With the I Ching

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天干と蔵干について~宇多田ヒカルさんの命式より~

2010-01-07 01:12:54 | 四柱推命

今日は、データを取っている中で興味深く、そして難しく感じた命式を取り上げようと思います。

これから見ていくのは、「四柱推命 白帯」(「C.I.の保管庫」内)による宇多田ヒカルさんの命式+行運です。
ネットで偶然、このページを見つけたため、出生時刻を知ることができました。出生地についてはニューヨーク説と北海道説があるのですが、WikipediaはNYになっていたので、そちらを採りました。

★基本データ

宇多田ヒカルさん
1983年1月19日1時17分(水) ニューヨーク生まれ
(一説には、1時7分生まれであるとか、北海道生まれとも。)


なお、僕はあまり鑑定などをするのは好きではありませんし、また読解と称して誰かの運命を云々するのも性に合いません。

なので、ここでは純粋に、

「得られたデータから何が読み取れるか、及び、四柱推命での有効な読み方とは何か」

という技術面を探るに留めたいと思います。


※データベースシートにおけるデータ入力の際の注意



WikipediaにあるようにNY生まれだとすると、UTCは-5時間。(参考リンク:24TimeZones.com
あと、経度は西経(W)になるため、-にしなくてはなりません。

また北海道出身となると、広いですからね、正確な経度が欲しいところです。
それを言うならNYも幅がありますけど。



夜中の1時過ぎですが、実際の正確な出生時間+出生地+均時差&計算精度によっては微妙です。

もし17分ではなく7分生まれならば、ちょうど1時で子刻と丑刻の境目。
北海道生まれならば、どちらの時間でも丑刻になりそうですが、その場合、節入り後の経過度数が13度01辺りで中気と本気の境界線上(宇多田さんは逆行運)。もし中気の余波が残っているならば、蔵干はガラッと変わってしまう可能性があります。
(ちなみに中気ばかりの場合では、財星過多になって従財っぽくなります)

僕としては、土性支の本気が12度(日)から切り替わるのか、13度(日)から切り替わるのかも明確にしておきたい内容です。現在の「白帯」では12度からに設定してありますが、蔵干表を示している本やサイトによっては13度(日)としていることもあるからです。※追記(この記事の最後)

もっと言えば、世界規模の蔵干表を作る上で各蔵干の切り替え時期の特定や、その条件を知ることが重要なので、何が作用しているのかを突き止めたいですね。


ところで、どうして宇多田ヒカルさんの命式を取り上げるのかというと、

【透干・通根の要素として、天干のみとするか、蔵干も含めるか】

を考えるのに良さそうな命式だからです。

命式を見ると、天干には水・火・金のみで木・土がないのですが、蔵干をみると土ばかり。こうなると蔵干を透干・通根の要素として含めた時に、天干のみとする場合と相当の違いが出ます。蔵干表は流派によって異なるとはいえ、宇多田さんのケースでは土の本気のみの可能性がある。というのも、節入り日時(「白帯」では経過度数)が13日(度)以降になるためです。

※先述したように北海道生まれだと微妙になりますが。それと、不二龍彦さんが採用している方式では日柱蔵干が異なっています。それは季節や時間に対する深浅で個別に蔵干を取得されているためです。僕自身は、四柱全ての蔵干を節入り後の経過度数から一括で取り出す方式を用いています。

いずれにせよ、流派を問わず、研究事例としてふさわしいのではないかと思います。


さて、ではまずは天干のみを透干(透出)・通根の対象とした場合の命式&力量表から。

※縮小によって見づらくなっていますので、できればソフトをDLして各自で出してください。
その方が目が疲れないでしょうから。





時上偏財格(時柱天干に偏財が来て、他に財星がない場合)というのかな、これ。
あ、でもそれは日干が強くないとダメなんだっけ?

命式は、木以外は似たり寄ったりの力量であり、行運で木が来れば五行完備となります。
漏洩と制剋の気が自分(火:相対的に若干弱い)を消耗させそうなので、木火が喜神。
ということで、中庸(平均律)のカラー表示も、そのようになっています。(固定的ではないけれど)

木があれば五行完備ということは、逆に言えば、木(印星)に執心する可能性は高いです。つまり、他の行は同程度ずつあるのに対して、一つだけ抜けているわけなので、意識的にせよ無意識的にせよ補おうとしてしまうからです。印としての知識や情報(アイデアの元になるようなインスピレーション)を取り入れようとする性質は強いのではないでしょうか?

