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1900年以前の干支計算に対応しました:四柱推命白帯 簡易版。あと、長い雑記。

2017-07-07 11:02:24 | 四柱推命

過去の偉人など、昔の人の四柱干支を出したい時があります。身近な人で言えば祖父母の両親や、さらにその祖父母だとか。
そういう場合、例えばKeisanサイトの「干支カレンダー」や、古い年代に対応した暦ソフトなどを使って知ることができますが、一々調べるのも煩わしいので四柱推命白帯の簡易版に実装しました。

もともとExcelの仕様上、1900年より前の日付をセル入力しても、それは日付としては認識されず、文字列として扱われてしまいます。なので、Excelシート内で1800年代など昔の日付を加算させることはできず、エラーを吐きます。しかも、1900年に関しては閏日の問題もExcelには内在していて、ややこしいです。

一方、Excel付属のVBAでは日付関数が西暦100年から使えます。そのこと自体は以前から知っていたのですが、実装するには今ある内容を変更する必要があり、その手間を思うとなかなかやれないでいました。でも、最近買った天文位置計算の本(『古天文学―パソコンによる計算と演習』斉藤 国治=著、恒星社)を実習していて、紀元前までわりと精度のよい黄経計算ができることがわかり、その延長で作り替える気力が湧いてきました。

ただ、VBAは西暦100年から扱えますが、Excelは1900年からシリアル値を振っているので、なんだかんだと折り合いの悪さを感じます。できれば公式に、扱える日付範囲をVBAと一緒にしてほしいものです。

ちなみに、ユリウス通日を使えば日の干支は紀元前でも出せますし、他の干支も太陽黄経が計算できれば基本的には算出できます。ただ、内部的に平均太陽時を真太陽時にする際の時間の加減がやりづらく(VBAでも紀元前の日付には対応しておらず、西暦100年を下回ると99年ではなく2099年として認識されてしまう)、上手いやり方を見つけるまでは紀元前の四柱干支は保留としました。

一応、通常の使い方でエラーが出ないかどうか、いろいろと試した後で公開しましたが、作り替えに関連して見落としている箇所があるかもしれないので、今はテスト版の扱いとしておきます。

