | 丙0.2 | 己0.2 | 丁0.6 |
未(ひつじ) | 丁0.3 | 乙0.2 | 己0.5 |
申(さる) | 戊0 | 壬0.4 | 庚0.6 |
酉(とり) | 庚0.3 | 辛0.7 | |
戌(いぬ) | 辛0.2 | 丁0.2 | 戊0.6 |
亥(い) | 戊0 | 甲0.3 | 壬0.7 |
蔵干を一つ抽出する作業では、余気・中気・本気の中から選び出すということをしましたが、通根量を出す時は、その全てを考慮します。
例えば子は壬と癸で、純粋に水の気しかありませんが、丑の場合だと、癸と辛と己で、水・金・土の3つの気が混ざっています。
この時、細かいことを言えば、各自の命式の温度によって、どの蔵干からどのくらいの力量が出てくるかが変わってくると考えられますが、上表ではそうしたことを大枠的に含めているので、初心者の方などよく分からない人は、とりあえず表の数値をそのまま使ってみて下さい。
で、例題のケースでは以下のようになっていますから、
時柱 | 日柱 | 月柱 | 年柱 | 命式 |
辛 | 壬 | 乙 | 癸 | 天干 |
亥 | 辰 | 丑 | 巳 | 地支 |
壬 | 戊 | 己 | 丙 | 蔵干 |
冬の土旺 | 季節 | |||
戊0 | 乙0.3 | 癸0.4 | 戊0.1 | 余気 |
甲0.3 | 癸0.2 | 辛0.2 | 庚0.2 | 中気 |
壬0.7 | 戊0.5 | 己0.4 | 丙0.7 | 本気 |
それぞれの五行の通根量を足し算していくと、次のようになります。
木 : 乙0.3+甲0.3=0.6
火 : 丙0.7
土 : 戊0.1+己0.4+戊0.5=1(亥の中の戊は0として考慮していませんが、ソフトでは設定することもできます)
金 : 庚0.2+辛0.2=0.4
水 : 癸0.4+癸0.2+壬0.7=1.3
さて、これで全ての計算要素が出揃いました。先に求めた天干数と蔵干数も再掲します。
天干 蔵干
木 : 1(乙)
火 : 0 1(丙)
土 : 0 2(己・戊)
金 : 1(辛)
水 : 2(癸、壬) 1(壬)
改めて式に添って整理します。
各五行の力量=「旺相死囚休の値」×{干の基数0.01+天干数+(蔵干数×蔵干比率(0.5))}×(通根の基数(0.1)+通根量)
旺相死囚休は冬の土旺。わかりやすいように、木の場合を説明付きで書き出します。
木 : 旺相死囚休5.3×{干の基数0.01+天干数1+(蔵干数0×蔵干比率0.5)}×(通根の基数0.1+通根量0.6)=3.7 (10%)
以下、同様に計算します。これは蔵干五行を含んだもの。
火 : 3.8×{0.01+0+(1×0.5)}×(0.1+0.7)=1.6 (4%)
土 : 6.8×{0.01+0+(2×0.5)}×(0.1+1)=7.6 (20%)
金 : 6.0×{0.01+1+(0×0.5)}×(0.1+0.4)=3.0 (8%)
水 : 6.3×{0.01+2+(1×0.5)}×(0.1+1.3)=22.1 (58%)
火 : 3.8×(0.01+0)×(0.1+0.7)=0.0 (0%)
土 : 6.8×(0.01+0)×(0.1+1)=0.1 (0%)
金 : 6.0×(0.01+1)×(0.1+0.4)=3.0 (12%)
水 : 6.3×(0.01+2)×(0.1+1.3)=17.7 (72%)
その辺りの解説は冒頭にも挙げた「五行の調和性と偏向性の求め方(ちょっと数学)」 を参考にしていただきたいと思いますが、ソフトでは一括して表示されます。