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干支と納音五行と先天八卦

2016-12-02 07:47:02 | 占い全般のコラム

今日の記事は「干支と納音五行と先天八卦」と題しました。

だいぶ前から書こうと思っていた内容ですが、なんだかんだと忙しさに流され、やらずじまいで来たことです。そのまま忘れてしまうのも嫌なので、細かくは書けないにしても足跡だけでも残しておこうと思います。

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占い理論の一つに、「納音(なっちん)」というものがあります。

『和漢三才図会1』の“六十花甲納音図”の注記を引用すると、

“六十花甲納音 六十甲子ともいう。十干と十二支とを組み合わせ、六十で一周する配合をいう。甲子から始まり、癸亥で終る。納音とは六十花甲を木火土金水の五行の音によって、その持つ意味を明らかにしたもの。”

とあります。六十甲子とありますが、今は普通、六十干支と呼ばれます。

その後のページには納音の出し方の数法が書かれているくらいで、「納音って何ぞや?」という点については詳しく触れられていません。

断易にはその理屈について述べているものもあるようですが、僕はその辺は詳しくなく、自分としては納音の本質的なことを書いている本を見たことがないかもしれません。 

ただ、実践に使うに当たっては、干支を納音に変換することは安価な占い入門書でも見られ、わりと一昔前はポピュラーだった記憶があります。今はどうなんでしょうね。

僕自身は、納音が30の二つ折りという点から、占星術のサイン度数と対照させてその類似性を考えたりもしていますが、もう一つ、今日紹介する方法も時々使っています。

それは干支を納音に変換するように、納音五行と干支の陰陽から八卦に割り振るというものです。

これは以前、2013年の後期にanan誌の中で、易による相性観法として使った技法でもあります。その時は日干支からダイレクトに八卦に置き換える表を載せていました(以下)。
(また、後にムックにも再掲されました。) 

もちろん日干支に限りませんが、干支をいったん納音五行に変換し、それを干支の陰陽で分けることで先天八卦を出す、という考え方です。 

 

例えば甲子(干支番号1)と乙丑(2)であれば、納音五行は金(海中金)に割り当てられています。そして、甲子は陽干支、乙丑は陰干支ですから、五行の金を陰陽で振り分けると、陽は乾、陰は兌となります。
他も同様に考えます。例えば辛卯であれば納音五行は木(松柏木)で、八卦では震か巽ですが、陰干支なので巽を採ります。

その雑誌の紙面上では、相性を知りたい人同士の日干支を八卦に置き換え、それを上下(内外)の卦として64卦を作って判断する、というものです。

相性の見方はともかく、納音を八卦に置き換える考え方をしている人が他にいるのか、また、そうした内容の本があるのかは皆目知りません。ただ、なぜか先天八卦の順番になっていることから、自分としては信憑性があるような気がしています。

これらの関係を八卦図にまとめたものをキャプチャしました。手書き&ちょっと暗めですみません。

※画像をクリックすると、大きな画像で見られます。

内側の囲いは甲子~癸巳の30干支、外側の囲いが甲午~癸亥の30干支ですが、同時に易卦も割り振っています。

これは60干支と64卦を対応させるために、乾為天・坤為地・坎為水・離為火の4つを省いて残りの60卦を60干支に当てはめたもので、『周易参同契』に記されている考え方です。
別の考え方では、京房の卦気説のように坎・離・震・兌を飛ばすものもあります。

振ってある数字は干支番号です。外周は納音の二周目に当たるので30を引いた数字も記しています。見ればわかりますが、甲子と甲午のように、同一干で対冲支という関係。

この60干支と60卦については、同一としてではなく補完関係にあるとでも考えておくといいと思います(今回の記事はあくまで60干支/納音五行と八卦に焦点を当てているため、64卦との対応については深くは触れません)。

 

さて、先天八卦の並び順は「乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤」ですが、納音を八卦変換してみると離と坎が二つ続いたり、所々飛んでしまう箇所があります。

八卦では離にしても坎にしても陰陽では区別されていないためですが、これを見ると、何かまだ僕らが気がついていない真理があるのかな、とも思ったりします。

それと、抜けというか飛んでいる箇所についても法則性が見られます。

最初の八卦の巡りは、乾・兌・離(・離)・震・巽と順当に進みますが、次の坎が抜けて、艮・坤に飛んでいます。五行で言えば坎は水です。

次に再び乾へと戻り、兌・離(・離)と来て、今度は震・巽が抜けて、坎に飛んでいます。震と巽は五行で言えば木です。坎の後はそのまま艮・坤と続き、また乾に戻ります。

三巡目は、乾・兌と来て、離を飛ばして、震・巽・坎(・坎)・艮・坤と続きます。離の五行は火。

四巡目は、乾・兌が抜けて、いきなり離(・離)から始まり、震・巽・坎(・坎)で終わります。乾・兌の五行は金。

こうして30の納音を一巡します。整理すると、

一巡目に飛ばす五行 : 坎=水
二巡目に飛ばす五行 : 震と巽=木
三巡目に飛ばす五行 : 離=火
四巡目に飛ばす五行 : 乾と兌=金
五巡目に飛ばす五行 : 艮と坤=土

という形になり、後天五行の相生順で巡っています。
一般的な言い方をすれば、冬至→春分→夏至→秋分→冬至のような巡り方。
ただし、木火土金水ではなく木火金水土と変則的ではあります。

冒頭で引用した、納音が「五行の音」(音律または音韻)に基づいているというのは、僕はまだよく理解していません。ただ、こうして八卦との対応関係を考えてみると、音(波動:バイブレーション)のような人の無意識とつながっているものと先天的な易の働きとがシンクロするような気がして、ちょっと興味が湧いてきます。

人は実際に目に見えるものよりも、目に見えないものや、感じ取るのも難しいもののほうに、より大きな関心をもつのではないかと思います。例えばラジオや何気なく使っているスマホの電波にしてもそうですし、地球の磁力や重力などにしてもそうです。

とりわけ、音や色(光)、香りといったものは、人間の心理(精神)とか感情、記憶、時には動機に作用することがあるわけで、物質としてガッチリ固まった物とか、はっきりと捉えられる現象よりも存在の本質に近いところで関係しているように思います。そういう意味で先天的とも言えなくもないんじゃないかと。

何かが具体的な形になる前には、知覚や認識できないにしても、その前段階があります。

例えば、ある人が冷蔵庫に入っている家族の誰かのプリンを見つけて「食べたい」という欲求を起こしたとき、そこで心理的な葛藤が生まれますが、その時はまだ食べてないので、もちろんプリンは消えません。

でも、実際にプリンを食べてしまったら、具体的な事象としてそれは固定化し、帰宅したら食べようと楽しみにしていた人を怒らせることになります。

また例えば、通りがかりに道端で膝を抱えているホームレスさんを見て、何かしてあげたいと思うも、そのまま通り過ぎる場合もあれば、実際の行動に移す場合もあると思います。

そんな感じで、人の心や欲求・願望は行動に際しての先天的な動機になっていて、この納音とか先天八卦に関することは、割合そうした“意識の先鞭(予兆)”をつかむのにはいいのかもしれません。

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今回は、あまり深く突っ込む時間的余裕がないため、ひとまずここまでとしますが、占術面に興味のある読者の方にとって色々と考える材料になればいいかなと思います。

では、また。

 



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