 

~~~ 以下、雑記~~~

 

天文計算の本は面白いです。

三角関数とかふんだんに出てきますが、上述の『古天文学』は数学が苦手だった自分にもなんとかなりました。ただ、その本は1800年以前の年代を扱っているので、1900年以降や2000年以降となると計算精度的に心もとなくなります。その場合は、太陽黄経だけなら『日の出・日の入りの計算―天体の出没時刻の求め方(長沢 工=著、地人書館)』か、その方式を引用した『天文アマチュアのための天体観測の教科書 太陽観測[編]』第2章を参考にするとよいと思います。ちゃんとΔTの値も使って補正しています(ΔTに関しては「POLYNOMIAL EXPRESSIONS FOR DELTA T (ΔT)」により計算できますし、Keisan内にそれらの数式を使った方法の「ΔTを計算で求める」があります)。あと、『太陽観測』のほうには二十四節気の節入り計算の方法も載っています(挟み撃ち計算のやり方です)。

また、同じく長沢 工さんの『天体の位置計算 増補版』(地人書館)では太陽系惑星などの位置計算式が出ていますし、今の僕には難しいところも多々ありますが、『天文計算入門――球面三角から軌道計算まで』(長谷川 一郎=著、恒星社)も時々参考にしています。このほか、定番的に使われているのが『新こよみ便利帳―天文現象・暦計算のすべて』(暦計算研究会)らしいですが、僕は同じく“暦計算研究会”とある『天体位置略算式の解説―Almanac for Personal Computers』(井上 圭典、鈴木 邦裕=著、海文堂)を持っているので、まあいいかと思って、新こよみ便利帳は買っていません。

上記の本で太陽系惑星の位置計算が出ているものを全てExcelで計算できるようにしてみたところ、『古天文学』は精度はまあまあですが、紀元前から未来まで、だいぶ広い年代をカバーできる魅力があります。もっとも、この本は木星と土星の短期摂動周期が計算で出せないのが難点で(本の図を見て判断する方式)、仕方なく僕は中央値を出して概算させています。特に土星の短期摂動項はどれも+要素なので無視できません。とはいえ、DE430/431を使っている占星術ソフト(Zet 9 Lite)の計算結果と比較するとそれなりにズレもあるので、この本の計算結果を厳密に出す必要もないようです。なお、“古”天文ということで土星より遠い、天王星・海王星・冥王星は扱われていません。

ちなみに、「古天文の部屋」さんの天文計算コーナーにプログラムソースが公開されています(『古天文学』の巻末にもプログラムコードが出ています)。またDE406(精密な計算結果が出るもの)との比較ページもあって、これを見ると両者のズレがどのくらいかがわかります。実際の計算結果をみて実感しましたが、大きい誤差だと0.2~0.3度になるので、そういった期間については注意が必要かと思います。

それと、『天体位置略算式』も比較的広い年代で使えそうな気がします。
一応、計算精度は小数点以下第二位までのようですが、通用範囲は本文によると太陽~火星が1970~2030年、木星~冥王星が1950~2060年とあります。外惑星に関しては特に1850年以前は誤差が大きくなる、とあります。ただ、実際に計算させてみると太陽・月・水星・金星・火星までは紀元前でも『古天文学』の結果と近く、それなりの計算精度を維持しています。しかし、木星以遠の結果は古い年代だとかなりズレてくるので実用に耐えません。それでも近代から現代においては、高精度さえ要求しなければ十分使える内容だと思います。なにより、天・海・冥の位置計算ができるのは嬉しいです。

細かいことを言えば、太陽と月に関しては『日の出・日の入りの計算』もしくは『太陽観測(第2章)』のほうが精度として若干良いようです。とはいえ、小数点以下第二位から三位の値の話なので、秒単位を要求される精度でなければどっちで計算しても構わないでしょうね。今回、白帯の簡易版に実装したのは、1900年以降はこの『日の出・日の入りの計算』の方式で、それ以前は『古天文学』の方式です。ΔTや章動、真黄道傾斜角など、他に必要な値はインターネットで調べた計算式を使っています。

『天体の位置計算 増補版』の後半にある多項式を使った惑星位置は、残念ながら遥か過去の計算には不向きなようです。中盤辺りにある運動方程式を使った計算のほうはどのくらい通用範囲があるのか、そっちのほうは作成していないためわかっていません。 

ところで、四柱推命には無関係ですが、インド占星学で使われるアヤナムサ(Ayanamsa)の計算式も調べていたら見つかりました。アヤナムサにもラヒリやクリシュナムルティなど多種ありますが、今回見つけた略算式はラヒリの値に近いもので、現代から近代、あるいは西暦1000年程度までなら使えるかな、というものでした。先に四柱推命には無関係と書きましたが、アヤナムサを考慮した太陽黄経から日時を逆算して自分の命式を再構成してみたところ、ちょっと面白い感じもしたので、案外、新しい視点にできたりするのかもしれません。単なる思いつきですが。
 
あと、四柱推命の数値化に関連して、『五宮運命学』(東大寺 義明=著、アイペック)という本を最近手に入れました。
