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逆行天体についての補足とか

2008-07-20 19:34:36 | 占星術

少し前に水星の逆行について書きましたが、占星術や天文学を学んでいる人ならば誰でも知っている通り、他の天体や惑星も順行と逆行を繰り返しています。

よく知られるところでは金星や火星の逆行でしょうか。
2005年に大々的に取り上げられた火星大接近の時でも、火星の順行・留・逆行という現象がありました。ちなみに、火星接近は2年2ヶ月ごとに起きますが、2005年の時ほど近付いたのは6万年ぶりとのことで、僕もじっと火星を見つめていた記憶があります。確か天王星が火星の後ろにある頃でした。

ところで、今回書こうと思っているのは冥王星の動向についてです。
皆さんもよくご存知のように、2006年の8月をもって冥王星は太陽系惑星の地位をもがれ、冥王星型天体の代表格として準惑星(dwarf planet)に位置づけられました。

その当時は矮惑星と仮称されていましたが、最近“準”に決められました。
実のところ冥王星は、他の太陽系惑星のような黄道上に近い軌道を通っておらず、かなり傾斜しています。水星なんかも傾斜角があるほうですが、冥王星らの比ではありません。

そして、この冥王星も地球からの見かけ上、順行・留・逆行をします。
留というのは、名前そのままで順行と逆行の境目で動かない状態――喩えるならば、物を投げたときに最高到達点で瞬間的に静止したような状態をいいます。ほんの数日ですが、見かけ上は運行していないように見える現象です。

さて、冥王星は発見当時から現代までの研究によって、占星術的にも重要な意味づけがなされ、活用されてきました。それは今でもさほど変わっていません。
ただ、2006年の夏以降、世界の人々の冥王星に対する意識や認識が変化してきているのも事実ですから、それが今後の占星術における冥王星の役割にも影響を与えることはあると思います。

また、天文学的にも冥王星以遠のカイパーベルトやオールトの雲と呼ばれる太陽系の果てと考えられている場所を含めると(太陽系内での準惑星の発見数を考慮すれば)、こうした冥王星型天体の役割も全的に占星術に統合されていく必要があるのだろうと思います。

現在の天文学上では海王星が太陽系最以遠の惑星と定義し直されたわけですが、それらの惑星は地球から遠いところを始点に内側に向けて太陽系外の力を伝えていく働きがあるとみなされています。

いわば「伝言ゲーム」のような形で、最初は冥王星をはじめとする冥王星型天体が太陽系外の力を取り込み、次いで海王星→天王星→土星→木星→火星・・・と続きます。占星術的には、その後、公転周期の長さに応じて火星→太陽→金星→水星→月と各フィルターを通りながら、最終的に地球とその住民に届けられます。

一方、地球から太陽系外へと意識を伸ばしていく場合は、上記とは逆の流れを翔けていきます。地球から冥王星型天体、そしてカイパーベルトを通ってオールトの雲をつき抜け、僕らの天の川銀河へ。さらには、それさえ超えて他の銀河へと・・・。

占星術的には、各惑星は人の感情や衝動に関係しており、それが統合された状態でひとりの人間としての意識が構成されていると考えます。なので冥王星も惑星としての地位を剥がされたとは言え、星に付随している人間の本能的な感情は保持されているので、この部分の隠された記憶や情動を無視することはできません。

前書きが長くなりました。

冥王星は太陽系外の影響を太陽系内に取り込む代表格ですので、これが占星術的に大きな変化を遂げる時、人々の意識や社会に根底的な変容が起こってきます。
一種の集団的な生存本能が刺激されるので、そうした衝動に突き動かされて世界全体が揺らめき出すことになるのです。

この現象が顕著に現われる占星術的イベントは、12サイン(12星座のこと)の変遷です。冥王星が12星座を移り変わってゆくその時期には、象徴的ともいえる変革的出来事の予兆が示されることが多く、それがときおり話題になります。

占星術をしている人には既知の話ですが、今年は冥王星がいて座からやぎ座に移行する年です。すでに一度、2008年1月26日にやぎ座に入り1度半ほど順行、その後、3月の後半から4月の頭にかけて留となり、4月2日から逆行が始まっています。

そして6月14日には再びいて座に逆戻りして、7月現在ではまだ逆行中です。
これが9月の初旬まで続いて9月10日から再度順行開始、本格的に「やぎ座の冥王星期」に入っていきます。つまり、今はまだその本格期への準備期間というわけですね。

実は今の時期、冥王星だけでなくて、土星を除く木星以遠の惑星すべてが逆行中です。冥王星は9月10日で当面は順行していきますが、海王星は11月2日まで、天王星は11月28日まで逆行しっぱなしです。もっとも、しばらく時期が過ぎればまた順逆を繰り返していくので、これらも連綿と続く現象の一つに過ぎませんけども。

