ネット検索してみても、僕の探し方が悪いのか旧暦(太陰太陽暦)の閏月を一覧にしているところは見当たりません。
特に平気法(恒気法と呼ばれることも多い)による旧暦の閏月となると、今では一般的ではないためか、いっそう出てきませんでした。
そういうわけで今回、自作した暦を基に閏月の一覧表を作ることにしました。そしてこの際なので、定気法と平気法とを並べて違いが分かるようにしました。
◎計算で用いた条件(これは定気法も平気法も共通)
・定朔(太陽と月の視黄経がぴったり重なる瞬間を新月の時とする)
・日本標準時
・太陽と月の位置計算は『日の出・日の入りの計算』(長沢 工、地人書館)にある略算式を使用(他にも幾つもの略算式がありますが、これが比較的精度が高い)。
また、平気法については、視黄経270度を冬至として計算し、冬至間を時間分割することで定数(用いる数値)を求めています。この場合の冬至は定気法と同じ日時になります。
言い換えれば、これは古暦で行われていた「勾配術(冬至の瞬間を推定する方法)」とは少し結果が違ってきます。加えて、古暦ではそれを1太陽年(回帰年)で時間分割するので、その点でも差が生まれます。
ですが、思うに昔の天文学者や暦作成者も、冬至の正確な日時を知りたくて近似的な方法で冬至の瞬間を割り出していたわけなので、冬至の日時に関しては現代のやり方に置き換えても良いだろうと思います。考えるべきは、二十四節気を定気(空間)で区切るか平気(時間)で区切るかということですので。
ちなみに、「1太陽年で分割した場合」も計算して調べましたが、冬至間を時間分割する方法と±1~15分程度の差があるものの(略算式では四捨五入を含めて±17ほどの差が出た)、今回出した範囲であればどちらで作った平気法暦でも閏月は一致しているようです。
極端なことを言えば、未来において太陽系天体の軌道要素が大きく乱れる出来事がない限りは、この一覧表が参照できるだろうと思います。
※以下の表で下線が引かれているところは、定気法と平気法とで閏月が一致する期間です。
定気法の閏月 | 平気法(恒気法)の閏月 |
1900年:閏8月(9/24-10/22) 1903年:閏5月(6/25-7/23) 1906年:閏4月(5/23-6/21) 1909年:閏2月(3/22-4/19) 1911年:閏6月(7/26-8/23) 1914年:閏5月(6/24-7/22) 1917年:閏2月(3/23-4/20) 1919年:閏7月(8/26-9/23) 1922年:閏5月(6/25-7/23) 1925年:閏4月(5/23-6/20) 1928年:閏2月(3/22-4/19) 1930年:閏6月(7/26-8/23) 1933年:閏5月(6/23-7/22) 1936年:閏3月(4/21-5/20) 1938年:閏7月(8/25-9/23) 1941年:閏6月(7/24-8/22) 1944年:閏4月(5/22-6/20) 1947年:閏2月(3/23-4/21) 1949年:閏7月(8/24-9/21) 1952年:閏5月(6/22-7/21) 1955年:閏3月(4/22-5/21) 1957年:閏8月(9/24-10/22) 1960年:閏6月(7/24-8/21) 1963年:閏4月(5/23-6/20) 1966年:閏3月(4/21-5/19) 1968年:閏7月(8/24-9/21) 1971年:閏5月(6/23-7/21) 1974年:閏4月(5/22-6/19) 1976年:閏8月(9/24-10/22) 1979年:閏6月(7/24-8/22) 1982年:閏4月(5/23-6/20) 1984年:閏10月(11/23-12/21) 1987年:閏6月(7/26-8/23) 1990年:閏5月(6/23-7/21) 1993年:閏3月(4/22-5/20) 1995年:閏8月(9/25-10/23) 1998年:閏5月(6/24-7/22) 2001年:閏4月(5/23-6/20) 2004年:閏2月(3/21-4/19) 2006年:閏7月(8/24-9/21) 2009年:閏5月(6/237/21) 2012年:閏3月(4/21-5/20) 2014年:閏9月(10/24-11/21) 2017年:閏5月(6/24-7/22) 2020年:閏4月(5/23-6/20) 2023年:閏2月(3/22-4/19) 2025年:閏6月(7/25-8/22) 2028年:閏5月(6/23-7/21) 2031年:閏3月(4/22-5/20) 2033年:閏11月(12/22-2034/1/19) 2036年:閏6月(7/23-8/21) 2039年:閏5月(6/22-7/20) 2042年:閏2月(3/22-4/19) 2044年:閏7月(8/23-9/20) 2047年:閏5月(6/23-7/22) 2050年:閏3月(4/21-5/20) 2052年:閏8月(9/23-10/22) 2055年:閏6月(7/24-8/22) 2058年:閏4月(5/22-6/20) 2061年:閏3月(4/20-5/18) 