鮑 黎明さんの四柱推命の著作(『先天八字大占術』、『先天八字推命術入門』)もなかなかに複雑な数値化方法ですが、この方の方法もだいぶ手が込んでいます。それに加えて大運の巡らせ方が特殊で、よくいえば独創的です。大運の立運年数が一般の方法とは異なる流派があることは知っていますが、命式構成(年月日の蔵干の関係性)と性別で大運の順逆そのものが変わってくるのは初めてみました。僕自身は経験上、通常のやり方――年干支の陰陽と性別による陽男陰女、陰男陽女で順逆を決める方法――でよいと思っていますが、疑問を挟む余地がないと思われているところに切り込んでみることで、そこから見えてくることや、改めて確認できることもあると思うので、こうした試みをしている人を見つけると良い刺激になります。
 
天文位置計算の話をしているついでに書くと、この『五宮運命学』の巻末にある万年暦は精度としてはイマイチなようです。何ページか見てみましたが、数分から1時間半程度の誤差があり、中には節入りの日まで変わってしまっているものもありました。もしこの本を使っている人がいたら、その点は注意しておいたほうがよいと思います。
 
また、この方は時柱を刻柱と呼び、さらに4分単位で限柱というものを出しています。合わせて「刻限」ということでしょうか。実際、占星術でも4分単位というのはあるので(ハウスカスプは約4分で黄経上を1度進む)、僕も以前から自分なりに4分単位の分柱を作って実験しているのですが、この方のとは違っているので、この点でも非常に興味深いです。しかし、この本をちゃんと読み込めていないこともあり、比較研究はまだ進んでいません。分刻みについてはこれからの課題です。
 
ちなみに、10分単位で分柱を作る方法を提案している方もいます。『五柱推命学鑑定法―時柱10分間隔六十干支早繰り表付き』(中川 閃伸=著、日本図書刊行会=発行、近代文芸社=発売)です。僕自身は、この本が出た頃に図書館で見たきりで持ってはいないため、どういうふうに出しているのかわかりませんが、とにかくそういう見方もあるようです。
 
一応書いておくと、万年暦そのものも人によっては天文計算によらずに独自の考え方で案分して暦を作っている人もいるので、必ずしも天文計算が絶対だということを主張するつもりはありません。ただ、実際上それで不備はないと思えるし、経度差や均時差に関しても、ちゃんと計算して組み込まないと現実の命理で合わないことも出てくるので、四柱推命に関してはそれら抜きには考えられません。平気法(恒気法)をベースにしたり、経度差や均時差の不要論を唱えている本も幾つか読んではいますが、今のところ僕にはそれらを採用する道理や実例を得ていません。もちろん、かつての四柱推命は定気法ベースではなかったことや、旧暦2033年問題のような解法として平気法に戻そうと提案することに対しては理解もしていますが…。また、他の占術ではシステムや考え方そのものが違う場合もあり、一概には言えないことも実感としてあります。
 
四柱推命の数値化についてもう少し書くと、四柱推命白帯を作っていく際に参照してきた本としては、
 
陽 史明さんの著作(『最新 四柱推命理論』、『四柱推命・実践と理論』、『四柱推命鑑定入門』など)、
池宮 秀湖さんの著作(『色彩分布図による最新四柱推命』、『運命を切り開くための四柱推命入門』)、
(数値化ではないですが考え方の参考として)小山内 彰さんの電子書籍:『サクサクわかる四柱推命の本: 中国古典を踏まえた四柱推命の本流』・・・他も読んでみたいところですが、買えなくなってる?
――このお三方はそれぞれ武田考玄さんの系列だそうです――、
それから、先述した鮑 黎明さんの著作、
波木 星龍さんの『四柱推命の謎と真実』、
御堂 龍児さんの『四柱推命大鑑』、
松倉 孝宗&甘木 太郎さんによる『四柱推命―暦と運命への科学的アプローチ』、
林 秀靜さんの『日本で一番わかりやすい四柱推命の本』、
富永 祥玲さん著、大石眞行さん監修の『はじめてでもよくわかる! 四柱推命』、
黒門さんの『黒門式 五行でわかる強運の法則』、
小野 十傳さんの『決定版 財運四柱推命術』、
浅野 太志さんの『四柱推命 完全マニュアル』、
小山 眞樹代さんの『完全独習版 子平推命』、
平岡 滴宝さんの著作(『子平学 四柱推命法深書』、『新訳 滴天髄』)
 
などです。
 
数値化に関わらないところでの勉強用にはもっと参考にしていますが、いずれにしてもたくさんの方がそれぞれのやり方で様々なことを書かれていて、計算の仕方としてもなかなか合致を見ることは難しいです。でも、大枠的に捉えてみるとそれほど大差があるわけではないはずだとは思っています。ただ、透派とか明澄派と呼ばれる計算法と、地支蔵干まで含める流派との違いは大きいです。このへんの内容については波木さんの著書の中でも触れられていますが、喜忌などの読解にも関わってくることなので軽視はできません。四柱推命白帯では、天干五行を主体とするものと天干&蔵干の五行を分けて計算できるように作っていますが、計算法は白帯用に考えたオリジナルです。なので、天干五行を主体にした場合でも透派のそれと同じになるわけではありません。
 
流派に関しては正直、僕はよく知りません。どこかに属しているわけではないですし、特定の流派の先生について学んできたわけではないからです。独学の良し悪しはあると思いますが、独学だからこそ様々な流派を偏りなく見ることができるメリットもあるかと思っています。当初は、計算上の参考書として『四柱推命―暦と運命への科学的アプローチ』を使っていて、後でそれは透派系の読み方だと知りましたが、その頃、神殺を多用した推命本ばかりの中で、唯一、僕の興味を惹きつけた本でした。運命に対して論理的に切り込んでいることに他の本にはない魅力を感じたのだと思います。現在、四柱推命白帯があるのも、ある意味、この本のおかげと言ってもいいかもしれません。
 
