建交労長崎県本部

全日本建設交運一般労働組合(略称:建交労)長崎県本部のブログです。
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対等平等な関係を基礎にした協定・協約締結(労使関係確立の基本)~建交労のトラック政策㊵

2017年08月24日 07時49分58秒 | トラック政策

①労使協定・労働協約のもつ意義

近代資本主義社会での労使関係においては「協約なくして労働なし」と言われるほど、労働協約は重要視されてきました。労働協約は、個別の労使関係(使用者と労働者個人との関係)での労働契約と違って、集団的な労使関係(使用者と労働組合との関係)において、使用者と労働組合・労働者との間の権利・義務、賃金・労働条件を決定し、「合意による契約事」として書面化したものです。したがって労働協約は個別の労働契約と違い、包括的な拘束力を持っものです。

トラック運輸産業を構成する圧倒的多数である中小企業においては、労使の信頼関係構築は最も重要な課題の一つですが、その根底となるのが対等の立場で締結される労使協定・労働協約です。

②中小企業家の労使関係に関する考え方

1975年1月に中小企業家同友会全国協議会が発表した「中小企業における労使関係の見解」では、次のように指摘しています。

 「経営の全機能を十分に発揮させるキーポイントは、正しい労使関係を樹立することであるといっても過言ではありません。」

「契約は双方対等の立場で取り交わされることがたてまえですから、労働者が契約内容に不満をもち、改訂を求めることは、むしろ当然のことと割り切って考えなければなりません。その意味で労使は相互に独立した人格と権利をもった対等な関係にあるといえます。」

「っまらないことから相互不信を招かないような、ごく一般的な手法は必要不可欠ですが、基本的には誠心誠意交渉にのぞむ経営者の姿勢、態度こそ、もっとも大切なことです。経営者が労働者の立場、考え方、感情をできるかぎり理解しようという姿勢は話し合いの前提でありますし、また労働条件の改善について実行できること、また必要なことは積極的に取り組むという姿勢が大事です。」

③事前協議・合意同意協定の締結を

労使関係の構築にあたって法令遵守をはかることは当然のことですが、労使関係の重要な柱として「事前協議・合意同意協定」の締結をもとめます。

④労働者・労働組合の権利拡充を

労使関係のもう一つの柱は、労働者・労働組合の権利確保です。雇用や労働条件変更にあたっての労働者の同意権の確立や就業時間内労働組合活動保障などを求めます。


中小企業の経営安定は産業別労働組合との協力・共同で(産業別労働組合はなぜ必要か?)~建交労のトラック政策㊴

2017年08月21日 09時16分52秒 | トラック政策

中小企業経営の厳しさは増すばかりです。個別対策を強化することは当然ですが、個別対策と産業別労働組合の業種別運動、中小企業経営者や業界団体との共同をはからなければ、根本的な解決にはなりません。

大企業の横暴とたたかい中小零細企業の経営安定をはかるためには、中小企業経営者・経営者団体と産業別労働組合がしっかりと結びついて個別企業への報復などの攻撃を避ける必要があります。こうしたたたかいは、産業別労働組合が存分にその力を発揮しなければできないたたかいです。


トラック最賃(産業別最賃)の確立(産業別労働組合はなぜ必要か?)~建交労のトラック政策㊳

2017年08月19日 09時01分39秒 | トラック政策

トラック最賃(最低賃金)は、

①「原価」の中には「人件費」も含まれ、「法的な最低基準を下回る人件費」は「原価割れ」となること、「原価割れ」の運賃取引は「不当廉売」や「買いたたき」に該当し、独占禁止法や下請法に違反するという公正取引委員会の見解にてらしてみても運賃の下支えとなり、不公正な競争の防止につながること、

②「産業別最賃」は一般の「地域別最賃」よりも高く設定することが義務づけられ、「トラック最賃」を設定することでトラック運転労働者の社会的地位の向上、長時間・過労運転の防止に一定の役割を果たすこと、などの積極面があります。

しかしいずれにしても多くの企業の労働者や労働組合に働きかけなければならないため、その機能が果たせるのは産業別労働組合でしかありません。


企業横断的な統一労働条件の確立(産業別労働組合はなぜ必要か?)~建交労のトラック政策㊲

2017年08月18日 08時58分23秒 | トラック政策

ヨーロッパ各国では産業別労働組合が全国を単位に組織され、大きな役割を果たしています。

ヨーロッパ各国と日本のいずれも、労働協約に労働法上特別な効力を認めていますが、ヨーロッパでは労働組合の締結した労働協約が組合員に適用され、その労働条件を変えるという協約の規範的効力を最初に認め、その労働協約の効力を行政機関による「一般的拘束力宣言」によって、さらに州単位に地域的拡張適用する制度を設けています。この制度は日本の現行制度のモデルになっていますが、日本との違いは実際に一般的拘束力の宣言によって拡張適用が実現していることです。また、使用者の業種別団体が加盟する企業に協約遵守を義務付け、働くルールは産業別の労使自治によるという原則を労使双方が尊重することで、労働協約基準を組合に加入していない労働者にも拡張適用しています。

日本では企業別の労働協約がほとんどであり、最も必要としている中小零細企業の労働者や非正規雇用労働者など不安定で労働条件が劣悪な労働者層には労働協約が適用されず「無協約労働者」になっています。中小零細企業の労働者に等しく賃金・労働条件向上の波及効果を及ぼし過当競争に歯止めをかけ、中小経営の安定と労働者の雇用確保をはかるためには、企業横断的な統一労働条件(産業別労働協約)の確立が必要であり、そのためには企業横断的な労働組合(産業別労働組合)の力量アップと統一闘争が必要です。