2063年:閏7月(8/24-9/21) 2066年:閏5月(6/23-7/21) 2069年:閏4月(5/21-6/18) 2071年:閏8月(9/24-10/22) 2074年:閏6月(7/24-8/21) 2077年:閏4月(5/22-6/19) 2080年:閏3月(4/20-5/18) 2082年:閏7月(8/24-9/21) 2085年:閏5月(6/22-7/21) 2088年:閏4月(5/21-6/18) 2090年:閏8月(9/24-10/22) 2093年:閏6月(7/23-8/21) 2096年:閏4月(5/22-6/19) 2099年:閏3月(4/21-5/19) 2101年:閏7月(8/25-9/22) | 1900年:閏9月(10/23-11/22) 1903年:閏5月(6/25-7/23) 1906年:閏3月(4/24-5/22) 1908年:閏11月(12/23-1909/1/21) 1911年:閏7月(8/24-9/21) 1914年:閏5月(6/24-7/22) 1917年:閏1月(2/22-3/22) 1919年:閏10月(11/23-12/21) 1922年:閏6月(7/24-8/22) 1925年:閏2月(3/24-4/22) 1927年:閏12月(1928/1/23-2/20) 1930年:閏7月(8/24-9/21) 1933年:閏4月(5/24-6/22) 1936年:閏1月(2/23-3/22) 1938年:閏8月(9/24-10/22) 1941年:閏7月(8/23-9/20) 1944年:閏3月(4/23-5/21) 1946年:閏11月(12/23-1947/1/21) 1949年:閏7月(8/24-9/21) 1952年:閏4月(5/24-6/21) 1955年:閏1月(2/23-3/23) 1957年:閏9月(10/23-11/21) 1960年:閏6月(7/24-8/21) 1963年:閏3月(4/24-5/22) 1965年:閏12月(1966/1/22-2/19) 1968年:閏8月(9/22-10/21) 1971年:閏4月(5/24-6/22) 1974年:閏2月(3/24-4/21) 1976年:閏10月(11/22-12/20) 1979年:閏6月(7/24-8/22) 1982年:閏3月(4/24-5/22) 1984年:閏10月(11/23-12/21) 1987年:閏9月(10/23-11/20) 1990年:閏5月(6/23-7/21) 1993年:閏1月(2/21-3/22) 1995年:閏10月(11/23-12/21) 1998年:閏5月(6/24-7/22) 2001年:閏3月(4/24-5/22) 2003年:閏11月(12/23-2004/1/21) 2006年:閏7月(8/24-9/21) 2009年:閏5月(6/23-7/21) 2012年:閏1月(2/22-3/21) 2014年:閏10月(11/22-12/21) 2017年:閏6月(7/23-8/21) 2020年:閏4月(5/23-6/20) 2022年:閏12月(2023/1/22-2/19) 2025年:閏8月(9/22-10/20) 2028年:閏5月(6/23-7/21) 2031年:閏1月(2/22-3/22) 2033年:閏11月(12/22-2034/1/19) 2036年:閏7月(8/22-9/19) 2039年:閏3月(4/23-5/22) 2041年:閏12月(2042/1/22-2/19) 2044年:閏7月(8/23-9/20) 2047年:閏5月(6/23-7/22) 2050年:閏1月(2/22-3/22) 2052年:閏9月(10/23-11/20) 2055年:閏7月(8/23-9/20) 2058年:閏3月(4/23-5/21) 2060年:閏12月(2061/1/22-2/19) 2063年:閏8月(9/22-10/21) 2066年:閏5月(6/23-7/21) 2069年:閏2月(3/23-4/20) 2071年:閏10月(11/22-12/20) 2074年:閏6月(7/24-8/21) 2077年:閏3月(4/23-5/21) 2080年:閏1月(2/21-3/20) 2082年:閏9月(10/22-11/19) 2085年:閏5月(6/22-7/21) 2088年:閏2月(3/23-4/20) 2090年:閏9月(10/23-11/20) 2093年:閏7月(8/22-9/20) 2096年:閏3月(4/23-9/21) 2098年:閏11月(12/23-2099/1/20) 2101年:閏9月(10/23-11/20) |
※すべて手動入力なので、見間違い・打ち間違いがあるかもしれません。ミスに気がついたら逐次、修正します。
一覧表では閏月の期間しか書いていませんが、それを含めた前後の期間で定気法と平気法の旧暦月が異なってくる場合があります。例えば1927~28年、1946~47年、1965~66年、2003~04年、2022~23年のような閏月が年をまたいで異なる場合はそれが顕著です。
