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TPUチューブを考える(3)

2024-12-03 14:40:06 | 自転車用品
 ただ、価格が高く様子見をしていたら、今回Panaracerから発売されたPURPLE LITE(パープルライト)が1980円(税込)ということで、さっそくショップで注文して来ました。同社の軽量プチルチューブであるR-AIRが23~28Cで78gですから、36gは驚きの重量です。ただ、このR-AIRも軽量な製品で以前は使っていたこともあるのですが、バルブ部分からのエア漏れが多発し、結局使うのを諦めたという経緯があるのです。

 まあ、あれからかなり年月が経過しているので、今は問題無いのかもしれませんが、このTPUチューブはどうなのでしょう。TPUチューブのバルブ部は基本プラスチック樹脂製です。一般に「金属とTPUの接着が難しいため」と言われています。プチルチューブのように雑に手荒に扱うとバルブが折れてしまうこともあるので注意が必要なポイントでしょう。一部のブランド(ECLIPSEやCYCLAMI)は金属製バルブを採用している製品もあります。

 TPUチューブでも、バルブコアは通常のブチルチューブと同じく金属製のものが使われます。但し、樹脂バルブの場合はネジを切っても完全に気密をすることが難しいためなのか、バルブコアが接着剤で固定されていることが多いようです。従って、樹脂バルブはバルブコアを外すことができません。このため、バルブエクステンダーは使用不可です。ディープリムに取り付ける際には、あらかじめバルブの長いモデルを買う必要があるのでが、TPUチューブのバルブは60mm以上のものがほとんどです。

 また、最近注目され始めている電動ポンプは注入部が高熱になるので注意が必要です。PanaracerのPURPLE LITEが金属製のバルブコアを使用しているのはその対策だと思われます。CYCLAMIの製品はバルブの途中から金属製になっています。キャップも金属性のものが付いているのでPURPLE LITEより若干重めになっています。TPUチューブの軽さの要素のひとつはこの樹脂製のバルブにありそうです。

 TPUチューブの特性に「ガスバリア性が高い」ことが挙げられます。プチルチューブにCO2ボンベで空気を入れると、翌日に空気圧が下がっているはずです。これはCO2の特性でプチルチューブを透過し易いからです。普通の空気で高い機密性を保つためにチューブが厚く作られていることが重量の増える要因なのです。
 TPUは素材の「ガスバリア性が高い」ので、チューブを非常に薄くすることを可能にしたのです。拡張性が非常に高いので、サイズも23-32Cと広いのも特徴です。プチルの場合は18-23C、23-25C、25-28C、28-32Cといった細かな分類があるのとは対照的なのです。但し、一度膨らませたら元には戻らないので、再利用には不向きかもしれません。

 転がり抵抗は、タイヤとチューブの変形量が大きいほど大きくなります。薄いぶんだけ変形する素材の量が少ないTPUチューブは転がり抵抗も小さいことになります。ただ、転がり抵抗の低さではすべてのTPUチューブの上を行くのがラテックスチューブです。転がり抵抗だけ見たらラテックスチューブを選ぶのが正解のようです。

 問題なのは乗り心地でしょう。拡張性は高いTPUチューブですが、伸縮性はないので、高圧だとタイヤが跳ねることになるはずです。乗り心地ではプチルチューブにも劣るかもしれないのです。転がり抵抗が低く軽量なので、クライミングレースなどではメリットが大きいはずです。速く走るということが目的ならTPUチューブがお勧めですが、乗り心地重視の方は、少し手間でもラテックスチューブがお勧めです。転がり抵抗が少なく、乗り心地も最高です。

 ただ、今回私がTPUチューブ購入を決めたのは、予備チューブとして携行するためです。最近はホイール毎にタイヤ幅を変えているので、ホイール交換の度に携行用の予備チューブの入れ替えが必要でした。たまに、入れ替えを忘れてひやひやさせられたこともあります。それが、TPUチューブなら1本で全てのタイヤに対応できるのです。しかも、重さはプチルチューブの半分となれば、2本予備チューブを携行できるのです。TPUチューブは薄いので非常にコンパクトで、2本でもプチル1本の半分ほどなのです。

 ロードバイク用のチューブなら太くてもせいぜい32Cですが、グラベルロード用となると38-40C用になりますから、重さは勿論大きさが半端なくなります。Topstone用にR250の大きいツールケースを購入せざるを得ませんでした。それがTPUチューブならこの大きさなので、Vittoriaの小さいケースにすっぽりと収まるのです。これはうれしい。

 TPUチューブはタイヤの太いグラベルロードやMTB向きなのかもしれません。ロード用は700Cですが、MTB用なら27.5から29erまで使用可能なようです。空気圧も高くせずに済むので、乗り心地の問題はなくなるはずです。
 


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