少し遡ってみると、前回、冥王星がさそり座からいて座に移行した年は1995年。日付は1月17日の満月の日で、ちょうど日本が阪神大震災に見舞われた日です。

ただ、1月にいて座に入ったものの、この時も逆行の影響で4月20には一度さそり座へと引き返しています。その後、今回と同じように一時的に外惑星(月・水星・金星・太陽を内惑星、火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星型天体を外惑星と呼ぶ)がまとめて逆行する現象が起き、それが収まってから1995年11月11日から本格的に「いて座の冥王星期」に入っていきました。

さそり座は(超)心理学的傾向の強いサインで、「さそり座の冥王星期」(1983/11/06~1984/5/18,1984/8/29~1995/1/17)は対人関係に深入りしていく中で特殊な感応力を養っていく時期でした。オカルトや超能力系の社会現象が顕著になったりもしました。

なお、この時期にもいったん蠍座に入っては天秤座に戻って…という順逆があり、その頃にも外惑星がそろって逆行するという期間がしばらくありました。1984年の5月前後です。

こうしたさそり座の時代を経た冥王星は、いて座の体系付けられていく精神世界の影響を受けて社会を変革していきます。いて座はスピリチュアルな性質を元に、より深遠な真実に迫っていくサインです。

社会的にはよりグローバルに世界を股にかけた活動をする人たちが急増していきました。特徴的なのは1996年の1月以降、みずがめ座に入った天王星の影響を受けて携帯電話やインターネットが爆発的に普及していったことです。これにより多くの人が世界をより身近に感じることができるようになりました。

そして、世界や地球をより身近に感じることができるようになって、ようやく人々は宇宙の中の地球というものを自覚し始めるようになり、これまでの人類がなしてきた自然に対する横暴を見直すようになってきました。これが現在の地球温暖化対策につながっています。

ついでにいうと、今の天王星はうお座にあって、2010年および2011年には次のおひつじ座へと移行していきます。さらには2012年初頭には海王星も本来の座であるうお座に巡ることになり、この辺りの年はとてもパワフルかつ本質的な時代の変容を経験していきそうな気配があります。

話を戻すと、冥王星がやぎ座にあることで、人々の意識の中から世界の構造そのもの、また国や社会、それから企業・会社組織・学校といったものの縦構造に対する認識の崩壊と再構築が顕著に生じてくると思われます。

特に権力支配への反感と時代回顧することによる反省。
これは本能的な影響力として時代を動かすため、個人の意志でどうこうすることはできません。人類の総意がそのような方向に流れていく結果として起こってくる必然の現象と言えます。

「いて座の冥王星期」にある間、世界や社会を動かしているシステムそのものに対しての根本的な働きかけは表向きは目立ってきませんでした。市民レベルではときおり報じられる会社や国の上層部が引き起こす不祥事に「またか」と呆れながら、それを反面教師にして対策を講じてきたり、市民がお偉方に不平不満を打ち出してきたくらいです。

その対策も現行のシステムを拡張したり、部分的に見直して修正していく程度で本気とは言い難く、今もって不祥事は続いている状況です。社会保険庁の年金問題などもそうでしょうね。

しかし、今後「やぎ座の冥王星期」に移ることによって、どうにも許容しがたい事態が発生する可能性があり、そうした一連の体制の不備を痛感していくことによって、どうしてもシステムを再構築して作り直さないと駄目だ、という社会風潮が出てくることになるでしょう。

例えば、最近の原油高に影響を受けた漁船20万隻の一斉休漁のようなことが各業種で発生して、やむを得ず、今までのやり方に依存しないで何か別の新しい解決方法を導入していかなくてはならなくなるんだと思います。

そうした変革が世間のあちこちで見られるようになると、その内に社会のあり方そのものを根底から改めなくてはどうしようもない、ということに気がつきます。また、世界規模の問題に対しても、今までのちまちました成果の低い方法を続けていくことはできなくなり、もっと直接的に変化が目に見える形の方法を現実化する必要に迫られるでしょう。

この「やぎ座の冥王星期」は2023年及び2024年まで続きます。
2023年の3月に少しだけみずがめ座に入りますが、その後いったんやぎ座に戻って、2024年の1月後半から本格的にみずがめ座に突入していきます。

この「みずがめ座の冥王星期」にて世界は一度、これまでの科学技術の成果を根っこから見直す必要が出てくるでしょう。そして、幾つもの困窮した事態を経験する中で、人類と科学とのよりよい関係を一から築き上げなくてはならなくなると思います。この時代を越えていく中で、はじめて人は科学的に進化するんじゃないかと僕は考えています。

今回はとても長くなりました。
大して校正してないのでくどい部分もあったと思います。
読んで下さった方、本当にお疲れ様でした~。



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