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ツール・ド・フランス2024を振り返る(6)

2024-11-06 14:21:53 | ツール・ド・フランス
 ツール8日目はビニヤム・ギルマイの強さが証明されたステージとなります。第3ステージで驚きのツール初勝利を挙げていたギルマイですが、誰もがフィリップセンのマイヨヴェールはほぼ確実だと思っていたのです。
 所属のアンテルマルシェというチーム自体の強さにも懐疑的だったのですが、この日はアシストが見事な働きを見せ、ギルマイをベストポジションに運びました。登りのゴールスプリントでフィリップセンを退けたギルマイの力は本物だったのです。

 今年のさいたまクリテリウムにも参加してくれたギルマイですが、優勝と同時にヤングライダーも獲得していたのです。21日間のツールでは流石にレムコ・エヴェネプールたちには及びませんでしたが、ギルマイはレムコと同い年なのです。フィリップセンがポガチャルと同い年なので、この二人はこれからも熱いバトルを見せてくれるはずです。
 一週目の最後となる9日目は、ツールに初登場する白い道(グラベル区間)が話題になっていました。今年、ストラーデ・ビアンケ(イタリア語で白い道を意味します)で80km以上を独走勝利しているポガチャルにとってはビッグチャンスと思っていたのですが、早々に逃げが決まってしまったのです。

 ステージ優勝は逃げ集団でのスプリントを征したのはトタルエナジーのアントニー・テュルジスでした。MTBのXCで2大会連続金メダルのトム・ピドコックは惜しくも2位でした。
 タイム差があり逃げを容認したプロトンでは、ポガチャルが果敢にアタックを見せるも、ひとつひとつの未舗装路区間が短いため、舗装路で集団が追いつくという苦しい展開になってしまいました。一度はヴィンゲゴーと二人が抜け出すシーンもありましたが、グラベルを得意としないヴィンゲゴーはパンクのリスクを考えてアシストを待つ選択をしたのです。

 ヴィンゲゴーのようにツールにグラベルは相応しくないと主張する選手もいますが、個人的には登りや平坦に加え、石畳やグラベルといったステージが増えることは歓迎です。特に平坦ステージが多くなると、途中がとても退屈になってしまうからです。逃げとそれを逃がすスプリンターチームという構図が出来やすいからです。
 山岳ステージでも同じことになることもありますが、プロトンの人数が途中で減り、逃げが決まる確率が上がるので。まだ緊張感があるのです。ジロやブエルタに比べ平坦ステージの比率が高いのがツールです。ただ、主催であるA.S.Oは徐々にそうした傾向を改善しつつあるように見えるのです。今年のグラベルの導入もその一環でしょう。加えて、恒例となっていた最終日のシャンゼリゼゴールもオリンピックの関係でニースでの個人TTに変更しているのです。
 グラベルを最初に取り入れたのはジロの主催者RCSスポルトでした。長年のライバル関係ということもあり、ジロの真似と見られるのを嫌ったのか、パヴェ(石畳)のステージはあってもグラベル(未舗装路)ステージが無かったことが不思議なほどなのです。
 総合を争う選手たちは、集団でゴールしたためタイム差は付かず、ポガチャルがマイヨジョーヌを手にしたまま終わりました。レムコとは33秒、ヴィンゲゴーとログリッジには1分以上の差で2週目に突入することになりました。
 




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