ちなみに、定気法か平気法かで二十四節気の日時が変わってきますから、旧暦(太陰太陽暦)だけでなく、節気や中気と関わりのある干支暦や九星暦、遁甲暦などにも影響があります。
例えば二十四節気の日時が異なれば年月干支の切り替え日が違ってきますし、かつて中段と呼ばれた十二直の配列にもズレが出てきます。節切りの暦注や神殺も同様です。
ちなみに、定気法か平気法かで二十四節気の日時が変わってきますから、旧暦(太陰太陽暦)だけでなく、節気や中気と関わりのある干支暦や九星暦、遁甲暦などにも影響があります。
例えば二十四節気の日時が異なれば年月干支の切り替え日が違ってきますし、かつて中段と呼ばれた十二直の配列にもズレが出てきます。節切りの暦注や神殺も同様です。
また、旧暦を用いる六曜(※本文末コラム参照)や宿曜の27宿、暦月で出す暦注なども月名や閏月が入る位置によって変わってきます。旧暦を用いる紫微斗数では作盤の違いに直結してきます。
定気法が導入される以前は定朔平気法による旧暦が長らく続いていました。現代の定朔定気法が採用されたのは天保暦の時(1844年の改暦)からですから、それまでの千年以上に及ぶ平気法の歴史と比べると、まだ短いものです。
その後、天保暦は廃止されてグレゴリオ暦として知られる太陽暦にとって代わられました。それ以来、太陰太陽暦はその新暦に対して旧暦と呼ばれるようになったというわけです。
現代では旧暦は伝統的な七夕や十五夜などの一部の行事でしか使われなくなっていますが、実は旧暦で七夕や十五夜を行うと、まれに特典のある年が出てきます。閏7月とか閏8月がある年です。そこでもう一度、七夕気分や十五夜気分を味わえるかもしれません。プチ七夕、あるいは天気の都合でできなかった行事をそこでやるのもいいでしょうね。
もっとも、雛祭り・桃の節句(旧3月3日)や端午の節句(旧5月5日)、重陽(旧9月9日)といった他の節句も含めて、それらは基本的に閏月の時にはしないと思いますが、諸々の事情でやれなかったイベントなどを再起させるのにはいいかもしれません。
~~~番外コラム~~~
*六曜・・・「勝因は不滅のアンコウ」
大安とか仏滅とか友引とか、カレンダーにたまに出ているアレです。
縁起を担ぎたいときに大安の日を選ぶみたいなことが世間一般に行われていますね。迷信と言い切ってしまっていいほどのものですが、意外と気にする人もいるようです。
で、語呂合わせですが、六曜は旧暦の月日さえわかれば計算で求めることができます。副題の「勝因は不滅のアンコウ」というのは、その計算で出てきた数字に当てはめる呪文です。
1.勝(しょう) → 先勝(せんしょう/せんかち。昔は速喜)
2.因(いん) → 友引(ともびき/ゆういん。昔は留連・留引)
は
3.不(ふ) → 先負(せんぶ/さきまけ。昔は将吉・小吉)
4.滅(めつ) → 仏滅(ぶつめつ。昔は虚亡・空亡)
の
5.アン → 大安(たいあん。昔は泰安とも)
6.コウ → 赤口(しゃっこう/しゃっく)
意味については検索して調べてもらえば出てくるので割愛します。
そもそも利用価値があるかというのも暦の観点から言うと疑問ですし。
ともかく、求め方は次のようになります。
1.旧暦の月日の数字を足して1を引く。
2.合計を6で割った余りを求める。
3.その数値を先の呪文に当てはめる。
まずはわかりやすく、旧暦の1月1日を考えてみましょう。
月と日の数字を足して、そこから1を引きます。1+1-1=1
次にこれを6で割りますが、割れない場合はそのままです。
つまり1なので先勝だとわかります。
これを書いている今日はどうでしょうか。旧暦は8月7日です。
8+7-1=14
これを6で割っていくと残りは2。これは友引となります。
同じように旧暦での年末、いわゆる本来の大晦日はどうでしょうか。
旧暦12月30日ですから、12+30-1=41
これを6で割ると6が出て余りは5ですから、大安です。
ただし、旧暦の場合は月の「大小」があって30日で終わる時もあれば29日で終わる時もあります。ですので、旧12月29日が大晦日になる年は大安の一つ前の仏滅の日だということになります。
あとは、自分が生まれた日の旧暦からその日が何の六曜だったかを計算してみるのもいいでしょう。ちなみに僕は仏滅でした。こうして自分の生まれ日の六曜を覚えておけば計算ミスしてないかの確認ができます(-1するのを忘れがちです)。
そういえば、政治家は選挙の投票日を「日曜日で大安になる日」にするみたいな話を聞きましたが、それをカレンダーの六曜を見ずに計算で推定してみるというのも、暇つぶしのお遊びにはいいかもしれません。
古い時代では六壬時課とか小六壬といって時刻まで用いて占うものでしたが、日本に伝来以後、何度もこねこねされて混乱も生じ、いつしか日の吉凶を占うものになりました。
その頃から重視されるような占いではなかったのですが、明治の太陽暦への改暦以降、なぜかこの六曜が持ち上げられて世間に広まっていったようです。僕自身は、現在の形の六曜など信ずるに値しないと思っています。
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