このことは占星術の火地風水や活動・不動・柔軟、ASCの構成と似ていると思います。

通根の概念を導入しているので金行(財星)もそれなりの力量を持っていますが、こうした考え方をしない場合では、もっと金行は減りますね。ちなみに、陳太郎ドットコムマニアック四柱推命では、「水(2) 木(0) 火(1) 土(4) 金(1)」という力量値が出ました。一般的にはそういう風に見ることが多いのかな。

※根の考え方は力量計算に大きな差異をもたらす重要な要素であり、これを認めるか認めないかで、命式だけでなく行運の五行値もかなり変動します。しっかり考察されるべき対象だと思います。


では次に、蔵干も含めた場合の命式+力量表です。





こちらは、天干のみの場合から一変したかのような力量状態になっています。
四柱全ての地支が土性支(戌・丑・未・丑)で、節入りを考えても全て本気に当たります。
通変に変換すると、蔵干はオンリー食傷(傷官1+食神3)で幅を利かせています。

季節的に土旺の時期なので、力量的には最大パワーを発揮することになり、他の行を圧倒してしまいます。
日干が丁で、官星もあるので稼穡(かしょく)格には当たりませんが、異常に強い土に引っ張られる形になるはずです。
しかも蔵干という特性上、意欲が内面から湧き出してくるのではないかと思います。

形だけみれば、従児格ということになるでしょうか。
全て蔵干なのに、威容を誇る土。



これは年運シートです。大運&年運の干支の流れと栄枯盛衰グラフ。
画像では蔵干も通根・透干に含まれていますが、このグラフに関してはどっちでも同じです。

問題は、以下の二つ。



上の画像は、天干のみの表示で、下は蔵干も含めた場合の表示です。
年齢は、宇多田さんが流星のごとく世に現れた1998年頃からにしています。

この二つの画像のみ、特に見づらいため大きいサイズも用意しました。
クリックで大きい画像が表示されます。




さて僕自身は、彼女の歌以外のことは未知なため、主にWikipediaから得られる情報を使って事象検証をするのみでしたが、ファンの方ならば、ライブに出かけたり、公式サイトやブログ、音楽雑誌などを頻繁に見たりして、実像の幾許かを知っているかもしれません。

実は、栄枯盛衰グラフの精度アップを目的に調査していた中で見つけたデータだったので、宇多田さんの事例検証も、栄枯盛衰グラフとの比較対照を主にしていました。ただ、やはりここで書いてきたような力量差は気になったため、皆さんにも問うことにした次第です。

ちなみに透派(正確な流派名はよく分からないのですが、一般的な名称として)の場合は天干のみとするそうですが、僕は普段、蔵干も含めて力量計算させています。その方が実物と噛み合うことが多いからです。取りこぼしが少なくなる気がする。蔵干を含めて、その人を構成するパズル(全体像)のピースになっている、というのかな。少なくとも宇多田さんのケースでは、蔵干の力は無視できないレベルにあると思います。

天干だけにすると、表面(外的)に現れる事象を読むにはスッキリした感じで分かりやすいのですが、その裏で支えているモノ(私生活とか日常的な能力など)を感知できなくなるおそれがあるのではないかと思えるのです。透明ガラスの上に立っているような感じに似てる?ような。

社会的に認知できる面として天干を捉えるならば、蔵干としてのプライベートな面は排除したほうが読み取りやすい、ということなのか。

もっとも、「白帯」では天干のみとは言っても、実際には蔵干も通根の要素に入れて幾らか全体の力量に寄与させています(ただし透出対象にはしていない)。それが個人の全体性を補完することになるという考えからです。(その意味では今回の記事の疑問は矛盾してるか。正しくは、「蔵干を天干と同列に扱っていいか」かな。)

純粋に天干のみにすると、どこか感情(魂)の抜けた人のように、何かがすっぽ抜けたような印象を受けます。あたかも大脳新皮質の理知面に焦点化して、爬虫類脳などの内層に秘められた本能的な情動を見ないようにしている感じ。

もっとも、透派における根の概念は、エネルギー計算上、ある意味、そうした抜け落ち感(蔵干)をカバーしている風はあるのですが、個人的には根と蔵干は別物なのではないかという想いがあります。


しばらく前から考えているのですが、そもそも天干と蔵干とは何なのでしょうか?

