<四柱推命&風水における南半球・赤道・極圏問題の大雑把な整理>
この一週間くらい、英語、中国語、日本語の各サイト・ブログ・PDFなどを読んできました。(中国語サイトについては、ほとんど翻訳に頼っているので、もしかしたらポイントを外しているかもしれませんが)
たくさんの理論というか、各自の主張があって、意見が分かれていることを知ったわけですが、ここで簡単にでもまとめておこうと思います。詳細は前回・前々回の記事、および作成したリンク集から当たって頂くとして、今日は「どんな案(考え方)が出ているか」を書き出してみます。
実際にはここでの問題は、風水や四柱推命(八字・子平)に限りません。
その根本思想である易をはじめ、紫微斗数、大六壬(六壬神課)、奇門遁甲、気学・家相などの東洋占術全般がグローバル化できるかどうかに関わる重要な内容です。
A どの考え方でも概ね共通している事柄 →北極や南極地方(極圏 - Wikipedia)では、磁気の乱れ、方位の概念の崩壊、白夜&極夜などの理由から、風水や四柱推命の理論が成り立たない(かもしれない)。だが、それ以外の場所では、そのまま、もしくは工夫(アレンジ)次第で適用可能。 B 北半球発祥の東洋占術は、そのまま南半球に適用できる、とする派 →四柱干支は経度による時差が問題であって緯度で異なるものではなく、また、風水は季節における寒暖のみが八卦の象意ではないし、コンパスが指し示す南北は半球の別に関わらず同じなので、変更は必要ないとしている。 C 基本的にはBに準じるが、象意の捉え方を反転または適宜調整する派 →四柱干支、および八卦の配置は北・南どちらの半球でも変えないが、意味内容は場所や環境に応じて調整すべきと考えている。 D 南半球や赤道直下では、専用の八卦や干支配列が必要だとする派 →変更が必要だという認識においては共通するが、それぞれの実践経験から別々の主張をしている。 |
Aについては議論の余地がない、もしくは議論することすら困難であるため、今はこれ以上、追求しません。
Bの主張は、半球の南北に関わらず原理は同じとし、北半球用の暦で出した八字を、そのまま南半球や赤道直下の国に適用します。
また、風水羅盤における各層の内容についても、磁極の指し示す方角を基にして読んでいきます。
同様にCの場合も変更することなく適用しますが、意味の付与や解釈の際に内部補正を行うようです。
それは調候であったり、五行のエネルギー値であったり、喜忌の反転であったり、ということです。
問題はDです。この場合、見解によって変換の仕方が様々です。
変更派の主張の理論的基礎は、北半球との季節(気象・気温)&太陽を含めた星々の見かけの動き&日当たりに象徴される方位概念の“反転”にあります。(他にコリオリの力とか、ハリケーンや水流の回転方向の違いというのもあります)
南半球に住む人々にとっては、北向きの家こそが日当たり良好な物件となりますし、北半球が冬の時には南半球では夏だったりと(サーフィンするサンタクロースの写真とか見たことありませんか?)、感覚的にも心情的にも反転させるのが自然だと考えているわけです。
これらのことから、変更派のどの案でも、季節の反転に関わる月柱もしくは月支を反転(6ヵ月前/6ヶ月後に変換)させています。さらに、二十四節気が反転することから年柱も逆転配置(もちろん季節の移ろいが逆回転するという意味ではない)、または暦の仕組みから独自案に沿って変更させる方もいます。この時、単純に支を反転させるだけにするか、年初を寅月=立春(黄経315度)から申月=立秋(黄経135度)にするかでも変わってきます。また、日当たりを主な根拠として、日柱(日支)も同様に反転させる人もいます。
以下に全てではないでしょうが、ネットに散見する主なものを書き出していきますので、考察の参考にしてください。
例として今これを書いている時間の四柱干支を使います。
日付は2010年6月7日21時台の日本時間(愛知県)。
少なくとも北半球では(まだ決着を見ていないので、こういう表現をしますが)、庚寅年壬午月戊子日癸亥時です。
四柱八字 | 年柱 | 月柱 | 日柱 | 時柱 |
2010年6月7日21時台、日本標準時。 北半球用の暦で出した八字。変更不要派。 |
庚寅 | 壬午 | 戊子 | 癸亥 |
変換説 1-1 月柱を変換(干支共々A:6ヶ月前) |
庚寅 | 丙子 | 戊子 | 癸亥 |
変換説 1-2 月柱を反転(干支共々B:6ヶ月後) |
庚寅 | 戊子 | 戊子 | 癸亥 |
変換説 1-3 月柱を反転(支のみ) |
庚寅 | 壬子 | 戊子 | 癸亥 |
変換説 2 年柱:5年後、月柱:6ヵ月後、日・時柱:不明 |
乙未 | 戊子 | 戊子? | 癸亥? |
変換説 3 年月日の支を冲支に変換 |
庚申 (己未?) |
壬子 | 戊午 | 癸亥 |
変換説 4 年月の支を冲支に変換 |
庚申 (己未?) |
壬子 | 戊子 | 癸亥 |
次に、八卦の配置について。
これについは、後天八卦の反転図はありましたが、なぜか先天八卦の反転図は見ていません。
おそらく概念としては考えていると思われます。
まずは、ベーシックな後天八卦図から。
(通常は北を下に置きますが、地球の磁性に沿って便宜的に逆転させています。)
乾6 |
坎1 |
艮8 |
兌7 |
北半球 |
震3 |
坤2 |
離9 |
巽4 |
次に、南半球用として作られた後天八卦図。
(かつて全てを逆にするという説もあったようですが、今は下記の説が統一見解になっている感じ。)
坤2 |
離9 |
巽4 |
兌7 |
南半球 |
震3 |
乾6 |
坎1 |
艮8 |
磁石の針が示す方位としては、北・南に関係なく一緒ですし、東西も同じです。
太陽の動きが北半球では時計回り(右回り)、南半球では反時計回り(左回り)といっても、実際には全天としての天球図で考えれば、単に見方の問題とも言えます。赤道を挟んで北側にいるか南側にいるかで見え方が変わってくるだけで、太陽や星の運行(地球の自転と公転の回転方向)は共通だからです。
異なるのは南北の領域に関する配置です。
先述したように――
・ 推論や実経験、そして体感(感覚的・心理的影響)からも反転させるのがナチュラルだと主張する人達
・ いずれの半球にしても磁性の方向は変わらず、ベースとなる原理も変わらないのだから、変更は不要だと主張する人達
の間で意見が二分されているのが現状のようです。
最後に、もう一つ。赤道直下の後天八卦として考案されたもの。
これは上記の二つの盤を折衷したような配置になっています(北側は北半球の、南側は南半球の卦)。
乾6 |
坎1 |
艮8 |
兌 |
赤道下 |
震 |
乾6 |
坎1 |
艮8 |
しかし、これは思考遊戯的な印象が強く、そもそも八卦としての形を成していません。
実例が不足している現状では否定も肯定もできませんが、やはり妥当なものであるとは考えにくいです。
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さてさて。
これで、過去数十年そして今現在も世界で議論されている問題の概要を示すことができたと思います。
でも、何が正しいのかという核心にまでは迫っていませんので、そこは、この記事の内容を参考に、各自で実例検証を重ねることで判断していただきたいと思います。
様々な考え方があって収拾が付かない、または互いに見解の相違から歩み寄れない状態が続いているようですが、これより先、より多くの人が関心を持って研究成果を蓄積&共有していくことで、世界中の人が納得できる“真実”が明らかになることを期待します。
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