第107回ジロ・デ・イタリアは2度目の個人TTを迎えた。カスティリオーネ・デッレ・スティヴィエレからデゼンツァーノ・デル・ガルダまでの31.2kmは前回のTTとは違って平坦コース。昨日はガンナに優勝を譲るかもしれないと書いたポガチャルだが、譲るというより明らかに力負けだった。
とはいえ、総合優勝のライバル、ゲラント・トーマスには1分近い差を付けてのステージ2位。ここで総合2位に浮上したトーマスとの差は3分41秒へと広げたのだから、ポガチャルにとっては予定の走りだったのだろう。並みいるTTスペシャリストが名を連ねる中。唯一秒差でガンナに食い下がったのはポガチャルだけだったのだから。
とはいえ、総合優勝のライバル、ゲラント・トーマスには1分近い差を付けてのステージ2位。ここで総合2位に浮上したトーマスとの差は3分41秒へと広げたのだから、ポガチャルにとっては予定の走りだったのだろう。並みいるTTスペシャリストが名を連ねる中。唯一秒差でガンナに食い下がったのはポガチャルだけだったのだから。
現世界アワーレコード保持者のフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)のこの日の走りは圧巻だった。第一計測地点こそ時速40km/h代だったものの、第2計測では51.9km/h、ゴール時点では53.4km/hと徐々にスピードを上げてポガチャル以外の選手には1分以上の差を付けたてしまったのだから。
大会前半からのアップダウンの多いコース設定で、この日は総合で順位を落としている大柄のTTスペシャリスト達のスタートが早かった。前回80番代だったガンナもこの日は60番代でのスタートだった。ガンナがゴールするまではホットシートの顔ぶれがコロコロと代わっていたのだが、以降はポガチャルのゴールを不安げに待つガンナが独占することになる。
最後にスタートしたポガチャルにとってはWツール制覇の最大の障壁ヨナス・ヴィンケゴーに圧倒されたTTの課題を克服するための重要なレースである。レース後のクールダウンにもTTバイクを使う程で、先のTTではガンナを最後の登りで大逆転して見せた。
この日も第一計測地点ではガンナのタイムを4秒上回る最速タイムを叩き出していた。ケイデンス100rpmで380Wという数値が画面には表示される。これを見たホットシートのガンナの表情が曇るシーンが映しだされる。
フロントシングルの64Tでリア11Tというビッグギアを踏むガンナには29秒及ばなかったもの残り8km地点まではガンナのタイムを上回っていたポガチャル。TTのスキルは確実に上がっているようだ。このステージを目標に2週目を抑え気味に走っていたことは間違いがないようだ。
ポガチャルのTTでの能力の高さはホットシートで待つガンナの表情が物語っていたのではなかろうか。最初のTTでは登りゴールとはいえ、1分以上のタイム差を逆転され、この日もゴール前8kmまではリードを奪われていたのだから、彼の心境は複雑なものだったに違いない。
ゴール後に「今日はとても苦しんだ。ボクの得意分野であるタイムトライアルは、ジョナサン・ミランの得意分野のような物とは異なる。彼は70秒間苦しんで、フィニッシュラインを越えてしまえば自分が勝者なのかどうかを知る。でもボクの場合は…2時間も待たなければならず、それはすごいストレスだ。」と語っていた。
課題のひとつだったTTを無事にこなしたポガチャルを次に待ち受けるのが今日のクイーンステージだ。220kmを越える山岳コースで長い登りが2度もある。エース・ヴィンケゴー率いるヴィスマ・リアースバイクにツールで苦しめられたシーンが蘇る。ただ、今回のジロにはヴィンケゴーはいないし、ヴィスマもメンバーを4人も削られている。総合2位に着けるイネオス勢も今回のジロには重量級の選手が多く、このようなステージで優位を得られるとも思えない。むしろ。ボーラやデカトロンの攻撃でゲラント・トーマスが遅れてしまう可能性すら考えられる。つまり、ポガチャル自信が積極的に動く必要のないステージになってしまっているのだ。
とはいえ、TTでも見せたポガチャルの課題の克服姿勢を見ていると、この長い登りのステージもWツールを目指す彼にとってはもうひとつの課題でもあるこのステージでも何らかの動きは見せる可能性は残る。勿論、ライバルチームの動き次第なのだが、ある程度の逃げは容認しながら、最後の1級山岳リヴィーニョ(4.7km、7.6%)では確実にアタックを見せるだろう。問題はこの短い登りではなく、その前の1級山岳パッソ・ディ・フォスカーニョ(14.6km、6.5%)なのだ。長い登りの課題克服ならここからアタックしてライバルたちをぶっちぎるポガチャルの姿も見てみたい。
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