波木 星龍さんの『四柱推命の謎と真実』は良書だと僕は考えていますが、総括的な内容になっていて多くの具体例を求めている方には惜しい面もあったかもしれません。でも、ご本人も「次回は実例主体の本を書きたい」との旨を終わりに記されていたと思うので、僕自身それをとても楽しみにしています。ご著書の『占星学秘密教本』を持っていますが、あのくらい豊富な実例を載せてもらえたら読者にとっては大いに勉強になることは間違いないと思います。
 
浅野 太志さんの『四柱推命 完全マニュアル』は初版を持っていますが、ミスが多くて正誤表を写すのが大変でした。印刷の明らかな失敗もあったりで本の体裁としてはあまりよくない感じもしますが、内容的には現代的な四柱推命を模索していて、僕はこういうスタンスの方は好きです。命式タイプを31に分けるところは浅野さんのHPの「四柱推命とは・・・」にも掲載されていますが、これと、例えば小野十傳さんの『財運四柱推命術』にある30パターンとは共通性があると思います。一方は通変のパターンで、一方は五行のパターンですが、これを組み合わせたら格とは違う意味での指標が得られるのではと思います。
 
五行のパターンもしくはタイプという点では、ヨハンナ・パウンガー/トーマス・ポッペさんの『ザ・コード』という本も、四柱推命とは違いますが五行と関連のある見方で、これも31パターンです。類似性を探るなど参考にできることがあるような気がしています。一方、四柱推命白帯の簡易版では“命式の型”として、それらを含めて、もう一つBig Fiveと呼ばれる性格の主要五因子も視野に入れて算出しています(※)。命式の中で多い五行(通変)を二つ、または、一つは特に多くて一つは特に少ないものを五行の偏差を基準に選んでいます。こうすると、例えば古来より水金寒冷だとか火炎土燥、埋金、沈金、浮木……と言われてきた命式タイプの目安にできるからです。実際には二つではなく三つ取り出したほうがよさそうですが、スペースの都合で二つだけにしています。
※Big Fiveの専門書としては『主要5因子性格検査ハンドブック―性格測定の基礎から主要5因子の世界へ』があります。何冊かBig Fiveの本を持っていますが、日本語の本でこれより詳しいものは見たことがないです。
 
御堂 龍児さんの『四柱推命大鑑』にある計算方法は、「FOUR PILLARS & FENG SHUI SOFTWARE」での出し方に似ていて、わりと中国圏ではポピュラーなやり方なのかなと勝手に思っています。鮑 黎明さんや小野十傳さんの本のやり方ほどは細かくないので、概算法として覚えるのは比較的やさしそうです。
・・・追記:このサイトを紹介するにあたって「Four Pillars 1.2(free)」をDLしてインストールしようとしたところ、「WindowsによってPCが保護されました」との警告文が出てきました。たぶん発行元が不明になっているからだと思います。昔使った記憶では、フリー版は数値的なところまで表示されていなかったと思うので、今回の話には特に関係なく、無理に入れる必要もなさそうです。
 
とまあ、あれやこれやの方法論があるわけですが、言ってしまえば僕の「白帯」での方法もたくさんある内の一つにすぎません。最初に作成し始めた時の計算式を今も使っていますが、それは惰性みたいなもので、修正したいことがあっても既に組み込んでいる他の要素との関係で変更が難しくなってしまっているだけ、とも言えます。もっと実際的で、もっとシンプルで、的を射た方法があるかもしれません。それは、もうどなたかの著作にある方法かもしれないし、いずれの方法もまだ改良の余地が残されているのかもしれません。僕が四柱推命白帯を通じて何かできることがあるとすれば、そうした各々のやり方を参考にしつつ、できる限り現実に即したものを作って読み手をサポートすること、これくらいじゃないかと今は思っています。
 
追記:2017/7/9 ミーン・ノード(☊)について
 
太陽系惑星の位置計算に関連して少し追記します。占星術では10惑星以外にも月のノードや小惑星なども使いますが、このノードは天文学では昇交点(Ω)といわれます。試しに「しょうこうてん」と打って変換してみてください。文字変換に「☊」が出てくるでしょう。天文学ではオメガ=Ωです。占星術ではドラゴン・ヘッドともいいますし、インド・中国ではラーフ=羅睺(時代によっては降交点に当たるケートゥ=計都と誤認されていた)という呼び名もあります。
 
で、この昇交点の計算も、上述した『古天文学』、『天文計算入門』、『天体の位置計算』にそれぞれ出ています。ただし、基準となる元期(Epoch)が異なり、『古天文学』では1800年(p.76)、『天文計算入門』では1900年(p.142)、『天体の位置計算』では少し計算式は違いますが1900年元期のもの(p.58)と、2000年元期のもの(p.229)が出ています。もっとも、これらは月の“平均”昇交点黄経といわれるものであり、いわゆるミーン・ノードです。占星術ではトゥルー・ノードを好む人も多いので、その場合は平均を真位置にするための、さらに複雑な計算が必要になります。
 
それと、月以外の昇交点黄経もありますが、そちらは数百年や数千年?くらいのタイムスパンでないと大きな変化はなさそうで、あまり使われているところを見たことはありません。僕個人としては松村潔さんの『三次元占星術』という本に紹介されていたのを見た程度です。具体的な研究結果とかあったら読んでみたいものです。
 
 


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