シンボル的には地面の上と下、花・葉および茎と根っこという対比は分かるのですが、現象的には何を示しているのか曖昧です。日照時間と実際の気温との関係や、形而上と形而下(顕在性と潜在性、明在系と暗在系)などとは考えるのですが、釈然としません。

この辺の問題を解決しておかないと、世界規模で四柱推命を考える際にも不適格な事例が出てくるのではないかという気がします。世界のどこでも泰山流や透派、あるいは古来より中国で考えられてきた(月律分野)蔵干表が適用できるとは断言できないでしょうし。

ただ、日本あるいはアジア圏に関して言えば、僕は泰山流の蔵干表は使えると思っています。(節入り後の経過を恒気法(時間按分:日時)とするか定気法(空間按分:度数)とするかで、微妙な誤差はあるけれど)

つまり透派のような黄経等分法(節気蔵干ともいうらしい)によるのではなく、中気を含んだ見方です。でなければ説明できない事例もあるので。

実践家の中には、蔵干における中気さらには余気をも排除して本気(正気)のみで見るやり方をする人もいるそうですが、少なくとも現時点の僕には採用しかねます。もっとも、その流派または個人のやり方を全部ひっくるめて採用するのならば、本気だけにする理屈も通るかもしれません。

例えば、蔵干としては直接見なくても、透派の根の概念のように、条件としてあらかじめ地支の力量を本気のみで見ても通用するように振り分けておくなどしてあれば、ですが。それならば後は結構シンプルな見方になるはずなので、見立ても楽なのかも。

話が逸れましたが、なんにせよ、天干と蔵干の役割とか、その具体的な意味などが明らかにならなければ、先に進みづらい問題がこの先に控えているので、ちょっとここで問題提起してみました。

なお、実占や鑑定事例から蔵干も含めるべき、または排除すべきという確証をお持ちの方がいらしたら、ぜひ話をお聞かせ頂きたいです。もし公の場でコメントできないのであれば、メッセージを送って下さっても構いません。宜しくお願いいたします。



※追記(同日の夜):土性支(丑辰未戌)の土用期間の始まり度数と蔵干表

土用期間については、Wikipedia「土用」に以下の記述があります。

五行思想では、春に木気、夏に火気、秋に金気、冬に水気を割り当てている。残った土気は季節の変わり目に割り当てられ、これを「土旺用事」、「土用」と呼んだ。

土用の期間は、平気法では、立夏・立秋・立冬・立春の前18日間とする。一方、定気法では、太陽黄経がそれぞれ27度、117度、207度、297度に達した日を「土用の入りの日」とし、立夏、立秋、立冬、立春の前日までを「土用」としている。そのため、定気法では、それぞれの土用の日数は必ずしも18日ではなく、19日のこともある。日本の国立天文台では、暦要項の雑節において土用の入りの時刻を発表している。


太陽黄経を基準に土用入りを決めるのであれば、土性支の本気蔵干は上記の27度、117度、207度、297度ということになるはずです。
297度は二十四節気の小寒(285度)~大寒(300度)の間にあるので、297-285=12。ここから余気は小寒後12度未満、言い換えれば11度以下(285.00~296.99)になるかと思います。

宇多田さんの場合は丑月の生まれで、出生時の太陽黄経が298度(※北海道かNYかで小数点以下は異なる)なので、297度から約1度経過後。つまり、298-285=13度経過しています。(NY=アメリカ東部標準時だと17日11時35分に土用に入っている。日本標準時ならば18日1時35分から)。

で、これを四柱全てに敷衍すると、彼女の場合は全て土性支ということから、結果として年月日時の蔵干はどれも本気蔵干でいいのではないか、と思います。

※太陽黄経に関する参考リンク


・・・と、これは純粋に天文学的な位置計算を基にしたもので、実際の影響力はデジタル式にカチッと切り替わるのではない(混ざりつつ変遷する)、とするのであれば話はまた変わってきてしまうのですが。

それでも土用については、天文学的に定義されているので考察は楽なほうです。
問題は、中気。

これまで行ってきた事例検証の感想としては、――特に「栄枯盛衰グラフ」を作る(通変星を明確にする)に当たっては、僕は中気は必要だと考えているのですが、専門家の方の中には完全否定される方もいます。

まあ、それはそれとして、この中気というものは天文学的には何の定義もなく、日本での一般的には余気以降の3日(3度)や7日(7度)の間に充当されています。(蔵干表は古来から種々あるので、それぞれで微妙に期間が異なる)

なお、午月の己だけは四正支なのに中気があるという不思議な状態ですが、僕はこの午月の己の意義も今のところは認めています。
理屈としては節気蔵干はスッキリして分かりやすいのですが、ちょっと人工的に過ぎるかな、というのが個人的な見解です。

ともかく、区切りの位置、そしてその条件(緯度・経度によって変わるのかなど)を明瞭にすることが課題だと思います。



1 コメント

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Unknown (何ですかこれは)
2018-09-12 12:38:38
ゴチャゴチャと長々しいんだよ。
もっとコンパクトに書けよ。
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